信州ツーリング

10月11日(水)
 雨(笑)。そしてそれだけではない、もっとエライことが起こった。今日はまずR158を松本に抜けることになっていたのだが、未明から降り続けていた雨のせいで、なんと安房峠がドシャくずれで通行止め!復旧の見込み無し!なんたること!ここを東に抜けるにはこの道しかないというに。
 仕方なく、乗鞍スカイラインを越えてエコーラインを通っていくことにし、平湯峠に向かう。そしたらこっちは積雪2センチのため通行止め!解除の見込み無し!ぐわはあ!なんだってんだよぉ(水爆!!)
 残された道は高山まで引き返すしかない。そして高山から木曽街道R361を下り、途中から岐阜県と長野県の県境を越えていく県道、野麦峠越えしかルートが残されていない・・・行くしかない!ちなみにこの日は上田市・小諸市を経由して、軽井沢から鹿沢温泉(群馬県)まで向かうことになっていた。距離はたいしたこと無いのだが、マイナス方向へ進むということ、時間がたっていること、そして雨が降っていること、ヤル気をなくすには十分な材料だ(笑)。文句言っててもしょうがないので2人は腹を決めて走り出す。今日は観光どころではないな。

 R158を高山市まで引き返し、R361へ。そして高根村付近から、例の峠道へ入る。野麦街道という名がついているものの道は細く、しかもウネウネと曲がりくねっていた。雨のせいで余計に神経をすり減らす。ああ、苦痛だ(笑)。なんとか野麦峠についた頃にはお昼をまわっていた。とりあえず休憩所で昼飯をかっ食らう。地図を見て、「まだ平湯の下に来ただけなんだぜ」と話す。「ハハハ・・・」笑いが寒い(笑)。しばし2人共ボーッとした後、気を取り直して発進。
 休憩したこともあって峠下りは順調にこなす。とりあえず早くR158へ合流しなければ。20kmほど走って無事R158へ合流。そしたら、なんと渋滞してる。「???、何で?」待ってられないので、対向車がきれる毎に横を走ろうとするのだが、ひっきりなしにトラックが走ってきて思うように前へ進めない。俺たちゃ急いでるんだよぉ、通してくれよぉ!
 かなり長い時間つきあわされた後、やっと渋滞原因のところまで到着。土砂が片道ふさいでやがった!つまりなんだな、上高地にいた人たちは閉じ込められる寸前だったわけね(笑)。そこへ私達はワザワザ舞い戻ったと。なんだあ、ど〜りで・・・などと言ってる場合か!工事現場を通り過ぎたらダッシュ!結局、松本に着いたのは午後3時頃。あと何キロあるんだよ・・・。

 松本を通り過ぎてからR143、R254(三才山トンネル)、そして県道を経由して再びR143へ。やっと上田市だ。しかし2人共もう疲労困ぱい。誰もいないような自販機スタンドで休憩する。1日中雨に打たれっぱなしの為に体が冷え切ってしまってた。缶コーヒーをすすりながら、地図を見て残りのルートを確認。小諸市のところから真っ直ぐ上に鹿沢へ行く道があった。急坂急カーブとあるが、この際もうどうでもいい、早くあったかい風呂に入りたい。よし、行こう!
 R18を通って小諸市を目指す。あともう少しだ、がんばれ!小諸市はまだか!?と走ってるうちに、目に飛び込んできた標識は「軽井沢」。ありゃあ!?何ととっくに通り過ぎちまってるぢゃないか!!また地図をみて再度ルート確認。真上に鬼押ハイウェイがあるな、そこを途中までいって浅間広域農道を西へスライド移動しよう。モタモタしていられない、もう6時半を回ってるんだ!
 ハイウェイ入り口までR146を北上したのはいいが、峠登り道のところからものすごい霧!3m先も見えない。道がどっちに回ってるかさえわからない!え〜ん、恐いよぉ!車にクラクションならされっぱなしにされたが、かまうもんか。雨降ってようがシールド開けて必死に走る。ハイウェイに入ったら霧は無くなったので助かった。しかしまた問題だ。この辺ポツンポツンと別荘が建ってる位で何の目印もない。どこまでいったらいいかわからない。「仕方が無い、近所の人に聞こう」「どこの近所?」人の気配が全くどこにもない(笑)。気がつけば車も通らない。立ちすくむ2人の耳には無常な雨の音だけが聞こえる・・・。
 かれこれ15分ぐらい突っ立ったままだったろうか、やっと1台の車が。神さまあっ!!(by桑原和男)。強引にも2人は通せんぼして車を止め、道を聞いた(笑)。この際恥も外聞も無い(ごめんなさい:笑)。聞けば分岐点はすぐそこだった。無事農道にのり、後は宿の明かりを探すのみ。しばらく走ってたら、ありました、何にもないようなところに文明の光が!やった〜!!時間は確か7時半を回っていたか。宿の人に「もう来ないのかと思いましたよ」と言われてしまった。来ますとも、来れないことがあっても来ないことはないさ(宿にとっては同じことだが)。本日走行距離253.5km。

10月12日(木)
白樺平にて  翌日、天気は薄曇り。まあいいさ、雨が降らないにこしたことはない。本日の目標はビーナスライン。宿に別れを告げ、昨日通って来る予定だった地蔵峠を下ってまず小諸市へ。何の問題もなくR18へ抜ける。そうかあ、ここを曲がればよかったんだ、昨日(笑)。今さら気付いても遅いか。
 そのままR18を西に進み、少し行ったとこから旧巣栗林道へつながる県道へと入る。ここは間違わなかったぞ、どうだいっ(笑)。そのまま道なりに進んで武石村、そして観光センターのところから旧巣栗林道を登りだす。この道、車1台分ぐらいの幅でしかもヘアピンの連続。おまけに登っていくにつれて霧が出てきた。クラクション鳴らせの標識があれば、律儀にピッピー鳴らして進む。午前中だというのに何台かの車とすれ違った。
 そのうち登りが緩くなったなーと思ったら、辺りは白樺に包まれだした。霧も薄っすら張っていることもあって、なんか幻想的。ここが白樺平か。いい雰囲気なので、疲れてなかったけどちょっと休憩。いい景色なのはいいけれど、一緒にいるのが何でお前なんだよ(笑)。

 ここからは、美ヶ原はもう目前。またウネウネ道を進んで、すぐに美ヶ原に到着。まあ見学と行くか、とバイクを降りたはいいけれど、な〜んにもない。美術館があって、彫刻とか飾ってるんだけど、もとよりそんなものに興味はない。遊園地みたいなのがあったかもしれんが、行っても仕方ない。やることなくて30分ほどボーッとした後、もう行こうかと出発。ダメだねぇ、野蛮な男ってのは。でも、ここからが目的としていたビーナスラインなんだから、こっちの方が私達には大切なんだ。
 ということで、普通登ってやってくるビーナスラインを、私達は下りだした。しょうがないでしょ、反対から来たんだから。初めはウネウネ下りだったけど、そのうちなだらかな下りとなり、いつのまにか太陽も出てきてた。うーん、爽快!3日ぶりですねえ、この感じ。そのままの勢いで扉峠を過ぎ、あっと言う間に和田峠へ着いてしまった。ビーナスライン走行はここまで。こっからR142で下諏訪町へ移動しなければならない。なんかもの足りんなあ、でももう帰ることを考えないとイカンしな。ちょっと残念。

 下諏訪町でR20に合流後、北上して塩尻市からR19へ。今度は中仙道だ。交通量も少なく、淡々と進む。景色はさっきまでとは打って変わって山間の谷間を走る。何となく雰囲気も質素な感じ。うーん、地味だ(笑)。でもこれが普通なのかもしれない。
 途中、薮原に寄っておみやげの買い物をする。ここは「つげ櫛」の産地なんだそうだ。うろちょろしながら何か雰囲気が違うなあと思ってたら、この辺の家は瓦屋根ぢゃないことに気付いた。ほぼ全ての家が赤い色した板屋根だ。なるほど、ここはこういう文化が育ったのか。前言撤回、なかなかいい感じです。
寝覚の床をお散歩  さて、買い物も終わり、また木曽川沿いに中山道を下る。右手遠くに御岳山、左手には駒ケ岳が見える。人工の手が入っていない、朴訥とした風景の中を走りすぎていく。こういうのもありかもしれない、なんて考えているうちに本日のお宿、寝覚の床に到着。時間は4時半頃だったか、結構早く着いた。宿に荷物を置いて、寝覚の床をブラブラと散歩する。ここは浦島太郎の伝説の場所なんだそうだ。でも海なんか近所にないんだけどなあ(笑)。食事をして、ゆっくりと体を休める。今日は平和な1日だった。本日の走行距離、170.7km。

10月13日(金)
「是より北 木曽路」  翌日、いよいよ最終日だ。今日には家にたどり着かなければならない。ちょっと残念な気もするが、無事に家に着くことも立派な日程だ。天気も快晴、よし、行くか!
 今日の第一目的地は妻籠宿。昨日と同じように、木曽川沿いにR19をどんどん下る。吾妻橋からR256に乗りかえてすぐに着いた。まだ朝10時頃です、早いねえ。駐車場にバイクを止めて、中山道の宿場町を散策。町全体が観光地なんだけど、派手さは全然なし。生活の匂いもちゃんとしてます。いい田舎町って感じ。その割には人が多いのでアンバランス。ほとんどが観光客なんだよねえ、お前らどっか他に行くとこないのかよ、って俺達もか(笑)。
 さて、町を一通りぐるっと回り、名物の鯉岩なども見てから、今度は旧中山道を通って馬籠宿へ向かう。休日は歩行者天国になるらしいんだけど、今日は平日だからgood。雰囲気を楽しみながらゆっくりと走る。言われてみれば旧街道って感じがします。途中、馬籠峠のところに「是より北、木曽路」の碑が。もう行ってきたんですけどねえ(笑)。といいつつ記念写真をパチリ。

馬籠宿入り口にて  馬籠宿にはそれからすぐに着いた。こっちの町も車両厳禁だ。同じく駐車場にバイクを止め、町中を散策。馬籠は妻籠とは違って、なんか賑やかだ。完全に観光地化してしまってて、町の匂いがしない。なんかイヤだな、この雰囲気。近所なのにこんなにも違うもんなのか。
 ブツブツ文句言いながら歩いてると、やけにしんどい。と思ったらずっと坂を登ってた。フーフー息を切らしながらぐるっと一回り。なんか馴染めません、この町。宿場町という以外に、島崎藤村のゆかりの地でもあるらしい。それで観光地化にはしったか。正直言って妻籠の方が良かった

 さて、これで今ツーリングの観光全日程が終了した。あとは帰るのみ。ちょうどいい時間だったので、とりあえず観光地価格の昼食をとる。最後なんだからおいしいもの食いたかったなあ。
 食後ちょっと休憩して、いざ家路へ。R19へ戻り、中津川から中央自動車道へ。100km/hの一定ペースで高速を走る。この時、フロントまわりがブルブル震えるのを感じた。試しに両手離してみたら、右へ左へガタガタガタガタ!ひえー恐え!どうやら事故でフレームいってたみたいね。もう帰るだけなんだから分解なんてすんなよ。ついでに俺もがんばれ。
 その後、何の問題もなく名神へ合流、途中琵琶湖あたりで通り雨に降られたが、カッパ着てる最中にやんでしまった。順調に進んで吹田から今度は中国道へ。いよいよ帰ってきたか。
 名塩SAで休憩し、T中と今回のツーリングを語り合う。いろいろあったよな、今回は。お互い無事に戻って来れてなによりだ。この場で解散式となり、彼は吉川インタで降り、私は社から降りることにした。別れの挨拶、お互い親指を立てるポーズが気持ちいい。これが最後になるなんて残念だ。またいつか、一緒に行ければいいな、兄弟!そして最後までがんばってくれたZX−4、感謝!本日の走行距離、388km。

おわり

 


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