Vivien's CINEMA graffiti 5




男たちの大和/YAMATO


長渕剛の主題歌もよかった。 / ★★★★


母のお供で観に行ったのですが、もう初めから泣き始めた母につられて、私も大泣きでした。ご高齢者の比率が高い場内も大泣きモード。一種の集団ヒステリーかもしれませんが、ちょっと大和魂を奮い立たせられた私であります(笑)。

演出には何の衒いもなく、一種のベタというべきかもしれませんが、題材がやはり興味深いですね。NHKの歴史番組で少しは予習もしていたのですが、少年たちが主ということで、涙腺が思い切り緩んでしまいました。

その母たちにも泣かされました。役者さんがまた素晴らしかったです。唯一の少女、蒼井優ちゃんもよかったですね。

「亡国のイージス」は原作を読みたいと思いつつ、結局読まなかったのですが、本作の原作は読んでしまいそうです。

(2005.12.23 梅田ブルク7・1)






亀も空を飛ぶ


今年いちばん痛切だった映画 / ★★★★☆


一週間ほど前に観たのですが、なかなか感想が書けませんでした。内容があまりにも痛切で、見終わったあと、号泣してしまいました。

十年ほど前に、NHKの中国黄土高原の貧困家庭に生まれた子供についてのドキュメンタリー番組を見た時も号泣したのですが、本来、さまざまな可能性に満ちているはずの子どもたちが、外部からの圧力によって、その可能性を閉ざされてしまうということに、強い怒りと悲しみを感じます。

それでも、本作に登場する子どもたちは、みんなとても生き生きとしていましたね。作り手の側もたくましいユーモアを持って、そんな彼らを活写しています。

さらに時折現れる、胸を突くような映画的輝きに満ちたシーン・・・・。

「何ともタフな映画だ」という言葉を思いついて、やっとこの感想を書くことができました。

(2005.12.10 梅田ガーデンシネマ・1)






世界


今年いちばん切実だった映画 / ★★★★☆


アニメの挿入やら、「東京物語」の臆面もない引用やら、今までの禁欲的な作風とは一味違ったジャ・ジャンクー作品。物語の背景も地方から北京へと変わり、その物語世界がいっそう近しく感じられました。本作を観ながら他のいくつかの映画を想起しましたが、いちばん近いのは蔡明亮でしょうか。蔡作品に感じるぎりぎりの孤独感、それが本作にも漂っているように思います。

「北京にいながら世界一周」。しかし、その世界はエッフェル塔もマンハッタンもミニチュアのテーマパーク。地方から夢を抱いて都会に出てきた若者たち。その嘘の世界に閉じ込められた若者たちの苦い青春。今まで、ジャ・ジャンクーの作品で泣いたという記憶はないのですが、今回は共感するところが多々あり、思わず涙のシーンもありました。

何より好きだったのはタオ姐さんのパーソナリティ。言葉が通じないアンナとの友情など、思い出しても泣けてきます。ニュウとウェイの恋の顛末、事故で死んで行く二姑娘など、サイドストーリーも興味深かったです。

長回しと大胆な省略とジャンプ、その語り口にも魅せられました。登場人物とともに驚いたり、悲しんだり、今年、いちばん切実な作品でした。

あっ、「憂鬱な楽園」を思い出させる林強の音楽もよかった。

PS 陳昇作詞作曲の「為愛痴狂」(歌唱・劉若英)が挿入歌として使われていました。

(2005.11.29 テアトル梅田・2)






ALWAYS 三丁目の夕日


開巻から涙・・・・。 / ★★★★


私の隣に座っていた四十代ぐらいのご夫婦、映画が終わるや「ベタやなあ」「ベタベタや、ほな帰ろか」。人の好みはそれぞれですから、まあ、いいんですけど、自分が面白くないからといって、上映中の私語やメールのチェックはやめてくださいね。私は泣いたり笑ったりに忙しくて、それほど気にならなかったのですが、鈴木オートの親父さんみたいな人がいたら、怒られていたところですよ(笑)。

確かにベタなんですけど、わたくし的には題材がまさにツボで、ゴム飛行機や駄菓子屋の「スカ」からすでに画面が滲んでしまいました。懐かしかったですねえ。観ている間はノスタルジーにどっぷり浸ってしまいましたが、後から思い返すと、どなたかもおっしゃっていたように、これはファンタジーなんだと思いました。ファンタジーだからこその温かさや心地よさ、存分に楽しめばよい映画なんだと思います。

それぞれのエピソードも心に響きました。いちばん好きだったのは小雪さんの指輪。女気(おんなぎ)を感じました。こんな言葉はないかもしれませんが、男気の女版ということで・・・・。自分でも言ってみたいです、あんなセリフ(笑)。

子役も含めて、俳優さんが適材適所、みんな素晴らしかったですね。淳之介クンには思い切り泣かせていただきました。薬師丸ひろ子のお母さんもよかったな。

笑いどころも一杯ありましたが、わたくし的にいちばん受けたのは茶川さんの「ロシア文学も読んでないくせに」。私も「罪と罰」ぐらいしか読んでないので、そう言われると辛いのですが、そういう悪態つける時代って、やっぱ、何かいいじゃないですか(笑)。で、その映画バージョンを考えている今日この頃。「『スターウォーズ』の第一作、映画館で観てないくせに」(これは私です)、「タルコフスキーの映画で、いつも寝てしまうくせに」(これは友達)、「ヴィスコンティの映画で熱出したくせに」(これも私、苦笑)・・・・。

(2005.11.23 ナビオTOHOプレックス・1)






親切なクムジャさん


現実と虚構、どちらが恐い? / ★★★★


この二、三日、テレビのニュースを騒がせていた某一級建築士の顔が、チェ・ミンシクに重なってしまいました。倫理観や道徳観のタガが外れてしまった人間が、映画の中だけでなく現実に存在するということが、本作以上に恐かったです。

映画は虚構ですから、その中でどんなことが起こっても不思議ではないし、その表現方法も多種多様。わたくし的にはパク・チャヌクのハードな作風、決して嫌いではありません。バイオレンスの中にはさまれるユーモアも大好きだし、扇情的な映像や音楽も気持ちよかったりします(笑)。

要するに、私は本作をエンタメとしても楽しんだ口なのですが、後半の展開は予想外でした。最後の審判を下す人間もまた、審判を下される存在となる・・・・。人が無垢でいることがきわめて不可能な、そんな時代を生きている哀しみが、ラストに凝縮されているような気がしました。

(2005.11.19 動物園シネフェスタ・2)






TAKESHIS’


他人には勧めませんが・・・ / ★★★★


巷では、「3−4X10月」と「みんな〜やってるか!」を合わせたような作品と評されていますが、確かにその通りですね。しかし、この二作を単品で観たときに感じた戸惑いや不満、本作には感じませんでした。

訳が分からなくなるようなストーリーもゆるーいお笑いも、けっこう楽しんでしまいました。あまり考えずに流れに身を任すのがコツかもしれません(笑)。やたら出てくる岸本加世子やゾマホンには思わず笑ってしまうし、少年女形の踊りや「ヨイトマケの唄」から始まるダンス・シーンにはワクワク。

どこからどこまでがコンビニ店員の妄想なのか、あるいはそれはスターの妄想なのか、とにかく北野武の脳内妄想爆発に付き合っているうちに、いったい自分は何者なのか、という根源的な疑問さえ感じられてくるのでした。そのような疑問さえ無化するような海辺の新体操、安らぎと哀しみが共存していて、思わず涙が出そうになりました。

久々に北野武らしい作品を観たと思いました。でも私のベストスリー、「ソナチネ」「あの夏、いちばん静かな海。」「キッズ・リターン」を越えるものではなかったかと・・・・。次作にさらに期待したいと思います。

(2005.11.5 梅田ピカデリー・3)






春の雪


時が過ぎるにつれて、余韻が深く・・・ / ★★★★


『豊饒の海』四部作は読んだことがあるのですが、何せ数十年前なので、ストーリーの概略しか覚えてはいません。しかし『春の雪』はまさに「巻を措くあたわず」といった感じで、読み耽ったことをはっきりと記憶しています。で、妻夫木聡と竹内結子は少しイメージが違うのでは、と観るつもりはなかったのですが、撮影が李屏賓と知って観に行きました。

光と影、雨や雪、映像がやはり素晴らしかったですね。特に中盤の逢い引きのシークェンスには魅せられてしまいました。竹内結子の情感、妻夫木聡の心理、主演のふたりも大健闘で、少しも違和感はなかったです。美術や衣裳も特筆ものでした。

清顕に対する好悪で、作品の評価も左右されそうですが、手に入れられないものだから追い求めるという清顕の行動を、時代や境遇に対する抵抗であると考えれば、共感できなくはありません。さらに、それを至高の愛への殉教と捉えれば、感動するところもあります。それに巻き込まれた聡子からすれば、悲劇であったということも可能ですが、しかし、聡子も実は究極の甘美さを味わっていたのではないか・・・・。何か、うっとりしている私なのであります(笑)。

現実にはありえない物語であるからこそ、魅了されたような気がします。その度合いは、原作を読んだ時ほど深くはなかったかもしれませんが、映画化としては成功しているのではないでしょうか。

(2005.10.29 三番街シネマ・1)






アバウト・ラブ/関於愛


about 異文化コミュニケーション / ★★★★


NOVAがスポンサーになってもいいような(笑)、使用する言語が異なる男の子と女の子の出逢いを描いた本作。三話形式のオムニバスということで、深度はありませんが、既定の言葉では定義できないような、微妙な想いをスケッチ風に描いて、しゃれた短編集のような仕上がりになっています。中国語学習者の私には共感するところも多々あって、とても楽しめました。

俳優さんも個性派ぞろい。わたくし的にはメイビス・ファンと加瀬亮の台北カップルがいちばんのお気に入りでした。お話も小林聡美的にチャーミングなアスーとお人好し鉄ちゃんの巻き起こす、コメディ風味でありながら最後は胸キュンの台北篇がいちばん好きでした。

東京篇のアーティストと漫画家志望の留学生の出逢いは、ちょっと絵空事の感もありましたが、逆に東京という街には似合っていたような気もします。絵や漫画や写真もとても素敵でした。

上海篇は他の方も言われるように、もっとさらっと終わった方が余韻が深かったかも・・・・。でも、女の子がとても綺麗でしたね。塚本高史クンはけっこう好きな人なんですが、今回はちょっと・・・・。あっ、あの雑貨屋のある横町、とても風情がありましたね。特に火ともし頃、一瞬しか映らなかったのが残念でした。

ところで、台北篇のあの海辺の沖合いに見えていたのは亀山島だと思うのですが、数年前の年末にあのあたりをウロウロしていたことがあって、ちょっと懐かしくなりました。毎日雨だったので、とうとうあの島影を見ることはなかったのですが・・・・。上海は行ったことがないし、東京ももう長い間行ってないので、台北篇がいちばん親しみがありました。そのため共感度も大きかったのかもしれませんね。

(2005.10.15 動物園シネフェスタ・3)






ベルベット・レイン


続けて二回観てしまいました。 / ★★★★☆


王家衛の第一作「今すぐ抱きしめたい」を彷彿とさせる恐ろしいほどスタイリッシュな香港黒社会もの。「今すぐ〜」で共演したアンディ・ラウとジャッキー・チュンが再度共演しているのですが、そのキャラやふたりの関係が「今すぐ〜」に似ているんですよね。うーん、もしかしたらオマージュですか。

スタイリッシュなだけじゃなく、映画の構造が斬新でした。似たようなものならあったかもしれないけれど、これと同じものは見たことがないという感じです。うーん、やったね!

俳優陣も素晴らしかったです。もう、私の好きな人ばっかり(笑)。でも、いちばん好きなのはアンディかな。昔はジャッキー・チュンの方が好きだったんですけど。エディソン君とショーン君も良かったですよね。どっちかというと明るいエディソン君の方が好きなんですけど、今回はショーン君の方が良かったかも。って、私は何をグダグダおしゃべりしているんでしょう。ちょっと興奮してます。すみません(笑)。

新人監督ということで、気合入りまくりです。いろんなことやってます。ここは余計かなと思うところもあったのですが、それはさておき・・・・(笑)。特筆したいのはラブシーンですね。突然、情感が溢れ出すという感じなんですよ。シビレましたわ。女優さん(林苑)も素敵でした。

とにかく大型新人の渾身作、観ておいて損はないです。香港映画ファンは今すぐ映画館へ走れ!!

PS1 チンピラの意地と純情って、好きやわあ(まだ興奮してますね、笑)。

PS2 陳昇の「把悲傷留給自己」が挿入曲として使われていました。残念ながら歌っているのは林苑なのですが、これがなかなかムードがあったんですよ。上記の「突然、情感が溢れ出す」と感じたのは、この曲のせいだったかも・・・・。

(2005.10.10 シネ・リーブル梅田・1)






セブンソード


素手でも強いドニー・イエン / ★★★★


開巻部分、誰がどうしたからどうなった、という過程がよく分からないままに、頭や手足がごーろごろ。「久しぶりのツイ・ハーク、大丈夫かあ?」とちょっと心配になりましたが杞憂でした。画面に色がついてからは(色がつく瞬間は息を呑みました)、美しい映像に引き込まれ、二時間半も全然長くなかったです。

雄大な中国の大地を駆ける馬、馬上の剣士たち、もう、この画面だけでもワクワク。さらに迫力のあるアクションシーンと、わたくし的にはけっこう楽しめました。クライマックスの一対一の剣戟には、拳を握りながら身を乗り出したりして・・・・。

それにしても、ドニー・イエンが韓国語をしゃべるとは思わなかったなあ。彼と高麗美女とのロマンスは、エピソード的には興味深いですけれども、不要という気がしないでもありません。ここを削って、もっと七剣の由来や、七剣士の方にスポットを当ててほしかったと、不満は残るのですが、久しぶりに「血沸き肉踊る活劇」を観たという感じです。

川井憲次の音楽も活劇感を強調していて良かったと思います。作品的に期待ハズレで感想を書き込まなかった「南極日誌」の音楽も、壮大で素晴らしかったことを、ここで書き添えておきます。

PS 敵の親玉がすごかったですよね。風火連城という名前からしてすごいじゃないですか(笑)。この人の馬には鹿の角がついてましたよね。どうなっているのかちゃんと見たかったんですけど、分からないうちに映画が終わってしまいました。もう一度、観に行ってしまいそう・・・・(笑)。

(2005.10.8 梅田ブルク7・5)






四月の雪


ため息が切なかった。 / ★★★★


ホ・ジノ監督らしく感情の描写が繊細で、ほとんど起伏のない展開ながら、引き込まれました。特殊な状況における恋ですが、説得力はありましたね。ただ前二作ほどには共感しませんでした。全編にわたって、登場人物がほとんどふたりだけというのも、ちょっと残念でした。

ホ・ジノ作品における「おばあさん」がとても好きなので、そういう魅力的なキャラクターに欠けていることが、寂しかったんですね。

(2005.10.1 ナビオTOHOプレックス・3)






シンデレラマン


ユーモアに満ちた「男の世界」 / ★★★★☆


大恐慌の時代を生きたひとりの誠実な男。この家族思いの男はボクサーだった。一度は挫折したボクサーの復活への軌跡を、何の衒いもなく描き出す正統派の大作。撮影や編集も素晴らしく、2時間24分の長尺ながら、すっかり引き込まれて涙々、最後には胸が熱くなりました。

ボクサーを演じるラッセル・クロウが最高。もともと好きな人なので、ホントにたまりませんでした。マネジャーを演じるポール・ジアマッティ、私は初めて見ましたが、この人も素晴らしかったです。このふたりの、常にユーモアを忘れないやり取りは、見ているだけでも幸せでした。

苦しい生活を送っていても、ボクシングの試合で金を稼げるから自分は恵まれている。骨折のためにそれもできなくなり、力仕事にありつきながらのその日暮らし。そのおかげで、もう片方の手にパンチ力がついた。これを「幸運」と呼ぶアイリッシュ魂・・・・、もうホレボレするような「男の世界」でした。

(2005.9.28 梅田ブルク7・6)






運命じゃない人


ラストが惜しい。 / ★★★★


カンヌで四冠ということで、前情報なしに観ましたが、面白かったですねえ。三分の一が終わったところで、「ああ、オムニバス形式の奇人変人伝なのね」と思ったら、「あれれ、そういうことなの」と快く予想を裏切られ、三分の二が終わったところで、「ええっ、まだやるの」と唖然としました。何よりも、この着想が抜群でしたね。

俳優陣も私には馴染みのない人ばかりで新鮮でした。それにみなさん、とっても個性的で楽しかったです。質屋さんとか、ウェイターとか、運転手とか、脇の人にも笑わせていただきました。とにかく全編、笑いっぱなしという愉快な映画でした。

ところで、三分の一のあたりで隣の女性が大泣きしてたのですが、あそこは泣き所だったんでしょうか。私はといえば、笑っていたような気がするのですが、ちょっとその大泣きにビックリしてしまって、記憶が定かではありません(笑)。

欲をいうと、ラストをもう少し盛り上げてほしかったです。

(2005.9.21 梅田ガーデンシネマ・2)






頭文字D THE MOVIE


よい子のみんなはマネしないように(笑)。 / ★★★★☆


土曜日の夕方の回を観たのですが、観客の大半はガキンチョとヤングカップル、おばさんは私をふくめて四人。原作の漫画は見たことも聞いたこともないし、ドリフトの何たるかも知らない私。「何で観に来たの?」と言われそうですが、最近は香港映画の公開本数が少ないですからねえ。何でも観てしまうんですよ。と、そんな香港映画ファンの私には、カーアクション半分、コメディ半分の本作、なかなか楽しめました。

やっぱり香港映画は役者さんがいいですね。中でもアンソニー・ウォンのダメ親父ぶりが最高でした。開巻の「嘘やろ」的描写からして、もうニコニコ。息子を演じるジェイ・チョウは、写真だけだと「何でこの人が主役なの?」と思ったのですが、いゃあ、悪くなかったです。何か言われたら、とりあえず「うん」と答えて、そのあとゆっくり考える(もしかしたら、考えてないのかも)ようなヌーボーとしたキャラがピッタリでした(但し演技はヘタです。保証します。笑)。この父子の情愛が、まるで昔のホームドラマのようで和みます。対するケニー・ビーとチャプマン・トゥのGS父子には大笑い。あまりにもベタですが、そのベタさが、もーっ、たまらん(笑)のでした。みんな少しずつおバカさん、でもバカな男がもつ可愛さにも、思わずニコニコなのでした。

しかし、背景は日本なのに演じるのは中華系の人たち、何とも奇妙な感覚でした。映像や音楽にも日本趣味が混じっていたりして、おかしかったですよね。わたくし的には、闇に浮かび上がるお地蔵さんがインパクトありました。豆腐屋の鴨居に掛かる浮世絵には思わず微笑。今時、そんなん飾ってる家、あるかいな(笑)。しかし、この豆腐屋の美術はなかなか面白かったですよ。もっとじっくり見たかったな。

私は字幕版を観たのですが、一ヶ所、日本語がそのまま使われている場面があったりして、これも遊び心なのでしょうか。編集も画面分割やらストップモーションやら駆使されていて、映画全体がまるで漫画といった感じ。こんなヘンな映画・・・・、私は大好きです(笑)。

(2005.9.24 動物園シネフェスタ・1)






メゾン・ド・ヒミコ


人生いろいろ / ★★★★☆


白いスーツと雪駄で踊るオダギリジョーが魅力全開。ファンでもないのに、思わずうっとりでした。って、やっぱりファンなのか(笑)。今年は出ずっぱりのオダジョーですが、役柄としては、このゲイがいちばんピッタリ。そのうえ、とてもやりがいのある役だったようで、「ノッてるオダジョー」って感じでした。

柴咲コウもさすがというか、最初のジト目から心和む微笑みまで、その表情の移ろいに魅了されました。

難役をこなす田中泯もとても魅力的でしたね。あの口調で「じゃ、言わせてもらうけど・・・・」に続くセリフ、泣けました。

と、さながら主演三人の演技合戦といった趣きもありましたが、脇の俳優陣も含めて、アンサンブルがとてもよかったと思います。少し非現実的な物語なのに、泣いたり笑ったり、すっかり引き込まれてしまいました。

白髪じじぃフェチの私は、元教師の人が素敵だなあと思っていたのですが、彼の口から語られる苦い昔話に思わず苦笑。人それぞれですね。いろんな人生、いろんな人間、そんな何もかもを包み込んでくれる、人肌の温かさ。

可笑しくて、哀しくて、切なくて、愛おしい・・・・。

(2005.9.14 梅田ガーデンシネマ・1)






チャーリーとチョコレート工場


必殺お仕置き人! / ★★★★☆


『ビッグ・フィッシュ』は期待はずれ。『シザーハンズ』は別格として、それ以外のバートン作品では『マーズ・アタック!』がいちばん好きという私、もちろん本作も、大、大、大好き! でした。

ウンパ・ルンパの『水着の女王』で「笑いのたが」がはずれ、ニコニコを通り越して、客席で身もだえしながら笑い死に寸前。次はどの子が、どんな方法で、お仕置きされるのかなあ、どんなミュージカルシーンが見られるのかなあ、とワクワクしながら、超奇っ怪な、でも可愛いような気もする(笑)バートン・ワールド、堪能させていただきました。

あ〜っ、楽しかった。

(2005.9.14 梅田ピカデリー・1)






サヨナラCOLOR


恋は水色 / ★★★★


追憶の恋と現在進行形の愛、死者と死者を悼む生者の物語を、わざとらしい演出で見せる竹中作品。しかし時折、挿入される空と海の風景がそのあざとさを中和してプラマイ・ゼロ。何とも個性的な作品に仕上がり、とても楽しめました。

終盤近くに現れる、限りなく無色に近い水色の空に、何か不思議な安らぎを覚え、「生もよし、死もまたよし」という気持ちになりました。

俳優陣もアクセントの強い演技で、しかし、それぞれの役柄にはまっていたと思います。その中で原田知世の透明感がひときわ引き立ったような・・・・。ただ、あの主役はもう少しあっさりした人でもよかったかな(笑)、と思います。芸達者な竹中直人でなければ、演じ切れなかったかもしれませんが・・・・。

(2005.9.7 第七芸術劇場)






美しい夏キリシマ


秀作でした。 / ★★★★☆


公開時には見逃した本作、アンコール上映されていたので、観に行きました。予告編を観たら、急に観たくなったのです。『父と暮らせば』で好きになった原田芳雄が出ていることも、理由のひとつでした。

戦争を背景にした群像劇。それぞれの役がやや類型化されているきらいもありますが、その分、戦争から受けた心の傷が理解しやすく、共感するところが多々ありました。広島、長崎への原爆投下から終戦、そして、そのあとのひとりぼっちの戦争まで、自分もこの村の一員になったかのように、心を乱され、胸を打たれました。

思い出せば、「ワーッ」と声をあげたくなるような自責の念。他人から見ればささいな出来事かもしれないけれど、本人にとっては忘れることのできない、痛切な胸の痛みが刻印されているようで粛然となりました。

音楽、撮影も印象に残ります。ランプが灯された室内、昼でも薄暗い竹林、そして夜の沼など、陰影に富んだ映像に心を魅かれました。さらにワイドスクリーンに展がる霧島連峰と青い空。その美しい風景を見ながら、私の痛みはさらに強まって行くのでした。

俳優陣も好演。登場人物の中では、中島ひろ子の演じた役がいちばん好きでした。いわば流されるままの人生において、自然に湧き出ずる情に導かれ、小さな幸福を紡ぎ出す・・・・。

(2005.9.7 OS劇場C・A・P)






亡国のイージス


原作未読の普通の映画ファンです。 / ★★★☆


阪本作品の中では「顔」と「ぼくんち」が好きなのですが、本作と同系統と思われる「KT」は観ていません。

つまり、それほど好きじゃないジャンルの作品だったのですが、ハラハラドキドキしながらけっこう楽しめました。傑作とは思わないけど、娯楽映画としては、わたくし的には及第点でした。

俳優陣が頑張ってましたね。「ちょっと暗いから嫌い」と思っていた真田広之、今回、好きになりました。如月を演じる新人さんもとても良かったです。あの目の光に魅せられました。

原作は未読です。確かに原作が読みたくなる作品でした。

(2005.8.10 TOHOシネマズ高槻・8)






妖怪大戦争


何とも楽しい妖怪祭 / ★★★★


当初の鑑賞予定リストには入っていなかったのですが、そういえば昔、『ゲゲゲの鬼太郎』いつも見てたなあとか、『帝都物語』も全巻読破したっけとか、懐かしい過去を思い出して観に行きました。正解でしたわ。いゃあ、面白かったですねえ。デジタル感とアナログ感の混ざり具合が絶妙で、思わずニコニコ。このCG全盛時代に着ぐるみかあ! って、その意気に感激。そのうえ、バカバカしいのも嫌いじゃない方なので、大爆笑させていただき、暑気払いにはもってこいでした。

というわけで、前情報なしで観たので豪華な俳優陣にびっくり(最後のタイトルロールでね)。近藤正臣も阿部サダヲも分からなかったよお。もう一度、最初から見たいよお(笑)。

いろんな妖怪を見てるだけでも楽しかったのですが、特に「妖怪祭」にはアナーキーな活力まで感じられて、一瞬、感動してしまいました。今年の映画でいうなら、「弥次さん喜多さんのお伊勢参り」よりこっちの「妖怪たちの東京参り」の方が断然好き!(単に年齢のせいか、笑)。

他に好きだったのは、おじいちゃん、お姉ちゃん、そして○○のために勇気百倍の神木クン。とっても可愛かったスネカジリ、じゃなくてスネコスリ(私も一匹欲しいです)。川姫さまの太股、じゃなくて太股も露わなアギのファッション。敵ながら超カッコよかった。栗山千明はやはり只者じゃない。川姫さまも素敵でしたね。特にその目に魅せられました。

関西居住者なので、大阪ネタは無条件にうれしいです。コケにされてるような気もしないではないが、『宇宙戦争』の大阪よりはこっちの方が実感大でした(笑)。

PS 小豆洗いは夢路いとしさんかと思ってた。

(2005.8.17 梅田ピカデリー・1)






リンダ リンダ リンダ


東京以外の関東って、なぜか懐かしい。 / ★★★★☆


『子猫をお願い』の「底抜けにいい人」がとても印象的だったペ・ドゥナ。その延長のキャラといった本作でも、とてもキュートで、中盤からあと、彼女の高揚がビンビン胸に響いて涙々でした。

日本の女子高生たちもよかったですよ。鬱屈や不機嫌、そして友情・・・・うん、うんとうなずきながら、無性に懐かしくなりました。

時にじれったさ一歩手前まで行くことも、なきにしもあらずだったのですが、あーら、不思議、ラストはやっぱり盛り上がってしまいました。感涙でした。

屋上の留年生、包帯した同級生、備品室の男、顧問の先生など、脇のキャラも含めて、みんなとても愛おしかったです。

文化祭ムービーかあ、いいなあ。おばさんも胸キュンキュンなのでした。

(2005.8.6 動物園シネフェスタ・3)






星になった少年


原石の輝き / ★★★★


演技者としては未だ原石の感が拭えない柳楽クン。しかし、その存在感の輝きにはやはり圧倒されます。「誰も知らない」からぐーんと成長した柳楽クンは未だ成長の途上。私はこれからもその軌跡をずっと見守り続けたいと思います。

というわけで、演技しているのか素なのか、判然としない柳楽クンに評価は分かれるかもしれませんが、私はこの役にはこれで合っていたと思います。作品的にも及第点、特にタイのパートはよかったと思うのですが。

私も母と観に行ったのですが、ふたりとも、大笑いの大泣きで、とても素直な観客であったかと思います。まわりの皆様には若干うるさかったかも・・・・。すいませんでした(笑)。

ひつこいようですが、どこから撮っても絵になる柳楽クン、稀有の素材だと思います。特に右側後方から撮った横顔が、わたくし的には最高でした。

(2005.7.28 三番街シネマ・1)








ダニー・ザ・ドッグ


人それぞれ / ★★★☆


観ている間は気にならなかったものの、あとから思い返すと笑ってしまう設定が多々ありましたね。でも、週刊誌の星取表風にいえば、まあ「料金の価値はあり」。

精神的には子供というダニーを演じるジェット・リーが、なかなかのハマリ役でとてもチャーミングでした。ケーリー・コンドンという女優さんも、それに負けず劣らずチャーミング。このふたりが醸し出す温かさが琴線に触れました。ジェット・リーのアクションはもちろん素晴らしかったし、グラスゴーの落ち着いた街並みも新鮮。

余談ですが、アクションシーンになるとトイレに立つおばさんがいました。二人連れだったのですが、ひとりは「1対4の死闘」のシーンで、もうひとりはクライマックス(!)で。私の二列前だったのでちょっと目障りでした。出入りは機敏にお願いします(笑)。

人それぞれではありますが、それにしても、ジェット・リーのアクションを見逃すなんて・・・・(絶句)。

(2005.7.20 梅田ピカデリー・3)






マイ・ボス マイ・ヒーロー


「セーラー服と機関銃」裏バージョン / ★★★★


先週に続いて韓流シネマ・フェスティバル。女子高生がヤクザになるというのは薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」でしたが、本作はヤクザが高校生になるというストーリー。「学のない男にはソウルのシマは任せられない」と大ボスに命じられて、三十歳を越えたヤクザが年齢を二十歳と偽って高校に編入。ヤクザ世界とイマドキの高校生とのカルチャーギャップに大笑い。しかし、仁義に篤く礼儀を重んじるヤクザが、卒業証書のために同級生のイジメに耐えに耐えたあと、教師(塩見三省みたいなおっちゃん)をコケにするその悪ガキに、ついにキレてしまうところなどは胸が熱くなりました。

いってみれば、直球のコメディ。しかし「タナカヒロシのすべて」、「イン・ザ・プール」とあまり笑えない邦画のコメディが続いたあとでは、「こういうのもいいんじゃない」という気になります。出来そこないの変化球よりは、ド真ん中の直球の方が断然爽快! というよい見本でした。

「木浦は港だ」同様、俳優さんがいいんです。主演のチョン・ジュノは童顔のハンサムさん(二十歳には見えないけどさ、笑)。英語教師(演じる女優さんは「木浦は港だ」でもヤクザに恋されてました)に恋する若頭、顔はイカツイけれど、やることなすこと可愛くて好きだったわ。あと塚本高史によく似たシスターボーイとか、泣き顔が漫画みたいな女の子とか、面白かったですよ。

PS1 併映はパク・チャヌク脚本、チャン・ドンゴン主演、中国ロケの「アナーキスト」で、実はこっちが本命だったのですが・・・・。まあ、悪くはないのですが、どこかで観たようなシーンがいっぱいあって・・・・。特に日本人要人を暗殺するシーンは「男たちの挽歌」のパクリ。くわえ煙草で料亭の廊下を駆け抜け、ジャンプしながら銃を撃つチョウ・ユンファ・・・・じゃなくてチャン・ドンゴン。おまけに始まって40分ぐらいのところでチャン・ドンゴンは死んでしまうんです。そのあと双子の弟が出てくるのを待っていたのですが・・・・(笑)。でも、俳優陣はなかなかよかった。「マイ・ボス マイ・ヒーロー」のチョン・ジュノも出てるし、イ・ボムスという個性派がいい味出してましたよ。

PS2 今、思い出したのですが「木浦は港だ」で、「縄張り」のことを「ナワバリ」と発音していたように思います。台湾と同じように、韓国にも日本語がそのまま残っているのでしょうか。

(2005.7.13 ホクテン座・1)




チョン・ジュノ(右)





受取人不明


聖と俗、美と残酷 / ★★★★☆


朝鮮戦争の傷跡がいまだ癒えない70年代、心に傷を抱えて生きる若者たちの青春物語。米軍基地のある町で暮らす黒人との混血児の若者、貧しく非力な若者、そして小さい頃に兄の悪戯によって片目を失った少女。この主演の三人がとても良かったです。特に俗性と聖性をあわせ持つ少女が素晴らしく、「サマリア」のふたりを彷彿とさせました。

かなり残酷で猥雑なところ(犬の交尾のシーン!)もある作品ですが、映像はとても美しく、クライマックスの雪の降るシーンが忘れられません。隣の女性は大泣きしてましたが、不思議と私は泣きませんでした。悲痛ではあるけれども、そこに到る過程に感動していたのでしょう。若者ふたりの友情や、若者の少女への憧憬、さらには父や母の子供に対する愛情など、残酷さに満ちた世界からキム・ギドクは温かさをすくい取ります。

題名は、混血児の母が夫である帰国した米兵にあてて出す手紙が、「受取人不明」とスタンプを押され返送されてくることに由来します。過去に縛られているこの母に代表される出口なしの人々。日常は先の見えない繰り返しの連続。その中で、結果はどうであれ、自分の行く道を自らの意思で選択しようとした三人に心を打たれました。

PS1 「サマリア」でも使われていた「ジムノペディ」がこの映画でも流れます。三人の片目が行進するシーン(観てない人には意味不明ですね、ごめんなさい)。場内に思わず笑いが漏れていましたが、残酷の中のユーモア、何ともいえない味わいでした。ところでこの曲、ウォンビン主演の「マイ・ブラザー」でも流れていましたが、もしかして韓国人の一番好きなクラシック!?

PS2 ホクテン座の韓流シマネ・フェスティバルということで二本立て。併映は「木浦は港だ」という作品。ソウルの刑事が木浦(モッポ)という地方都市のヤクザ組織に潜入するというストーリーなのですが、実はドタバタコメディ。シモネタ満載で場内は大受け、かくいう私もけっこう笑いましたが、ウンチネタはカンベンしてほしかった。主役のふたりが魅力的で、脇役も愛嬌のある人たちばかり。ヤクザの親分が「八月のクリスマス」に涙を流す映画マニアという設定もグッドでした。しかしキム・ギドク作品とドタバタコメディ、首をひねってしまうカップリングですが、「受取人不明」で犬肉を売る男と潜入刑事が同じ俳優なのでした。犬を叩き殺す男とバカやってる刑事、とても同じ人とは思えませんでした。うーむ、演技派! あなどれませんよ。

(2005.7.5 ホクテン座・1)






PTU


コメディ風味のハードボイルド / ★★★★☆


ジョニー・トーのいいところは上映時間が短いこと。一時間半を切る作品で、しかし、並の大作を越える充実感を味わえるのだから、すごいですね。

めちゃくちゃカッコよかった「ザ・ミッション/非情の掟」とは少しテイストが異なるものの、やはりクールでスタイリッシュなハードボイルド(でも、時々笑えるんです)。発端となる出来事から二転三転、どんどん転がって行くストーリーに唖然! 怒涛のクライマックスから大団円へというエンディングに呆然! そして、ユーモアとバイオレンスを効かせながら、錯綜するストーリーを巧みに捌く切れ味のよさに陶然! いゃあ、「技ありっ、一本!」なのでした。

俳優陣も好演です。ちょっと男性度が強すぎて好きじゃなかったサイモン・ヤム、今回はシビレました。やることなすことトンチキのラム・シュー、「非情の掟」に続いていい味出してます。その他、チンピラからボスまで、街から本物を引っ張って来たのかと思わせる(笑)、適材適所の脇役陣。

香港の夜、その光と闇を蠱惑的に捉えた撮影も特筆ものです(雨のシーンも美しかったですね)。ただ私の好みからすると、音楽がちょっとうるさかったような・・・・。

PS 警官たちの溜まり場、中国氷室ってどんなお店なのでしょう? カキ氷屋のような屋号ですが、PTUの隊員が食べていたのは麺類。そして女性隊員のオーダーは、確かレモンコーヒー(!?)。うーむ、謎の中国氷室(笑)。

(2005.6.25 シネ・ヌーヴォ)






美しい夜、残酷な朝


THREE/悪夢 / ★★★


アジアの監督三人によるオムニバスの第二弾。第一弾の「THREE/臨死」は第三話のピーター・チャン篇がダントツでしたが、本作でも第三話のパク・チャヌク篇がいちばん面白かったです。「嫉妬」というきわめて今日的な主題を、バイオレンスとユーモアで描く。今回はユーモアの比重が大きくて、シーンと静まり返った場内で、笑いをこらえるのに苦労しました(笑)。また、主演の三人の演技も素晴らしく、なかなか見応えがありました。

静謐な雪景色が印象に残る三池崇史篇は長谷川京子が綺麗。特にキーイメージとなる○○○にくるまれた京子さんはドキッとするほど美しかったです。ただ、肝心の演技が一本調子で、意図されていた(と思われる)切なさにまで到らなかったのが残念。

問題はフルーツ・チャン。個人的には「花火降る夏」がとても好きだったのですが、彼の作品には時々、生理的な嫌悪感を覚えるシーンがあるのが玉に瑕。それが今回は、ストーリー自体からして何とも気持ち悪いもので・・・・。これが最後だったら、途中で退出していたかも・・・・。

というわけで、平均点は60点です。

(2005.6.11 ナビオTOHOプレックス・3)






ウィスキー


ラスト以外は好きだった。 / ★★★☆


あのラスト、私は「えっ、これで終わりなの?」と、唖然としてしまいました。何か、狐につままれたような気分で、マルタのその後を鑑みる余裕もなく、それを考え始めたのは、翌日になってからでした(笑)。

ラスト以外は、観ている間も楽しかったんです。無口なニセ夫婦と、陽気さの裏に屈託を秘めた男の、何気ないやりとりに込められた愛と含蓄、そして、そこから生まれるそこはかとないユーモア。

マルタがエルマンに「逆さ言葉」を披露する海辺のシーンが大好きでした。ひとりで煙草を吸う姿がやけにハードボイルド(!?)な中年女が、突然輝きだす瞬間に、思わず微笑。そこにハコボがカメラを提げて登場。このタイミングが何とも絶妙で破顔一笑。季節はずれのリゾート地、ちょっとうらさびしい風景の中で、何とも愛おしい三人なのでした。

(2005.5.21 テアトル梅田・1)






オペレッタ狸御殿


オー、ファンタスティック! by 外人さん / ★★★★☆


桜満開、老いてなお、遊び心満開の清順さん! いゃあ、楽しかったですねえ。全編、頬がゆるみっぱなしでした。

美術、衣裳、撮影、みんな素晴らしかったです。とにかく映像が綺麗。CGの多用にはちょっと辟易していた私も、この映画のような使い方なら納得です。絵のように美しい世界で展開されるお伽話。さらに歌あり、踊りあり、思わず一緒に歌いだしたくなる楽しさでした。

ラップあり、ソウルあり、ハワイアンもありの音楽がまたいいんですよ。帰りに思わずサントラ盤買ってしまいました。まるで昭和歌謡の名曲のような「恋する炭酸水」が特にお気に入りです。

俳優陣も好演。平幹二朗、薬師丸ひろ子は、××さんがおっしゃる通りでした。なぞのお局、でも、声は涼やかなんです。薬師丸ひろ子、好きやわあ。由紀さおりはさすがに歌がうまい。日本語ラップがキマッてたし、ドラマチックな「びるぜん婆々のマイウェイ」には不覚にも涙してしまいました。特別出演の美空ひばりも言い忘れてはなりませぬ。手を合わせて拝みたくなるようなお姿、これぞCGの醍醐味でした(笑)。

鈴木清順が狸御殿、おまけに主演はチャン・ツィイー。初めて知った時にはどんな珍作になるのかと危ぶんだのですが、だんだん、「いや何かすごく面白そう」と期待がふくらんだ本作。その期待を決して裏切らない、キュートでラブリーでキッチュでビューティフル、珍にして快な傑作でした。

歌詞を全部覚えてから、もう一度観に行くつもり。今度は一緒に歌っちゃおう(笑)。

(2005.5.28 梅田ピカデリー・3)

チャン・ツィイーの歌う歌を訳しました。→「歌える訳詞






サマリア


聖少女 / ★★★★☆


上映が終わり場内が明るくなってから、一拍おいて猛烈な切なさに襲われ、トイレにこもって泣きました。元々、涙もろい方ではあるのですが、「トイレにおこもり」は久々でした(笑)。

何がそんなに切なかったのでしょうか? 自分でも少し謎なのですが、やはり主演のふたりの少女が大きな理由のようです。罪を犯してはいても、透明感をたたえた無垢な存在。どこか非現実的なふたりは、今の時代を生きる哀しみを体現しているように思えました。

物語自体も非現実的で、リアリズムで観るべき作品ではないと思います。しかし、そこに登場する人々の感情は実にリアル。中年男の幸福感や恥の感覚、あるいは父親の狂気じみた怒りなど、どれもが切実に伝わってきます。特に印象に残ったのは海苔巻を作っている父親の穏やかな表情。そのあとの展開は予想外でしたが、ラストにはいくらかの希望が示されていたのではないでしょうか。

(2005.5.18 梅田ガーデンシネマ・1)






コーヒー&シガレッツ


近頃では珍しい宣伝通りの映画でした。 / ★★★★


観終わって、もちろんコーヒーを飲みに行きました。ちょっとお腹も空いていたので、某ドーナッツ・チェーン店(笑)。雰囲気は問題外ですが、コーヒーをお代わりできるので、けっこう愛用しています。煙草も吸いたい気分でしたが、ずーっと昔にやめたのが残念。

一本の映画としては過去の作品に及ばないと思いますが(個人的には「ダウン・バイ・ロー」が大好きでした。開巻の部分にワクワク)、なかなか雰囲気があって、さすがジャームッシュ。これだけいろんなお友達がいるのも、さすがジャームッシュ。何気ない会話にクスクス、ニヤニヤ、何とも心和みます。至福まで感じられるかどうかは、人それぞれだと思いますが、「リラックスムービー」という宣伝文句は嘘ではなかった。

11話ともみんな面白かったし、俳優さんもみんな素敵でした。特に好きだったのは、スティーブ・ブシェミのエルビスの話。連れが帰ってからジュークボックスをチェックするトム・ウェイツ。座ってるだけで素敵なルネ。与太ってるほうのケイト。それから、最後のじじい二人には、なぜか涙が出そうになりました。

(2005.5.14 テアトル梅田・1)






甘い人生


イ・ビョンホン初体験 / ★★★★


韓流アイドルには興味がなくて、キム・ジウン作品として観に行ったのですが、タイトルバックで唸りました。イ・ビョンホンが、カッ、カッコよすぎる!(笑)。

既視感のある場面も多かったのですが、スタイリッシュな映像や凝った構図が美しく、独特のムードに魅せられました。流れる血の量が多すぎる気はしましたが、過激なバイオレンス・シーンも嫌いじゃない私には見応えがあったりして・・・・。

物語に説得力がないという意見が多いようですが、私は主人公にけっこう感情移入してしまって、「そりゃ、復讐の鬼と化すわな」とか「理由をはっきり聞かせてやれよ」とか、心の中でぶつぶつ独り言を(笑)。というわけで、当然、ラストは涙でした。

ソヌの揺れる心とボスの嫉妬が物語の鍵、小娘ひとりにこの騒ぎ、男ってヤツは・・・・(苦笑)。

(2005.5.7 動物園シネフェスタ・1)








愛の神、エロス


泣いた、笑った、首をひねった。 / ★★★★


王家衛の第一話に参りました。「2046」でも扱っていた「満たされない愛」という主題をさらに凝縮して、ほとんどエッセンスだけを取り出したような濃密な物語。息をつめて見守りながら、最後には切なさに涙があふれました。ノスタルジックな美術や音楽、画面全体が涙でぬれているような撮影、さらに繊細なチャイナドレスに陶然・・・・。短いけれど本当に贅沢な作品、堪能いたしました。三十分で女の一生を見せるコン・リー、さすがですねえ。さらに「2046」ではほとんど出番のなかったチャン・チェンが、男の至高の愛を体現して、見事、リベンジを果たしました。

ソダーバーグの第二話は、コメディ風味でちょっと意表をつかれます。個人的にはロバート・ダウニーJr とアラン・アーキンが懐かしかったです。といっても、観ている間は誰だか分からなくて、「うーむ、どっかで見た顔だぞ」なんて思っていたのですが(笑)。ふたりの表情が何とも可笑しくて、心の中でクスクス。大声で笑うような可笑しさじゃなくて、どこかくすぐられてるような感じなんですね。オチがまた可笑しかったです。夢の中ぐらい、妄想全開にしろよお、なんて思いました(笑)。

アントニオーニの第三話は、何が言いたいのか、よく分かりませんでした。すいません。でも、風景は素晴らしかったです。自然がテーマらしいので、それでよしとしよう。

第一話だけだったら、迷わず90点。王家衛ファンは必見です。

(2005.5.4 梅田ガーデンシネマ・1)






Shall we ダンス?


老眼鏡をかけたR・ギアが可愛かった。 / ★★★★


これといった不満があるわけじゃないけれど、何かモヤモヤしている中年男の心情に共感し、中盤あたりは涙々。日本版から十年、こちらが年齢を重ねた分、共感度が強まったという感じです。しかしラスト、何もかもがアメリカ特有のカップル文化に収束してゆく部分で、ちよっと気持ちが冷めてしまいました。でも、ダンスシーンにはワクワクしたし、笑わせ泣かせるコメディ映画の王道といった感じで、大いに楽しめました。

俳優さんが日本版を踏襲しているところが面白いですね。草村礼子が演じるダンスの先生が大好きだったのですが、本作の先生も二重丸です。しかしヒロインは断然、草刈民代が好みですね。清楚な彼女あっての日本版で、本作は若干感触が異なりますが、何もかも同じにするならリメイクの意味もなくなるわけで・・・・。

PS スーザン・サランドンの胸の谷間が目に焼きついて離れません。アメリカでは、普通の女性でもあんな服を着るのでしょうか。ジャパニーズギャルの下着ルックも顰蹙ものですが、これもちょっとなあ・・・・(笑)。

(2005.5.1 ナビオTOHOプレックス・1)






インファナル・アフェアV 終極無間


生は永遠の煉獄 / ★★★★


第一作で無間地獄に足を踏み入れたラウのその後を描く本作ですから、爽快な映画になるわけもなく、また第二作が非常に好みだったので、それほど期待はしていなかったのですが、練りに練られた作品という印象で唸りました。うーむ、そう来たか!

アンディ・ラウの放つ悪の輝きに魅せられた第一作(悪いヤツほど魅力的!?)でしたが、善への回帰を希求するあまり、精神的に自滅してゆく本作でも、アンディは素晴らしい演技を見せます。また子犬のような微笑で第一作とは異なる魅力を見せるトニー・レオン。さらにレオン・ライ、チェン・ダオミンを加え、陰影に満ちた男の世界が切なく描き出されています。陶酔感に幻惑された第二作と比べると、第一作、第三作とも少し評価が下がるのですが、これほどテイストの異なる三作を連打した本シリーズ、傑作と呼ぶにやぶさかではありません。

誰が味方で誰が敵なのかも定かではなく、さらには自分自身でさえ何者なのかを見失ってゆく過酷な世界で、時に紡ぎ出される男たちの絆が心に残るフィルム・ノワール、そんな温かさとはついに無縁だった男の孤独に胸を突かれました。

(2005.4.30 動物園シネフェスタ・3)






阿修羅城の瞳


噂のふたりに陶然 / ★★★☆


(原作となった舞台は観ていないので、一般論としてですが)お芝居だと、たとえば装置ひとつで、そこが魔界であることを納得させることも可能ですが、映画では、それを実写で見せて納得させなければならないわけで、大変だったことは想像できるのですが、やはり不発の感は免れません。この映画に限らず、CGというのはつくづく両刃の剣だなと思います。

というわけで、不満は残るのですが、それを補って余りあるのが主演のふたり。宮沢りえがとにかく美しい。「トニー滝谷」では、りえちゃんの足に見惚れましたが、今回はアップが多くて、大きなスクリーンに映し出される顔、特にその瞳に魅了されました。さらにさらに、染五郎さんがまた素敵なんですよね。「水もしたたるいい男」って本当にいるんだなあ、と驚いてしまいました(笑)。殺陣もキレがあって素晴らしかったですね。クライマックスのチャンバラシーンにはワクワクしました。

私は宮沢りえのファンなので、実はりえちゃんを観に行ったのですが、お土産までいただいたような、得した気分で劇場をあとにしました(笑)。

(2005.4.23 梅田ピカデリー・2)






大統領の理髪師


家族の肖像 / ★★★★☆


今年上半期いちばん楽しみにしていた映画です。ソン・ガンホとムン・ソリと可愛い坊やの「家族の肖像」を見かけるたびにニコニコしてしまって・・・・。

ただ、内容は全然知らずに観たので、ちょっと驚きました。笑いと涙で描く韓国現代史ですか。面白いですねえ。その着想が新鮮で興味深かったです。それがまた成功してるんですね。ちょっと今までにないタイプの韓国映画、とても処女作とは思えない作品だと思いました。

ソン・ガンホとムン・ソリはやはり素晴らしいですね。父の愛、母の愛、どこか懐かしい親子の情景でした。そして息子がまた素晴らしいんですよ。観ているだけで、もうニコニコしてしまう顔なんですよ。それがあんなことになっちゃって・・・・。

足取り軽く駈けながら、ボディーブローを喰らわせ、そして最後は至福の高みへと誘ってくれる。可笑しくて、怖くて、哀しくて、温かい、傑作です。

(2005.4.9 シネリーブル梅田・1)








アビエイター


雲を追う男 / ★★★★☆


三時間近いこの大作を楽しめるかどうかは、ハワード・ヒューズに共感できるかどうかにかかっているのでしょうか。私の場合、ヒューズが「オークランドへ」と叫んだ瞬間、この男に恋をしてしまい、そのあとはずっとワクワクしっ放しでした(笑)。

ある意味では、男の中の男ではないかと・・・・。映画を撮るとなると、自分でカメラを回し、危険なテスト飛行の操縦桿も自ら握る。絶対、燃料のことなんか忘れるに決まってる、と内心思っていたら、やっぱり忘れてしまう・・・・(笑)。このあたりの我を忘れるほどの集中力も、ある意味、感動的ではないでしょうか。夢のために死ねたら本望だ、ってか(笑)。

清潔恐怖症の部分も含めて、正常の域を越えている人間の、だからこその魅力をたっぷり見せていただいた気がします。

レオ様をはじめとして、俳優陣も好演(個人的にはイアン・ホルムがいちばん好きだった。和みます)、ハリウッドの黄金時代を再現した美術や衣裳、ちょっと懐かしい感じのするカメラも素晴らしかったし、私にとっては、人間性を描いた娯楽大作といった感じで、映画を観る楽しみを満喫させていただきました。

PS ホリエモンに言及してる方が多いですが、ちょっと志が違うような気が・・・・。私は世代的に角川春樹を連想しました。昔、好きだったんです。大言壮語して自分を鼓舞するところが、実に男らしいなと・・・・(笑)。

(2005.4.2 梅田ブルク7・6)






香港国際警察 NEW POLICE STORY


made in 香港 / ★★★★☆


おじさんパワー全開に涙、NG集を眺めながら思わず「ご苦労さん」と呟いてしまいました。

年齢の差はお肌に如実に出るものですね。ピッカピッカの若者軍団に囲まれて、今回のジャッキー、しょぼくれ男が真に迫り過ぎ(笑)。その原因となった前半の死闘はマジでゾーッとしました。ありそでなさそ、でも、なさそでありそな設定ではありませんか(よい子のみんなはマネしないよーに、笑)。

しかし、後半の敗者復活戦は愉快! 痛快! あったかい! で三重丸。警察署一丸となっての応援戦も、ありそでなさそな設定ですが、香港だったらあるかも・・・・、という気にもなって、これには思わずニコニコ、最後の方はマジで泣き笑いしていた私です。

ハリウッド進出以降は観たり観なかったり、本作も少し迷っていたのですが、観に行って正解、久々の爽快感でした。

若手も頑張ってましたね。クールビューティー、お調子者、癒し系、いろんなタイプが揃っていた中で、私のお気に入りはティンティン(名前、合ってますか?)。カンフー対決の相手だった人です。いゃあ、なかなか身体の動きがよかったわ。

(2005.3.30 ナビオTOHOプレックス・7)






故郷の香り


王権の失墜、あるいは放棄 / ★★★☆


美しい風景を堪能しながらも、物語の方はいまひとつかなと思っていたんですけど、観終わった時にはヒロインに胸を打たれていました。

村でいちばん美しい少女の運命が、ひとつの事故のために一変してしまう。外側から見れば、憐憫の対象ともなるべき出来事・・・・。事実、主人公はそんな少女を捨て去った自分の後ろめたさをくどいぐらいに物語ります。しかし、そこにあるのはどこまでも自分勝手な自己正当化で、最後のセリフには笑ってしまいました。あんた、ひとりでいい気になってるんじゃないわよと(笑)。

けれども、その憐憫の対象たるヒロインは、実は王権を失墜したのではなく、自ら放棄したといえるのではないでしょうか。待つだけの人生とは異なる生き方を、自分で選び取ったのではないでしょうか。「破鍋に綴蓋」は決して自嘲の言葉ではなく、ヒロインの「私はここで充分に幸せなの」という決意表明だった。そう了解した私は、その潔さに胸を打たれたのでした。

(2005.3.26 テアトル梅田・1)






火火


喝! / ★★★★☆


詳しくは書けませんが、ラストが秀逸! 泣き笑いしながら、「ああ、生きるということはこういうことやな」と、強く共感しました。

演技的には、妥協を許さない生き方を、大らかなユーモアを交えて演じ切った田中裕子に脱帽! 池脇千鶴や黒沢あすかの一途さや凛々しさも素晴らしかったです。

そんな強い女たちに囲まれて、オタオタしている窪塚俊介クンがまたよかったですね。普通の男が、死を前にして見せる強さ、弱さに共感しました。

とにかく、「一生懸命に生きる」ということに喝を入れられた思いです。

(2005.3.3 ガーデンシネマ・1)






理由


107の顔 / ★★★★☆


まず、ほとんど原作通りであることに驚きました。そして、原作を読んだときの感動と、映画を見たときの感動が、ほぼ等しいことにまた驚きました。さすが、大林さんですね(余談ですが、我が家ではずっと昔から、大林監督は大林さんと呼ばれています。愛と敬意をこめて・・・・)。

バブルの頃の足が地についていないような感覚や、殺人事件でさえ情報として消費してしまう時代のもつ危うさ。しかし、それでもやはり確固として存在する人の想い。それらが原作から的確に抽出されていたと思います。その中でも特に、人の想いが温かく描き出されていたことが、大林さんらしくて、とてもよかったですよね。

しかし当然のことながら、小説と映画には違いがあります。いちばん大きな違いは「顔」でしょうか。登場人物のひとりひとりが具体的な顔を持って動き出す、これは映画版での大きなお楽しみでした。さらに特別出演といった感じの立川談志と永六輔には、思わず掛け声をかけたくなりました。「いょお、名人芸!」。

脱線しました(笑)。話を元に戻すと、私はてっきり石田直澄を演じるのは柄本明だと思っていました。勝野洋とは意外。でも勝野洋の、あの生真面目な顔が見せた哀しみに深く共感しました。これを代表例として、その他の役者さんも適材適所に配され、とても面白かったです。

大林版「理由」、私は傑作だと思います。

(2005.2.11 動物園シネフェスタ・2)






犬猫


これからはスローライフですね。 / ★★★★


観ているあいだ、小さな共感に満たされて、頬がゆるみっぱなしでした。時々、ほんの小さな笑い声も立てたりしながら・・・・。

仲が良いのか、悪いのか、ふたりの女友達の距離感が絶妙。模倣と反復から生み出される、小さなさざなみ、小さな幸福・・・・。

ふたりの女優さんがとてもチャーミングでした。むかーし、昔、伊藤蘭みたいになりたいと思ったことがありましたが、今、私が二十歳ぐらいだったら、スズちゃん(藤田陽子)みたいになりたいと思うかも・・・・。でも、現実にはヨーコ(榎本加奈子)タイプだったりして(笑)。

春先の日差しや微風をとらえた撮影にも、幸福感を覚えました。

でも、いちばん好きだったのはふたりの暮らしぶり。あんな風にのんびり(だらだら)と暮らしてみたいものです(笑)。

(2005.2.5 テアトル梅田・2)






カンフーハッスル


バカやってんじゃないよ〜 / ★★★★


今年の映画初めはカンフーコメディ。実はこのジャンル、大好きなもので、期待大で臨みましたが、個性派ぞろいのおじさん、おばさんが、次から次へとトテツもない技を見せてくれるのが、とても楽しかったですね。それに主役のチャウ・シンチーは見た目もいいし(けっこうタイプ、笑)、それがあれだけバカやってくれるんだから、もうニコニコです。

いちばん笑ったのはナイフと蛇のシーン。思い出すだけで、「バカやってんじゃないよ〜」と心の中でBGMが鳴り始めます(笑)。

ただ、CGの多用は減点です。ラストあたりはなかなか良かったと思うのですが、中盤あたりではちょっと引いてしまいました。本当にカンフーの出来る役者さんを使っているようなので、もっと手作りに徹してくれたら、反って、もっと途方もない、もっと大らかな作品になったのでは・・・・。しかし、映画の中の大真面目が、観てる側からすると、ちょっと限界超えてますというあたり、「少林サッカー」同様、何とも最高でしたわ(笑)。

最後は香港映画らしくきっちり泣かせてくれるし、お正月気分で観るにはぴったりの映画でした。

PS お子様映画でもないのに、どうして吹替版上映館の方が多いのでしょうか。香港映画はやはり、あのかしましい広東語で観なければ気分が出ないじゃあ〜りませんか(笑)。なもんで、あまり好きじゃない映画館で観なければならなかったのが、わたくし的には残念でした。

(2005.1.8 梅田ピカデリー・3)





星取表点数

★★★★★ 100点
★★★★☆  90点
★★★★    80点

以下略




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