第24話「妄想のとりこ」(2002/10/27 放送)
Are You Now Or Have You Ever Been ?

今回は、悪魔より恐ろしい人間の醜い一面を中心に50年前某ホテルで起こった出来事をサスペンス仕立てで描いていて、なかなか見応えがありました。
ちなみに、「某ホテル」ことハイペリオン・ホテルは、前回のエピソード「闇の裁判」で廃虚として登場していました。
エンジェル、コーデリア、ウェスリー、ガン登場。

コーデリアの部屋(DAY、以下D)
現在、仮のエンジェル探偵事務所であるコーデリアの部屋。
ある朝の風景。
C:「イギリス風の紅茶(^^)。コーヒー。O型の血(^^)」
そんな平然と…。
トマトジュースじゃないんだから(汗)。
しかもシナモン入り! シナモンの入った血液!? うー…。
もっとも、これは当のエンジェルにも不評だったようですが(苦笑)。
今朝の議題はハイペリオン・ホテルについて。目的は隠して、ただホテルが潰れた理由を調査してほしいと頼むエンジェル。
W:「ある時期ここに住み着いた何者かのせいでこうなったと?」
このウェスリーの発言が最初の伏線でしょうか?
いかにもエンジェルのせいでホテルが潰れたと匂わせていますが…?

1952年 ハイペリオン・ホテル(D)
217号室に請求書を持って行くのを渋るベルボーイ。「あいつの目…死んでるよ」とかなり気味悪がっている様子。
これはもしや…!?(笑)
ドアを開けるとやっぱりエンジェル!
このベルボーイはなかなか人を見る目がありますね。事実、彼は死んでいるわけですから(^^;)。
それにしても、「ヴァンパイアは年を取らない」という設定はこういうとき便利ですよね。

ハイペリオン・ホテル(D) 現代、52年
廃虚となったハイペリオン・ホテルを歩くエンジェルの姿を追っていたカメラは、何時の間にか宿泊客で溢れる過去のホテルを映し出します。
当然のように黒人の宿泊を拒否する支配人。この時代背景が、今回のヒロイン・ジュディーの人生にも暗く影を落とします。
そのジュディーとエンジェルの出会いは、探偵に追われる彼女が偶然扉の開いていたエンジェルの部屋に逃げ込んだことから始まります。
J:「聞いて! ワケを話します」 A:「興味ない。出てけ」
J:「あの…できません」 A:「じゃあ手伝おう」
腕を掴んで強引にジュディーを追い出そうとするエンジェルのカッコ良いことといったら! 怖いけどカッコ良い(笑)。
今のエンジェルより表情が乏しくて、クールさが増しているというか…。いつものおまぬけさんぶりが皆無のエンジェルは本当に渋くてカッコ良いです。
ここでもエンジェルはO型の血を飲んでいましたが、O型が好みなのでしょうか?(笑)
結局、探偵を追い払った後、けんもほろろにジュディーを追い出すエンジェル。バタンと閉まった扉の前には現代のエンジェルが。こんな感じで今回は過去と現在を行ったり来たり。

コーデリアの部屋(D)
1952年に撮られた写真にエンジェルの姿を見つけるウェスリーとコーデリア。
W:「エンジェルはここと個人的な繋がりがあったんだ」
C:「じゃあ何で隠してるの?」
W:「言えないワケがあるんだ」
ここでもホテルにはエンジェルの後ろ暗い過去が隠されていると匂わせていますが…。

1952年 ハイペリオン・ホテル(NIGHT、以下N)
215号室に宿泊していたセールスマンが何者かに導かれるように自殺します。217号室にいたエンジェルも銃声を聞きますが、人助けをする気がないエンジェルは、顔色も変えずにグラスを傾けていました。
それにしても今回のエンジェルはすっごくクール(ドキドキ)。

ハイペリオン・ホテル(D) 現代、52年
見えない何者かがヒソヒソと耳元で話し掛け、宿泊客の不安を煽っています。

1952年 グリフィス天文台(N)
「宇宙の大爆発」を見られて「映画へ行くより安上がり」ということはプラネタリウムですよねぇ。やっぱり。
エンジェルはショーは見ずに、
タバコをふかしつつ夜景を眺めていました。ホテルの部屋でもタバコを吸っていましたが、タバコを吸うエンジェルって珍しいですよね。
ジュディーが着けているアクセサリーが可愛くて好きでした(^^)。
カジュアルな50年代ファッションはエンジェルには似合わないようです(笑)。服装というか…髪型が似合ってないのかなぁ…。
成り行きで助けたジュディーに礼を言われ、少し心が動くエンジェル。
寂しいんですよね。

コーデリアの部屋(D)
C:「50年前エンジェルのせいで死んだ人は誰か?」
ウェスリーとコーデリアの間ではすっかりそういう話になっていますが、本当にそうなのでしょうか?

1952年 ハイペリオン・ホテル(N)
母親が黒人であることを周囲に隠していたジュディーは、バレた途端にクビになった腹いせに、勤め先だった銀行から大金を持ち出し逃走中。
J:「私はどちらにも属さないの。どこにもね」 A:「気持ちは分かる」
“白人”で通せる程の肌の色をしていたジュディーは黒人社会にも馴染めなかったようですが、魂を持った異色のヴァンパイアであるエンジェルもまたどこにも属せない存在として、彼女と同じ強烈な孤独感を感じていたのでしょう。
A:「人は脅えると馬鹿な真似をする」
J:「そうね。バカだった。あんなことをしなければ…」
A:「君のことじゃない。前の勤め先だ。怖かったから君をクビにしたんだ」
すっかりジュディーに同情したエンジェルは、彼女を助けると宣言します。段々現在のエンジェルに近付いてきました。

コーデリアの部屋(D)
ジュディーはハイペリオン・ホテルに宿泊した後、消息を絶っているようですが、それは彼女が警察の目をくらまして無事逃げおおせたということでしょうか? それとも死んでしまったと…?

ハイペリオン・ホテル 52年(N)、現代(D)
現金の詰まったカバンを隠すエンジェルとジュディー。カバンは50年経った今も同じ場所にありました。
「赦しってものがあるんでしょ?」とエンジェルに縋るジュディー。ここではお金を盗んだけど1ドルも使わずに返したら許されるかな?という意味でしたが、ラストシーンの伏線にもなっていました。

コーデリアの部屋(D)
資料を整理したウェスリーはあることに気が付きます。
W:「過去数十年に渡って何かの力がハイペリオン・ホテルにとりつき、従業員や客に影響を与えた。ただ問題はそいつが何者かを…」
C:「テスラックよ。妄想の悪魔。犠牲者に囁きかけて彼らの不安をエサにするの」
ズバリと言い切るコーデリアに不審を抱くウェスリー。
C:「エンジェルから電話」
W:「……!」
道理で!という感じで電話を受け取るウェスリーがおかしかったです(笑)。
どうやら事件を追えばテスラックの居場所が分かるかと思ってウェスリーたちに調査を頼んだエンジェルでしたが、今もホテルにテスラックの気配を感じ、召喚の儀式のためにウェスリーたちをホテルに呼びます。
W:「テスラックの召喚の儀式を調べておこうか?」
A:「調べてある」
ということは、50年前調べたけど召喚を行わなかったということですよね? 一体何があったのでしょうか。

1952年 デンバーの店(N)
悪魔の情報を求めて書店に出向いたエンジェルですが、店主のデンバーに一目でヴァンパイアと見抜かれます。さすがにエンジェルが「評判だから来たんだ」と言うだけのことはあります(笑)。
エンジェルが手にした途端、火傷を負ったあの本は一体何だったのでしょうか? 聖書?
でも、結局デンバーはエンジェルの言いなり(笑)。

1952年 ハイペリオン・ホテル(N)
不安が募り、魔女狩りの様相を呈してきました。

1952年 デンバーの店(N)
エンジェルに個人的な質問をするデンバー。魂を持ったヴァンパイアと話をする機会なんてそうそうないですものねぇ。聞いておかないと(笑)。
D:「それじゃ俺くらいの年にそうなったのか?」
A:「さあな。あんた年は?」
D:「30過ぎだ」
A:「…違う」
テスラックを倒すための情報を仕入れたエンジェルですが、召喚に必要なラムジャリンの珠を「安くしとくよ」というデンバーを「タダだ!」と脅したり、デンバーは親切に協力してくれているのにかなり横柄です(^^;)。

ハイペリオン・ホテル(N) 52年、現代
デンバーの店から帰って来る直前、ホテルでは探偵がジュディーの写真を掲げて宿泊客に彼女の情報を求めていました。
現代ではいよいよ召喚の儀式が始まります。ウェスリーとガンはどうも波長が合わないようです(^^;)。

ハイペリオン・ホテル(N) 52年、
ジュディーからモンスター呼ばわりされ、首に縄を巻かれて縛り首にされるエンジェル。何かにとりつかれたようにエンジェルを処刑した人々は、歓喜の一瞬の後、自分たちがしたことの恐ろしさに気付き、一様に青ざめます。これも一種の群集心理だというのでしょうか? おぞましい。
ジュディーは最初にエンジェルの部屋に入ったときに、テーブルの上の血液を見ていたんですねぇ。何気ない態度で接していたので、見なかったのかな?と思っていたのですが。
ヴァンパイアは縛り首では死にません。というわけで、皆が去った後に自分で縄を外したエンジェルの前に、満腹になったテスラックが自ら姿を現します。

「お前が誰かは知らん。だがたらふく食ったよ。だから人間は好きなんだ。そうだろう? 最高の不安を惜しげもなく差し出してくれる。そして恐れや偏見が確信や憎しみに変わるとき、このワシが頂く。何とも素晴らしい助け合いだと思わないかね? ああ。気を悪くしたようだね。お前が我が身を差し出した結果どうなった? 首に縄を巻かれた。それでも友達になれたつもりか? 教えてやろう。その通り。だからこそあの女は最高の御馳走になったんだ。お前が助けたからあいつはまた人を信じるようになった。それがなければあの女はただのエサだったが、お陰で御馳走になったよ。最高のな。あの女は一生食っても食い切れない程の食事だ」

このホテルの連中を助けるか?とテスラックに問い掛けられたエンジェルは、「好きにしろ」と答えてホテルから出て行きます。
50年前ホテルの人々を見捨てた自分をエンジェルは後悔していたのかもしれません。

ハイペリオン・ホテル(N)
召喚されたテスラックはウェスリーの中に特においしそうな妄想が詰まっていそうだと発言してウェスリーを困惑させます。
一方、エンジェルはテスラックの口振りからジュディーがまだこのホテルに捕われていることを悟ります。ホテルの中をうろうろ歩いて217号室は見たのに214号室は見なかったのでしょうか?(^^;)
この50年。ジュディーはどうやって生きてきたのでしょう? なんてことを考えるのは野暮ってものでしょうか(苦笑)。
J:「全然変わってない」 A:「…変わったよ」
外見は変わっていませんが、中身は変わったエンジェル。
ジュディーに赦しを与え、彼女の心を救います。
階下に降りると、そこにはテスラックの妄想狂発言にヘコんでいるウェスリーが。
W:「エンジェル…。私が特に妄想が強いとは思わないよな?」
A:「…特にはな」
W:「! 良かった…(ホッ)。 気になって」
もじもじとエンジェルに問い掛けるウェスリーが結構可愛くて好きでした(笑)。でも、エンジェルの答えはちょっと微妙かも(笑)。「特には」ってことは「少しは」そう思ってる?

ところで、“魂を得た後のエンジェル”というと、1996年にウェスラーに会ったときの彼が印象深くて、浮浪者のような格好で街をさ迷いながら、自分が行ってきた悪逆非道の数々を悔やんで苦しんでいる姿を連想してしまうのですが、今回のように結構こざっぱりした身なりで普通の生活を送っていたときもあったのですね。1952年にハイペリオン・ホテルに滞在していたエンジェルは人の血こそ吸ってはいないものの、過去の行いに苦しんでいるという感じはしませんでした。


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