しかしうっかりしたことを言うと旅の途中で難癖を吹っかけられ、拘留されたりする危険もある。ここは我慢の子となったが、タシクルガン(Taxikurgan)迄の長かったこと。降り際に英語で抗議したが、「英語は話さない」と、英語で答えたのであった!まあ何はともあれ、入国事務所前でタクシーを降り、運転手に「ご苦労様」と声掛けする。中国の官憲はにこりともしないが、比較的スムースに通関出来てほっとする。しかしKKHでの不通事件と官憲の横暴で、到着予定時間を大幅に超過したので、中国側のロビーに待つはずの中国人ガイドの姿が見えない「これは如何したら良いのだろうか?

如何せん、咄嗟には妙案が浮かばない。事務所の人間も言葉が通じない。電話があっても役に立たない。

ここで先ほどのフランス人ガイドを見かけたので、思い切って窮状を話してみる。彼女が事情を了解し、直ぐに連絡してくれた。漸く連絡がとれた中国のガイドは張さんという女性。運転手は李さん。スキンヘッドの方であった。
 艱難辛苦を乗り越え漸く辿り着いた喜びで、その夜は久方ぶりにビールで乾杯した。なんせパキスタンではアルコール飲料は一切ありませんから、ずっと禁酒でした。

この後もハプニングが我々を襲う。峠を下ると数ヶ所に国境警備の関門があるが、そこで他の車両ともどもタクシーは長時間止めらてしまった。

唖然とする間もなく、公安官憲が運転手との押し問答の末、我々の了解もなく勝手に、我々の車に乗り込んでくるではないか!

流石に後席は遠慮するように(運転手に)言われたのか?前席に運転手を含めて3人乗り込んだ。言葉は全く通じない。しかも彼らは我々の方を見ようともしない。国境警備の軍人はどうも、通行する車を一方的に(権力をカサに来て)無断で徴発しているようだ。とんでもない話である。いっぺんで中国が嫌いになる。パキスタンの良い印象があるだけに、この落差は大きい。

峠道にかかると、今までの比較的直線に近い道路が九十九折となり、周囲が開け緑が出てくると、そこがフンジュラブ峠であった。

高度4500mである。富士山頂よりずっと高い。ここがパミール高原の入り口と思うと、とっても感激します。それにしても出発前に富士山頂で幕営訓練したのが効果があったのか、あるいはまた徐々に高度を上げたのが良かったのか?息苦しさは余り感じない。欧米の若者達はこの峠を自転車で越えてゆく!!

中国側は平坦な緑の草原です。感激のあまりタクシーを降りても、決して走ってはいけません。息が切れます。

この峠には記念碑以外には何もなく、我々の行った時には中国の官憲も不在でした。我々の友人は此処で露骨に賄賂を要求されたと言っていた。

しかし代替のタクシーも、順調に進んだわけではなかった。峠までもなかなかの難路であるが、まず途中でいきなりのパンク!路肩でタイヤ交換。砂塵を撒き散らしながら、脇を高速でバスやトラックが通り過ぎる。

新疆、ウイグル自治区の旅(そのA)