第13話「きのうと違う日」
「NORTH BY NORTH DIPESTO」
ブルームーン探偵社のユニークな女性社員アグネス・トピストは、誕生日の翌日とてもとても落ち込んでいた。 誕生日に自分の人生を振り返ったアグネスは、最近の自分の人生が毎日同じことの繰り返しである事実にうんざりしてしまったのだ。 毎朝同じ時間に起き、同じバスに乗り、同じドーナツを注文する…。 凄く惨めではないけれど、映画化されるようなリッチでカラフルな人生でもないと嘆息するアグネスを見かねたマディは、彼女の生活にちょっとした刺激を与えようと、カリフォルニア私立探偵協会主催の懇親パーティーへの出席を勧める。 マディのドレスを借りて懇親パーティーへ出掛けたアグネスは、そこで1人の謎めいた男性と出会う。 映画のように華やかなシチュエーションにアグネスは胸を躍らせるが…。
パーティーの会場でエレインと名乗って束の間の非日常を楽しむアグネス。 名前も知らない男性とダンスを踊り、熱いキスを交わした翌日に、何とその男性が探偵社を訪ねてくる。 朝の9:30に食事に誘われ、周囲の心配をよそにOKしたアグネスだったが、そのままボーリング場に連れられ、さすがに少々困惑してしまう。 その席で彼の名がカイルだと知ったアグネスは、そのカイルから「パーティー会場で渡した電話番号を返して欲しい」と言われ、ますます困惑してしまう。 そのとき、不意に「アグネス・トピスト」を呼び出す場内アナウンスが流れる。 呼び出しに応じたアグネスが受話器を取ると、電話は既に切れていた。 釈然としないまま席に戻ろうとしたアグネスは、途中で金髪の小柄な青年とぶつかってしまう。 青年に詫びを言って席に戻ると、何とそこには胸にナイフを突き立てられたカイルが…! シャツを真赤に染めているカイルの姿に動揺しつつも、ボーリング場の係員を呼びに行くアグネス。ところが、戻ってみるとカイルの姿は忽然と消えていた。 さっぱりワケが分からず、とにかく外の電話ボックスから探偵社に電話を掛けようとしたアグネスは、今度は不審な男たちに追われ、結局、元のボーリング場にUターン。 偶然、先刻場内でぶつかった男性に会い、彼と会話を交わしたアグネスは、不審な男たちから逃れるためにひとまず彼のアパートへ向う。 靴のセールスマンだというダグラスにすっかり心を許したアグネスは、簡単な状況を説明した後、電話を借りてマディたちと連絡を取ろうとするが、背後から忍び寄ったダグラスに麻酔を打たれ、気を失ってしまう。 やがて目を覚ましたアグネスはダグラスの尋問を受ける。 ボーリング場でダグラスがアグネスにぶつかったのは、彼女が武器を所持していないか確かめるためだったと言われて驚くアグネス。 ダグラスはスパイで、カイルはダグラスの部下だったのだ。 アグネスが今回の件にどこまで関わっているのか確かめたダグラスは、彼女を送る代わりにタクシーに押し込む。 一路アグネスのアパートへ向うはずだったタクシーは、しかし、赤信号で停車した際に突然乗り込んできた2人組の男たちによって無理矢理行き先を変えられてしまう。 その男たちはダグラスが追っている犯罪者だった。 彼らは盗んだ設計図を広い洗濯工場に無数に釣り下げられている洗濯袋の1つに隠して取り引きしていたが、内偵を進めていたカイルがその番号を別の番号と取り替えたために、設計図の在り処が分からなくなってしまったのだ。 カイルから預かった番号を出せと脅されるアグネス。 全く身に覚えのないアグネスは、混乱と恐怖で泣き出してしまう。 それでも、彼らの隙をついて洗濯工場の中へ逃げ込んだアグネスは、助けにきたダグラスの手で無事に救出される。 そのとき、実はカイルに渡された電話番号こそが、今回の秘密の番号だったと判明。事件は無事に解決する。 何となくお互いに惹かれ合うものを感じ、熱いキスを交わして別れた翌日。 アグネスは気持ちも新たに出社した探偵社で、新たな任務でロスを去ること、そしてアグネスは素晴らしいと書かれたダグラスの手紙を受け取る。 今回の事件を通して何でもない日常の素晴らしさを再確認したアグネスは、笑顔でいつものドーナツを注文するのだった。 「もしもし。ブルームーン探偵社のトピスト。いつものチェリー・ドーナツ。…特大のヤツ(^−^)」
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