「1人なの?風子・・」
「へ・・・・・・陽炎?」
上着を着こむには暑すぎる、そんな陽気の日中。
暖かい。暖かすぎる陽を浴びて、
公園のベンチに一人腰掛けていた少女に、陽炎が一言。
少し驚いたように振り返り、彼女も呼んだ相手の名を口にした。
実は、意外と
「貴方が1人なんて、珍しいわね」
「んー・・・今は、ね。待ち合わせ」
陽炎の言葉に軽く返事を返す風子。
時計の針が10時を指すまであと20分・・いや、30分ほどだろうか。。
こんな時間に彼女がこんな所にいるのは、恐らくもう学校が長期の休みに入ったから。
そういえば今朝は、烈火がいつまでたっても起きてこなかった。
・・・そして、成男殿に殴り飛ばされていたような記憶がある。
「・・・・誰と?と聞くのは、失礼かしら?」
「いーよ、別に。みーちゃんと」
陽炎が場所を問うと、曖昧に、別に、と風子の返事が返る。
・・・そこまで追求するつもりはないが、やはり気にならないわけではない。
風子は風子で、聞かれることを不快には感じないし、迷惑でもない。
・・・が、ヘタに烈火に伝わり、そこから土門に行くと何かと面倒。
だから、余計なことは曖昧にしておこうと考えたのだ。
簡潔に、言葉を並べただけの会話が、しばし続く。
この雰囲気の中の時間の流れは何故か緩やかで、
ゆっくりと進んでいく時計の針に、ふと疑問を持つ。
「ところで、もう何分か話しているけれど・・・水鏡君は遅刻?」
そう、彼がそう時間にルーズだとは思いにくいが、
陽炎が風子と会ってから、ゆうに5分・・・あるいは10分は超えている。
一向に現れない彼の姿が、どうも気になっていた。
「ううん、私が早く来たの。・・・30分くらい」
あっさりとそう答えた風子に、陽炎が聞き返す。
「30分?どうしてそんなに・・・?」
「いーーーっつも、私より先にいるからさ。
何分前くらいからいるのかなー・・と思って」
実に彼女らしい答えである。
待たすのが悪いから。という理由が出てこないあたりが。
確かに、水鏡は時間などには厳しそうであるし、
下手に待たすよりは待つほうがいい。という考えもあるのだろう。
だから、いつも『待たす』側である風子が気にする。
『いつからいるのか』ということ。
それも、30分も早く来ているところから見て、
以前試してみたが、5分やそこらでは、既にその場にいた・・ということがあったのだろう。
まったく、ご苦労なことである。
「貴方を待たせまいとする水鏡君もすごいけど、
その時間の程を確かめようとする貴方も大したものね・・・」
「それ、誉めてないでしょ?」
陽炎の口から出た本音に、少し眉間にシワを寄せ、そして笑った。
***
「なんだかんだ言っても、みーちゃん、私らの中にいるよね。
少しは・・・・認めてくれてんのかなあ・・・・?」
「・・・・さあ、どうかしらね」
数秒の沈黙が降りたとき、
それを遮るようにして、ぽつりと風子が呟いた。
それに陽炎が曖昧な返事を返す。
その言葉に風子は、不満そうな・・・、
どちらかと言えば不安な表情を浮かべ、陽炎を見つめる。
恐らく、別の言葉を期待していたのだろう。
「彼の気持ちはわからないけれど、
嫌いな人と四六時中一緒にいられるほど、器用には見えないわ」
「・・・・どーかなあ」
にこやかに笑う陽炎の言葉の真意をつかんだのか、
少し嬉しそうに風子も笑って、視線をどこかに泳がせた。
「みーちゃんが居てくれないと、つっこむ人いなくなるから、
結構困るんだよねぇ〜・・・・。
ウチには天然さんが多いから」
「それに、貴方は含まれているのかしら?」
意味ありげに笑う陽炎に、ふざけた風にうるさい、と告げて、また笑う。
「確かに、最近の水鏡君は、
何かと間違いの指摘が多いかもしれないわね・・。
数が数だから、無視しておいたほうが楽なのに・・・」
風子の言う『天然さん』の中や、『何かと間違いの多い者』の中に
自分の息子が入っていることを本当に理解しているのだろうか、このヒトは。
思わずそう言いたくなるくらい真面目に、陽炎はそう言う。
「だよねー・・・。
けっこー心配性だったりとかするし?
あんまり細かいトコまで気にしてたら、そのうち病気になるよ」
心配かけるようなことをするからだろう。
という正論が、はたして彼女に通用するかどうかが謎ではあるが、
彼女も至って真面目にそう話す。
「最近の水鏡君を見ていると、どうしてもこう思うの。実は――・・
「時々思うんだけどさ、みーちゃんって意外と――・・
『結構お人好しかも、って』
その言葉が見事にハモり、2人の笑い声が上がるまで、約10秒。
その笑い声を抑えるのには、更に時間を要するだろう。
風子に教えられた、待ち合わせ時刻のきっかり10分前。
水鏡が、公園の入り口から姿を現す。
それに小さく微笑んで、陽炎が入れ替わりに公園を出る。
今日のほんの十数分の彼女等の会話は風の中。
2人の見事にハモった意見と声も風の中。
何故かこみ上げた来た笑い声も風の中。
本人が聞いたら、怒る・・というか呆れそうな会話は、
もうすでに数km先にいるだろう。
風に乗って、どこまでも。ずっとずっと、前にいる。
〜言わなきゃならんコト〜
999HITでフィン嬢にリクされてしまいました(笑)『水鏡についての風子と陽炎の会話(みーふー前提)』です(再笑)
ウケ狙いのリクってのは恐ろしいということを学びましたよ私は(爆笑)
やっぱ難しいです。私にとってタイトル考えることが一番!(おい)
全然浮かばないんだもん・・・・。って、言ってばっかだったら、恐らく全てが無題になります(ダメじゃんよ)
とか言ってる割には、送り先にはタイトル誉められてましたが(笑)
風子の行動や、陽炎の言動はさておき(置くんか)
これは全て、私の中の水鏡像です(爆笑)
あいつは絶対隠れお人好しだ!と常々思っておりました(撲殺)
なんだかんだ言いながら、メンドーな事にもしっかり付き合ってるし。
てゆーか、それ以上に思うこと。
彼の生まれはもしや関西!!??(ぅおい)
でなきゃ片親関西人!じゃなきゃ、あのキレのあるつっこみの理由がつかないわ!(死んでこい)
・・・とまあ、私は思うのですわ。
実際、素晴らしいタイミングでつっこみ入れてるし(笑)
って言っても、事実は全く違うでしょうが(再笑)
なんか最後の方、言い訳にもなりゃしない♪(死)
ともかく、999HITありがとさんでした♪
またキリ番とってくれるのは嬉しいが、ウケ狙いのリクは止めてくれ(爆笑)