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ベストプレーベースボール98版
〜もう一つの体験版〜

★「ベスプレの歴史」にある通り、ベストプレーベースボール(98版)には、体験版が存在しました。今回、本サイトの読者である〈収集家〉さんより、貴重な資料を提供していただきましたので、ここに紹介させていただきます。当時の空気を感じ取っていただければ幸いです。


幻の日本シリーズ

 当サイトで最も人気も反響もあるのが「ベスプレの歴史」コーナーです。今となっては、内容の性質上ほとんど更新することがないのですが…。さて、そんなある日、作戦会議室に一件の書き込みが現れます。すべてはここから始まりました。

PC-98用の体験版についてですが、阪神西武の日本シリーズ戦ができるのではないでしょうか?」

 1992年、実際に優勝したのはヤクルトであり、シリーズはヤクルト−西武で行われています。しかしこの年、セリーグは大混戦でした。最終成績を見ると、巨人・阪神が2ゲーム差、広島が3ゲーム差で肉薄しています。阪神ファンにとっては、「優勝し損ねた」思い出の年として、強い印象があるのではないでしょうか。いつも強い巨人、前年に優勝の広島らと互角に争いながら、伏兵のヤクルトにペナントをさらわれたわけです。以降、2003年に優勝するまで、阪神の低迷は続くことになります。
 当時の阪神ファンが願ってやまなかった幻の日本シリーズが、体験版ベスプレで実現されていたとは面白いではありませんか。

もう一つのベスプレ体験版とは? 〜これらの画像は〈収集家〉さんより提供していただきました


 前説はこのくらいにいたしまして、さっそく資料の方をご覧いただきましょう。

「パソコン倶楽部」1992 12月号

 表紙を飾っているマシン名が懐かしいですねぇ。
Windowsとあるのは3.1でしょうね。この頃は使いにくくて普及してませんでした。

 右は、表紙の一部を拡大したものです。
 付属のディスクはこれまたなつかしの5インチです。
 ベスプレは〈特別版〉として、トップで載っていますね。
…ところでこの雑誌、12月号と言うことは、その発売日はちょうど日本シリーズ開催の頃になるのではないでしょうか? 編集〆切までに優勝球団が決まらず、思い切って阪神に決めてしまったのでしょうか?
 せっかくですから本文ものぞいてみましょう。

「全国の阪神ファンに捧げる」

 というキャッチコピーが泣かせます。
西武ファンもプレイするんですが…というツッコミは却下された模様です。
 そしてこれが当時のタイガースです。
 懐かしい名前が並んでいますね。
先日、八木が引退しましたので、この中で今も現役なのは久慈と新庄と山田ということになります。久慈はこの年新人王を獲得しますが、当時から地味な活躍でした。他の二人はどちらも今は日本ハムですね。なお、現監督の岡田は、当時の外人コンビにレギュラーを奪われた格好です。
 上は、リリーフを送ったときの画面です。電光表示板風で、味のある画面だったと思います。
 西武は森監督率いる黄金期の布陣です。デストラーデがいるはずなのですが、DHなのでこのスタメンからははずれていますね。


 この本文を見ると、日本シリーズの結果を見てから書いていることがわかります。だったらヤクルト−西武バージョンでも良さそうなものですが、ディスクの方の〆切が間に合わなかったのでしょうか?
 しかし、読めば読むほど単にライターさんが熱烈な阪神ファンだったから、というセンもあり得る気がしてきました。



 …最後、とってつけたように西武ファンの読者をフォロー …にもなってませんよねぇ、この締めくくり。

おわりに

 以上、なつかしいベスプレ体験版、いかがだったでしょうか。
 今回、この記事を作るにあたって、1992年当時のプロ野球の資料などをあさってみたのですが、混戦だったということ以外にも、いろいろなことが分かりました。

○ 大洋ホエールズはこのシーズンが最後。翌年から横浜ベイスターズとして再出発した。
○ この頃、セリーグでは引き分け再試合制度があった。そのため、阪神は132試合を戦っている。
○ ダイエーホークスが平和台を本拠地としたのはこのシーズンが最後。翌年、完成した福岡ドームへ移った。
○ この年のオフに巨人はドラフトで松井秀喜を獲得した。
○ この年はイチローの1年目にあたる。記録は40試合で.253

 旧作そのものをプレイするのはハードがないので困難ですが、ベスプレサイトのデータを探せば、昔のデータを手に入れることはできます。プレイしつつ、往年の名選手の活躍に思いを馳せてみるのはいかがでしょう。そんなとき、ベスプレはちょっとしたタイムカプセルになるのです。


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