KANAZAWA 2014.2.15.

金沢美術工芸大学 修了制作展(金沢21世紀美術館)を鑑賞した。
息子(橋本知成・大学院 工芸:陶磁専攻)の修了制作『源生』は、有機的な線を基本に、曲線と曲面が織り成す陶立体。
手捻りの技法を使った造形だ。
土を少しずつ積層しながら造形してゆく、その行為の時間をも積層しながら、自身の心の軌跡が形となって現れるのだろう。
決して「削らない事」が、この制作の約束事という。
曲線と曲面・凹面と凸面・虚と実の形を連続させながら、上方に伸びてゆく様は、まるで意志をもった生物のようでもあり、原初的なエネルギーを孕んだ存在感を感じさせる。
陶造形は、必然的に中空の構造を持つ。中空の緊張感が外のフォルムの張りを支えるという事を、作者は今一度意識してほしいと思って観た。
同時に、この存在感のあるフォルムが森の如く林立する様を一度見てみたいとも思った。
京都教育大から金沢美大大学院へと進み、金沢での二年間の集大成としてのこの制作が、とりもなおさず、作者にとっては新たな始まりでもある。北陸の厳しき冬は思索の時を与えてくれる。今後、作者は何を考えどう形にしてゆくのか・・・期待がふくらむ。亦、この地の人々の愛情のこもった、より厳しき眼で観られる事により鍛えあげられ、たくましく成長してほしいと願っている。
*金沢美術工芸大学卒業・修了制作展は金沢21世紀美術館にて
修了制作展は18日で終了、
第57回美術工芸学部卒業制作展は2月21日〜3月1日 |