B.B. et Fashion
   ブリジット・バルドーに関連する流行

BBの再来と謳われたクラウディア・シファー。左はBBのイメージで撮影された写真。
BBより10cm以上も背が高く面長、目もやや細め。右は本家のブリジット・バルド-。
共通項の一つ、二人ともお嬢様出身。


ヘアスタイルは女優からモデルへ受け継がれる

90年代の初頭は、良くも悪くもスーパーモデルブームだった。
その代表格に踊り出たのが「GUESS?」の広告で注目を浴びたクラウディア・シファーだ。
広告のコンセプトは昔の映画のワンシーンをイメージしたもので、クラウディアはその容姿で
BBの再現を要求される。彼女がそれらを忠実にこなし、一切拒まなかった理由は
スターな女優でなく、プロのモデルだったからである。


その昔、「レブロン」のCMなどに出てくる外国女性のヘアスタイルは日本女性の髪質では
表現が難しいとされた。チャーリーズ・エンジェルでお馴染みのファラ・フォーセットなどは
日本でも爆発的人気があり、なかでもその顔の周囲から背中まで優雅に波打つヘアスタイルは
日本の女性から人気を得たものだった。レイヤーを多用したヘアスタイルをファラ以来復活させた
のが、スーパーモデルと呼ばれたクラウディア・シファーとシンディ・クロフォードだった。





クラウディアはノンパーマで、トップに近い目元辺りから大胆に段を入れてあるサラサラストレート。
全体的には胸元下まで長さがあり、BBルックを作るためにカーラーで自在に形を作られている。
また、BBの髪質はどちらかと言えば硬くて多くてごわついているが、クラウディアはその反対で
非常にやわらかく手入れの行き届いたさらさらな髪なのだ。




それよりも扱いやすく、カジュアルにもなるのが、シンディ・クロフォードのスタイル。
ボディに軽くパーマはかけてあっても、パーマの質感を毛先に業とらしく出さない事。
さらさらで流れがちゃんと作られてるので、ストレートでありながら動きのあるスタイル。
BBのようなロングスタイルは、ブラシに頼らない事と髪の毛髪の間に空気感を出せたら完璧。



実姉で女優だったフランソワ−ズ・ドルレアックに
コンプレックスを抱いていたカトリーヌ・ドヌーブ。
その姉の悲劇的な死を乗り越えて、女優として開花した。





アン・マーグレットはダンスと歌で10代から活躍。
現在も変わらぬ美貌で映画にドラマに出演している。
日本にも男性ファンが多かった。



ブリジットのポンパドール風、可愛くリボンを扱ったスタイルは昔の日本でも流行した。
和製BBの異名を取った「加賀まり子」「酒井和歌子」「星由里子」などが取り入れた。
上記であげた日本の女優を含み可愛い人がするとより可愛らしく、そうでない人でも周囲の受けがいいという
シンプルなのに不思議な効果をもった素敵なお嬢さんスタイルだ。
逆毛を入れるとボリュームがでるので、アレンジも自由。
アメリカでは若き日の「アン・マーグレット」「キャンディス・バーゲン」なども初期のBBと同じスタイルを取り入れていた。
特にアン・マーグレットはBBに負けないぐらいアイライン派。
ダイナミックなダンスと綺麗なレッグライン、そして猫のような目元で人気を博した。


フランスでは「カトリーヌ・ドヌーブ」がBBのスタイルを取り入れていて、BBよりも上品で際立つ。
彼女の早熟な美貌が出ていた「シェルブールの雨傘」、この劇中のカトリーヌのヘアスタイルの方
がBBよりも印象深く感じるのは、それだけこの映画もカトリーヌもヒットしたからだ。



流行の口紅は新しくもあるが実は懐かしい

90年代のはじめは、どこからともなく若い人たちにBBブームが訪れた。
古い写真を集めた写真集の数々、ヘアメイクの特集、CDアンソロジー・・・。

89年から93年あたりに、「渋谷」系なるものが、流行の発信地扱いだった。
フレンチなリバイバルで「フランス・ギャル」などのCDが馬鹿売れしたり、
「クロディーヌ・ロンジェ」などの旧作のアルバムも新しい感覚で注目を浴びた。
豪華な装飾よりも、ファッションはいたってシンプルなデザインが主流となる。


バブルに浮かれていた時代の女性は男性受けばかり考えて行動したが
これ以降、異性よりも同性の厳しい目線や得にくい肯定を意識するようになる。
「私がこうしたい」と自分を見せるためのエネルギーの放出理由を変えた。

この時のメイクの特徴として、膨らみをもたせ輪郭を描いた唇が前面に出てきた。
日本人の昔からの美意識である「おちょぼ口」から少し脱皮を図った年であった。
とにかく「タラコ唇」とよばれた人は、タラコのような分厚い唇を常に気にしていた。
それを逆手に取り、オバー気味にラインを描くメイク特集が次々に特集されると
「たらこ」は近年本来の食べるだけのものとし、顔のマイナス要素とは言えなくなった。
それまで強かった太い眉毛の存在も、眉毛の薄い人にはやりやすい時期だった。
60年代グラマラスでヌーディな唇に、70年代モードな細眉ブームの到来である。

しかし、元々日本人の多くは凹凸が激しくないので「描きました」といわんばかりの
唇は、、シナモンベージュやシアーベージュなどのいう肌色と同化しやすい色味の
口紅ではチークを入れないと「具合でも悪いの?」「オバQみたいだね」「怖い」と
男性から悪評も入ったのは誠に痛いところである。これ以降極端な細眉は消える。


そのベージュ系リップカラーが似合い、膨らんだ唇をもつのがBBだった。
そのアレンジ例として女性誌でもスーパーモデルやBBのリップメイクを大々的に掲載した
ものも多かった。又、微妙な色合いを生かすためというわけではないが
「落ちない」口紅がメイク直しを軽減するのに女性に珍重されたのである。
女優でマリリン・モンローは、レッド系の口紅がよく映える魅力的な唇を持っていた。
ブリジット・バルドーは、ベージュ系の口紅がよく映える魅惑的な唇を持っていた。


そしてこの両者は若い時は垢抜けない眉毛をしていたが、後年は細眉だった。



マットなクリーム。後期のバルドーはローズの色味をプラスしていた。病的にならないのはプラスマイナスしていたから。



デビューから一貫してグロッシーな赤を塗っていたマリリン。彼女の場合その眼差しとプラスアルファのバランスで魅力があった。

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