北海道ツーリング(道央・道東編)

美瑛の丘にて
’95・7・6(木)〜7・16(日)

 約6年ぶりのツーリング。この前年秋にバイク乗りに復活し、またこの春に幸か不幸か独身の身に舞い戻った私は、人生再出発にあたっていろいろ想うところがあった。折りしも神戸は震災直後で、仕事の方も開店休業状態。こんな時こそ、長年の夢であった北海道へ行ってみようぢゃないか。とはいえ北海道も広い、どこへ行こうか。いや、せっかく1人で行くんだ、気の向くまま走ってみるのもいいかもしれない。善は急げ、早速準備にとりかかり、バイクの整備を念入りに行った。
 当初の出発予定日は7月4日(火)。バイクに荷物を積んで出勤し、終業を待つ。本来ならウキウキ状態のはずなんだけど、ここでトラブルが発生。ドレンボルトからのオイル漏れが止まらない。実は念入りに行ったハズの整備のとき、ドレンボルトをねじ切っちゃってたのだ(馬鹿)。何とか応急処置ができないものかと、途中バイク屋に寄って相談してみたが、オイルパンを交換しないとどうにもならないとのこと。あ〜あ、やっちゃったよ、はじめから(笑)。仕方がない、仕切り直しだ。とりあえずオイルパンは木曜日に納品されるらしいので、その日は荷物を積んだままの状態でバイクを預けて家に帰った。あな情けなや(笑)。こんなことでは先が思いやられるなあ。

7月6日(木)〜7日(金)
 さてその2日後、今度こそ出発だ。火曜日は雨振ってたんだけど、今日はいい天気。この方が良かったんぢゃない(笑)。仕事もお昼から休みを頂いてバイク屋へ。よしよし、直ってるな。まだ陽も高いので、下道で舞鶴まで出発、R175をひたすら北上する。途中コンビニで晩飯食って、9時頃港へ到着。だいぶ早く着いちゃったな。フェリーを予約してたので、予約番号を告げ乗船手続き。なんかガラガラみたいな感じだな。別に予約とらなくてもよかったか。乗船時間までやることがないし、もうバイクのところに行っとこう。なんだ、結構みんなもう並んでるぢゃん。
 同じように乗船タラップの前に並んでると、前後のライダーさんが話し掛けてきた。2人共1人旅で、当然のごとく2等室。奇遇ですねえ、では一緒に長い船旅を過ごしましょうか。ワイワイ話してるうちに、乗船手続きが始まった。さあ、いよいよだ。このワクワクする感覚は久しぶりだな。モギリのおっちゃんにチケットを渡し、長いフェリーへのタラップを登る。オール鉄製でちょっと怖かったけど、無事乗船。さっきのお2人と誘い合って2等室へ。ほんとガラガラ状態で、3人で1つの島を占領できてしまった。とりあえずすぐ風呂入って、ビール飲みながら遅くまで雑談。私は1人旅初めてなので、知らないライダーとこうやって話するのが新鮮。なんか楽しいですねえ、これから1人旅が病み付きになりそうな予感です(^o^)。
 次の日、今日は1日中船の中だ。聞いてはいたんだけど、本当に退屈だ、やることがない。何もしないから腹も減らない。うーん、困ったなあ。もともと落ち着きのない子どもなもんで、やることがないってのは苦痛でしょうがない(笑)。仕方ないから寝る、そしたら夜眠れなくなった。すげー悪循環だ、明日朝早いってのに。まあいいか、そんなことよりも天気の方が心配です。明日絶対晴れますように!

7月8日(土)
初めて北の大地に降り立つ!(笑)  上陸当日。朝3時に放送でたたき起こされた。う〜眠い。目をこすりながら、とりあえず天気の確認にデッキに上がる。星が見えてる、やった晴れだ!一気に目がさめて大急ぎで荷物をまとめる。
 フェリーは予定通り4時に小樽に到着。バイクに荷物くくりつけて下船。やっと来たぞ憧れの北海道に!時期が早いからか朝早いからなのか、メチャ寒だ。寒さ対策をちょっとナメてたかな。とりあえずご一緒した2人のライダーさんに別れをつげる。またどこかで会いましょう。2人はそれぞれ別々の方向へ旅立っていった。さあ私も出発するか!まずどこへ行こう、手始めに美瑛にでも行ってみるか。てっとり早く高速にのって旭川まで大移動だ。自然と胸が高鳴る。「俺は北海道にやって来たんだあぁぁぁ〜!!」とメットの中で絶叫しまくる(爆)。ついに北海道に来たという異常な興奮と、寒さまぎらしついでで頭の中は既にドーピング状態(笑)。小一時間1人で騒ぎまくってた。近所迷惑な野郎だ(笑)。まあ高速道路ですし、害はなかったでしょう。
 そのままの勢いでドンドン進んでいくうち、今度は腹痛くなってきた。あまりに寒すぎて腹が冷えたようで、たまらず岩見沢SAでストップ。キメたぜ、北海道初ウンコ(爆)。その後も茶志内PA、砂川ハイウェイオアシスと、パーキングがある度にストップして要を足す。これで俺のマーキングも完璧だな(笑)。こんなことしてるうちに結構時間たってしまった。

美瑛の丘  旭川鷹栖で高速を降り、足早に旭川の街を抜けてR237へ。まだ朝8時すぎです。そこから10分ちょっとでもう美瑛に着いてしまった。どっかいい景色はないかなーとグルっと回る。別に無理して探さなくても、どこものどかな景色でいっぱい。幾何学模様の丘が向こうまでズーッと続いてる。適当なところでバイクを止め、新鮮な空気を満喫。うーん、気持ちいい!気に入っちゃって長時間ボケボケっと。いやあ、平和ですねえ。マイルドセブンの丘にも行こうと思ってたけど、ここで十分満足できました。おっと、ここでも忘れずマーキング(笑)
 さて、お次は富良野へ。R237へ戻って少し進むと、あっという間に富良野です。まずは有名なファーム富田へ。ここは観光客がいっぱいです。それに思ってたほどたいしたことはない。もともと花を愛でる気持ちが無いのか?(笑)。すぐに飽きてしまって先へ進む。今度は麗郷の森にでも行ってみようか。別に『北の国から』に想い入れはないけど、どんなとこだか見といても悪くないだろう。一旦富良野の町を通り過ぎて麗郷の森へ。そしたらこっちも観光バスだらけ。うっとうしいなあ、もう。ここも長居は無用だ、一通り回ってサッサと退散。

富良野のラベンダー畑  五郎の家の前にて

『北の国から』舞台の小学校  なんか他に見るとこないのかなーとガイドを眺めると、近所に『北の国から』撮影に使われた小学校があるらしい。おっ、こっちの方が良さそうだな、と早速向かう。想い入れがないと言っておきながら、いつのまにか「ラ〜ラ〜、ラララララ〜」と鼻歌を歌う(笑)。深緑の中を通り抜け、すっかり上機嫌。調子に乗って走ってたら、『この先ダート』の標識が。「ヘ?」と思ったのも束の間、そこからダートだった(笑)
 「みぎゃあぁぁぁ〜!!!
。100km/h近いスピードで砂利道につっこんだもんだから一気にパニック。オフ車ならまだしも、オンロード車でこのスピードは自殺行為だ。とっさにブレーキをかけようとしたが、かえって転倒すると感じ、エンジンブレーキで必死にスピードを落とす。幸運なことにここは長い下り直線だった。やっと30km/h程度まで落ちたときに道が曲がりだす。ホッ、助かった〜。すぐにカーブでもあったりしたら、確実に空を飛んでたな。ちなみに横は崖だった(汗)。くわばらくわばら。
 慎重に砂利区間を通り抜けて目的の小学校へ。この学校は既に廃校になってて、地元の公民館になってた。建物前に選挙ポスターなんかが貼ってある。なんか感じ悪いなあ(笑)。もういいや、と今度は腹ごしらえの計画。ガイドによればうまいラーメン屋があるらしい。んじゃそこ行くか、とまた富良野の町へ逆戻り。お目当ては『三日月食堂』。オーソドックスに醤油ラーメン注文して、さてさてお味の方は。エッ、これうまいかあ?普通ぢゃん。どうやら私好みではなかったようで(^^;。

 腹ごしらえも終わったことだし、ボチボチ先へ進むか。今度はどこ行こっかな、ナイタイ高原へでも行ってみるか。R38にのって新得方面へ向かう。しかし腹ごしらえが利いたのか、走り出してすぐにウトウト。ふぁあ〜眠い。すでにこの時点で上陸から9時間以上たってたし、昨日の寝不足も影響してたんでしょう。トローンとした状態で漠然と走ってたら、道の真ん中にオッサンが立ってる。なんだこのオッサン、死にたいのか?よし、お望みをかなえてあげようぢゃないの、とそのまま直進。そしたら、さらにそのオッサンは行く手を遮るように前に出てきた。うわ、マジか?!と反対車線まで避けて急ブレーキ。この野郎、と振り返ったらそのオッサンは工事現場の交通整理の人だった(笑)。気付けば私は工事現場のド真ん中に止まってる(爆)。死ぬ気なのは俺の方だったか(汗)。幸い対向車は無かった。全く、俺ってヤツは(笑)。
ナイタイ高原にて  この一件ですっかり目が覚めて、また通常通りに走り出す。新得から道道をショートカットして鹿追町へ、そこからR274、R241と経由して上士幌町へ到着。なんか人の気配がしない町だなあ。ていうか他のライダーも見かけないぞ。ま、いっか、と気にせずに牧場へ。
 残念ながらここへきて天気が曇りがちになって、牧場に着いたものの、せっかくの景色があまりよくない。とりあえずのんびり牛を見ながら、しばし休憩。どうやら今牧場に来てるのは私だけなようだ。どうして誰もいないんだ?ふと時計をみたら、午後5時前。ありゃりゃ、もう遅いから誰もいないのね。私もそろそろ今宵の宿を探さなければ。この辺泊まってもおもしろくなさそうなので、もうちょっと先へ進むことにした。

松山千春の家の前にて 髪の毛フサフサ(笑)  R241を通って足寄方面へ。町の中に入ったところで松山千春の看板を発見。そうか、ここに実家があるのか、話の種に見ていこう、と看板通りに道を進む。そこは静かな住宅街の一角。探すのに手間取るかと思えば、律儀にガレージ上に千春の看板出してた。しかも髪フサフサ状態のが(笑)。ここも他の観光客が見当たらない。とりあえず記録写真撮ってたら、家の中から千春の兄らしいオヤジが出てきた。この人は髪あるなあ、ヅラか?(笑)。そんなことはどうでもいいか、軽く会釈だけして再出発。この町も泊まるにはつまらなさそうだ。オンネトーの辺りまで行ってみよう、と東へ向かって突き進む。
 町を出る頃、だいぶ空も暗くなってきた。ふと考えてみれば同一方向へ走る車が見当たらないし、対向車もほとんど来ない。ちょっと心細くなったけど、逆にこんなところで止まるわけにもいかない。ハイペースで先を急ぐ。40km程走ったところで、オンネトーの看板が。
オンネトーと雌阿寒岳・雄阿寒岳  看板のとこから少し走っていくと、しばらくしてオンネトーに到着。時間はすでに7時を回ってる。もう陽も暮れて、人影も全然無い。薄っすらと明るい空の下、オンネトー越しに雌阿寒岳・雄阿寒岳が見える。なるほど、綺麗なところだ。気に入って今夜はここに泊まることにし、近くの青年の家へ。「すみません、今晩泊めて下さい」「今日はもういっぱいです」・・・ガーン。せっかくいいとこ見つけたと思ったのに。
 しょうがない、戻るのも嫌だし、阿寒湖まで行くか。時間が時間だけに急がなければ。もう辺りは真っ暗になってきて、自分のヘッドライトだけが頼りだ。うえーん、怖いよー!しばらく走ってたら、町の明かりらしい光が。ホッ、良かった。早速国道沿いに適当な宿を探す。うーん、どこも高そうだなーと選びながら走ってたら、町を出てしまった(笑)
 慌てて引き返し、今度は国道から外れて町中へ。ちょうど目の前に素泊まり3800円って書いてある民宿を発見。もうここでいいや、選んでなんかいられないってんで早速お願いする。いいよ、と2つ返事で泊めてもらうことになった。時間は8時半でした。いやー、一事はどうなることかと思ったよ。気がつけば上陸から16時間以上も走りまわってたのね。近所の食堂に遅い晩飯食いに行って、9時半には早々と就寝。傍のアイヌコタンの販売放送が気になって寝つきにくかったけど、知らないうちに眠りにつく。今日は疲れた。本日の走行距離、569.2km。

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