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ベスプレの歴史
完全版

 会員番号18・早秀氏から詳細な情報をいただきましたので、本コーナーも〈完全版〉を名乗ることにいたしました。これがベスプレの歴史のすべてです!(実はまだ抜けてたりして)
 情報提供してくれた皆さん(タマ様、しばた様、ただの野球ファン様、早秀様、PANZER様、ADA様、淺井様、佐中様)どうもありがとうございました。


ベストナインプロ野球(1985)

 記念すべき第一作。対応機種はなんとFM−7。プロ野球SLGの夜明け、と言いたいところだが、正直言ってあまり話題にならなかった…。すべての選手データが変更可能という自由さは、今日まで受け継がれる。
 作者の薗部氏は、当時アスキーの社員。
 なお、98E/F版のコピーライトは84年になっているとのことだが、手元の資料によると本作は1月の発売なので、コピーライト表記が前年になっている、ということもあり得る。98のパッケージは、FM版のものにシールを貼ってあるだけ、とのことなので移植はFM版の直後であろうか。
 ちなみに85年は、後にゲームパソコンとして活躍する88SRが発売された年。また、『ザナドゥ』『ハイドライド』『ウィザードリー(日本語版)』など、後々まで語り継がれる名作ゲームがたてつづけにリリースされている。

新ベストナインプロ野球(1985)

 前作はセリーグのみのゲームであったが、パリーグのデータも加わって、ようやくプロ野球ゲームとして一人前に。バランスも調整され、88・MSXなど様々な機種に移植された。
 データの緻密さ・正確さは今日のゲームに匹敵する。とはいえ、日程を組む機能がなく、全試合手動とあっては、ペナントを一年分戦うのは拷問に等しい。最大二ヶ所しか守備できない、COMの監督ルーチンがないなど、ないないづくしではあるが、データや成績をプリントアウトできるなど、パソコンならではの楽しみかたが出来た。この当時のゲームにしては珍しく、選手が実名。

ベストプレープロ野球(1988)

 ここからが「ベスプレ」。対応機種もファミコンとなって、一躍有名なゲームに。(とは言っても、ファミスタなどに比べれば遙かにマイナーだが…)
 日程が自動的に組まれ、自分で采配するチーム以外はCOM同士でやってくれるのは画期的。ペナントの進行にともなって蓄積される成績の楽しみに、多くのプレイヤーが虜になった。このころの野球ゲームは、日本野球機構から許可をもらえなかったのか、選手名が変名になっている。

ベストプレープロ野球〔新データ版〕(1988)

 その後、ベスプレはデータを最新のものに差し替えて再販された。このことはあまり知られていない。
 当時のベスプレは、セリーグかパリーグどちらか片方のデータしか使うことができず、トレードなどということになると大変であった。
 どのゲームであっても12球団がそろっていて当たり前の今日からすると、信じられないような話である。しかし、このころはあの名作「ファミスタ」でさえも何球団かが欠けており、レイルウェイズやフーズフーズといった訳のわからん合同チームが作られていて、マイナー球団のファンは嘆くしかなかったのであった。

 

ベストプレープロ野球2(1990)

 1との最大の違いは、スキップモードの新設。これにより、自チーム以外の試合は結果のみ見ればよいことになり、130試合やり通すユーザーが大幅に増加したと思われる。また、ブライアントの活躍により(?)、それまで5段階だったパラメータにSが追加された。球場が一種類追加、新たに野選を採用、例によって微妙なバランス調整などもなされている。
 12球団のデータを搭載してはいるものの、あいかわらず一度に一つのリーグしかプレイできないため、両リーグで楽しむため二つのカセットを買ったユーザーも。さらに、シーズンを終えた成績を保存するために、いくつもカセットを買う強者もいたという。
 この年、スーパーファミコンが登場。「F−ZERO」や「マリオ」が衝撃的デビュー。一方、ファミコンは徐々に下り坂に…

ベストプレープロ野球’90(1990)

 ファミコン版も3作目にして、ついにと言うか、ようやくと言うか、日本野球機構の許可をとりつけ実名のデータを実現。延長戦を18回まで出来る(これ以前は12回で打ち切り)、スキップモードの高速化など、システムも2から密かにバージョンアップしているのがにくい。
 なお、本作ではターボファイル(外部バックアップ装置)を用いることにより、日本シリーズを楽しむことが出来る。また、ターボファイル2専用の追加データカセットが発売されたこともあったが、ユーザーの多くは手作業でデータを更新してしまったので、これはほとんど売れなかったらしい。

ベストプレーベースボール(1991)

 PC98で登場した決定版。待望のセパ両リーグ同時進行、シーズン終了後には日本シリーズも有り。全球団の球場が緻密なグラフィックで再現され、選手名が漢字で実名。なおかつ成績はユーザーディスクに記録されるため、何シーズン分でもデータを保存しておける。パソコンもってて良かった、と誰もが実感する出来映え。

ベストプレーベースボール〔新データ版〕(1991〜92)

 その後、ベストプレーはデータを最新のものに差し替えて二回再販されている。旧版を持っているユーザーは、安価で新データにバージョンアップ出来るなど、ビジネスソフト並のサポート体制。新しいデータでは、新たに千葉マリンスタジアム、ラッキーゾーン撤去版甲子園が追加。大洋が横浜に変わるなど、プロ野球も結構激動の時代だった。
 この頃、98に加えて、国産ゲームでは珍しいDOSVへの移植版が登場している。

ベストプレーベースボール〔体験版〕(1991〜92?)

 この頃、なぜか製品版の発売より後に体験版が出回っている。しかも少なくとも3種類存在するようだ。
1・マクセル+1シリーズ
 フロッピーを一箱買うと、PC98用ゲームの体験版が一枚付いてくるという企画の中の一つ。内容は、阪神巨人のシリーズ戦のみがプレイでき、セーブできないというもの。
2・花王withソフトシリーズNo.11
 花王のフロッピーでも同様の企画があった。内容は巨人西武のシリーズ戦。花王のこのシリーズは、その初期にフェアリーテールのオリジナルADV「ルート246殺人事件」をつけるなど、かなり意欲的なラインナップで記憶に残っている。
3・パソコン倶楽部92年12月号
 雑誌の付録としてベスプレの体験版がついた。内容は西武阪神のシリーズ戦。詳細は特集コーナーにて。

ベストプレーベースボール〔FM−Towns版〕(1992)

 FM−Townsは、当時まだ珍しかったCD−ROMを搭載した高性能パソコンである。お世辞にも普及したとは言えないマシンだったのだが、この機種にベスプレが移植されたのは、元祖ベストナインがFMで作られたことと無縁ではあるまい。
 さて、タウンズ版のベスプレであるが、単なる移植にとどまらない。まず、CDを生かして、オープニングムービーを搭載。甲子園球場はラッキーゾーンあり・なしを選ぶことが可能。実在の会社が広告を載せる、いわゆるバーチャル広告が最近のゲームに先駆けて実現されている。観客席でウェーブが起こったり、ヤジが飛んだりする。チームの成績によって観客の入りが変わる、等々…。総じて演出面が非常にパワーアップしており、ひょっとするとこの点ではWin版をも凌駕しているかもしれない。

ベストプレープロ野球スペシャル(1992)

 見た目にも大きい大容量カセットを用いることにより、ファミコンでもついに両リーグ同時進行、日本シリーズが可能に…。ファミコンでの決定版となるはずであったが、すでにスーファミの全盛期であったので、失礼ながら知名度は低かったと予想される。
 しかも、恐るべきことに初回生産分すべてが致命的なバグを持つ不良品だった。無償で交換に応じたアスキーは、さぞや赤字を抱えたことと推察される。ベスプレの新作がなかなか出ないのには、この事件が影響しているのかも。

ベストプレープロ野球スーファミ(未発売)

 この後、ベスプレファンにとっては長い空白の期間が訪れる。この頃、開発陣は大ヒットした「ダビスタ」シリーズを全力で開発しており、スーファミ版「ベスプレ」もいかなる事情からか、発売されずにお蔵入りになった。
 ベスプレを忘れられないユーザーは、古いベスプレのデータを自力更新して、いつまでも遊び続けたのだった。

ベストプレープロ野球(1999)

 Windowsも98になって実に7年ぶりの復活を果たしたベスプレ。投手が12人に増えた、監督パラメータが5段階になった、などの些細な点を除くとびっくりするほど以前のままのゲーム内容。しかし、そこは魔術師薗部、ユーザーをうならせる新機能をちゃんと搭載。

1、6試合同時に観戦可能(画面6分割なんてパソコン以外では無理)
2、日程から全試合の詳細結果を見られる(全試合スキップでも、あとから松井の30号がいつ出たか検索可能!)
3、球団データ・選手データ・成績などのテキストファイル化機能

 特に3番目の機能は、ネット上でメール等によるデータのやりとりを可能とし、オンラインリーグという遊びを身近なものにした。成長プログラム、通算成績集計プログラムなどがファンの手で作り出され、これまでとは比較にならない広がりを持つゲームとなったのだった。

ベストプレープロ野球'00(2000)

 Windows版ベスプレ第二弾。誰もが予想したのは単なるデータ差し替え&調整であったが、それを遙かに上回る内容となっていた。

1、試合中のデータ参照に優れ、過去最高の操作性を実現。
2、日程から全試合の詳細結果とVTRを見られる(名勝負をいつでも再生! 夢の機能)
3、トーナメント表自動作成機能

 オンラインリーグを前提にしたバージョンアップが特に目を引く。また、ネット対戦もペナントが争えるものへと進化した。この機能は来る常時接続時代への布石と言える。

新ベストプレープロ野球(発売延期)

 言わずと知れたPS2版。2001年10月末に発売ということで、雑誌記事掲載、広告、予約受付まで行われたにもかかわらず発売未定となった。公式にはいかなる理由も発表されていないが、予約数が少なすぎたのか、それとも直せないバグでもあったのか??
 翌年、アスキーはゲームソフト販売事業からの撤退を発表し、新ベスプレの発売は暗礁に乗り上げた。

ベストプレープロ野球(2002)

 GBA版。ゲーム機用のベスプレは、ファミコン版スペシャル以来実に10年ぶりとなる。画面はおなじみの2Dで、タイトルロゴに到るまでWin版'00を忠実に移植。初のTVCMも制作され、子供がメインといわれる携帯ゲーム機にうって出た。奥の深さがどう受けるか見物である。
 来期からホーム球場になる札幌ドームが使用可能に。

新ベストプレープロ野球(2003)

 ついに出たPS2版。2001年のものとどこまで同じなのかは不明。ベスプレ初の3D画面。そのため、球の反発とストライクゾーンの広さを調整できるようになった。パラメータでは、新たに野手の送球時の利き腕と、投手の打撃時の利き腕が設定可能になった。動きの表現が多彩になったのは素晴らしいが、そのぶんリプレイやVTR機能がないことが惜しまれる。詳しくは特集ページにて。

 「ベストナイン」から15年、究極のプロ野球SLG「ベスプレ」の足取り、いかがだったでしょうか。
 ついに3Dとなりましたが、キャラやムービーなどに微塵も頼ることなく、シンプル過ぎる画面は相変わらずです。ゲームの本質が見失われている昨今、その存在はますます貴重と言わざるをえません。
 次はどんなチャレンジを見せるのか、パリティビットの動向に今後も注目です!


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