第53話「子守唄」(2003/10/26
放送) LULLABY 見ている途中でダーラが最終的にそういう決断を取るだろうということは薄々気が付いたのですが、最後はやっぱり泣いてしまいました。ヴァンパイアとしては幸せ過ぎる最期だったと思います。さようなら、ダーラ。 エンジェル探偵事務所(NIGHT、以下N) 裏通り(N) 1764年 ヨーク(N) ウルフラム&ハート(N) エンジェル探偵事務所(N) 裏通り(N) エンジェル探偵事務所(N) 裏通り(N) ウルフラム&ハート(N) 地下寺院(N) ビルの屋上(N) |
「子供に未来はない」 「ダーラ」 「私と共にはね」 「ダーラ」 「エンジェル。私、産めない」 「何だって?」 「私、産めない。産めないわ」 「選択肢は他にもうないんだぞ?」 「分かってる! 子供は生まれたがってる。赤ん坊の準備は出来てる。でも産めない。産めないのよ。だって。私…」 深い眼差しをダーラに向けるエンジェル。 「…愛しているから?」 「ええ。そうよ。心から愛しいの。このお腹の中に宿った命を今までの何よりも愛してる」 「これまで誰かを愛したことはなかった」 「そうよ。400年もあったのにね。初めてよ。どうしたらいいか分からない」 「君に出来ることは一つしかない。産むんだ。産んで、そして…」 エンジェルの言葉にかぶりを振るダーラ。 「何? 育て上げる?」 「そうだ」 「出来ないわ」 「子供が出来たのも奇跡だ。不可能なんてない」 「私が人間の子に何を与えてやれる!? 牙を立てて噛み殺すこと以外に!」 「ダーラ」 「分かってるはずよ」 「分かるのは君が赤ん坊を愛していることだ。俺たちの子だ。君は9ヶ月お腹の子を慈しみ、育ててきた」 「いいえ。慈しんでなんかこなかった! 何も与えてはこなかったの。私は死んでる。私の方が慈しまれた。こんな感情、私が感じるはずないわ。子供からくるのよ」 「それは分からない」 「いいえ、分かるわ。あなたも分かってる。エンジェル、私には魂がない。子供にはある。だから今の私には魂が宿ってるの。でも、もう少ししたら…っ」 「ダーラ…」 「子供を愛せなくなる! きっと子供を愛したことさえ忘れちゃうわ! 覚えていたいのに! 私…っ」 涙で声が続かないダーラを優しく抱き寄せるエンジェル。 |
「きっと子供を愛したことさえ忘れちゃうわ! 覚えていたいのに!」 というダーラの悲痛な叫びが印象的でした。 確かにダーラの言う通り、ヴァンパイアである彼女が出産後も子供に愛情を持ち続けることは不可能なのでしょう。エンジェルにもそれが分かるから、悲痛な面持ちでダーラを抱き締めていたに違いありません。 カリタス(N) ビルの屋上、カリタス(N) ウルフラム&ハート(N) 1764年 ヨーク(DAY、以下D) カリタス(N) 地下寺院(N) ホストの部屋、カリタス(N) ホストの部屋(N) カリタス(N) ホストの部屋(N) 裏通り(N) |
歩けなくなったダーラ。道端で横になる。 「坊やが死んだら私もおかしくなる。正気ではいられないわ。どうなってしまうか分からない」 傍らではフレッドが心配そうにエンジェルとダーラを見守っている。 「エンジェル…。私たちの子が道端で死のうとしてるわ」 「……っ」 「あなたも昔、道端で死んだことが…」 「覚えてる」 「私、あなたに謝りたいの。心から謝りたいのに、出来ないわ。…いいんだって言ってくれないの?」 薄く微笑むダーラ。 「いや…」 「そうよね。エンジェル…私たち一緒にたくさん恐ろしいことをした。物を破壊し、人を傷付けた。この罪は償えない。あなたなら分かるでしょう」 「ああ」 「子供は…私があなたと残す唯一の良い行いだわ」 ダーラの手を取り唇を寄せるエンジェル。 「たった1つの良いこと」 ダーラの手を両手で握り締めたエンジェルは、神に祈るように泣きながらその手を額に押し当てる。 側にあった木切れを手に取るダーラ。 「坊やに伝えると約束して」 木切れを胸に突き刺し、塵と化すダーラ。 道端では赤ん坊が産声を上げている。 |
「いいんだって言ってくれないの?」の辺りでかなりぐっときました。これでお別れなんだから、嘘でも最後に許しを与えてほしい…。そんなふうに聞こえました。 エンジェルはどの辺りでダーラの決意に気が付いたのでしょう。最後は彼女の手を握り締めて泣いていましたが。 自分にとって運命の相手であるエンジェルに手を取られ、涙ながらに自分を想うエンジェルを最後の瞬間まで感じつつ、愛する子供の命を助けるために自ら消滅したダーラはあるイミ幸せだったのではないでしょうか。少なくとも、バフィーを愛しているエンジェルの姿を目の当たりにした上に、そのバフィーを助けようとしたエンジェルに殺されるよりはずっと幸せな最期だったに違いありません。 一方、エンジェルはダーラが消え道端に突然現われた赤ん坊を見てしばし呆然という感じでしたね。 とても大切なもののように赤ん坊を抱きかかえるエンジェル。これはきっと親バカ決定ですね。赤ちゃんを抱えておろおろするエンジェルの姿が描かれることでしょう(笑)。 そんなエンジェルに石弓を向けるホルツ。結局この場ではエンジェルを見逃しましたが、「奴に慈悲は見せない。決して」と言うからには、今後もエンジェルを付け狙うのでしょう。 第3シーズンの中盤でダーラが消えてしまって、この後はホルツとエンジェルJr.が軸になっていくのでしょうか。 ダーラは「エンジェル」の中で1番好きな女性キャラだったので、消滅してしまって寂しい限りです。過去の回想シーンでの復活を祈ります。 ドラマチックなラストシーン。雨がキラキラ光って綺麗でした。 |