「目ぇ醒ませ、このどあほうっ」
顎に食らわせようとした、振りの小さなルカワのアッパーは、その寸前でセンドウの手のひらに収められてしまった。
直栽な怒りを受け入れようともせずただ握りこんで、さらに不可思議な表情のまま、センドウは恭しく拳に唇を寄せる。このチグハグな行動。
そこに存在する情愛の現われなのか強引に強いるつもりなのか、直前で遮断された想いが憤り、血の気が昇ったルカワの表情に揺らめく怒気すら、
気にするふうはなかった。
そもそも、こと、ここに至るまでの間に、センドウの意図を探ろうと様子を伺っていたのがまずかった。タッパはあって
もこんな優男、簡単にぶん殴れるとタカを括っていた。モチロン誰かに押し倒されたことなんか初めてで、これほど
身動きが取れないとは思ってもみなかったのだ。
腐っても王騎士長だ。
肌蹴られたチュニックの裾から冷気が入り込んでくる。思わず首を竦めてしまうのはその冷たさと、センドウの手のひらの熱さと、
軌跡がもたらす懊悩と、ざわめく血流のたぎりと。それらに押しつぶされそうになってかぶりを振った。こんなもので、こんな状態で
取り込もうとするセンドウが許せない。わけを言えと叫ぶと、好きだからと返った。まるで条件反射のように、簡単に言葉に
するヤツも信じられない。
「おまえ、なんか、知らねぇっ」
吐き捨てると、わき腹を這っていた手の動きが止まった。ひとつ呼吸がつけたと思う間もなく、這い上がる指が右胸に
たどり着き、乳首を弾いて円を描く。驚いて目を瞬くと、恥ずかしげもなく冷静に見下ろすセンドウの視線とかち合った。
顔に朱が昇る。ただ、純粋な怒りから。それらすべてを押し潰すようにセンドウの指の動きが淫らさを増す。
「――っ、あっ」
痛みとむず痒さに躰が跳ねた。構わず、センドウの動きは止まらない。さらにねっとりと
なぶられ、肌がざわめき、次第にルカワの雄の部分が頭をもたげる。それを知って笑んだ男は、密着した腿でなで上げてきた。突き抜ける
劣情に脳の端から蕩けそうになる。揺れ崩れる矜持。吐息が熱を帯びる。こめかみが疼く。漏れ聞こえる声は自分のものじゃない。
なによりも、突き放したい腕に、すがりつきそうになる自分も知らない。
「や、っ――」
堪らず上げた声は懇願じみていた。クツクツと哂う男の声がさらに内耳から脳髄を犯す。
「いい加減、頭でごちゃごちゃ考えるの、やめれば?」
「るせぇ、なにしてーんだ、てめーっ」
「ルカワと一緒に気持イイこと。んなの、理由なんかいらないでしょ」
耳朶にまとわりつく男の低音がゾクリと背中を這い上がっていった。だが、痺れを感じる甘さが残酷なほどに冷たい。
腕に抱きこまれていながら、これほど遠い。センドウの声じゃない。声だけじゃなく、なにかを捨て去ったセンドウだ。それも意図的に。
だからきっと、ルカワの理性を強引に飛ばし、その間に総てを終わらせるつもりなんだと気づいた。そうなると、ルカワはなにも傷つかない。
事故にあったようなものだからだ。なし崩しの結果であれば、悪いのは、ひとり、センドウということになる。
「ナめんなよ、てめーっ」
絞り出したにしては声に力があった。勝手にひとりの世界をつくり上げやがって、と睨みを入れる。こういうとき、こういう抗いを
見せると、センドウはほんとうに嬉しそうな顔をすると知っていても、こいつの思いどおりになんか、コトを進められてたまるか。
「スン止めとか、やめような」
お願いだからと囁かれ、手足をジタバタと主張させた。ガキみたいと哂われようが、一撃になればいい。
「てめー、なにがあった」
「なにがって?」
「すっとぼけんじゃねー。こんなん、てめーじゃねー!」
笑んだ瞳のままセンドウは首を傾げる。イチオウ聞いてやろうか、という余裕の様相だ。
「オレのことどう思ってたか知らないけど、正真正銘、オレだよ。いま、他に何も考えられないくらいにおまえを抱きたいって
思ってるオレだ。それとも、アレ? 相手が違うってこと? ルカワにこんなことするヤツ、他にもいるのかな? マキさんに、もう、された?」
「はぐらかしてんじゃねーぞっ」
「そういうつもりはないけどさ。おまえも、肝心なときはダンマリなくせに、こういうときはよく喋るなって思って」
「たりめーだ。てめーなんかに、押し倒されてんだ」
「そりゃそうだ。ま、いまは黙って押し倒されときなさい。悪いようにはしないから」
「はい。そうですかって、言うとでも思ったのかっ」
「うん。でもオレはルカワのことが好きだからな。なにしたっていいんだ。たとえこの快楽が屈辱に近くてもさ」
「てめっ」
どこまでバカにする気だ、とルカワは吐き捨てた。言葉の中に潜む鎧と嘘に気づかないとでも思っているのか。それとも、この展開すら
手のうちなのか。どちらにせよ、どのセンドウがホンモノで、どのセンドウが仮面なのか。どんな言葉を選んで脚色してなにを成したいのか、
もう気にならなかった。そう。ただ、こんなの、イヤだから。ルカワが欲する彼を引きずり出してやるまでだ。
「オレが知らない、オレが認めないあんたなんか、見たくねーんだよっ」
ふふと、センドウは乾いた笑いをついた。思いもよらない熱い告白くれちゃって――と、唇でルカワのチュニックの襟をはだけて舌先でなぶる。
痛みがあるわけでもないのに、引き離そうと身をよじる己のあまりの力のなさに、ルカワは愕然とした。こんなのイヤだ。厭っているセンドウ以上に
イヤだ。気づけは己の左腕に爪を立てて、握りこんでいた。肌が傷つきそうなほどの抵抗に、慌てたセンドウが引きはがす。
「なにしてんだっ、おまえっ」
「るせーっ。離しやがれっ」
ルカワの頑なさに触れ、躊躇いでセンドウが揺れる。なにかを飲み込むような束の間の沈黙のあと、吐き出された吐息はどちらにとっても重いもの
のはずだった。
「妬けたんだよ」
あぁ、そうだよ、自嘲気味にセンドウは哂った。
「だって、ルカワがあんまりサクラギと仲良くするもんだからさ。妬けて妬けて、オレだけのものにしなくちゃ不安で居たたまれなくなるくらいに、
追い込まれたってわけ。納得した?」
まだ違う。ルカワは直感的にそう思った。
「サクラギだけの話じゃねーだろ」
「ウソじゃない。すごい平静でいられないのは事実なんだから」
「なにがあった。言えよ」
「……」
「ほんとにそれだけだったら、もっと簡単にあしらう。あんたなら」
「参ったな」
くぐもった声が少し震えている。その事実に気づく自分に驚かされたルカワだ。
「直接ルカワに関係ないんだけどね」
「関係なくねー。被害、合ってんのは、このオレだ」
「被害か。おまえ、ホント、容赦ねーな」
ルカワの肩口から顔を上げたセンドウの瞳がそばめられた。だから続けられた言葉が絞り出すように聞こえたのだ。
「ルカワ、気づいてない? サクセンが侵攻してきてたんだ」
「って――……さっきの、演習のときの、あの軍か?」
「そう。大軍だったね。たぶん、フジマさんのことだから、いまごろは総数の把握と分析も終わってるだろうけど。ただ、夜明けを待って
奇襲をかけるつもりだった敵が、オレたちの演習を眼のあたりにして、ナリを潜めている。出鼻は挫いた。だからたぶん、有無を言わさずに一気に攻め
込んできたりはしない。間違いなく使者を送りつけてくるだろう。それを受けてどう動くか。相手の手の内を探り合ってる状態なんだ」
「だから?」
ルカワにすれば、ほんとうに、だからとしか言いようがなかった。夜も明けきらぬうちから叩き起こされたわけが、王とドルイド僧の慧眼と策略の
一端だったのかと分かっても、自分が押し倒される理由にはならない。きょとんとしていると、あぁ、そうだったね、とセンドウが笑った。
頭の回転は悪くないのに、いちを聞たら十とは言わないから、せめて二くらいは察して欲しい、と切に願うセンドウだ。
「あのさ、そのサクセンが欧州でどこまで領土を広げてるか知ってる?」
「知らね」
恥ずかしげもなく即答した。取り繕っても仕方がない。ほんとうに知らないのだから。センドウは頭をかきながら続けた。
「えっと、拠点のニーダーザクセン(ドイツ北西部)から出発して、ヒスパニア(イベリア半島)に至たり、いまは広大なフランク領まで手中だ。
だから当然、その先端に位置するベンウィックもかの国の属国と化している」
「……」
「特にベンウィックはブリテン島に一番近いという土地柄、尖兵扱いを要求される。今回もその栄誉に預かってるはずだ。状況が変わってなければ」
「ベンウィック?……」
「オレの故国だ」
「セン、ドウ」
「あの中に父がいる」
「――」
ほら、言っても仕方ないことだったろ、とセンドウは力なく笑った。
差し迫った局面が近づいているというのに、センドウの居館だけでなく、城内は恐ろしいほどひっそりと静まり返っていた。風がさやりと流れる
葉ずれの音だけがふたりを包み、だから囁かれる声ひとつ、内耳から胸にストンと落ちてその事実に真摯に立ち向かわせる。
それぞれの国にそれぞれの国情があって、当然親子の形も多岐に渡っている。あぁ、だから放浪していたのかと、理解しても、だれもセンドウの苦しみ
を計れない。それはセンドウだけのものだからだ。だれも己の立場を守るに汲々で、だからなおのこと、理解しようと努めて関係は成り立つ。
センドウとマキ王はそう納得して同じ方向を向いていられるのだ。
けれどいまのルカワにとって、己の立場を放棄してしまったルカワにとって、探るものは心情でしかなく、ひとりぽつんと取り残された感が漂った。
いまのままじゃダメだと足掻いても、この国に留まるしか術はなく、ならばできる範囲で出来る可能性を探そうと手を伸ばすのは、重いしがらみを
背負ったセンドウも同じはずだった。センドウはすでに結論を出している。ルカワはマキ王任せでしかない。
ならば。
いま、なにかが目の前を通り過ぎてゆく。つかまなきゃならない答えはひとつじゃない。それはけして、武勲をあげて王に対する発言権を強める
種類のものじゃないはずだ。欲するもの。同時につかめるもの。重い腕を持ち上げ、センドウの背を通り越した虚空をつかんでみた。
たぶん、分かった気がする。
センドウがどういう態度に出ようが、流された答えなんか欲しくないといま思う。己で見つけ己で手に入れる。故国もこの男も。だから、知らず、
空をつかんだその手を両手に変えて、男の頬を挟み瞳をのぞき込みたくなるほど、なにもかもを知りたいと思った。
それが総てにつながるのだと。
「あんた、あっちに行くのか?」
「……その選択肢は考えたこともなかった」
「父王と闘えんのかよ」
「そうなるな、たぶん。ベンウィックをサクセンの属国のままにしておけないから」
「じゃ、なんの問題もねーじゃん」
「簡単に言ってくれる」
「父王よりも国を取ったってことだろ。てめーで決めたんだから、なにを悩むことがある」
「そりゃ、そうだ」
そう言って視線を外したセンドウをルカワは許さなかった。センドウの頬にあった手は後頭部に回り、強く引き寄せ、呼気の呑む音を唇で聞いた。
触れて合わさり互いが驚いて少し離れ、それでもそれ以上の距離を取らせたくないという強烈な独占欲が湧き上がる。情欲の在りがまだおぼろなルカワ
が最初に気づいた感情だ。
「ルカワ……」
「オレが言いてーのは、さんざん、好きだとかなんとか、鳥肌もんの科白並べてたくせに、今更サクラギに責任押し付けんなってことだ。
父王のことだっていまは関係ねーだろ。辛いからって、なにしたっていいことにはなんねー。それは後からてめーひとりで考えろ。
んな動機、ぜってー許すかっ。好き以外でオレに触るなっ」
「……」
「あんだよっ」
「……それ、同情、なのかな?」
満面の笑みを浮かべるセンドウのこの返しに乗ってしまえば墓穴を掘ることになる。ここがきっと分岐点。分かっていても、それでも、もう、
止まらなかった。
「てめーに同情なんかするか」
「いーけどね、それでも」
「してねーっつってんだろうがっ」
「ちょろいな、ルカワ」
――でも、
「そんな、強い、おまえが――」
好きだよ、と最後まで言わせず、封じるみたいに唇をぶつけていったのはルカワの方だった。なのに、勢いだけではこの男に太刀打ちできるはず
もなく、歯が当たった拍子に染みた鉄錆の味に顔をしかめる暇も余裕もない。飲み込まれるとは文字どおりで、喰らいつくさんばかりの
激しい口づけには酸欠による痺れが全身を襲う。口腔内でセンドウの舌がのたうつ。逃げても逃げても深いところで絡め取られる。唾液があふれ、頬から
喉を伝った。気持ちが悪い。なのに、呼気を求めての喘ぎは激しくなる一方で、涙まで滲んで四肢から一切の力が抜け落ちた。
「――やっ……」
いつ下半身まではだけられたのかも分からなかった。センドウの躰の重みと肌膚の熱さを直に感じる。唇の感覚がなくなるまでに吸われ、互いの舌が
泥のように絡み合った。その間に、いつ、昂る兆しを握りこまれていたのか。痛いと感じながらも、巧緻な指の動きでいいように弄られ、嬌声が
口をつく。逃れたくても、その甘い痺れの波に自然と腰が揺れた。
「ん、っぁ――」
高みに上り詰めるまでは呆気なかった。センドウの掌に己の白濁を吐き出してしまった醜態すら気づかない。荒い息が整う間もなく、下肢を高く抱えられた
ことも。痛みとむず痒さがまた蘇ってくる。なにをしているのか、されているのか、分からない。どこかずっと奥底が、激しいうねりを孕んでいる。
ぼんやりとした意識を取り戻そうと重い瞼をこじ開けると、思ったよりもずっと近くにセンドウの顔があった。
獰猛なまでに切羽詰まった、いままで見たこともないようなセンドウが。
こんなことしたかったのか、と声に出して聞いてみる。そうだよ、と小さな声が返った。
「んな、気持ち悪りぃ……、なにが……いーわけ?」
「好きなヤツと肌を合わせることの――」
なにが疑問なんだ、と羽根が降るような音。そしておまえとひとつになるんだ、と唇越しに教え込まれ、
ごめんと謝られ、その意味を理解する間もなく、問いただす間もなく、身の内をこじ入る強烈な痛みで喉の奥がひきつった。
「――つ、ぁっ――」
恐怖で躰が逃げを打ち、それを阻むセンドウの腕と押し付けられた胸板がこの身を縛る鎖に思えた。止めろと叫んでも聞いてもらえず、灼熱の楔は
さらに強さと速さを増してルカワを焼きつくす。身をよじるとさらなる激痛が襲う。叫ぶことしかできない。止めろ、止めろと、ただ子どものように。
なにひとつ聞いてもらえず、悔しくて本気で泣けてきた。こみ上げる嗚咽を抑えるだけで精一杯だった。人前で涙を見せたこと
なんかたぶん初めてで、その事実すら、この男の暴挙を止める手立てにはならない。愛してると言えば済むと思ってるのか、ただ、そう口にしたい
だけなのか。それでも、何度も何度も睦言を囁かれて不思議と涙が止まった。
感覚が麻痺しただけだったかも知れない。それとも、ルカワが我慢強いだけかも。センドウの腕をはね退けなかった己の責任という負い目
もあったのだろう。それでも、両腕で抱き込まれる安堵感と、密着する肌のぬくもりと、早鐘のように脈打つ鼓動に包まれて、内腑をえぐられる痛みが
どこか遠くに感じる。違う。意識が遠のくだけなんだと気づき、センドウの声で引き戻され、その背にすがりつくルカワがいた。
「……ルカワ」
こんな暴挙を平気で犯すヤツなのに、苦痛でしかないのに、アチコチが壊れそうなのに、望んだ形じゃないのに、それら総てを与える男を好きか
どうかも分からないのに、なぜ自分のものだと感じたのだろう。また意識が遠のく。吐き気までしてきた。ただ、痛い。なのに心底この男を恨めない己を
哂いつつ、センドウの吐息の速さがルカワのそれを追い越し。最奥に叩きつけられるセンドウの情欲の音を聞いて。
どこか納得して。
完全に意識を手放したのはそのあとだった。
ルカワの意識がトロトロと覚醒と半覚醒を繰り返している。気を失っていたのは時間にしてほんの一瞬。なのにその間に何度も唇をついばまれ、
優しい指の動きで髪をすかれ、頬で頬を愛撫され、穏やかな声音がルカワを呼び覚ます。とてつもなく、こういう甘さは嫌いだ。うるさい虫でも
追い払うみたいに腕を持ち上げると、手をつかまれて手首に口づけられた。ぺろりと舐められて、その舌の動きが肘辺りまで這い上がってゆく。
身の危険を感じて重い瞼をこじ開けると、蕩けそうな笑みを浮かべたセンドウがいた。
「大丈夫か、躰」
「……」
「喉、乾いてない?」
「……」
「なにか欲しいものとか?」
「いらね」
「……声、かれちゃったかな。冷えたエールがあるから飲むといい。飲ませてあげようか?」
「いらね、っつってんだろ」
「そう? でも、起き上がれないんじゃない?」
「てめーがそれを聞くのかよ」
「うん、確かに資格はないけど、心配する権利くらいはあるだろう?」
「勝手にほざいてろ」
言って、肘を拠点に立ち上がろうとする姿が痛ましい。苦痛に歪む端正な横顔はさらに扇情的だ。そんなこと口にしようものなら、この場で瞬殺され
そうだから黙ってることにした。手を貸そうと伸ばしかけた腕も必要ないだろう。確かに資格がない。
「支度、できるか?」
「ごちゃごちゃ、うるさいんだよっ」
「だって、めちゃくちゃ、顔色、悪いし、立てるのか」
「這ってでもいく」
「這ってちゃだめだ。しゃんとしなきゃ。王の御前に出なきゃならないからね」
「てめーが言うなっつってんだっ」
「王の前で平静でいられる?」
「いまさら王が怖えーのかよ?」
「怖いのは王じゃないよ。おまえの視線だ」
「そりゃそーだ。情けなくって、王に泣きつくわけにもいかねーからな」
「それだけ憎まれ口が叩けるなら大丈夫だな」
「この借りは倍にして返してやるって話だ」
「そりゃ、望むところだよ、ルカワ」
「ふん」
先にどうにか身づくろいを終え、ベッドに腰かけたルカワの動きが一度止まる。立ち上がることすら躊躇う不調さに、原因をつくった張本人として
は痛みを覚えても、返す言葉はない。これ以上心配する言葉を重ねても逆効果だろう。
ただ。
本能的に――いや、意図的に情痕の跡は残さなかった。
彼がマキのものだという事実は、きっと、こういうことなのだ。
continue
いや〜、もう、更新するたびに、お久しぶりですとごあいさつしてます。ほんとにお久しぶりの木島です。(汗汗)
いろいろあったとはいえ、半年振りでわたしも戸惑ってます。書かない時間が長くなると、不安になりますね。もう書けないんじゃないかって、
思いました。ペースがつかめないんですが、アプできてホッとしてます。
大好きなこのお話も佳境なので、ちょっと頑張ってみたいと思います。
(←思います、ですみません)
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