大台、大杉谷支流、堂倉谷遡行
2006年8月25()〜27日()      同行者:KK,ST、IS,SK(COWAC)
記録
8月25日():

 20:00JR大阪駅桜橋口前集合-阪神高速ー21:20KK宅(pick-up)−22:30大台ケ原ー(幕営)

この沢は初めてであるが、流石、名にしおう大台の明渓は、その前半だけでも十分に素晴らしい渓谷であった。西谷に次いで経験したが、下降してから遡行する沢も後が楽な体験である。
計画案設定時は雨の予想は全くしていなかったが、土曜の夜はかなりの雨に見舞われた。増水する谷の中、遡行を断念し、林道から堂倉小屋に戻った。
良い判断だったと考えている。
 


今回の計画は比較的早い集合時間であるが、KKさん宅までは1時間以上掛かった。
大台ケ原のドライブウエイでは、数多くの動物たちに出会った。殆どが鹿であるが、狸、狐もいる。ヘッドライトに照らされると、身じろぎもしないか或いは車の先を一心に駆けて行く。

紅葉のシーズンにはまだであるが、週末の駐車場は車も多い。
明日の晴れを祈って乾杯。
暫くは宴会だが、
「明日は早いぞ!」
と、決めて就寝。
朝、大台駐車場で
8月26日(土):

4:00起床、朝食ー5:00出発…8:00入渓(堂倉吊橋)…15:00林道橋
 
朝は何とか晴れである。
車を駐車場に停め、日出ケ岳まで登った後、一路下降する。これがなかなか長い。

  大杉谷への尾根道を下降して6時過ぎ堂倉避難小屋へ入る。ここから堂倉吊橋に下る。
急な下りであるが、流石に早い。堂倉吊橋に着くと、男女4人の先行パーティーがいた。

堂倉滝はエメラルド色の大きな釜に流れ落ち、立派で美しい。逆光なのが残念だ。
吊橋から少し登山道を下り、右手の急な踏み跡を尾根上にでる。文献の通りモノレールがある。
堂々と流れ落ちる堂倉滝  
 
少し先のルンゼにはロープがフィックスしてあり、これを下ってから入渓する。
ナメ状の岩盤の水量は、そう多くない。

直ぐ目の前に10mの幅広滝と、その奥の30m滝が行く手を塞ぐ。10mは何とか行けても、30mは無理である。あっさりと左岸を巻く。巻き道はしっかりしている。
ルンゼを下って、渓流を行く,SKさん
この堂倉谷の水は、ある時はコバルトブルー、ある所ではエメラルドグリーンと目まぐるしく変化する。
恐らく、釜の深さと砂などの浮遊物によるのだろう。

「うーむ、あれは何だ。」
10mの滝です。
「これは泳ぎもやむなしか?」
覚悟を決めますが、水際をへっつて滝に取り付けそうです。
中七ツ釜、10mの滝、左を高巻く
堂倉谷は小さな滝と釜が続く美しい谷だ。傾斜こそ緩いが、所々に大きくて深い淵を持った立派な滝を掛け、結構スケールが大きい。金木戸川のミニチュアの感じだ。

ルートを考えながら、どんどん通過してゆく。水に入ると流石に寒く、泳ぎは極力パスして進む。へつりを繰返し通過。

「緊張と弛緩の遡行が楽しいですね!」 
快適に登る
今度は巨岩帯に突入します。
登れそうな岩は頑張って登り、出てくる小滝は弱点を見つけて越えて行きます。

次は10mの斜瀑である。
右側の段々を登るが、次第に急傾斜でつるつるの岩盤となり、最後はフィックスのお世話になって通過する。

「ここも核心部でしたね」
巨石帯を進むく
アザミ谷出合は幕営の適地だが、流石に此処では早すぎる。天候の行方も不明なので、先を急ぐ。


遠くから見ると登れそうに無いところでも近づいてみると意外と登れるし、踏み跡もしっかり付いています。

「ルート取りが楽しいですね!」
美しい岩盤の上にコバルトブルーの水が流れる
奥七つ釜の奇岩は見ものである。
釜を持った連滝と並行して、ナメが広がる不思議な場所である。恐らく岩が水にかき回されて岩を穿ったのだろう。丸く、深い半球状の巨大な釜を見ながら通過する。

ここはKKさんの自宅に飾ってあった写真の地点だ。

最後の15m巾広スラブ滝は右岸の巻き道を登りました。KKさんは直登を試みましたが、最後にお助けロープで巻き道に逃げました。最後はつるつるで傾斜も立っており、いたし方ありません。

奥7ツ釜の奇景
眼前に巨大な堰堤が出てくる。
この堰堤は左脇のかなりの壁を攀じ登り、非常に高度感あるトラバースで越えた。
フィックスが張られていたので、有難く使用させて頂く。
あとで気づいたのだが、樹林帯にしっかりした巻きもあったらしい。
堰堤の上の広河原では、テンバを探しながら先を進む。

漸く雨が本格的に降ってきた
「矢張り、日本一の多雨地帯ですねー!」
妙に感心する。
最初の堰堤前をヘツリを交えて進むKKさん
快適な湧き水 暫く行くと、林道の橋が出てきた。
谷の行く先は巨大な岩盤と通過困難な滝のようなので、迷わず左岸の急なガラ場を登り、林道に上がる。

林道は荒れ果てているが、道路脇には水場もあり、快適なテント場である。
早速ビールが冷やされる。


「それにしても、豊かな水量ですね」
迷わずここを今夜の宿と決める。
タープを張ってねぐらも出来た。
それにしても沢内で降られなかったので、良かった。

その後2人組と最初の4人組が通過した。
宴会は粛々と進みます。

「それにつけても、ここなら明日雨でも安心!」

そういった面では、最高の野営場所です!
タープで宴会
8月27日()

6:00起床、朝食ー7:00出発…8:00堂倉小屋…10:30日出ケ岳11:00
…12:00駐車場ー入浴ーKK宅−18:00帰神

昨夜から雨模様である。タープを叩く雨音が激しかった。(私は寝入っていたが、KKさんが言う)
渓流も増水で白濁している。流れもきつい。

「これでは(これから上の遡行は)だめですね」

事実が全て、全員のコンセンサスである。
それにしても、昨日ここ迄頑張ってよかった!(幕営)適地が沢山あったので(殊にアザミ谷出合い)、一時心を動かされもしたのだった。

林道を堂倉小屋まで戻り、登山道を大台ケ原駐車場まで戻った。
山頂のやぐら

今回、上半分の遡行は出来ませんでしたが、またの機会に挑戦してみましょう。
それにしても美しい渓谷でした。
再三訪れて見たい谷です。
前回、西谷でも言いましたが、登りが終了と言う沢登りは楽ですね。

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