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エベレスト街道でのトレッカーのSpO2とその危険値 この際には高度順応の可否の判断は、平均値より2σ以下から改善しないケースを(後述の)AMS発症の危険群と考えて対処したようです。 |
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1)医療の現場での大まかな指標は、SpO2 90%、75%がPaO2 60%、40%の相当するようです。95%以下では、直接測定のSaO2、PaO2と対比させて評価する必要があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||
それではPaO2とSpO2はどのような関係にあるのでしょうか?この両者は直線的でなく非直線関係(S字型)を示します。血液のpH(酸素イオン濃度)、温度およびPCO2に依存する、有名なBohr曲線(右図)で示されます。通常PCO2上昇ないしpH低下、温度上昇で右方に、逆の変化は左方へ移動します。 SpO2が50%時のPO2値は通常26〜28 Torrですが、これをP50(T50あるいはP1/2)といい、酸素解離曲線の左右への移動、言い換えればHbのO2親和性を表現するものとして使われます。繰り返しになりますが、高度4000mでSpO2は80%、7300mで 50%の低値2)です。高所では気温も低下しますし、当然体温もやや低下します。高所でのAMSの発症予防の為には、深い呼吸法(詳しくは後述)が勧められています。そうなるとPCO2はやや低下しpHもアルカリ側に傾くので、解離曲線の左方移動(P50の低下)になることが予想されます。即ち、同程度の酸素分圧で、Hbの酸素飽和度は上昇することになります。これは低酸素状況では有利に働くことになりそうです。 |
![]() 2)医療関係者でこの数値(SpO2=50%)を見れば、 即「酸素投与、気管内挿管、人工呼吸!!」と叫びたくなる数値に違いありません。 |
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そうは言っても5000mの高所では、PaO2,SpO2が各々40Torr、75%くらいに低下するので、これは本来なら人間が生活(ましてや運動は?)できるレベルの酸素状況ではありません。 |
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因みに、国際民間航空機関(ICAO)が定めている国際標準大気(ISA)で、高度と気圧の関係から高度を推定する方法があり、これは一般に高度計の理論的裏付けとなっている。(右図) | |||||||||||||||||||||||||||||
その3に続く |