9月1日(火)
翌日、上陸6日目。予想通りというか、波が高いためにボートは中止。これで3日連続ですよ、何となくイヤになってきますね。聞いてみると今年の北海道は天候不順で、ほとんど出航できてないらしい。それなりに楽しんでるとはいえ、どうもタイミング悪い時に来てしまったみたいです。私に残されたチャンスはあと1日のみ。はたして天気は回復してくれるんだろうか。
またまた予定に穴が空いてしまったので、今日は久々にバイクに乗ることにしました。天気が悪かったとはいえ、2日間もほったらかし。このままでは自分がツーリングに来ていることさえ忘れてしまう(笑)。駐車場に行ったら、ZZRは寂しそうに私が来るのを待ってました。おおお、ゴメンよぉ〜、お前を忘れてたワケぢゃないんだよぉ〜。ただお父さんは少し用事があって、ほんの2日だけ留守だったんだよぉ〜(スリスリ)。こんないけない私を許してね(笑)。
始動前に点検したら、ドライブスプロケが錆び錆び。2日間雨に打たれっぱなしだったのと、潮風にやられたみたい。携帯用カバーぐらい持ってきたらよかったな。タオルでゴシゴシこすって表面の赤茶けた部分を落とし、チェーンに油さしてエンジン始動!ホッ、かかったあ。まずは一安心。暖機しながらマップを見て、どこへ行こうか思案。うーん、この空の按配だといつ雨が降ってくるかわかんないなあ。山へ向かうと降ってるだろうってことで、海沿いにサロマ湖まで行くことに決めました。距離的にも日帰りには十分でしょう。いつ降り出してきても大丈夫なよう、予めカッパ着こんでおきました。
R334〜244〜238を通って一気にサロマ湖へ。この道は前回通ってるとこだし、今日は天気悪くて景色良くないし、ましてや季節が違うのでお花畑もないしってことで、個人的に観るべきものなくただただ移動。久々のバイクだというのに、なんか気持ちがのってきませんね。頭がツーリングモードに切り替わらない。これは自分でも予想外の出来事。気持ちを入れかえるためにも、なんか観光せにゃーと思いながらも止まるのがめんどクサい。唯一能取湖の畔りが薄っすらと赤くなってるのを見つけたので、サンゴ草が咲いてるのかなーと岸を歩いて行こうとしたら、足元がズブズブ〜。アカン、止〜めた。結局直接ワッカ原生花園へ。途中サロマ湖直前の道道にダンプカーが砂をブチまけてて、泥の洗礼をしこたま受けてしまいました。全く何してんだよー、余計にテンション下がるぢゃないかあ(笑)。
駐車場にバイク止めてネイチャーセンターへ。こんな時期だから当然花は咲いてないし、観光客もほとんどいません。おまけに寒い!一度センターの中に入ったら、もう外へ出るのがイヤなくらい。とりあえず宿で作ってもらったおにぎり弁当食います。綺麗な景色の中で食べればおいしいと思っていたんだけどなー。いや、天気が悪いのは初めからわかっていたハズ。私は一体何しにここへ来たんだろう(笑)。クソ、おもしろくないぞ!完全に目的を見失ちゃってますね。何する訳でもなく1時間ほどダラダラ。
じっとしてても仕方ないのでいろいろと考え、寒いことを理由に温泉に行くことにし、マップを見て近場を探します。ホテル緑館が日帰り入浴できるみたいだ。金がかかるけど、この際そんなこと言ってられない。途中に船長の家前の蟹市場で蟹買って、宅急便の手配をしてからホテルへ。汚らしいライダーには全くそぐわない、とても綺麗なホテルです(笑)。場違いだなあと思いつつも風呂場へ移動。脱衣所も広くて綺麗ですねえ。気が引けます(笑)。先客さんは2人だけ。その人達もすぐ上がっちゃったのですぐ私1人となりました。うーん、落ち着かん(笑)。せめてせまい湯船へってことで外の露天風呂にいってジックリつかってました。ここの露天風呂はいいですよ、真正面がサロマ湖で景色が絶品です。ただし入浴料が高いのが難点ですかね。
風呂から上がるとまたやることがない。もういいや、帰ろう。来た道を通ってウトロまで引き返します。宿に戻って、昨日口説いて連泊させたライダー君にどこ行ってたか聞いたら、同じくサロマ湖まで行ってたとのこと。北勝水産の100円のホタテがうまかったと満足そうでした。ふーん、楽しかったのか。それに比べて私のこのテンションの下がり様はどうだ?それもこれも、最大の目的であったネイチャーウオッチングボートに乗れてないからだろう。天気予報を見れば、明日の海の状態も芳しくなさそうな感じ。今日のようなおもしろくない1日をすごすならば、これ以上ここにいても意味がない。今日から宿で夕食があるから食事をとった後、2階へ上がる時に「明日駄目なら、もう帰るかもしれない」とボソッと奥さんにつぶやいた・・・。
9月2日(水)
昨晩、よく眠れず。そんなに悩んだのかって?それもあるけど、主原因は昨日到着した同部屋の奴のイビキが凄くて眠れなかった(笑)。こいつには昨晩からちょっとムカついていた。話し掛けても会話をしようとしない。他人との接触を拒否してるような感じ。2人連れで、もう1人の方はマップを見て、目を輝かせながらいろいろと計画していたけど、こいつは明日自分がどこへ行くのかさえ知らない。ただ「ついてきた」って言うのだ。何が楽しいのだ?何故お前はここにいるのだ?他人との接触が嫌ならこんな宿に泊るんぢゃない!ああ、朝から何を怒ってんだ、私は。それに自分だって何が楽しいか、何故ここにいるのかわからなくなってるんぢゃないのか?ちょっと精神的にまいってきてるみたいだな。
朝食後、今日のボートの中止が決まった。奥さんも気を使ってくれて、何とか出航の方で調整しようとしてくれたみたいだけど、やっぱり天気には逆らえない。これで最大の目的がそっくり宿題として残ることが決定してしまった。宿泊予約は今晩までだけど、今日居ても昨日と同じで楽しくないだろう。それに、明日ボートが出航なんかされたりしたら、悔しくって帰れたもんぢゃない。「どうします?」奥さんが心配して私に聞いてきた。「ちょっと考えます」。
悩んでいるうちに、おかしな2人組は去り、そして誘って連泊させたライダー君も次の目的地を求めて旅立っていった。私はただ1人部屋に残り、今回の旅のことについていろいろと考えていた。確かに最大の目的は果たせなかった。けれど、他にも自分なりの発見があったぢゃないか。知床の本当の魅力を知るきっかけを作れたぢゃないか。それだけでも、今回来た意味は十分にあるはずだ。むしろ順調に予定をこなしていれば、私は本当の知床を知ることもなく、この地を二度と訪れなくなったかもしれない・・・。「今回は、帰ろう」。そうさ、また来年くればいいんだ。何も無駄だの何だの考える必要なんてない。これはこれで良かったんだ。そう考えると、不思議なほど気持ちがスッキリした。
1階に下り、明るく「帰ります!」と告げる。「そうですか。残念ですね」。いえ、そうでもないですよ。たった今、今回来てほんとに良かったと確信できましたから!2階に上がって荷物をまとめる。来年必ずここへ来よう。私の頭の中は完全に知床とツーリングが分離してしまいました。来年はもうちょっとだけヘビーに突っ込んでみよう。そして来年もダメなら、また次来ればいい。私の心は来年に向け、もうウキウキしてました。
宿にお礼を言って出発。目指すは小樽です。ルートは基本的に2年前と同じ。R334で美幌へ抜け、あとはR39で旭川まで一直線。今回はパンクもしてないことだし、何の気がねなく走れます。実際、ただ移動してるだけなのに楽しい。この気持ちの変わり様!私は単純ですね〜。
順調に走って、道の駅おんねゆで昼飯休憩。メシ食ってたら、少しづつ太陽も姿を見せ始めました。おお、太陽だよ。一体何日振りかなあ。もしかして今回上陸初なんぢゃないの?あまりの事実に思わず笑ってしまう。こういう旅もまた楽し。すっかり心のゆとりを取り戻したって感じですね。
石北峠を越えて層雲峡の辺に着いた頃には快晴になって、抜けるような青い空が広がりました。思わず空をパチリ。だって嬉しかったんだもん(笑)。そういや層雲峡には有名な滝があったっけ。前回はこの辺通った時は観光どころぢゃなかったもんな。では早速見学といきましょう!駐車場に着いたらば、もう3時を回ってるというのに結構観光客がいました。さすがは有名どころですね。んで、滝はどこかな〜っと。駐車場内を歩くと、そこからもう見えてました。なるほど、雄大な滝ですねえ。
9月3日(木)〜4日(金)
朝6時すぎに起床。ふぁ〜、よく眠れた。朝風呂入って身支度してから、ターミナル近所のコンビニ行って朝飯。結構ライダーさんがいて同じように朝飯食ってます。みなさん多分同じ船乗るんですかねえ。8時半にはターミナルへ移動して、既に集まってるライダーさんとお話。小樽の朝のいつもの光景ってとこですか。
フェリーは予定通り出航して一路舞鶴へ。昨晩よく寝て眠れないので、デッキで寝そべって甲羅干し。また天気いいんですよ、これが(笑)。人が帰る時になって、いったいどういうことなんでしょうね(笑)。こうやって1日中、ベンチに横たわってビール片手に海を眺めながら、結構真剣に知床へ移住することを考えてました。ただやっぱり、勇気がないんですよねえ。就職して10年以上たち、それなりに収入もあるし生活も安定してる。移住する前に、何やって食っていくかってことが不安なんですよ。人間小さくまとまりすぎると何にもできなくなってしまいますね。そんな風に生きてきたつもりぢゃなかったんだけど。ちょっと自己嫌悪。