■はじめに■
 マンションの一括受電はH28年4月からの電力の自由化によって急速に拡大しています。
 一括受電方式は色々ありますが、大きく分けて新電力会社との間で契約する場合と
管理組合が主体となる場合に分けられます。
 新電力会社を選択した場合では、当初の設置費用、検針請求費用は新電力会社が負担します。
但し、一旦契約すると20年間は解約できません。解約する場合には多大な違約金が発生します。
 新電力会社のメリットは会社によって違いはありますが、共有部分の電気料金の50%削減を
提案していますが、共用部分と専有部分両方に振り分けて削減を提案する場合もありますが、
メリットは後述にあるとおりマンション全体の5%前後です。
 一方の管理組合が主体となる場合には、初期の設置費用や検針・請求作業は管理組合の負担と
なります。殆どのマンションは管理会社が管理費等や水道使用料の検針請求作業を行っておりますが、
一括受電に対応していない管理会社も多くあります。
 私が管理するマンションにてH28年度に一括受電に切り替えた際に、某管理会社では関電の
請求システムを作成するスキルがなく外部発注した際の見積りをみてびっくりしました。
 そこで、以前から当社が使用している電気料金の計算システムを改良し、Excel_管理ナビの
応用編として、マンションの管理員が電気メータの「検針・入力」することで、電気料金の請求が
出来るシステムを製作しました。
 このナビは水道料金と違って、毎月変動する電気料金単価を各電力会社のHPで確認し、当該月の
電気料金を正確に計算することが出来る様になっています。
 
■管理組合の一括受電のメリット■
 管理組合での一括受電を始めるにあたって、管理組合の役員各位の1年間の電気料金を
提出してもらって、これを平均化してマンション全体の電気料金のシュミレーションを作成しました。
上記の新電力会社の場合のメリットは全体の5%前後しかありませんが、管理会社が主体となった場合は、
30%~35%のメリットがあります。
初期の設置費用は2~4年で回収できます。
 私が管理するマンションの場合には、専有部分(入居者)の電気代を当該月の電力会社の電気料金に
対して5%割引とし、残りを管理組合の修繕積立金に繰り入れることとしました。
これによって、入居者全員からの協力を得ることが出来ました。
一括受電は入居者全員(100%)からの電力会社への解約届と管理組合への電力申込書が必要なため、
手続きをスムーズに進めるため、どうしても必要な提案でありました。
規約改正(75%)や建替え決議の(80%)よりハードルが高いのです。
これは新電力会社の選択でも同様ですので住民説明会などにより、広報を続けていくことが
肝要かと思います。
 昨年、5年毎の長期修繕計画を作成しましたが、現状のままでは30年後には、約1億8000万の
修繕積立金が不足するので管理会社から修繕積立金を1.8倍とする増額提案がありましたが、
この一括受電収入を加味して長期修繕計画を見直したところ、30年後には約1億4千万円の剰余金が
発生することが分かりました。
どこのマンションでも修繕積立金が不足していますが、この一括受電はマンションの正に救世主と
いえます。
 
■システムの概要■
 電気料金の種類は、主に共用部分と専有部分に分かれますが、専有部分は電灯A料金となり、
共用部分の照明関係は電灯B料金となります。また、店舗等の冷蔵設備やEV・給水ポンプ等の
場合は低圧料金の3種類となります。
電灯B料金と低圧料金はデマンド方式で年間の最大使用KWによって基本契約Kwで算出されますが、
マンションの一括受電化ではデマンド方式は不可能であるため、それぞれの最終の関電との
契約Kw数での計算となります。
 また、マンションの一括受電化によって共用部分の電灯B料金とEV等の低圧料金の精算は
不要となりますので、計算業務は専有部分内での電灯A料金と店舗等の低圧料金の2種類の
計算となります。
 尚、電力会社の電気料金単価は毎月変動します。特に、燃料調整費と省エネ賦課金は大きく
変動しますので計算業務に当たっては注意が必要です。入居者も毎月変動しますので、この両者の
組み合わせにおいて管理する必要があります。

■作業の方法■
Excel_一括受電ナビにおいて
1.検針票シートを印刷して検針作業を行います。
  この検針票は前回検針値が入力されていますので、間違えることなく検針作業が行えます。
2.起動する際に、別の組合員名簿が整備されていればこのファイルから住戸番号を比較して
  入居者名を自動的に読み込むことも可能です。
  その後、マクロで電気料金シートへ移動して開きます。
  各電気料金の項目をクリックすると電気会社の電気料金のホームページが表示されますので、
  今月の料金単価を入力します。
3.次に、電気メータ入力シートに移動後、検針データを入力する。
4.契約内容シートに移動して「このファイルを保存する」マクロを実行して終了します。
  分かりやすいデーター名で保存をアシストするマクロです。
  以上で終了します。
5.必要なファイルを開いて、必要に応じて明細書等を印刷する。
  作業は以上です。
 
■住民説明会等のサポート■
 各マンションによっては、規模や戸数が違いますので、完全受注生産となります。
また、全国の電力会社の料金体系も違いますので、各電力会社がホームページ上で料金単価を
公表している場合に限られます。また、下記の「Excel_一括受電ナビ」は実際に大阪市内の
マンションで使用しているものでシステムの参照として下さい。
また、マンションによって状況等が違いますので、当方での一括受電に関するシミュレーション等の
資料作成や資料等を役員説明会や住民説明会などにおいてサポートすることも可能です。
 
■マンション管理士としての本音■
 私は個人的には管理会社や新電力会社からの呪縛を取り払い、自分たちの財産は自分たちで
管理する意志を持ってマンション管理にあたることが肝要かと思います。
自分たちの財産を利益団体の管理会社に丸投げで預けていることが修繕積立金不足に
つながっていることを是非、ご理解して下さい。
 私の居住するマンションも入居間まもないのですが、過去35年年間すべての修繕工事は
管理会社への随意契約でした。
 総会承認された工事金額自体が相場より高いのは、これは競争入札を予想して上限を
高く予想した金額で実際での実施見積もりでないのです。
 万一、入札の結果この金額以上だと、再度総会をして承認を必要としているからです。
そして総会承認がされると、この上限の予算での修繕工事を管理会社がとってしまうのです。
 私が管理者となってから、競争入札を実施し、地元の業者複数社を集めて工事説明会を実施し、
入札を行った結果、管理会社では入札できなかった。管理会社が総会提案した金額の6~8割での
入札となりました。なかには5割で入札したものもありました。
管理会社は多額な修繕工事で利益を得ています。修繕積立金が貯まってくると決まって修繕工事を
持ちかけてきます。この構造自体を是非理解する必要があります。
 但し、管理会社の業務も管理組合にとって必要なことも事実ですので適度な関係を構築する必要が
あります。
 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(通称は適正化法)には管理組合・区分所有者は適正に
管理するようにとの義務規定があります。また、管理会社との契約において、管理会社が善意無過失で
あっても管理組合は3カ月前の書面の通告によって随時解約が可能となっています。
管理会社は定期に変更する勇気を持って他社との見積りをとることなどの対処が必要かと考えます。
 
■免責事項■
 本ナビにつきましては、計算の正確性については万全を期していますが、利用者が本ナビを
利用して行った行為について作成者は何らの責任を負うものではありません。
計算結果が違う場合や不具合があった場合には、メールを頂ければ速やかに対応致します。
 
■著作権■
本システムはHG綜合コンサルタンツが著作権を有し類似・模造・その他著作権を害することは
厳禁します。
また、本システムは定期的に保守管理を行いますので必要な場合にはユーザー登録をお願いします。

■ダウンロード■
 ※現在電気料金システムのダウンロードは出来ません。マンションによって戸数、規模等の違いから
  個別で受注しています。サンプル等は配布しますのでメールを下さい。
  また、関電の料金システムには完全に対応しておりますが、他の地域の料金システムに対応で
  きるかどうかは検討を要します。



◆Excel_一括受電ナビ(準備中)
◆Vectorからダウンロード(準備中) 
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