信州ツーリング

乗鞍スカイラインにて
’89・10・8(日)〜10・13(金)

 T中くんとの第3弾。今度はもうひとつのツーリングメッカ、信州だ。お互いバイクに乗るのにも慣れ、陸路で遠くに行きたかったとこなので、そういう意味でも信州は格好の目的地。それに私はこの時結婚することが決まってたので、おそらくバイクを手放すであろうことから、最後のツーリングという想い入れもあった。
 実はこのツーリングの1ヶ月前に事故に遭ってしまった私は、どうしてもコイツ(ZX−4)と行きたいという想いから、大至急で修理して間に合わせていた。ちなみに体の方は、打撲のほか右膝を10針縫う裂傷を負っていたんだけれど、ちゃんと抜糸してたっけ?(笑)。行く前からハプニング続きだったんだけど、本番ではもっと凄い事件が待ち構えていたことを、まだ2人は知る由もない(笑)。というわけで、波瀾含みのツーリングのはじまりぃ!

10月8日(日)
 出発の朝、空は真っ黒けだ。今にも雨が振ってきたっておかしくない。とりあえずカッパをすぐ出せるように備えて、いつもの集合場所、小野市の市場交差点へ向かう。そしたら、時間を過ぎてもT中が来ない。心配になって家まで走ってったら、まだ家にいた。なんでもカッパの準備をするのを忘れてたので、探していたとのこと。たるんでるぞお前、なんて言いながらも出発。
 とりあえず吉川ICから高速に乗り、舞鶴道で福知山の辺までいって(まだ舞鶴まで開通してなかった)、名も知らない県道(京都府道?)を北上する。そのうちにとうとう雨が降ってきた。しょうがないので屋根のあるところで止まり、カッパを着込む。そしたら、T中の様子がおかしい。どしたって聞いたら、何とカッパがないっていうのだ。そのまま玄関に置いてきてしまったらしい。戻ろうかどうしよっかって迷ったんだけど、街に出ればカッパ売ってるだろうから大丈夫、てことでそのまま前に進むことにした。
 私はなるべく早く街に着こうと思って、峠道をけっこうとばして走った。しかしこれがいけなかった。とある高速コーナーで、後ろから「ガシャン!」ていう音が聞こえたのでバックミラーを見たら、さっきまで一緒にいた、よく知ってる人がバイクと共にアスファルトの上を滑ってる。「ああ?!T中?!!!」。
 思いもよらなかったハプニングに私も動転し、彼の傍にいこうにもなかなかバイクをUターンできない。なんとか戻ったら、幸い彼もバイクもたいしたことないようだ。対向車がいなかったこと、そしてガードレールがなかったことなど運も良かった。ただ雨に気をとられて先を急いでいた自分に思いやりがなかったことを痛感する。スマン、T中。

九頭竜湖で休憩  彼のショックも大きかったようなので、その後はゆっくり進みながらなんとか敦賀に着く。予定は大幅にオーバーしている。こんなことなら家に戻ってあげればよかった、なんて考えても後の祭り。遅めの昼食をとってカッパを購入し、改めて先を急ぐ。福井まで北陸道で移動し、そこからまたR158へ降りて内陸へ。九頭竜湖の辺りで一旦雨があがったので、ちょっと休憩。そういえばここまで景色をみる余裕もなかったなあ。一息つくことができたのでT中もだいぶ落ち着いてきたようだ。さあ、時間もないしボチボチ行くか。
 白鳥からR156に入って白鳥街道を北上、一気に今晩の宿泊地、平瀬温泉を目指す。途中から雨がまた降ってきた。時間も遅くなってきてたので、前が見えにくい。迷わなければいいがと心配してたら、意外と宿はわかりやすいところにあって助かった。総檜造りの温泉が体に気持ちいい。この時T中のヌードを見て、腰のあたりに大きなスリキズを発見。だいぶ出血もしていたようだ。本人も全く気付いていなかったらしい。いい想い出になったぢゃないかとからかいながら、心の中で反省。風呂上りの後の晩飯はご馳走。囲炉裏で焼いた鮎の塩焼きと、ほう葉味噌がメッチャうまかった。たら腹食って布団にもぐりこむ。今日は早く寝よう。本日の移動距離、423.8km。

10月9日(月)
 翌日、天気は快晴。よかった、これで気持ちよく走れる。今日は特に今回のメインイベントの一つ、乗鞍スカイラインへ行くんだから、天気の良し悪しはかなり影響する。昨日のことも忘れ、ルンルン気分で出発!
 道を少し戻って御母衣湖の辺りからR158に乗りなおし、高山を抜けて一気に乗鞍へ。途中高山で渋滞に巻き込まれたが、大したことはなかった。何か祭りやってたみたい。高山祭りってこの時期だったのね、知らなかった。まあいいか、街には興味ないし。
スカイライン途中の景色  さて、平湯峠からいよいよスカイラインへ登りだす。上がっていくにつれ、景色がどんどん高くなってゆく。空気が薄くなったきたせいか、こころなしかエンジンの吹けも悪い。遠くには北アルプスの山並みが綺麗に見えている。雲の上を走ってる!?す、すばらしい!!こんな経験は初めてだ!天にも昇る気持ちとはこういうことを指すんでしょうか。自分は今、空を駆けぬけている、そう考えるだけで興奮しているのがわかる。道もよく整備されてて走りやすい。日本にもこういうところがあったのか。まさしく感動の連続で、あっという間に標高2707mの畳平へ。いやあ、気分爽快です!
 一番上の駐車場付近には雪がありました。何となくとんでもないところへバイクで来たんだと実感。有頂天の2人は、お互いバイクで走っているところの写真を取り合ったりして、長時間遊んでました。そういえばたくさんの人が頂上まで登山してたんですけど、私達は登らず。時間的には余裕があったんだけど、やっぱ軟弱者なんでしょうかねえ(笑)。

スカイラインを疾走(笑)     畳平駐車場にて うしろに雪があります

 しばらく遊んでから、もと来たスカイラインを降りて今夜の宿、平湯温泉へ。けっこう早い時間に到着しました。そしてお約束の温泉に。ここの温泉はまた格別。お勧めです。おいしく晩飯をいただいて、満足感に浸りながら眠りにつく。いい1日だった。本日の走行距離、138.7km。

10月10日(火)
T中のオンボロバイクを蹴飛ばすの図  3日目、またしても予想外の出来事が発生。この日のルートは、松本から高速を使って一気に富士山の辺まで移動することになっていた(残念ながら宿泊ポイントは忘れた)。天気も上々だし、いざ出発、て時に2人共のエンジンがかからない。ていうかセルが回らない。オイオイ、マジかよぉ!
 宿の人に連絡してもらって、下の町からはるばるバイク屋さんにきてもらった。まずバッテリー周りから点検。その過程で、私のバイクはただ単にカプラーがはずれてるのを発見した。ちゃんと繋ぎ直したら、元気よく始動。ホッ、まずは良かった。でもどうしてこんなとこはずれたんだろ。さて、問題はT中の方だ(またお前か:笑)。こっちは何をやってもウンともスンともいわない。どうやらジェネレーターがイッてしまったらしい。ということで、完全に走行不能となってしまった、ガチョーン。
 時間もお昼を過ぎ、このまま今日は連泊することに決定。幸い部屋は空いてた。とりあえず今日泊まるはずだった宿にキャンセルの電話をしてから、2人共暗い顔して今後のことを相談する。T中はここから帰るという。仕方がない。以降の予定は私一人で行くことになった。何をする気もおこらず、昼間からゴロゴロと部屋で寝る。はあー、なんてついてないんだ、今回のツーリングは。俺よりもT中の方がツライんだろうなあ。なんて声かけたらいいんだろ。
 と思ってたその時に、午前中きてもらったバイク屋から電話が。たまたま同系機種の廃車があったから、ジェネレーターを交換できそうだとのこと。やったラッキー!天は我らを見放さず。バイク屋に預けて、明日朝10時に持ってきてもらうことになった。これで一緒に走れるな、兄弟よ。気を取り直して明日の変更ルートを考える。この日の晩飯は、同情してくれた宿のはからいでちょっと豪勢だった。人生悪いこともあればいいこともある。あ〜した天気にな〜あれ!本日の走行距離0km。

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