第8話「きっと忘れない」(2001/11/25 放送)
I Will Remember You

今回のエピソードはバフィーとエンジェルのハッピーエンドを期待しているファンには厳しい内容だと思いましたが、もしかしたら意見が二つに分かれるかもしれません。曰く「もう一度、少しだけでも恋人同士の二人が見られて嬉しい(^^)」もしくは「さんざん夢を見させておいて最後にそれじゃあ悲しすぎるっ」。あなたはどちらですか?
エンジェル、ドイル、コーデリア、バフィー登場。

(お話の前に…)
前回の第7話「バチェラーパーティー」のラストシーンで、バフィーが襲われるヴィジョンを受け取ったドイル。
「バフィー」第64話(第4シーズン第8話)「良心の呵責」では、バフィーの危機を知ったエンジェルがサニーデールに舞い戻り、陰ながら彼女を助ける姿が描かれました。ところが、エンジェルはバフィーにこそ会わなかったものの、その周囲の人々には接触していたため、エピソードの最後にエンジェルがサニーデールに来ていたことがバフィーにバレてしまいます。
真相を知ったバフィーはいても立ってもいられず…。

エンジェル探偵事務所(DAY、以下D)
サニーデールから戻ってきたばかりのエンジェルが、机上の置き時計を手に取り時間を合わせていますが、今回は「時計」が重要な役割を果たしていました。
現在午前8時53分。
C:「しかめっ面はどこよ? ガックリきてる様子もない。…いつもより相当堪えてるってことね」
どうしてそういう結論に?(^^;)
久し振りにバフィーと再会したことで心の傷を深くしているのではないかと心配するドイルとコーデリアをよそに、エンジェルはいたって平気そうです。
ところが、突然バフィーが現れ状況は一変。
ヘビに睨まれたカエルのように(^^;)、急におろおろし出すエンジェル。別にサニーデールでバフィーの前に姿を現さなかったことをそんなに後ろめたく感じる必要はないと思うのですが。
気を利かせて事務所を出るドイルとコーデリア。ちなみに初めてバフィーと会ったドイルが受けた印象は…
D:「何となくちょっと…傷ついてる」
とのこと。そういうことには鋭いんですよね。ドイルって(ほろり)。
後に残されたバフィーとエンジェルは…これも一種の修羅場でしょうか?(苦笑)。とにかく腹を立てているバフィーが一方的に捲くし立てている感じですが、最終的には以前に決めた通り、暫く距離を置くことを再確認して終わります。
B:「ゆっくり時間をかければその内…」 A:「忘れるっ」 B:「……。そう」
このシーンが何だかちょっと引っ掛かったのですが…。
そこへ突然、忍者タートル風(笑)の敵が現れます。
派手に窓を突き破る音に思わずドイルは足を止めますが、コーデリアに促されそのまま外へ出てしまいます。
C:「自分たちは違い過ぎるって嘆いた後は殴り合い」
コーデリア…。謎な認識です(^^;)

下水道(D)
逃げた敵(モーラ・モンスター)を追って下水道を歩くバフィーとエンジェル。
別れを決意したものの、お互いまだ吹っ切れていないことが分かります。
話せば話すほど墓穴を掘っていくバフィーが可愛くて笑えます(^^)。
途中で二手に分かれ、バフィーは単身地上へ。下水道に一人残ったエンジェルの前にモーラが現れ、今度は一対一で勝負が始まります。
右手に刀傷を受けたエンジェルは闘いの途中で偶然モーラの血に触れ、右手の傷からその血を体内に取り込んでしまいます。叫び声を上げ、地面に崩れ落ちるエンジェル。発光する身体。ややあって荒く息を吐き、立ち上がった彼の胸からは心臓の鼓動音が…!
「生きてる…っ」
エンジェルが人間に!?

エンジェル探偵事務所(D)
無人の事務所に戻ってきたドイルとコーデリア。塵のような床の埃を見つけたコーデリアは、バフィーがエンジェルを殺したと勘違いします(^^;)。
D:「心臓発作起こすとこだぞ!?」
C:「掃除のおばさん雇わないケチなエンジェルが悪いの!」
そういう問題?(^^;)
ところで、まさかとは思いますが誰も事務所の掃除をしていないのでしょうか?
そこへエンジェル登場。昼間なのに正面の入口から入ってきたエンジェルを見て、ドイルはすぐにエンジェルの異変に気付きます。真剣な眼差しでエンジェルを見つめるドイルがちょっと素敵(^^)。
人間になったエンジェルがコーデリアのお菓子をバクバク食べるシーンは大笑いです(笑)。特にチョコレートがお好みのよう。逆にヨーグルトは口に合わなかったようです。
A:「嘘みたいだ。美味い…っ」
という台詞が泣かせます。
さしあたっての問題を真面目に話しつつもチョコを口に放り込むエンジェルが可愛かったです(笑)。
モーラ・デーモンの血には再生する力があると話すドイルの横で、窓を見たエンジェルは何かに気付き、吸い寄せられるように窓に手を伸ばします。窓ガラスにはエンジェルの姿が…!
ガラスに映る男が自分だとすぐに気付いたのでしょうか? およそ200年ぶりに見る自分の姿…さぞかし不思議な気がしたでしょうね。

オラクルの神殿(D)
自分が人間になったのは一時的なものではないか?と疑うエンジェルは、“ある力”とコンタクトを取りたいとドイルに迫ります。それはムリだろう〜と思ったていたら、実はコンタクトを取る方法があってびっくり。
間接的ではありますが、郵便局の地下にある「堕ちた魂の門」をくぐると、“ある力”に仕えるオラクルと会って話をすることができる、とのこと。
でも、門をくぐれるのは戦士であるエンジェルのみ。ただのメッセンジャーであるドイルは門をくぐることはできません。
まるでギリシャ神話の神様のようなオラクルは、タダでは話を聞いてくれません(笑)。神様だけに捧げ物がいる、ということでしょうか!?
エンジェルから腕時計を渡されたオラクルは「時を刻んでいる。小さいけれど見事だわ」と上機嫌。彼らにとって“時”は神聖なものなのかもしれませんね。
それにしても、“ある力(The Powers That Be)”というのは固有名詞だったのですねぇ。てっきり「何か分からないけどある力が働いて…」というイミだと思っていました(苦笑)。
A:「土産がいるなんて聞いてなかったぞ」
D:「忘れてた…」←これを言うときの仕草が好き〜(^^)
ドイルがエンジェルに「中にいたのは一瞬だぞ」と言っていたので、門の中と外では時間の流れが異なるようです。
A:「突然新しい人生が目の前に広がったが…どうすればいい?」
D:「ああ。面食らうよな。したいことは何でもできる。次の問題は何がしたいかだ」

ビーチ(D)
今回はエンジェルが人間になるというエピソードなので、いつもと違って昼間のシーンが多いですね。
ビーチでエンジェルを待つバフィーは、太陽の下を歩くエンジェルを見て何を思ったでしょう。何も考えられなかったかもしれませんね。あまりのことに頭が真っ白で。
言葉よりキスを交わす2人。でも、言葉よりも正確にお互いの気持ちを伝えていたかも。

エンジェル探偵事務所(D)
現在午後5時3分。
無残に萎れた鉢植えがこの後の展開を暗示しています。
エンジェルとバフィーのことについて話すドイルとコーデリア。
C:「この2時間半の間、エンジェルはずっとバフィーと下の部屋に篭ってる。2人きりで」
D:「それが? 色々あったんだから幸せ噛み締めて何が悪い」
C:「あの2人のこと教えてあげる。いい? 苦しんでぶつかり合う。これがいつものパターンなの。でももしあの2人が仲良くいちゃついたら…この世界は崩壊する」
D:「もう呪いは関係ないだろ? それに分からないぞ、あの2人…」←これを言うときの仕草も好き〜(^^)
C:「何でよ。ずっと禁じられた愛の世界にいたのよ。それに会ったのは久しぶり。で、いきなり彼は人間に。今ごろお茶飲んでクラッカーかじってると思う!?」

エンジェルの部屋(D)→(NIGHT、以下N)
期待を裏切らない展開。もちろん2人はテーブルでお茶を飲んでいました(笑)。
B:「これまで何億回もあなたが人間に戻ったらいいのにって考えなくてホント良かったと思う」
ということは、それだけ考えたってことですよね?(笑) 考えますよね〜。女の子だもの(笑)。
「慎重路線でいこう」なーんて言っていたのに、手が触れ合った途端、凄いことになってしまいました。コアラのように(笑)しがみついてきたバフィーをテーブルに押し倒し…。当然、テーブルの上のあれやこれやはガチャンガシャンと派手な音を立ててエンジェルに払い落とされていました。
一段落した後はベッドでお食事。
全裸で食べ物を抱えて部屋を横切るエンジェルはお間抜けさんな感じでした(^^;)。
この後はもう見ている方が照れてしまうようなラブっぷり(笑)。
クッキー入りのミントアイスはコーデリアが買ってきてくれたのでしょうか?

バー(N)
エンジェルが探偵業を辞めてサニーデールに戻れば、仕事がなくなってしまうコーデリア。エンジェルの幸せを願う気持ちもあるのでしょうが、我が身のことを思うと今回の出来事を手放しでは喜べない彼女の気持ちも分かります。一方、これで“ある力”から送られてくるヴィジョンともお別れだと嬉しそうなドイル。ということは、彼はエンジェル専属のメッセンジャーだったということですよね? エンジェルが使命から解放されたら自分も同じく解放されると言っているわけですし。てっきり、エンジェルが解放されたらメッセージを届ける先が変わるだけだと思っていたのですが。
もっとも、直後にドイルはヴィジョンに襲われてしまいます。今回のことはエンジェルの真の解放ではない…?

エンジェルの部屋(N)
幸せそうにベッドで抱き合うエンジェルとバフィー。
B:「眠くなってきちゃった…。でも、もっと起きていたいの。今日がずっと続くように」
A:「眠ろう。また明日も一緒にいられる」
こんな幸せを夢見ていたバフィーと、夢見ることさえ許されなかったエンジェル…。眠りたくないのはむしろエンジェルの方かも。

塩の工場(N)
モーラ・モンスターのアップが怖い…(^^;)
血の匂いにむかむかするエンジェル。「人間になった証拠」とドイルに指摘されますが、これはこの後モーラに全く歯が立たないのだろうなぁと予感させる指摘でもありました。案の定、やられ放題…。

エンジェル探偵事務所(N)
事務所の備品にペタペタとピンクの紙を貼るコーデリア。
C:「事務所閉鎖セールやって退職金手に入れるの。黙ってたらエンジェルは1セントも出してくれないから」
逞しいというか何というか…(苦笑)。
C:「いい加減そっちこそ何もかもは手に入らないって気付いたら? 恋愛と世界救済は両立できない」
時々すぱっとキツい現実を突き付けますよね、コーデリアって。それが彼女の長所でもあり短所でもあると思うのですが。

塩の工場(N)
バフィーの力で何とかモーラ・デーモンを倒したものの、モーラから仲間の存在を示唆されたエンジェルは暗黒の戦士の存在を重く受け止めます。
モーラを倒した後、バフィーの膝枕で息を整えるエンジェルの図が何となく切ない感じで好きでした。

オラクルの神殿(D)
見る人によっては気持ち悪いかもしれませんが、私はオラクルって綺麗で好きです。
この2人は男性より女性の方が先輩?(笑)。

「この者は人間として生きる全ての喜びを一人の女性への深い愛情から犠牲にしようとしている。この者は決して下等ではない」
「……。一つ方法がある。軽々しく行えることではない」
「今日を消し去り、何もなかったことに。モーラ・デーモンが最初に襲撃してきた瞬間から24時間全てを消します」
「何もかも消える。バフィーとも…。だがまた同じことを繰り返すかもしれない」
「防ぐの。あなただけが今日の記憶を持ち続ける。その苦しみに耐えられる?」

エンジェルの部屋(D)

現在午前9時56分。
突然の事態に動揺するバフィー。取り乱しますよね。いきなりこの1日をリセットするなんて言われたら。
自分がヴァンパイアなら“ある力”に見初められた戦士として、バフィーと共に闘うことができる、でも人間になってバフィーの側にいれば、彼女を助けるどころか足を引っ張り、命の危険を増やしてしまう…。
バフィーを愛すればこそ、ヴァンパイアであることを選んだエンジェルが可哀相でした。

「どこに行ったの?」
「オラクルの所だ。…元に戻してもらうために」
「え? 何で…?」
「君をどんなに愛しているか分かったからだ」
「嘘…。そんなの嘘…っ」
「俺が人間のままじゃその内どっちか死ぬ。それか2人とも。モーラが言ってたろ?」
「あいつは消えた。倒したでしょう!?」
「仲間がやって来る」
「いつだってそう。次々とやって来る。でもそれは私だけの問題であなたのじゃない」
「違う。君一人に闘わせて見殺しにできると思うか?」
「じゃあ一緒に闘って!」
「バフィー! 昨夜の俺を見たろ? 君の足手纏いになるだけだ。俺を守るために危険をおかしたら助けを必要としている人を救えなくなるんだぞ」
「じゃあ何? あなたは24時間かけて普通の男でいるプラス面とマイナス面じっくり検討した後、スーパーヒーローになるって決めたってこと!?」
「分かってるだろ。俺たちが一緒にいれば君の命が犠牲になる。他の人の命もだ」
バフィーを抱き締めるエンジェル。
「済まない。相談できなかった。もう一日君の横で目覚めたら決意が揺らぎそうで」
「分かってる…。それで、これからどうなるの?」
「オラクルが時を逆行させる。昨日に戻ったら俺は人間になる前にモーラを始末する」
「いつ?」
「あと1分」
「1分!? いやッ。 1分じゃ全然足りない!」
「もう変えられないんだ」
「だけどその後どうやって生きていけばいいの!? また一緒になれたのに。夢が叶いかけた…!」
「忘れる。俺だけが覚えてる」
「2人でしたことを?」
「何もなかった…」
「あった! 私全部覚えてるっ」
エンジェルの胸に手を当てるバフィー。
「この心臓の音を聞いた…」
「バフィー…」
振り返って時計を仰ぎ見るバフィー。時計は9時を指している。
「どうしよう。時間がないわ…っ」
「分かってくれ。頼む…」
「絶対忘れない。絶対忘れないっ。絶対忘れないっ。絶対忘れない! 忘れない!!」

泣き叫ぶバフィーと、彼女を抱き締め涙を流すエンジェル。
バフィーの慟哭が胸を揺さ振ります。
今は胸が潰れるほど悲しくても、直後に記憶を失ってしまうバフィーはまだマシです。二人の幸福な時間を記憶に留めるエンジェルの苦しみは相当なものでしょう。

エンジェル探偵事務所(D)
どこへ戻るのかな〜と思っていたら、見ていて「あれ?」と思った
B:「ゆっくり時間をかければその内…」 A:「忘れるっ」
例の会話のシーンの直前でした。
彼の状況を考えると無理もないですが、妙に落着きのないエンジェルが笑えます(^^;)。
最後の「終わった…」というエンジェルの呟きが、バフィーとエンジェルの仲が完全に終わったことを示しているようで堪えました。
モーラの額の宝石を砕くのに使ったのは例の置き時計でした。時計は運命の9時1分を指したまま壊れて止まってしまいましたが…エンジェルはあの時計をどうするのでしょう。捨てる? 直す? 取っておく?
いつの日か最終戦争が終わったときには、晴れて人間になったエンジェルとバフィーが…なんてムリでしょうか…。


「ブルームーン」トップページヘ   「エンジェル」インデックスヘ