第21話「ブラインド・デート」(2002/3/3
放送) Blind Date 今回はリンゼースペシャル(笑)。もうとにかくリンゼー! 路上(NIGHT、以下N) 倉庫(N) エンジェル探偵事務所(DAY、以下D) 法廷(D) エンジェル探偵事務所(D) ウルフラム&ハート(D) |
「どうしたのかね?
疲れてるようだが」 「このところ少し忙しかったので…」 「もちろん努力も大切だ。だが結局は閃きなんだ。頑張ってばかりいると後が続かんぞ」 「…間違いを犯しました」 「何かね?」 「あるヴァンパイアを殺し損ねました」 「そういうこともあるさ。君には実力があるんだ。小さなことは忘れたまえ。私も応援してるから、出世してくれよ」 「ありがとうございます。部長」 「結果を出せ。世の中は全て結果で判断されるからなぁ。勝者と敗者を分かつもの。それは結果だ」 無言で頷くリンゼーの様子を見て、更に言葉を続けるホーランド。 「このところ浮かない顔をしてるな、リンゼー。どうしてだか私は知ってるぞ。言ってもいいかな?」 「どうぞ」 「若さだよ。若い男はついつい焦ってしまうんだ。上に行かなきゃって。が、壁にもぶち当たる。これでいいのかって」 「考え過ぎですよ。そうじゃなくてただ私は…」 「いいんだ。私だって若い頃は無茶をやった。迷ってばかりで自分の属する世界を理解するまでかなりの時間が掛かったよ。世界は思うほど複雑じゃない。支配する者を中心に流れてる」 「そうですね」 何か思い当たる節でもあるように言葉を返すリンゼー。 「もっと傲慢になっていいんだ」 ホーランドの言葉に弾かれたように顔を上げる。 「君なら支配する側の人間になれる」 決意も新たにしっかりした表情で頷くリンゼー。 「自分の立場を確立すれば迷いもなくなる」 |
言葉巧みに相手を取り込む術を心得ている感じですよねぇ。ホーランド部長。とりあえずここではリンゼーの心をしっかり掴んだ模様(笑)。 但し、この後、W&H社のお抱え暗殺者であるヴァネッサが今度は子供を暗殺すると聞かされ、リンゼーの心は激しく揺れます。人間を殺す悪魔の弁護を平気で行ったり、邪魔なエンジェルを殺すために悪魔やスレイヤーと契約していたリンゼーですが(^^;)、罪のない子供がW&H社の利益を守るために殺されることにはかなり抵抗があるようです。 L:「(殺される)その子供は誰なんです?」 H:「自分のすべきことだけ考えろ。…知らなくて済むならそれに越したことはないだろう?」 後半の台詞ではリンゼーを思い遣っているような感じを漂わせているホーランドですが、要するに「余計な詮索はするな」と釘を刺したわけですね。もしくは「君には関係ない」といったところでしょうか。曲者というか、古だぬきというか…(笑)。 エンジェル探偵事務所(D) |
「君には想像できるかい? 靴もないし、トイレもない。兄弟は6人いたが、そのうち4人はインフルエンザで死んだよ。7歳で家を失った。ある日突然奴等が来たんだ。父親は愛想笑いを浮かべ、ヘラヘラと言われるがままサインをした。…いつ殴ってやろうかと子供ながらに考えたもんだよ。そのとき誓ったんだ。父親みたいな間抜けな男だけには絶対なるもんかって!」 |
奴等って? 借金取り? うーん。何か違うような…。 リンゼーが真面目に話して聞かせてるのに、エンジェルったら寝たふりなんかして「で、いつから悪党に?」だなんて酷い…。 ちなみに、このシーンでリンゼーに「使用人は二人」と言われたエンジェル。オリジナルでは「一人だけだ」と訂正しているのですが、吹替えでは「(話は)それだけか?」という台詞になっていました。 吹替え用の日本語訳って一言一句オリジナル通りではないですよね。日本人がドラマを見る上で、その方がいいだろうという判断からそういう訳になっているのだと思うのですが、ファンとしてはたとえ理解しにくくてもオリジナル通りの台詞を聞きたい!という思いもあります。 ところで。リンゼー同様、悪の道に踏み込んでしまった人間といえばフェイス。彼女のことはあんなに庇っていたエンジェルですが、どうもリンゼーには当たりがキビシイですよねぇ。何もそこまで辛辣に当たらなくても…。でも、エンジェルの前で傷ついた風情を見せるリンゼーがまたうっとり(はあと)。←一生言ってろってカンジ(^^;) |
「詳細は?」 「殆ど知らない。国外から来る子供で、数日滞在する」 「調べられるか?」 「ファイルがあれば…。多分、事務所の金庫の中だ」 「じゃあ持ち出して来いよ」 「もう戻れないんだ。うちの事務所を知らないだろう!?」 「知らないことだらけだ」 「私がここにいるのも、もうバレてる。普通の会社とは違うんだ。マインドリーダーがいる。戻れば私は殺される」 「それくらいの覚悟が必要だ。怖くなったんだろ? 自分でも歯止めがきかなくなったから。…抜けられないぞ。余程の決心がないとな。抜けるつもりでいても、大抵の奴は抜けられない」 「なら死んでやるよ! そうすりゃ納得するだろう?」 「…ようし、始めよう」 |
リンゼーの本気を感じ取って彼に力を貸すエンジェル。W&H社から秘密書類を盗み出すための作戦会議に入ります。困難な状況とそれを打破するための作戦。「狭き門より入れ、か」と呟いたリンゼーはどこか楽しげにも見えました。 ウェスリーはそれほどでもなさそうですが、リンゼーを全く信用していないコーデリアは今回の件が面白くないようです。 スラム(N) ウルフラム&ハート、下水道(D) ウルフラム&ハート(D) |
「恥ずべき事が起こった。何たる事だ。このような裏切り行為を聞くとは私は悲しい」 ホーランドの言葉に視線を床に落とすリンゼー。 「本当に悲しいよ。しかし、社内の不祥事は敏速かつ的確に対応せねば」 話しながら一列に並ぶ部下たちの側へ近付いてくるホーランド。リンゼーの前で足を止める。無言で視線を合わせるリンゼーとホーランド。 「そして公明に裁く」 リンゼーの隣に立つリーの前に移動するホーランド。 「残念だ、リー。信じられないよ」 「ええ? まさか…」 「クレインの事務所と裏で通じていたね」 驚くリー。 「私からは何も…」 「土産にうちのクライアントを連れて行く気だっただろう?」 「そんな…誤解ですよ!」 無言で警備員に合図を送るホーランド。 「きっと読み違えたんですよ! クレインと連絡を取ったのは…」 必死に弁明しようとするリーの頭を後ろから警備員が銃で撃つ。銃声と同時に血飛沫を浴び、反射的に顔を背けるリンゼー。前のめりに倒れるリー。脅えたように顔を隠していたライラは恐る恐る視線を戻す。 「死んだ部下なんぞ見たくない」 |
どうも事前に調べはついていたけれど、念のためにマインドテストを行って最終チェックをしたような感じでしたが、裏でライバル社に情報を流していたとして問答無用の制裁。やはり恐ろしい人です。ホーランド部長。 銃で後頭部を撃ち抜かれたリーの血飛沫がリンゼーの左頬に…。 気持ち悪いといえば気持ち悪いのですが、うら若い美貌の青年、驚き、脅え、顔からシャツの襟元に掛けて付着した赤い血…ある種色っぽくてドキドキしました。 そう。今、唐突に思いましたが(笑)、色気があるんですよ。今回のリンゼーには。なのに、一方ではあどけない少年っぽさが残る表情を見せてくれたりして…。色気とあどけなさ。両方兼ね備えていたからKOされたのかもしれません(笑)。 エンジェル探偵事務所(D) ウルフラム&ハート(D) |
「怖いかね?」 自嘲気味に頷くリンゼー。 「どうしてなんだ。君が事務所を裏切るなんて理解に苦しむ。しかも商売敵と結託するとは。我が事務所の重要プロジェクトを妨害するためファイルを持ち出すなんて正気の沙汰じゃないぞ。君は忠実な部下のふりをして我々を欺いた。殊にこの私を。言いたいことはあるかね?」 「ありません」 観念したように静かに首を横に振るリンゼー。 「私が気が付かなかったとでも思っているのか」 「いや…」 「リンゼー。マズいことになっているぞ。私の後ろにフィルがいるだろう? 彼が君を撃ちたいって」 「…欺いたり裏切るつもりはありませんでした。ただ足を洗いたくて」 「それであんな危険を冒した。勇気があるな。…“愛”を信じるか? ロマンスの話じゃない。私が言いたいのは人間の持つシャープでクリアな自我のことさ。自分の場所を得た者だけが知っている。何をしたかじゃない。殆どの人間は臆病者で群れながら生きている。だが自分で運命を操れる者もいる。強い信念と勇気があるから危機を乗り切ることができるんだ」 「それが今?」 「そう。今だ。君は素養があったからここまで上ってきたんだ。やる気も野心もそれと知性も。しかし自分の住む世界を分かっていない。自覚を持つまで私との問答は終わらないから覚悟しろ。それじゃ、まず一つ目。今ここで私は君を殺すか?」 「……」 「いいや殺さない。私は君を知っているし、性格も理解しているつもりだ。少し仕事を離れ冷静に考える時間が必要だな。頭を冷やせば自分を取り戻すさ」 「いいんですか?」 驚いたように問い掛けるリンゼー。 「行きなさい」 リンゼーに退出を促すホーランド。 「リンゼー、信じてるよ。自分自身を見つめ直すんだ。きっと愛が見つかる」 |
リンゼーはホーランド部長の秘蔵っ子だったのでしょうか? どうもかなりお気に入りというか、リンゼーのことがかわいいようですね。ホーランド部長は。 エンジェル探偵事務所(D) 隠れ家(D) エンジェル探偵事務所(N) |
「断言はできないけど、君の事について書かれた部分もあった。君の身に起こった事が全てね。名前は出てこないが、“魂を持ったヴァンパイア”と書いてある。…驚いたかい?」 「いや…」 「これが何か知らなかったんだろう?」 「ああ。だけど…」 「何か感じた」 「…ああ」 「これは予言の書なんだ。大まかなことしか書いてないけど…見ろよ。君は存在してる」 |
「自分はこの世に存在しないものなんだ」と嘆いていたエンジェルを励すウェスリー。 いつのまにかエンジェルに対してすっかり親身になっていますよね(笑)。 ウルフラム&ハート(N) |
「ホーランド」 「おお。リンゼー」 「済みません。期待を裏切って」 「…子供を救った。勇気がある」 「これを返しに来ました」 「コピーしたんだろう?」 「幾つか。保険のつもりです」 「何への保険だ?」 「この事務所と争いたくないんです。命は惜しいから」 「リンゼー。君はまだ若いね。我々の命はこの大きな社会の一部なんだよ」 「ウルフラム&ハートの?」 「どうして大学生だった君を引っ張ってきたと思う? 優秀だったからじゃないぞ。貧しくてハングリー精神があったからでもない。可能性があったからだ。彼らのような魔力を持つ可能性が。悪魔になれとは言ってない。魔力を使いこなす人間になるんだ。この事務所は魔力を持っている。だから成功した」 「でも戻る気はありません」 「では、何故来た? フロッピーを返すため? ここで一席ぶつため? そうじゃない。君はさっき私をホーランドと呼んだね。そんなこと初めてだ。君は変わったんだよ。度胸が付いたのさ。我々を敵に回して勝ったから。そこまで度胸がある部下などこれまでそういなかった。君をどうしても手放したくない」 「…この仕事に戻れと?」 「そうじゃない。新しい仕事を与える。永遠の仕事だ。大きな見返りがあることを君に約束するよ。手始めに…このオフィスを君にやろう。私は上に移る。何を任せたいと思う? 世界だよ。君ならうまくやってくれると信じてるぞ」 備品の入ったダンボール箱を抱えて部屋から出て行こうとするホーランド。 「私を買い被らないで下さい」 「君にずっと言ってきただろう? 自分のことは自分自身で決めろって。もし君が嫌ならば止めはせん。出て行っていいぞ。…私は上に移る」 開け放たれた扉の外へ出て行くホーランド。部屋の中にはリンゼーが一人取り残される。 |
扉に向って歩いて行って…そのまま部屋を出るのかな? と思ったら、その扉を閉めて部屋の中に戻ってしまうリンゼー。 結局、リンゼーはW&H社に残る道を選ぶわけですが、最大の理由はホーランドじゃないのかな? という気がしました。リンゼーにとってホーランドは何か特別な存在のように思えます。唯一の理解者というか、父親同然というか。事務所のことは信用できないけどホーランドのことは信用しているというか。彼の話は正しく思えるというか。だから、今回も頭の中で警鐘が鳴ってはいるのだけれど、ホーランドの言葉に従うのが最良の方策であるように思えてきてしまったのではないでしょうか? 多分、マインドテストの後でホーランドと話をしたときから、リンゼーの心はホーランドの魔力に満ちた言葉によってぐいぐい引っ張られてしまったのでしょう。 椅子に座り、こめかみに指を当てつつ、窓の外を見て何事か思索にふけるリンゼー。そのポーズがやらせっぽくて似合わないのですが(笑)、尚も心が揺れているような不安定な感じにドキドキしました(^^)。 ビルの屋上(N) |