キネマのマネキ猫

 今週から装いを新たにしてみました。映画の評価方法も少し変えてより詳細になったのでボクがどこに注目しているかよく解るかも。評価は映画それぞれで注目するべき課題が違うと思うので統一せずにおきます。 あ、それから今回からボクがこの映画の魅力を語るのにネタバレが必要だって感じたらもうばらしちゃうことにしました。それじゃあ、前回までの分はこちらから。その前は前回の所からリンクされてるよ。

ボーン・コレクター

突入せよ!「あさま山荘」事件

セッション9

陽はまた昇る

バイオ・ハザード

アンナと王様

パニック・ルーム

I.K.U.

バンド・オブ・ブラザーズ(前編)

バンド・オブ・ブラザーズ(後編)

飼育の部屋

ウインド・トーカーズ

ロリータ

KT

オーメン

オーメン2

ブレイド1&2


ブレイド1&2

 ストーリー ★★☆       リアル ★★☆
 アクション ★★★       見る価値 ★★☆
 セクシー度 ☆☆☆

 オーメン3を見たのですがあまりおもしろい作品ではなかったので書くのをやめます。オーメンは尻つぼみな作品でしたね。

 さて、ブレイドです。1&2ありますがもちろん別々に見たものです。面倒なので一緒にしました。

 この作品は簡単に言うとブレイドというヴァンパイハンターがヴァンパイア達と戦うという作品です。しかし西洋的な雰囲気は全くなく、とても近代的で排他的な都市が舞台になっています。

 ヴァンパイアと言えばヴァンパイアウイルスです。そうです。血を吸われた者もヴァンパイアになるというアレです。ブレイドは彼を妊娠していた母親がヴァンパイアに襲われ、まだ胎児だった彼にもウイルスが侵入してちょうどヴァンパイアハーフのようになってしまった人なのです。

 彼はヴァンパイアの驚異的な運動能力、再生能力を持ちながらも弱点である陽の光や銀を苦手としません。でも血は吸いたいらしい。そのため彼はヴァンパイア達から「デイ・ウォーカー」と呼ばれています。

 パート2ではヴァンパイア一族がブレイドを倒すために遺伝子操作したヴァンパイアを放ってきます。そいつは銀を克服しており、弱点は紫外線だけです。しかも無茶苦茶に身体能力が上がっており、つまり強いです。

 でも私はふと思いました。弱点を克服するために遺伝子操作の研究をするくらいならブレイドと同じハーフを作った方が早いんではないだろうか?と。実際、パート2ではもう一人の「デイ・ウォーカー」が出てきてブレイドと戦う位の設定でも良かったんでは?と思いました。もしかしたらパート3を企画していてそこにこの設定を持っていく予定なのかもしれませんが。

 この作品は非現実世界ですが、もしかしたらヴァンパイアは自分の近くにも潜んでいるのかもしれない、そんな妙なリアルさを含んだ作品でした。

オーメン2

 ストーリー ★☆☆       リアル  ★★☆
 恐怖    ★☆☆       見る価値 ★☆☆
 役者    ★★☆

 今回は中だるみのような作品でした。ロバート・ソーンの兄によって育てられたダミアンは13歳。陸軍幼年学校に通っています。

 ストーリーといえば前作と同じような感じでまたダミアンを疑うものが死んでいきます。そして異常に気づいた養父母が前作にも出てきた覇邪の剣を使ってダミアンを殺そうとしますがそれも失敗に終わり生き残ったのはダミアンだけ。

 次に期待です。

オーメン

 ストーリー ★★☆     リアル    ★★☆
 恐怖    ★★★     見る価値   ★★★
 役者    ★★★

 「エクソシスト」に並ぶ傑作ホラー「オーメン」です。主人公ロバート・ソーンを演じるのはあのグレゴリー・ペックです。

 6月6日午前6時、アメリカ外交官であるロバート・ソーンに待望の赤ちゃんが生まれます。しかしその赤ん坊は生まれてすぐに死んでしまいます。

 まだその事実を知らない妻のことを思い、心を悩ませるロバートの下に病院付きの神父からある提案が持ちかけられます。

 同じ時刻に生まれた子供がいる。しかも母親は難産で死んでしまった。この子には身内もいない。今ならすり替えたとしても誰も解らない。神父はそう言いました。

 妻のことを思い、その提案を受け入れるロバート、彼はその子にダミアンという名を付けました。ところで、ダミアンという名には何か意味があるのでしょうか?「エクソシスト」の神父の名がダミアン・カラス。
 

 
KT

 ストーリー ★★★    見る価値 ★★★
 熱さ    ★★★
 感動    ★★☆
 
 1973年、日本において当時はまだ大統領ではなかった金大中が拉致され、暗殺されそうになったことがありました。

 拉致したのは当時政権を握っていた朴正煕のお抱えである韓国政府情報局KCIAでした。彼らは朴政権を打倒しようとする金大中を暗殺しようとしていたのです。

 その頃日本では「あさま山荘事件」、「三島由紀夫割腹」など激動の時代でした。そして自衛隊の存在が問題とされていた時代でもありました。そんな中、主人公の自衛官である富田満州男は戦うことの出来ない自衛隊にいらだちを覚える一人でした。

 その彼はある仕事をきっかけに韓国と関わりを持ちます。そして彼は金大中拉致事件にも関わっていくのです。

 とまあ、こんな感じの設定です。この映画は実はフィクションです。拉致事件自体は実際の出来事ですがその詳細については未だ解明されていないことも多く、よって自衛官が事件に関わっていた、ということ自体が仮説なのです。

 ですがこの映画を見ると韓国人が持つ朝鮮民族としての誇り、また当時の日本人としての誇りを感じることが出来ます。私はやはり昭和40〜50年代に憧れているようです。

 そういう意味でもこの映画は見る価値があると思います。話はフィクションですが当時の人々の息づかいは本物のと思います。激動の時代、もう今の日本では絶対にあり得ない事が起こっていた時代。私は今の停滞した日本に少し飽いているのかも知れません。

ロリータ

 ストーリー ★★☆     感動 ★☆☆
 少女    ★★☆     ドキドキ度 ★★★
 セクシー  ★☆☆     見る価値 ★★☆

 世界名作劇場の一つ「ロリータ」です。ごめんなさいそんなつもりで借りたのではありません。

 内容はハンバートというれっきとした

 大人の男性が!

 下宿先の

 14歳の少女と!!

 愛し合うという物語です。少女の名前はドロレス。14歳のくせに男を惑わせる小悪魔な少女です。結局はハンバートはドロレスに逃げられて最後は悲惨な運命を辿るんですけどね。

 でもこの映画を見ているとハンバートを自分と重ねて見てしまうのは僕だけでしょうか?いえ、僕がロリコンだと言うんじゃなくて、(ロリコンかも知れませんが)ハンバートのドロレスに対する態度が自分が恋愛をしていた頃によく似ているかも知れない、と思ってしまうのです。結局男と女の駆け引きをよく知らないハンバートと少女の割にはサバサバした恋愛をするドロレス言ったところでしょうか?

 とりあえず、ドロレスが服を脱ぎかけて、ボタンに手が行ったと思ったら場面が朝になってしまうのは辛い経験でした。見せてよ、期待してたんだから。(僕の人格が崩れていく)

 まあ、そんなわけでドキドキは3点ですがセクシーは1点というのはこういう訳です。今回はこんな文章で済みません。残念すぎて頭が回らないのでした。


ウインド・トーカーズ

 銃撃戦 ★★★       リアルさ ★★☆
 友情   ★★☆      感動    ★★☆
 興奮度 ★★☆       見る価値 ★★☆

 ニコラス・ケイジのウインド・トーカーズです。この話は主人公ジョー・エンダースがナバホ族の暗号兵ベン・ヤージーを守りながら太平洋戦争の激戦地サイパン島で戦うという話です。

 当時、日本軍に暗号を解読されてしまった米軍は窮地に立たされていました。そこで考えられたのがアメリカ原住民のナバホ族を通信兵に使おうという案でした。ナバホ族は独自の言語を持っていて暗号を万が一、解読されても日本軍には理解できないのです。

 ヤージーを守ることを命じられたエンダースはもしもヤージーが捕虜になりそうなことがあったら殺すようにも命じられていました。その命令が後々彼を苦しめるのです。

 ところでこの映画、銃撃戦は凄いです。日本軍にあれほど豊かな弾薬があったとは知りませんでした(^^)。それにしてもものすごい弾幕の中でもエンダースとヤージーには弾が当たらないのはさすがに映画です。周りはバタバタと死んでいっても彼らだけは一発も当たりません。

 そういえば確かこの映画は戦場で築かれた友情がテーマだったはずですがポイントは2点です。意味は見てくれれば解ります。

 ニコラス・ケイジが主人公なのですがこの役者さん結構ホモっぽくて素敵です(*^^*)あの髭の青いの堪りません。作中で少しだけ喋った日本語も最高に片言っぽくていいです。今後の活躍に期待します。


飼育の部屋

 問題度 ★★☆      リアルさ  ★★☆
 女優  ★★★       セクシー ★★★
 男優  ★★☆       見る価値 ★★☆

 パッケージがなかなか楽しみな感じだったので借りた作品でした。またかよ!って言わないで…、男って奴は…なのです。
 この作品もどうせ「I.K.U」のように映画にしたかったアダルトビデオみたいな感じなのだろうな、とちょっと覚悟して(なんのだよ!)借りたのですが見てみると全然違う!この作品は本当に問題作品なのです。でもそれはこんな映画はけしからん!という類ではなく、観る人にこれをどう思う?ってかんじで問いかけてくる意味の問題なのです。
 内容はまさに拉致監禁(ほら、楽しみなジャンルでしょ)なんですがストックホルム症候群というものをテーマに語られています。
 ストックホルム症候群とは人間が拉致監禁され、絶望的状況だと認めたとき、犯人の好意を買おうとしているうちに自分が犯人に好意を持ってしまうという特殊な心理状態のことを言うそうです。語源はストックホルムで起こった銀行立てこもり事件がそうらしいです。詳しくは知りませぬ。
 まあ、そんな哲学的な問題は嫌いだ!っていう人でもまどかちゃんの可愛さだけでも見る価値があるとおもわれます。他にもシリーズがあるので見てみようかな、と思う作品でした。


バンド・オブ・ブラザーズ(前編)

 今回は「バンド・オブ・ブラザーズ」です。これは以前衛星放送で放送していたものらしいですが1話から10話まであってそれぞれ一時間くらい。DVD5枚分あります。
 時は第二次世界大戦、場所はドイツと戦うヨーロッパ戦線です。第506歩兵連隊所属E中隊の活躍を描きます。こういう映画を見るとアメリカ人にとっての第二次世界大戦は太平洋戦争ではなく、ヨーロッパ戦線だったのだな、としみじみ思います。片手間の戦争に完敗してしまうような日本が戦争をしたのは本当にどうかしてましたね。ま、アメリカ側が日本を戦争に駆り立てたという経緯もあるんですがその話はまたいつかと言うことで、今回は数枚に話が別れているのでそれぞれ感想なり書いていきます。総評と、いつもの☆印は全部見終わったあと(後編)の方へ譲ることにしました。お楽しみに。

 第一話 翼のために〜CURRAHEE〜

 アメリカ軍は激しくなっていくヨーロッパ戦線に向けてパラシュート降下部隊を新設します。兵士は全員が志願兵で理由は金のため、名誉のため、更には一緒に戦う人間は訓練された優秀な兵士な方が良いと様々でした。そして彼らの訓練はカラヒーと呼ばれる土地で行われました。
 しかしE中隊の隊長であるソベル大尉は意地が悪く、自分の名誉のために兵に厳しい訓練を課していきました。それでもその厳しい訓練が後に彼らを降下部隊一の優秀な中隊へと変えていくのでした。
 いよいよイギリスへ渡り、あとは作戦を待つのみとなったとき、ソベルは副隊長のウィンターズ中尉に難癖をつけて彼を部隊から追放しようとします。中尉が自分より優秀なのが我慢ならなかったからです。しかし、これまでソベルを嫌っていた部下達が一斉に直訴状を出し左遷されたのはソベルの方でした。隊長にはB中隊で副隊長だったミーハン中尉が選ばれ、いよいよ降下作戦は始まります。

 第二話 ノルマンディ降下作戦〜DAY OF DAYS〜

 降下部隊を乗せた無数の輸送機がイギリスの基地を飛び去っていきます。その中にE中隊もいました。しかし降下地点の前で敵の激しい対空放火を浴びて部隊は降下せざるを得なくなります。次々と輸送機が墜落し、機銃が唸る空へとE中隊は降下していきます。
 予定通りの降下が出来なかった中隊は散り散りになり、作戦行動もままならないまま敵のひしめく大地に降り立っていきます。中には降りる前に機銃を浴びて死ぬ者も大勢いました。
 そんな中でウィンターズ中尉は何とか降下に成功しましたが装備品はほとんどが空中で飛んでいってしまい銃さえありません。しばらくして数名の味方を見付け、彼らは何とか大隊に合流することが出来ます。それでもE中隊は12名しか集まっておらず、依然行方不明者の方が多い状況、隊長のミーハン中尉さえ見つかっていません。
 しかし彼らに敵の機銃陣地を破壊するよう命令が下ります。彼ら12名はウィンターズの指揮の下、敵陣地の破壊に成功します。

 第三話 カランタン攻略〜CARENTAN〜

 敵陣地破壊後、索敵を行っていたE中隊は仲間だったブライスという兵士を見付けます。彼は降下したあと、一人でうろうろしていたらしく、彼もE中隊を探していました。今回の話は彼が主人公です。
 その後、フランスのカランタンという町を占拠した降下部隊でしたが思った以上に激戦で、ブライスは恐怖に精神が負けてしまって「目が見えない!」と訴えて治療を受けようとします。しかしそこに足を撃たれて治療に来ていたウィンターズが彼を励まし、ブライスは部隊に戻ることを決意します。
 翌日、カランタン奪回を目指すドイツ兵との激戦の中でブライスはただ一人壕の中に隠れて出ることができません。まだ恐怖に打ち勝てたわけではなかったのです。しかしその日の夜に将校から「生きる望みがあるから隠れてしまう、死んだつもりでいれば戦うことが出来る」と言われ、彼は次第に兵士としての自覚を持ち始めます。
 数日後、空き家となった農家に敵兵士が潜んでいないか見に行く役をブライスは自ら引き受けます。しかしそこで彼は頸部を撃たれて重傷を負ってしまします。
 野戦基地に運ばれたブライスは治療を受けますが数日後には帰らぬ人になりました。その頃、クリーニング屋に服を取りに来た仲間の兵士がそこにミーハン中尉の服があることに気付きます。彼は生きていたのです。そして次々とクリーニング屋は行方が解らなかった仲間から服を預かっていることを告げてくれました。

 第四話 補充兵〜REPLACEMENTS〜

 一端英国に戻ったE中隊は兵士の補充を受けます。補充兵は落下傘訓練を受けてはいましたが実戦経験のない新兵ばかりでした。
 それでも軍は彼らを戦場に送り込みます。E中隊はオランダを占領するマーケット・ガーデン作戦を打ち出し、彼らを英軍の指揮下に置いてオランダに降下させます。
 最初にたどり着いたアインホーフェンという街は連合国軍に友好的で彼らを歓迎しましたが次に向かったニュウネンという町では激しいドイツ軍の猛攻に遭い、E中隊は退却を余儀なくされます。
 多くの犠牲を払いながら軍は何とか退却を果たしますが通称ブルのランドルマン軍曹が一人町に取り残されてしまいます。彼は地元住民の協力を得て身を隠していましたが一人のドイツ兵に見つかってしまいます。しかし格闘の末彼は相手を倒し、無事朝を迎えました。様子を見に外へ行くともうドイツ兵はいません。ドイツ兵は次の攻撃目標であるアインホーフェンに向かっていたのでした。こうしてブルは助かったのでした。
 しかし、こうしてリアルな戦争映画を見ていると昔の大人が強かったのがよく解ります。昔はおじさんや老人は若い者には負けなかったと言います。それは当然でしょう。あれほどの恐怖の中に身を置いて生き残ってきた人達なのですから日常生活で怖いことなどあるはずがありません。

 第五話 岐路〜CROSSROAD〜

 ライン川のオランダ岸を偵察中、E中隊はドイツ兵と出くわします。ウィンターズ大尉の指揮の下、なんとか戦い抜いたE中隊でしたがウィンターズはその時に無抵抗なドイツ兵を撃ち殺しました。そのドイツ兵はまだ少年でした。その少年の顔がウィンターズの脳裏にこびりつきます。
 大隊に戻るとウィンターズのこれまでの功績が認められ、彼は第二大隊副隊長に抜擢されます。その仕事内容は彼にはなじまないデスクワークでした。彼が報告書を書いているその間にもE中隊はドイツから捕虜を救出するペガサス作戦に参加していきます。ウィンターズはE中隊を直接指揮できないイライラを募らせていきました。
 しばらくしてウィンターズは休暇を取ってパリへ行くことになります。彼はそこで前線とは比べものにならない平和な街に戸惑いを覚えました。数日後フランスから帰った彼を待っていたのは大隊のベルギー後退作戦でした。マーケット・ガーデン作戦に失敗した連合軍はオランダから撤退を始めたのです。ですが大隊は降下してオランダへ侵入したのです。当然包囲されています。第二大隊はE中隊も含めて突破口であるバストーニュの森へ向かいます。しかし大隊にはもうほとんど物資が残っていませんでした。
 ウィンターズは撤退していく友軍に言いました。「包囲に離れている。落下傘部隊だからな。」

 第六話 衛生兵〜BASTOGNE〜

バストーニュの街に拠点を置いた第二大隊でしたが依然ドイツ兵の包囲は突破できていません。物資も防寒具も不足する中、E中隊は森の中でじっと機会をうかがいます。その中に衛生兵のユージーン・ロウもいました。
 部隊ではすでにクスリも包帯も不足していてろくに手当が出来ません。そんなとき、彼はバストーニュの教会を改造した野戦病院でルネという看護婦と出会います。ルネはユージーンと心を通わせ、彼に看護婦としての辛い心境を語りました。それを聞いたユージーンも衛生兵について考えるようになります。
 そんな中でも仲間は次々と死んでいきます。救えない自分を知ってしまった彼は段々と自信を失っていきます。
 E中隊は森の中でクリスマスを迎えます。ドイツ語で聞こえるきよしこのよるを聞きながら彼らは本当だったらこの日には故郷に帰っていたはずなのにと言う思いに駆られます。しかし戦争は続きます。バストーニュの街がその日に航空爆撃に遭い、ルネのいた教会も破壊されてしまいます。崩壊した教会跡で一人たたずむユージーン。ルネの生死は不明です。ユージーンはやがて自信を取り戻し、戦闘に戻っていきます。
 それにしても衛生兵というのはものすごいですね。衛生兵は武器を持たない代わりに攻撃されないという特権を持っています。その証が赤十字の腕章なのです。ですが撃たれた兵士を助けるために敵の目前に姿をさらし、危険を顧みず手当をしなければならないのです。見方が撃たれて倒れている場所は銃撃戦の真っ直中なのです。しかも敵味方必死で腕の腕章など識別できるものではありません。運の悪い衛生兵は撃たれてしまいます。ボクも医療関係者の端くれではありますが絶対にあんな所で医療活動はしたくないですね。

 第七話 雪原の死闘〜THE BREAKING POINT〜

 バストーニュを守りきった連合軍はドイツ軍をバルジへと押し戻すためフォイの街へ向かいます。E中隊では新しくノーマン・ダイク中尉が指揮を執っていましたが彼は本国から出世のために戦場を経験しに来ただけのつもりの俄将校でやる気はないわ、姿は眩ますはで隊員からも不満の声が絶えませんでした。
 フォイの街に襲撃をかける際もダイクは銃弾におびえてウィンターズの前進命令を聞かずに無茶な作戦を出して兵を死なせたり、挙げ句の果てには撤退命令を出す始末。ウィンターズはやむなくダイクを解任し、代わりにD中隊副隊長のスピアーズ中尉をE中隊の臨時隊長にすることで、何とかフォイの街を攻略しました。
 今回はフォイの街に行く前にE中隊はアルデンヌの森で何度も敵の砲撃に晒されます。その様子が凄く酷くてとても怖いストーリーでした。作中でもこの戦闘が最も酷い時で、精神的に参った兵士もたくさんいたと言っていました。昼夜問わずの嵐のような砲撃に彼らはただ自分たちが掘った塹壕に潜り込むことしか出来ず、しかも潜り込めたとしても直撃を喰らったらそこで終わりです。塹壕に入ることは爆風を浴びないで済むということでしかなく安全とは違います。目の前で吹き飛ばされる戦友、そして自分もいつ同じ目に遭うか解らない恐怖。彼らの精神状態を理解することは出来ないでしょう。

第八話 捕虜を捉えろ〜THE PATROL〜

 連合軍はすでにフランスのハーゲナウという街まで来ていて目の前のライン川を越えるともうそこはドイツ領です。やっと連合軍はここまで来たのでした。その頃、4ヶ月ぶりにウェブスターがE中隊に復帰してきます。彼は病院で治療を受けていて、その後も復帰訓練などで部隊復帰が遅れていたのです。
 彼を待っていたのは変わり果てたE中隊でした。知り合いのほとんどは負傷や戦死で部隊を去っており、残っていた数少ない知り合いも激戦だったバストーニュに参加していなかった彼を補充兵扱いしました。そんなとき、シング大佐よりライン川を越えて捕虜を捉えてくるよう命令が下ります。ウェブスターは名誉回復のため自ら斥候部隊に志願しました。
 この話はその後捕虜を捉えてきて帰って来るというお話なのですが最後にウィンターズが少佐に昇格します。彼は本当に優秀な指揮官で、E中隊の兵士達からは大隊付きになった今も尚、絶大な信頼を得ています。凄い人だな、と本当に思います。こんな人はなかなかいません。ボクの上司もこんな人だったら良かったのに、と切に思います。

 第九話 なぜ戦うのか〜WHY WE FIGHT〜

 いよいよドイツ領内にE中隊は侵入しました。ドイツ軍の抵抗はほとんどなく、主だった戦闘もなかったのですがE中隊が付近の森をパトロール中ユダヤ人の強制収容所を見付けてしまいます。
 第2大隊は彼らを解放しますがその後、彼らの下にヒトラー自殺とのニュースが入ります。そして彼らはいよいよベルヒストへ向かいます。
 今回は凄く印象的な場面の多い話でした。すべてを語ろうと思うと詳細まで語らねばならないので割愛しますが、ユダヤ人の強制収容所の映像はショッキングを通り越してえげつなささえ感じるものでした。だけどそれが悪いというわけではないのです。本来こういう映像はむごいという理由だけでソフトにしてしまってはならないはずです。
 ボクは以前、ファニーゲームの紹介をしたとき、一番恐ろしいのは幽霊やお化けではなく人間だと言いました。それはたぶん嫌悪感だと思うんです。同じ人間がやったこと、その嫌悪感が恐怖を倍増しているのだと思います。つまりあり得ることということです。強制収容所のユダヤ人を見たときそのことを思いました。
 だからといってドイツ人が悪いわけでもありません。確かにやったのはドイツ人ですけど本当にあの大虐殺をしたのは思想や心理といったもののはずです。だれでも陥る。それを考えるとやはり一番怖いのは人間なのだ、と改めて感じました。今回の話はここまでで一番印象に残る話だったと思います。強制収容所だけではなく他の意味も含めて。
 残るはあと一話、どんな話が待っているのでしょう。この作品は観ておくべきだ。最後まで見終わっていませんがもうそういった感想が出てきます。

第十話 戦いの後で〜POINTS〜

 いよいよ最終話です。ヒトラーが自殺したベルヒストへ侵入します。そして戦争は終わりました。この回は戦争が終わってから帰国するまでの時間を描いています。印象的だったのはドイツ軍が降伏する際に、ドイツの将軍が自分たちの兵士に向かって言った言葉でした。戦争で培われた絆は特別なものだ。諸君、よく苦しい戦いを戦ってくれた。これからは平和な生活をして欲しい。実際はもう少し良い言葉だったのですが正確には忘れてしまいました。すみません。でもその言葉があたかもそれを見つめるウィンターズ少佐の心情をも表しているようで、とても感動的でした。
 ドイツ軍も、アメリカ軍もどちらも必死で戦っていたのだ。そんな言葉が聞こえてくるようなシーンでした。最後に本物のウィンターズさんが出てきてインタビューに答えていました。作品内ではどこかぼうっとした感じのする方が役をされていましたが本物はそのメガネの奥に思慮深いものを感じさせました。とにかくバンド・オブ・ブラザーズはこれで終わりです。

バンド・オブ・ブラザーズ(後編)

 興奮    ★★★    考える度 ★★★
 ストーリー ★★★    役者   ★★★
 感動    ★★★    見る価値 ★★★
 
 今回初めて満点をつけました。なぜならこの作品にはケチがつけられないからです。この作品はE中隊が訓練を始めたところから終戦を迎えるまでを描いたものです。普通ならそれを2時間でまとめてしまいいつも通りここでもう少し密なストーリーにして欲しかった、などと書いているところですがこれは映画ではないので10時間という長い時間をかけてじっくりと語られます。そのため、個人個人への思い入れも強く、兵士達一人一人の性格までもよく解ります。
 この作品ではいくつかの印象的な場面があります。それは私欲のためだけにただただ、厳しい訓練をしていたソベル大尉が補給部隊に廻されてしまったり、その後、少佐となったウィンターズに向かってソベル大尉が敬礼をさせられる場面、ドイツ人将校の妻がアメリカ軍の前でユダヤ人達の死体の片づけをさせられる場面などです。たぶんこの辺りは作られたシーンなのでしょうがその両者の心情を考えさせられずにはおられません。
 この作品は一度観るべきだと私は思います。そうして戦争って何なんだろう?誰が一体悪いんだろう?などいろいろ考えるべきだと思います。私はいつも言っていますが映画は考えるだけのテーマがなければそれはただの娯楽映画に過ぎません。そんなのはテレビで十分です。最近は映像にこだわった、などと内容をおろそかにしている映画が多いような気がしますがたまにはこんな考える映画はどうですか?
 最後に、この作品はオープニングとエンディングが同じ曲なのですがすごくいい曲なのです。音楽の少ない本編が余計にその曲の価値を高めているのかも知れませんが聞いて見る価値はありますよ。

I.K.U.

 興奮    ★★☆    女優  ★☆☆
 セクシー  ★★★    斬新  ★★☆
 ストーリー ☆☆☆   見る価値 ☆☆☆

 あぁぁ…。ついにやってしまった…。見る価値0点。
 「最高のオーガズム・データを回収せよ」そんな愉しそうな煽りに乗せられて借りてしまった一品でした(-_-;)。内容はレプリカントのREIKOと呼ばれる女性がひたすら1時間強オーガズム・データを回収するためにあらゆるセックスを行うというものでした。REIKOはアンドロイドと同じで人間ではないのですが見た目は女性の形をしています。しかも彼女は7つの姿を持っているという設定。つまりこの作品はREIKOが7つの姿で順々にセックスをするという作品なのです。はっきり言ってストーリーはないです。しかも僕の好みの女優さんがいなかったので女優の点数も低いです。
 なんか監督の話ではアダルトビデオにはしたくなかった。らしいのですがその思惑は余り成功していたとは思えません。ちょっと長いアダルトビデオです。あと、モザイクなどの使いからにもかなり工夫があるらしいです。モザイクの限界に挑戦するのではなくその使い方によってエロチシズムを出そうと、そういう目論見だったようです。ですがもうどうでも良いです。
 テレビでもこの作品はやらないでしょう。というかこんな作品を映画と一緒に並べとくなよ!という感じです。そうそう、あとから気付いたのですがこの映画の題名「I.K.U.」ですけどよく読むと「イク」と読めます。はい、ばからしいですね。


パニック・ルーム

 恐怖  ★★☆    女優   ★★★
 緊迫感 ★★★    感動   ★★☆
 興奮  ★★☆    見る価値 ★★☆

 偶然なのですが今回もジョディ・フォスターです。あれ?前回ジョディ・フォスターは2点だったのに今回は3点だぞ、なぜ?ジョディ・フォスターは今回製薬会社の大物スティーブ・アルトマンと離婚したばかりのメグ・アルトマンという役をしています。その娘のサラ・アルトマンがポイント高いんですね。やばい!ロリ属性であることがばれてる?
 さて、内容ですが離婚したあとメグ達が入居したのが、ある大富豪が余生を過ごしたマンション形式の家でした。ここは4階建てでエレベーターまである家なのですが決して広いというわけでもありません。ただ、この家には緊急避難用のパニックルームという部屋が3階にありました。
 実はこのパニックルームには秘密がありました。以前住んでいた大富豪が自分の隠し財産を隠し金庫に隠していたのです。もちろんメグ達はそんなことは知りません。ですが大富豪の息子ジュニアは知っていました。彼はこの隠し財産を公表すれば兄弟で分けなければならなくなるのでパニックルームを作ったバーナムと仲間のラウールを連れてこの隠し財産を盗みに家に侵入してきたのでした。
 ジュニアははじめこの家がまだ空き家であると思っていたのですがメグ達が入居していたので予定が狂ってしまいました。しかも3人の侵入者に気付いたメグと娘のサラは目的地であるパニックルームに閉じこもってしまいました。専門家のバーナムはパニックルームは外からは絶対に開かないと保証しています。しかしジュニアは諦め切れません。さて、閉じこもって出られなくなったメグ達の運命は?ジュニア達は遺産を手に入れることが出来るのでしょうか?結末はどうなるのでしょうか?
 この作品はCGを効果的に使って緊張感を高めてくれます。ですがよく考えたら舞台はこの家の中だけ、主な登場人物はジュニア達3人とメグ達2人だけ。あんま金かかってないんでは?とりあえず今回見る価値は2点に留めていますが、テレビでやってたらたぶん途中で立つことは出来ないでしょう。それくらいには引き込んでくれる作品です。


アンナと王様

 感動 ★★☆       女優 ★★☆
 ストーリー ★★☆    男優 ★★★
 アクション ★☆☆    見る価値 ★★☆

 これはシャム王国であった実話を元にして作られたお話だそうです。簡単にストーリーを紹介すると伝統と格式の国シャムの王様モンクットが子供達の家庭教師にとイギリス人女性のアンナを招きました。アンナはこの伝統に凝り固まったシャムで様々な出来事を経験し、そして乗り越えていきます。
 この映画、アンナ役のジョディ・フォスターも綺麗ですがなんと言っても王様役のチョウ・ユン・ファが最高にいいです。彼はグリーン・デスティニーでも見事に役を演じていましたね。僕の好きな役者さんの一人です。
 良くも悪くも古い時代の慣習に囚われたシャムの人々とそれを変えていきたいと願うモンクット王とアンナ、そこには大変な苦労が待ち受けています。
 それにしてもシャムの王様は凄いものですね。生き神として讃えられ、一部の側近以外は王が来たら何をしていようと必ず平伏し、拝顔することさえ許されていない。20人以上の側室と50人以上の子供達がいる。本当にうらやましい限りです。でも、それに付随する王の義務を見せられるとやっぱり普通で良いです。と言ってしまいそうですが。
 総合評価としては2点付いてますが言葉で表すとしたら「テレビでやるのを待ってて下さい」という感じです。


バイオ・ハザード

 ホラー ★★☆     女優  ★★☆
 ストーリー ☆☆☆     色気  ★★☆
 アクション ★★★   見る価値 ★☆☆

 今回は有名なバイオ・ハザードです。ゲームを元にしているということでストーリーや設定は少し違いますがラクーンシティやアンブレラTウィルスなど設定は同じでした。この作品は完全なアクション映画ですね。ストーリーはアンブレラの地下研究所でバイオハザードが起こるというものです。ハイブと呼ばれるその研究所はマザーコンピューターが監視していてバイオハザードが起こると同時に防衛システムを作動させて中にいる全員を殺してしまいます。
 最初、会社はそれをシステムの暴走だと思って会社に雇われた特殊警備員を派遣します。彼らは暴走したと思われているマザーコンピューターを停止させるのが目的です。
 そして屋敷に偽装された入り口で主人公であるアリスを見付けます。彼女は防衛システムの噴射したガスによって記憶を失っています。ところでこのアリス、ボクは映画を見終わってもこの主人公の名前が分からずにネットで調べてしまいました。他にも数人仲間がいるんですが誰一人名前を覚えていないんですね(爆)。つまりはこの作品はアクション重視で余りキャラクターに重点が置かれていないということなのでしょう。話の続きに戻ると特殊警備員達がアリスや他に見付けた人間2人を連れてマザーコンピューターの電源を切ってしまいます。しかもそこまでの道のりでもう半分死んでます。でもそこからが本番。マザーコンピューターによって閉じこめられていたゾンビ化した人間達が一斉に出てきてしまって彼らは帰ることが出来なくなってしまいます。まあ、ストーリーはこれらのゾンビを退けて研究所から脱出するというものです。ストーリーとしては単純です。テレビで十分ですね。女優も綺麗な人でしたが僕の好みではなかったため(笑)2点。ただ、最初最後にセミヌードみたいな格好で出てくれてから色気に点数が入ってます。アクションはさすがに満点をつけます。肝心の怖さはと言うとかなりびっくりします(爆笑)。ゲームのバイオハザード同様この映画はホラー性よりびっくりを重視しているようです(笑)。緊張した場面でいきなり効果音を出してゾンビをアップにするなどそういった演出にはものすごく凝ってます。最後に言わせて貰うとエンディングがちょっと納得いきません。ありがちな一緒に脱出した男性とキスするとかそういうハッピーエンドはじゃないんですね。というかあれはバッドエンドでは?たぶんこの先テレビでやるでしょうから待っててください。それくらいです。

陽はまた昇る

 情熱 ★★★       楽しさ ★★☆
 涙   ★★★       興奮  ★★☆
 意外性 ★★★      見る価値 ★★★

 最近はずっと良い作品に恵まれています。嬉しいことです。この「陽はまた昇る」という作品は簡単に言えばVHSのビデオデッキが作られて販売されるまでのお話です。
 主人公の加賀谷静男は家庭電気メーカーの日本ビクター本社に勤める開発技師でした。ある日、彼は横浜の工場内にあるビデオ事業部の部長に抜擢されます。高卒である彼が部長に抜擢されるのは異例の事でした。しかしビデオ事業部は常に赤字を出しており、部長は1年以内で首が跳ぶとまで言われる所でもありました。つまりは左遷だったわけです。
 実際に行ってみるとやはり事業部には活気がなく、全員に諦めた雰囲気が感じられました。ビデオ事業部に入れられることがどういう事かみんな知っているのです。加賀谷は必死になって梃子入れをしようとしますが日本ビクターのビデオデッキは壊れやすいというのが当時の状況で事業部はいつも修理ばかり、開発なぞしようという意気込みは微塵もありません。それでも兼ねてから家庭用ビデオデッキ(当時はまだビデオは業務用が主だった)の開発をやりたかった加賀谷は以前の部下達を横浜に呼んで開発に着手し始めました。
 開発の過程で様々なハードルがあり、彼らはそれを着実に越えていくのですが彼らが開発を終える少し前でソニーがβマックスという形式のビデオデッキを開発し、発表しました。このβというビデオは20代後半くらいの年令の方がぎりぎり本物を眼にしているのではないかというものですが現在のVHSのカセットより一回り小さいビデオテープでした。当時では驚異の1時間録画を実現していて他のメーカーも家庭用デッキはβで決まりという風潮が漂っていました。
 一方、ビデオ事業部では一端は落ち込みはしたもののVHSの開発を続けていました。消費者の要望でもっとも多かった2時間録画を実現しようとしていたのです。そしてついに2時間録画を完成した加賀谷達でしたが通産省は統一規格をβで決定するという方針を打ち出しました。やはりソニーの方が会社としては力を持っていたのです。この辺りが私が覚えている頃はすでに下火になっていたβだっただけに意外でした。
 そして加賀谷達は最後の賭に出ます。大阪は門真の松下電器の工場にいる松下幸之助本人に自分たちのデッキを売り込みに行ったのです。松下が賛同すれば通産省がどう言おうと消費者はVHSを買います。当時の松下電器の力はそれほど大きなものだったのです。
 そこからもまだ苦難があるのですがそれは作品を見て貰ってということにしましょう。とにかく松下幸之助が直接電話をしてきてVHSに決めました、と言うシーンは本当に感激で涙がこぼれます。
 逆境に逆境を乗り越え、そして掴んだ成功。いつも同じ事を言っているような気がしますがたくさんの人が様々な事情を抱えながらも一致団結して何かを成し遂げることのすばらしさ。そして現在世界中のビデオデッキがVHS形式であるというこの事実!それを考えただけでも凄いことですよね。ボクはこういう情熱や努力といったテーマにとても弱いです。今の日本は文化が飽和してきているとは言え、情熱が少し足りませんね。そういうわけでこの映画はとても良かったです。
 
 

セッション9

 ホラー  ★★☆    楽しさ   ☆☆☆
 興奮度  ★☆☆    ストーリー ★☆☆
 ミステリー ★☆☆    見る価値 ★★☆

 廃院となった精神病院で起こる恐怖の物語です。舞台は85年に閉鎖されたアメリカの巨大な精神病院で主人公達はそこのアスベストを除去する業者の人間という設定です。
 アスベスト除去という仕事は危険な上に体力仕事でしかも年々仕事数が減ってきてかなりストレスの溜まる仕事のようです。彼らも例に漏れずストレスをかなり溜めていてはじめから人間関係がぎくしゃくしています。それに加えて精神病院という舞台が彼らにさらなる精神的圧迫を強要しています。
 精神病院というところは昔はかなり非人間的な治療や、扱いをしていたところで、これはいったい何の機械なのだろうという奇妙なものが散乱していたりして普通とは違った恐ろしい雰囲気を持っているものです。やはりそこに入院していた患者も常軌を逸していてしかも酷いことが日々行われていた場所でもあるので精神病院が舞台をいうだけでホラーが作れてしまうみたいなところがあるのでしょう。
 作品ではフィルが地下に降りたときふとしたきっかけでメアリーという患者の診療記録のテープを見付けます。そしてその中でメアリーという多重人格障害の患者を知ることになります。フィルはそれに興味を持って仕事中何度もさぼってテープを聞きに行きます。「セッション」とは診療のことで「9」とは9回目のセッションという意味です。物語はアスベスト除去中に起こる人間関係のトラブルとこのテープを1から聞いていくことで進みます。
 テープではマリアが25年前のクリスマスの出来事を医者に聞かれています。このときに彼女の両親と兄弟が殺されているのです。しかしメアリーは何も覚えていません。しかし王女様とビリーは何かを覚えています。そして話が進んでいくうちにサイモンという人格がすべてを覚えているらしいという話になっていきます。
 医者は何度となくサイモンと話をさせてくれと頼みますがビリーも王女様も怖がって絶対にサイモンを出そうとしません。その間に現実世界ではハンスという従業員が行方不明になります。
 いよいよ終盤、見ている方が何が起こってるのか訳がわからなくなった頃にセッション9のテープが流れます。そこにはサイモンの声が記録されていました。そしてその頃ゴードンは次々と仲間を殺害しています。結局はストレス過多で誰知らず精神病を患ってしまったゴードンが殺人を犯していたという内容だったのですがそれをメアリーの記録共に見せることで恐怖を増しているという感じでした。
 箱書きにこの作品は観ている人に心理的な作用をもたらせます。みたいなことが書いてあったので期待したのですが、その辺は何のことだったのか今ひとつ解りませんでした。ただ、見終わったあとにこの異常なストーリーと結末に背筋が寒くなる思いをしたことは事実です。

突入せよ!「あさま山荘」事件

 ギャグ  ★☆☆    女優の綺麗さ ★☆☆
 興奮度  ★★★    感動      ★★★
 ミステリー ☆☆☆   見る価値    ★★★

 1972年に軽井沢で起こったあさま山荘立てこもり事件のドキュメンタリー映画です。この映画を見るとこの事件がいかに日本にとって大変な出来事であったのかよく解ります。
 この話の大枠はもういらないですよね。赤軍派が軽井沢の「あさま山荘」に山荘の管理人の奥さんを人質にして立てこもった事件です。
 事件の直後、長野県警は警視庁に対して警察犬とライフルの貸し出しを要請します。しかしその時点ですでに長野県警の混乱ぶりは目に余るものがあり後藤田警視庁長官は佐々淳行に指揮を執ってくるように命令します。この佐々淳行が主人公です。当初、長野県警は長野の事件は長野県警が解決する!と息巻いて佐々を認めようとしませんでしたが事件が進行して行くに連れ、段々と県警と警視庁が一丸となっていきます。
 こういう作品を見ると一つの事件を乗り越えるのに本当にたくさんの人が様々な役割を持っていてその役割が一つ一つ重なって成し得たことなのだなあと思います。すべての人が自分の事情を背負っていてそれを切り抜けたからこそ一つの大きな事件を解決できたというのは素晴らしいことです。
 作品の最後を飾るのは有名なクレーンの鉄球攻撃から始まる山荘突入作戦です。これがまた緊張感があって見ている側を引き込みます。犯人が逮捕され、人質が救出されるとその緊張感から解放されたからなのかこちらまでうれしさがこみ上げてきます。はっきり言います。これは良い映画です。日本人の心を揺さぶります。
 この映画で印象に残ったのは佐々が県警との軋轢に悩んでいるときに電話を取るために入った会議室の壁に「鬼手仏心」(きしゅぶっしん)という大きな額が掲げられていたことです。効果的にこの文字を見せようとカメラが何度もこの文字をなぞっていました。鬼手仏心とは手は鬼のように、つまり冷酷に動かさなければならいが心は仏でならなければならない。と言うことらしいです。つまりこの場面では犯人を検挙するためには権力を行使してでも県警を黙らせるべきであるが心までそれに支配されてはならない、と言うところでしょうか。私が聞いたのは病院で患者に注射をするとき刺すと痛いだろうな、と思いながらも刺すときは一気に刺さないと逆に患者は痛い思いをすることになるということでした。
 もう一つ、人質の安否は最後まで解らないのですがその時に県警の電話交換手が呟いた言葉でした。「小雀さん(人質の名前)、もし生きていたとしても本当に解放されることはずっとないんだろうな」そんな感じでした。何百名という警官が突入に参加し、二人が死亡、事件は全国民の注目を浴びている。その状況の中、助かったとしてもこの事件が一生彼女に付きまとうのは間違いがないでしょう。
 とにかくこの映画は一度じっくり見るべきです。

ボーン・コレクター

 ギャグ  ☆☆☆   ミステリー  ★★☆
 ホラー  ★★★   女優の綺麗さ☆☆☆
 セクシー ☆☆☆   見る価値   ★★★
 
 さて、デンゼル・ワシントンのボーン・コレクターです。怖いですねえ。この映画実はR指定になっていてけっこうえげつない映像が満載です。殺害方法も多感な時期の子供に見せるのはどうか、と言うようなものばかりでした。すぐには殺さない、被害者に恐怖と苦痛を最大限にまで強いてから最後に殺す。しかもその殺し方がさらに酷い。これを見てボクは「セブン」を思い出しました。あの映画もすごくえげつない殺し方をする犯人でしたよね。残念ながらセブンの評価はボクのページにはないのですが見る機会があれば一度見てみると良いと思います。今回の評価の説明に入りましょう。まずギャグは0点です。ギャグ的要素は一つもありません。そしてR指定になるくらいですからホラーは満点をつけました。3点では温いですね。見るときは心して見るように。で、セクシーも関係ないですし、女優も別に綺麗ではありませんでした。単に僕の好みとは違うだけですけどね。
 そしてなぜミステリーが2点かというとこの犯人は殺人現場に必ずメッセージを残しています。ですがそのメッセージは素人に解るものではなく警察の鑑識だからこそ発見できる類のものです。つまりは小さな紙切れで年代を調べさせたり、その紙に灯油の匂いを染み込ませることで次の殺人現場が石油に関係のあるところだと示していたりするわけです。そんなん解らへんっちゅうねん。
 話の内容としては主人公のリンカーン・ライムが昔刑事をしていた頃の同僚ともう一人の主人公であるアメリア・ドナヒーを使って猟奇殺人の犯人を追いつめるという内容です。ライムは4年前まで腕利きの刑事でしたが殺人事件の捜査で死体のある瓦礫の中へ入ったとき、上から鉄骨が落ちてきて脊髄神経麻痺を患ってしまいました。現在彼に残された機能は首から上の運動と左手の人差し指が動くのみです。だから彼は事件の捜査を自分ではできないのです。ですが彼は市警にいたころの友人も多く、また彼自身が非常に有能な犯罪学者で現在でもその能力で警察に籍を置いているため犯人の捜査をすることが出来るのです。形としては彼が頭脳となってかつての同僚やアメリアを使い捜査を進めるという形です。まあ、一度見て下さい。ちなみに犯人は「へ?誰こいつ?ああ!そう言えばこんな奴もいたね。」くらいの奴です。