何か一つでよい、月に一つ職場を改善しよう

 

正法眼蔵随聞録の中の言葉ですが、「竹の声に道を悟り、桃の花に心を明らむ」というのがあります。智閑和尚が庭の掃除をしている時に、瓦のかけらが竹にあたってその音によって悟りを得たというお話と、志勤禅師がまわりに咲き乱れた桃の花を眼にして悟りを開いたというお話です。

 花はそれこそ毎年毎年咲くのですが、それを見た人が誰でも悟りを開くものでしょうか。掃除をして竹に物が当ってすべての人がこれだと悟りの境地を見い出すものでしょうか。ただ、長い間、禅の修行をしている者だけが、道を極めていこうと志していた者だけがはっと思いをいたすのです。けっして、竹のせいでも花のおかげでもないのです。

 これは私たちがある情報に接した時にも同じことがいえると思います。心の中で真剣に求めている人だけが、ある情報から素晴らしいヒントを語りかけてもらえるのです。他人には何でもないちょっとした情報であっても、本人にとっては宝物のような情報として、その後のその人の生きざまを開くことにもなるのです。

 

私どもの職場でも一月一実行運動と称して、何か月に一つでよいから、自分の持ち場を良くすることを工夫して院長に報告しなさいということを各職場のリーダー達に課していますが、まさにこの「竹の声に道を悟ってほしい、桃の花に心を明けてほしい」という望みをリーダー達に託しているからです。リーダーたちは自分の職場を良くしようという意欲がなければいけません。意欲がない人がリーダーになってはいけません。意欲があるかどうかは結果で示さなければなりません。結果が出るような強い意欲が必要なのです。結果を出すことによってリーダー達は自信を得て、仕事の本当の喜びを知ることができるのだと信じています。

 みなさん、身近かな何でもないと思われる所にこそ、あなたの幸せ(喜び)が転がっているのですよ。喜びを実現するために常に、貴方の周囲を良くしようという意志を持続してください。