実行報告をしない若者たち

これも、ある会社であったお話。係長が新入社員A君に書類を他部署に届けるように頼んだ。A君、勢いよく「はい」と答えて、部屋を出て行った。しばらくして職場にもどったが、何も言わずに他の自分の仕事を始めてしまった。係長は少し心配になって、あの書類は間違い無く届けたかどうかA君を呼んで正した。A君はけげんな顔で、「でも、係長は私が書類を届けに出ていったのを御覧になったじゃありませんか」と答えた。

 企業の活動はチームワークである。チームワークは意思疎通から成り立っている。上司は仕事を円滑にやるために部下に命令をくだす。部下はその命令を滞りなく実行しなければならない。そして、その命令を果たしたかどうか報告しなければいけない。これを実行報告という。これが分からない若者が多い。

 少し仕事ができる若手幹部によく見られるのだが、良い上司とは勝手にいろいろやらせてくれる上司であると錯覚して、独断専攻し事後報告ですませようとする若者がいる。これはちょっと違うのだがなあ。まかせるとは、何をやっているかすべて知って、思うようにやってみなさいとまかせる度量の大きさを言うのです。知らずしてまかせるというのは、上司の努めを放棄したにも等しいのです。

 

組織において部下は上司に対して報告の義務があります。上司は知らなかったではすまされないのです。病院の医療事故において必ず院長が世間やマスコミを相手におわびを入れていますが、院長は自分が医療事故をおこしたのではないのだから、お詫びする必要はないのではないと思われる方がいらっしゃるでしょうか。それでは世間が許しません。知らなかったではすまされないのが院長の職なのです。院長には管理責任があるのです。報告を常に受けて医療事故が起こらないように運営することを世間から期待されているのです。

 今すぐ、貴方の上司に報告、連絡、相談をしましょう。