インハイで全国大会に出場するほどの強豪校は、大抵休日にも部活がある。 青学こと青春学園高等部男子テニス部もそうだった。 軽いウオーミングアップを済ませた手塚は、外野が変に騒がしいことに気が付いた。それは黄色いいつもの女子の 声ではなく、恐れるようにどよめく男子の声だったからだ。 「・・・?」 何だろうと振り返って外野の一角を見た手塚は、そこで息を呑んだ。 「手塚」 普段なら絶対聞くことのない声に、手塚の心臓(こどう)が速くなる。 本当なら「部外者は出て行け」と言うべきところ・・・。 「話がある。すまないが少し出てきてくれないか?」 「・・・」 二人見つめ合ったまま固まってしまったところに、助け船とばかりに不二が割って入ってきた。 「あれ?真田じゃない」 不二だけではない。 「もしかして青学の偵察?」 菊丸が真田に近寄って言う。 「違う。手塚に少し急用があって来た」 「急用?気になるな」 早速ノートを広げ始めた乾に、真田の眉が不機嫌そうに片方だけ上がった。 「乾。真田が迷惑そうだ」 「大石先輩の言うとおりっすよ」 大石の言葉に、海堂も賛同する。 「・・・真田さん、恐ぇ」 桃城がそっと呟いた。 「手塚」 「っ」 しびれを切らした真田の声に、手塚がらしくもなくビクッと反応する。 「ほんの少しでいい。今日でなければ来れないんだ」 「・・・・わかった」 |