北海道ツーリング(道東編)

8月30日(日)
 翌日、上陸4日目。今日は朝から雨がシトシト。これではボート出ないのも納得って感じですかね。同部屋の仁くんと何して遊ぼうかということになり、私が「温泉巡りに行こう」と言ったら速採用で早速出発。私は仁くんの車の助手席に優秀なナビゲーターとして乗りこませていただきました。ということでバイクはお休みです(^o^)。

 まず初めに越川温泉へ向かいます。R334を斜里まで戻り、そしてR244を標津方面にしばらく走ると到着。国道沿いにドラム缶が置いてあるのですぐわかります。ここの温泉は地元の人たちが維持管理していて、一種の交流の場のような銭湯みたいなところ。脱衣所は男女別々にありますが、浴場は繋がってます(笑)。一応浴槽は2つあるんですけど、半混浴ってとこでしょうか。観光客はほとんど来ません。私達がいったら地元のおじさんが2人入ってました。
 ここのお湯は白く濁ってて温泉らしくっていい感じなんですけど、居合わせたおじさんは『自分たちの温泉』って意識が強いのか、たまたま機嫌が悪かったのか、私達の会話の揚げ足をとって文句を言い出しました。偉そうにお説教です。曰く、「お前達は勝手に来て風呂入るだけだが、俺達は交代でここを掃除してるんだぞ」みたいな。挙句に「近頃の若い奴は云々」などと言い出す始末。黙って聞きましたけど、ヤな感じです。反論してやろうかと思ったんですが、話がややこしくなるので止めました。偏屈親父はどこにでもいるもんですね、全く。気分を害したので早々に立ち去りました。
陸橋跡  余談ですが、この温泉の近くに旧国鉄の陸橋跡が残ってます。知る人ぞ知る話なんですが、この橋は戦争中、強制連行された朝鮮人や中国人、そして囚人の人達によって建築されたものです。しかも信じられないことですが、橋を強固にするため『人柱』といって生きたまま埋められたそうです。結局ろくに使われること無く、現在は付近に陸橋跡が転々と残っているのみ。国道をまたぐ部分は、危険との理由で撤去されてしまってます。当然ガイドブックなどには記載されてなく、現地でも簡単な看板が1枚立ってるだけです。もしこの近辺に行く機会があれば、昔の日本の愚行を知るためにも一度立ち寄ってみてください。多分どのような教材よりも重みのある建築物の1つだと私は思いますが。

 気を取り直して再出発。今度は川北温泉へ向かいます。R244をさらに標津方面に20kmほど走ると右側に看板があるので、そこを入って約5kmのダートを進むと到着。比較的フラットなダートですけど、今日の雨で一部川と化したようなとこもあったので、オンロードバイクではちょっと根性がいるかな。個人的には、ここにはZZRではよう来んと思いましたが(笑)。

川北温泉前   白濁色のお湯 いい湯加減です
 ここの温泉は昔旅館だったそうで、土砂崩れで建物が壊れ、その風呂場だけが残ってるというもの。やはり地元の方々が維持管理してます。汚さないように入りましょう。一応脱衣所は男女別、風呂場も男女別ですけど、真ん中の敷居は立つと丸見え(笑)。見えないようにというより、ただ区切ってるだけ。ほとんど混浴と言っていいでしょう。まあ露天風呂ですから、この方が開放感あっていいんですけどね(男としては^o^)。おもしろいことに、ここは男女湯で泉質が違うそうです。変わった温泉ですね。
 次はちょっと開陽台に寄ってみることにしました。このダートを通って開陽側へ抜けれるんですが、今日はかなりの悪路が予想されるので来た道戻って一度国道へ。しっかりと舗装された道道通っていきました。着いたらばもの凄い風。横殴りに雨があたるので、結局展望台は諦めて中標津へ昼飯食いに向かいます。行ったのは『中標津すしロード』。期待していったんですけど、別に大したことありませんでした。店内の壁にいっぱいライダーの写真貼ってあるので、寿司食うよりもそっち見るのに一生懸命。みんないろんなバイクに乗って来てます。私もバイクで来りゃ写真撮ってもらえたかな。ちと残念。

雨中のからまつの湯  食後はからまつの湯へ。天気が悪いせいか、今日はまだ誰も来てない様子。貸切だーって勢いよく入ろうとしたら、熱いの何のって。ここの湯こんなに熱かったっけ。確かに横の源泉はいつも煮たってましたが。川の中にある水のコックを全開にして、さらに川との敷居の石も除いて薄めます。そういや隣の川はチョロチョロ流れてる小川のイメージだったんだけど、ここ数日の雨のせいで激流と化してますねえ。川から泥が流れ込んでくるので、石は元通りしっかりと直しときました。もちろん上がる時には水のコックも戻しましたよ。
 お次はちょっと離れて相泊温泉へ。私は昨日入ったばかりなんだけど、仁くんが行ったことないというので案内します。ここは熱いよーって脅していったんですけど、入ったら今日は適温。なんで?よく見たら昨日なかった水の蛇口に取っ手がついてる。誰が持って来たんだ?というか誰が持っていってたんだ?(笑)。まあ苦労なく入れたから良しとしましょう。ちなみに今日は国後島は見えませんでした。
 セセキ温泉は海没してたのでパス。仕方ないですね、海の中にあるんだから。ワタシャ昨日入ったからいいんですけど、仁くんは残念そうでした。帰りに光苔洞窟に寄ったけど、なんだかよくわからず。行った時間帯が悪かったのかな。それともこんなもんなんですかね。
 5つ目の温泉は熊の湯。夕方だったので、地元の漁師さん達で大混雑。当然熱いんだけど、この状況では水を入れようとしたら殺される(笑)。グッと我慢して浸かってたら、おじさんが「そんな熱いとこ入らんと、もっとこっち(ヌルい方)へ入りな」と教えてくれました。なんだ、やっぱり地元の人も熱いと思ってるんでしょ?だったらもっと適温にしようよぉ(笑)。全く頑固な人達なんだから。
 さて、もう5時前となったのでこれでオーラス。あと2つ入る予定だったんだけど、暗くなってくるといろいろと危ないですしね。宿に戻って、新しいメンバー加えてまた『一休屋』へ。夕食後再び宿に戻ったら、早々に明日のボートの中止が決定してました。一向に天気の回復する兆しがないようです。可哀想なのは仁くん。彼には明日がラストチャンスだったのに。諦めて午前中こっちで遊んだ後、池田方面へ戻るとのこと。明日午前中、五湖の散策へ行こうと誘われたので、今日到着した東京の司書くん(本名は忘れちゃった。ゴメン!)と付き合うことにしました。それにしても今年の道東の天気はどうなってるんでしょうねえ。

8月31日(月)
 今日も朝から雨がシトシト。宿で傘を借りてから仁くんの車に乗りこみ、知床五湖へ出発。私も五湖へ行くのはこれが初めて。昨年まで二湖に若熊が住みついて、それより先立入禁止になってたもんで行く機会がなかった。んで今年はいないらしい。
この通り な〜んも見えません(笑)  駐車場に着いたらば、まずレストハウスでガイドマップを購入。熊除けの鈴は、司書くんが代表してレンタルしてくれたので、熊対策は彼にまかせて早速一湖へ。途中何人もの観光客とすれ違いました。多くの人は一湖までで引き返してくるみたいです。観光の仕方は人それぞれとはいえ、せっかくここまで来ていてそれだけとはもったいないですよ。地元戻ったら、一湖だけ見て知床五湖へ行ってきたなんてスカシこくのかなあ。まあこれ以上言うまい。人の事ですからね。
 一湖には10分ほどで到着。ガスってて何も見えません(笑)。確かにこれではここから帰りたくなるのもわかる気がします。けれど目に見える景色だけが全てではないハズ。もしかしたら自分なりのちょっとした発見もできるかもしれない。偉そうな事言って実は時間持て余してるだけだったりして(笑)。
 諦めて二湖へ進みます。これも約10分くらい。やはり何も見えません。かすかに中央にある島に樹が生えてることがわかるくらい。う〜ん、これはどうしようもないな。先へ進みましょう。三湖までは少し離れて15分ほど。さすがにここまで来ると他の観光客の姿が見えません。天気が悪いせいか、鳥の気配さえ感じませんね。全員心なしか話す声がデカい(笑)。特に司書くんはスネオのように臆病なようで、会話がとぎれると、突然「ワァ!」と大声出します(爆)。私は君の方が怖いよ(笑)。まあ気持ちはわかります。私もこの静けさは気味悪いです。ここは一つ、みんなをリラックスさせるためにも関西人として笑いを提供しなければ!・・・残念ながら滑り倒しました(爆)。
 三湖へ到着。状況には全く変化なしです。今日はもう駄目みたいですね。この後四湖まで約10分、五湖5分、そして駐車場まで約10分と歩きましたが、熊どころか虫一匹さえ見かけませんでした。これは来年以降に宿題を積み残しですね。でもこれはこれでおもしろかったです。“歩く”ということは楽しいことだ、と一つ発見しました。私にとっては大きな収穫でした。
 おもしろいといえば、私が変なの、と思ったのが一点。それは三湖の畔りにある『ヒグマのツメ跡』。これって変だと思いません?だってここはヒグマの巣みたいなもんでしょう。ヒグマのいるところに人間が入りこんでるんですよ。古代生息してた動物の名残ならいざしらず、現に今もいるんですよ、もしかしたらすぐ近くに。こういう掲示してるところが、いかにも観光客相手というか。これ見てへえーなんて感心してる最中に、本物が後ろに立ってるかもしれないんですぜ?確かに「これがそうです」と言われなければわかりずらいかもしれませんけど、逆にわからないような奴は食われるだけですよ。リスクなく、簡単に観れる手のつけられてない自然なんてありゃあしませんよ特にバス乗ってやってくる団体客にこの辺の感覚がないのが気に入らなくって。おっと、この文句は止めとこうって言ったんだっけ。どうも私は文句が多くていけませんね(笑)。

岩尾別温泉 三段の湯  五湖を後にして、次は昨日行きそびれた岩尾別温泉へ。ホテル地の涯の駐車場の、脇の斜面に三段になった湯船がありました。おお、なかなかワイルドぢゃありませんか。早速入りましょう。三段中、一番上の湯船がもっとも熱く、下へ行くにつれてヌルくなります。近くには川の流れも聞こえてとってもいい雰囲気。簡単に行けてわかりやすい場所なのでお勧めです。ただし、ここには脱衣所の類は一切ありませーん。私たちゃ男同士ですんで、気にせずそこら辺でフルチンへ変身(変態とも言う)しましたが。女性の方は勇気の決断を!(^o^)
 ここにはもう一つ、奥へ進んだところに滝見の湯という温泉がありますが、三段の湯でゆっくりしすぎたため、仁くんの出発の時間がせまってきたのでパス。楽しみは来年以降にとっときましょう。仁くんはここから直接池田方面へ向かうので、私は国道沿いの自然センターで降ろしてもらい、そこでお別れ。世話になったね、いろいろ楽しかったよ。またいつか、どっかで会えることを楽しみにしてるよ!ありがとう、元気でね!
 さて、司書くんは羅臼に行きたいとのことで一緒に乗っていったので、私は1人になった。さあ、今から何すっかなあ。時間は腐るほどあるので、天気が悪いのを承知で乙女の涙まで歩いてみることにします。案内表示に沿って奥へ奥へ。私以外の人は全く歩いてません。心細いなあ。でもそのうち植物をコレなんだろうって見たり、鹿の足跡見つけてちょっとたどったりして遊んでるうちに、怖いこと忘れちゃいました。乙女の涙は案の定ガスってて見えませんでしたけど、滝の音と鳥の鳴き声しか聞こえない、幻想的な世界の中にたった1人でいることに悦になっちゃって、30分くらいかな、1人でボーっと。こういうのもたまにはいいもんですね。

 いい加減体が冷えて寒くなったのでセンターへ戻ります。腹が減ったのでレストランで飯(鹿刺し、残酷!:笑)食って、後はセンター内をウロチョロ。なんか知床シアターみたいなのがありますね。せっかく現地まで来てるのに、何でこんなもの観る奴がいるんだろ。アホちゃうか(笑)。
 結局観るべきものがないんで、町まで戻ることにします。バスの時間を確認したら、結構間がある。いいや、歩いて帰ろう!峠道をウトロに向かって歩き出しました。歩いていると、今まで気付かなかったこともよくわかるんですねえ。バイクや車で移動してるとわからなかったようなことが、いろいろと発見できます。ちょっとしたものを見つけるのが楽しくて楽しくて。例えば、林の中からガサッって音がしたので、注意深く観察すると牡鹿がいたりとか。鹿って警戒するとずっと見つめてくるので、30分くらい睨めっこしてましたよ(笑)。他にも道端の小さな花を見つけたり、小動物の死骸見つけて、こんな生き物も住んでるんだと感心したり。そうそう、鹿の鳴き声も初めて聞きました。鹿ってあんな甲高い声で鳴くんですね。
プユニ岬からの景色  途中、プユニ岬近くで小休止。1人でボーっと景色を眺めてたら、なんか自然に涙が流れてきました。天気悪くて、特にどうってことない眺めだったんですけど、なんか感激しちゃって。北海道に来て、こんなにゆったりとした時間の中に身を置いたのは初めての経験。偉そうにツアー客馬鹿にしといて、実は自分も急ぎすぎた時間の中でもがいていたことに気付きました。こういうのを本当の旅っていうんだろうか。天候が悪いことで初めて気付いたことに複雑になりつつも、自分の価値観を見つめ直す良いきっかけとなったことは確かです。これはツーリングみたいな浮ついたものぢゃなく、一度本腰を入れて知床の魅力を感じとってみる必要があるな。今度は羅臼岳にも登ってみよう。まだ旅の途中なのに、来年の北海道のテーマが1つできあがってしまったようです。雨ってのも悪くないもんですね。

 宿に帰る途中に自然村キャンプ場に寄って一っ風呂。ここの風呂は金がいりますが、広くて綺麗でいい感じです。宿に戻ったらば今日到着のメンバーと一緒にまたまた『一休屋』へ。店に入るなり、「今日も来ると思ってたよ」っておばちゃんが。どうやら顔を覚えてもらったみたいですね。ちょっとだけサービスしてくれました。いやあ、毎日通うもんです。飲みながら話してると、司書くんが羅臼からの帰りに自然センターに寄った時、近くにいた家族連れのお母さんが、「今、国道を熊が横切った!み、見ました?!」とかなり興奮して話してたそうです。時間を聞いたら、私が1人で歩いて降りていた30分ほど後。ごわわ、やっぱいるんですねえ、当たり前だけど。私は会わなくて良かったあ。危険と隣り合わせの場所にいると再確認。ベテラン気取りで調子のって歩き回らないよう、今後も気をつけなければ。
 宿に戻って明日の予定を確認。当然ボートのことですよ。予報では、雨はなんとか上がりそう。でも波が高いらしく、現時点では五分五分ってところ。何とか良くなってくれないかな。そうそう、今日到着したライダー君を新たに口説き落として、連泊させてボートに参加させることに成功しました(笑)。私ってナンパ上手ね(爆)。それにしても今日は充実した1日だったなあ。これで明日ボート乗れたら、今回の旅はいうことないんですけどね。

 

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