経営者の住居であった主屋、現在は古民具の展示室として活用されています。展示されている古民具は、湯浅住民からの寄贈によるものです。主に明治・大正・昭和期にこの地方で使用されていたものを展示しています。この資料館の特色は、写真撮影OK、実際に展示物に触っていただけるものも、たくさん展示していますので、どのようにして使ったかを体験していただける、学習の場にもなっています。
帳場は、店の会計を行ったところです。右の写真でわかるように、帳場机の横には銭函が置かれており、お金の出し入れが行われていました。
銭函の横には、箱火鉢・その手前には煙草盆が置かれています。
右の写真奥から、帳場箪笥・行灯・船箪笥が置かれています。帳場箪笥は、今で言うと金庫の役目をし、金銭や、重要な書類の保管をするために、鉄の金具が付けられ鍵が掛かるようになっています。
行灯は、菜種油やろうそくを用いて明かりを灯しましたが,湯浅では魚油(いわしの油)が安価であったので、よく使われたようです。船箪笥は、文字通り船に積む手提げ金庫の役割です,手提げといっても頑丈に作られているので、中にものが入っていなくてもかなり重くなっています。又、密閉性が高く船が遭難した時でも、船箪笥は沈まず、これに掴まって命拾いした人もいたようです。世間の荒波もお金をしっかり握っていれば大丈夫ということでしょうか。
左の奥に見えるのが、シャープ製の真空管ラジオです、今とちがって大きいものですね。その横に扇風機が見えますが、アメリカのGE社製です。扇風機が登場し始めた当時、お店では扇風機を置いていると冷房中という看板を掲げていたようです。
この卓袱台には、真ん中に四角の穴が開いていますが、七輪を入れて鍋料理に使われていたようです。今だとカセットコンロというところでしょうか。右手に写っているのが銅鏡の鏡台です、今の鏡と違いくっきり見えなかったようです、年配のご婦人はこれ位だと皺が目立たず丁度よいとの感想を言っていました。一番右が、手あぶり用の小型の火鉢で真鍮でできています。
霧笛と書いて「むてき」と呼びます、かつて船舶に常備されており、霧で視界が悪いときに「むてき」鳴らして船の位置を教えたそうです、車で言うとクラクションの役目です。ふいごの原理を使い先に笛がついていますので、かなり大きな音がなります。
甚風呂の来館者は、からなずといっていいほど「霧笛」を鳴らし音の大きさに驚いています。只、来館者が多いときは、絶えず霧笛が鳴り響いていますので、結構やかましい (^^ゞ
「とっくり」といえばお酒を連想される方も多いでしょうが、湯浅は醤油の醸造業者が多く、この写真に写っているのはすべて醤油徳利です。大きいのから小さいのまで、様々な醤油徳利が作られていたようです。
江戸期の終わりから、明治にかけて使われたものですが、お医者さんの往診に使われていたようです。大名や武家が使ったものに比べて、質素な作りになっていますが、駕籠かきを雇うのにかなり経費が掛かったようです、昔もお医者さんはお金持ちだったようですね。
甚風呂の中庭には、江戸期に掘られた井戸が残っています。今でもきれいな水がこんこんと湧き出ています。湯浅は、醤油作りが盛んでいましたが、水が良かった為だといわれています。今でも町内でペットボトルの飲料水が製造されています。この井戸も同じ水系の水が湧き出しています。
井戸水は年中水温が15度前後と変わらないので、夏は冷たく、冬は暖かく感じます。来館者の方々はこの井戸の手押しポンプで井戸水を汲み、手押しポンプを体験していただいています。特に、子供たちには大変人気のスポットです。