北陸の名山、三ノ峰
2006年7月14〜17日     同行者:,SY,、KK、OM
訪問先  白山、三ノ峰
毎月第1木曜日に山の会のミーティングを行い、山行計画を練っている(?)が、長期計画は比較的なく、殆どが無く思い立って計画した事例が多い(!?)。
これは健全な(?)山の会としては致命傷なのだが、今回もこの悪癖が是正されること無く、北陸の初夏の山を訪ねてみた。
白山の三ノ峰は以前から気になっていたのだが、2年前の計画は直前の台風で急遽中止になり、
扇ノ山に変更になった。

今回の山行は陰のリーダー(?)たるOMさんより,再三に渡り天候不安の情報が寄せられていた。案の定、天候にこそ恵まれなかったが、白山らしい伸びやかな山容と高山植物が、我々の心を非常に感激させたのだった。


ニッコウキスゲも霧の中
7月14日(金):大阪出発

22:00JR大阪駅集合-名神吹田IC-名神、北陸道-
 
出発予定を22時にしたが、休憩時間を最小にして高速を殆ど休まず進む。
連休前であるが時間も時間なので、北陸道は空いている。

ハクサンフウロ 集合時間が些か遅く、北陸道を休み無く走る。
福井ICからは足羽川に沿って内陸部に入る。

大野から谷あいの道となり、勝原(かどはら)で北に進路をとる。
ここからは鳩が湯に向けての長いアプローチだ。
ともかくも長い。途中の集落はあるが、何れも廃村のようだ。

鳩が湯温泉も、当然ながらもう閉まっている。(当たり前か?)
そこから上小池の駐車場で幕営。小宴会の後、就寝。
7月15日():三ノ峰

1:00福井IC−2:30上小池駐車場(駐車、仮眠)-6:45出発…8:20稜線(六本檜)…11:15三ノ峰避難小屋11:30…11:45三ノ峰…12:10三ノ峰避難小屋(宴会)


天候は出発時はまあまあ。
しかしその後の展開に、一同驚いたのであった。

少ない仮眠時間であったが、登山準備を済ませ、登山口から登り出す。
仮眠時間が短いので、些か眠い。
登山口からはいきなりの急傾斜である。
しかも粘土質で滑りやすいときている。

「気を付けて登らねば!」

出だしから九十九折れの登山道である。
しかし、自然林の林は素晴らしい。
鳩が湯温泉から北に10km、ここは貴重な自然林の林である。
峠までは傾斜がきついが、2時間ほどの頑張りで稜線に到達する。
ここには檜の巨木が並んでいる。
地図上の「六本檜」である。
小雨の中、檜の木陰で休憩する。

上小池登山口駐車場で、出発の朝
ここからは稜線上の緩やかな樹林帯の道である。
植生は広葉樹林で、時折大きな檜の木が混ざる。
雨が降ったり止んだりであったが、ここからは雨具をつけて登る。
風も強くなってきたからであった。
それに加えて、ガスも濃くなってきた。

「この分では、今日の別山は如何でしょうかね?」

この天気では(殊に強風では)、難しいというものだ。
まあ取り敢えずは、三ノ峰避難小屋まで辿り着くことです。
目的ははっきりしています。

霧にかすむ剣が岩を行く
雨と、ガスの急傾斜の登山道をひたすら登ります。
頂上のような地形に到達しても、更に高みに急傾斜が伸びます。
足元の花々が唯一の慰めです。
剣が岩で、三ノ峰方面の眺望と高山植物の写真がパネルに表示してありました。晴れればこんな快適な景色なのでしょう。

「今日は残念ながら、悪天です」

それでもお花畑の登高は楽しい!?
雨もそう激しくないので尚更です。

「しかし、視界は絶望的ですなー」
お花畑の急登を登る。
剣が岩から30分。
漸く、
「三ノ峰避難小屋まで250m」
の標識あり。

水平道の先に、霧にも著明な弁柄色の避難小屋あり。
内部は綺麗で、25名ほどの宿泊が可能です。
早速、南西のコーナーを領有宣言します。
北東の角には他の2パーティーが詰めます。
どうも別山平の花が目当てで、この悪天の中、朝から出かけたようです。
白山、三ノ峰避難小屋
われらのメンバーもくちぐちに、
「この天候でここまで来たので、これ以上登りたくない」

その思い、よく分かります。

しかし、究極のピークハンターなら、ここでの足踏みは許されません。
三ノ峰山頂まで、わずか10分です!
渋るメンバーを説き伏せ、漸くピークが踏めました。
三ノ峰山頂にて
「明日や、明後日の天候は分かりません。
天候が悪ければ、避難小屋までで、何のピークも踏まなかったことになる!よーシ!これで今回のピークハントは完了だ」


しかし、別山は遠い。
明日の好天を(?)待ちましょう!

でかけていたパーティーも引き返し、下山して、その後登って来た
パーティーを入れても、この夜は15名に満たない宿泊者の予定でした。
リーダーもお疲れ
「もうこの天気だから、登って来る人は居ないだろう」
と高をくくっていたら、
18:00頃に、雨の中、6名のパーティーが到着されたのには、
皆吃驚しました。

なんと大阪を朝出発して(電車、タクシーを乗り継いで)、上小池登山口より、登ってきたそうです。しかも、テントも持たずにでした。
先着者はお互いに詰めて、6人分の場所を確保して差し上げました。
東斜面の残雪
7月16日():三ノ峰避難小屋(沈殿)
昨夕より雨模様になりました。
それもかなり激しい降り方です。
屋根を叩く雨粒が、小屋内に大きく響き渡ります。
「誰や!雨やと言ってたのに、来た奴は!」



朝から雨です。
予想していたが、これまで激しい降り方とは!
今日は別山くらいは行けると考えていましたが、甘いようです。
また面白くもありません。
折角の、別山平のお花畑ですが、
「こら〜、別山は無理やデ!」

結局、今日は沈殿に決定。
のんだり食ったりです。
三ノ峰避難小屋で沈殿
明日も荒天と予想して、殆どのパーティーが戻ったり、別山経由で下山してゆきました。雨は降ったり止んだりですが、霧で視界は利きません。

それでも流石に夕方になると雨も小止みになり、一度は上がりました。

「これは吉兆やで。明日は晴れや。別山に登って、鳩が湯に入って帰ろう」

無邪気に喜びますが、夕食を作る頃からまた激しい雨が降り始めました。

もう誰も登って来ないと思っていると、ヒョコッと扉を開ける人が!
石徹白から登ってきたと言う単独行の男性でした。

「この雨の中、ご苦労様でした」

聞けば一週間の休みを取って入山された由。
沈殿も「への河童」でしょうが、増水で道路は如何なるのでしょうか?
夕には晴れ間が!これに騙された?
7月17日(祝日:「海の日」):下山、「刈込池」探訪、帰阪

10:45三ノ峰避難小屋:出発…12:30登山口…13:30刈込池…14:30上小池駐車場15:00出発ー鳩が湯(入浴)−17:00福井IC(夕食)−20:00帰阪

避難小屋より、あっさりと帰ります。この方が良いようです。
夜半はやはりかなりの豪雨だったようです。
朝もまだ雨が降っています。
濃い霧に覆われています。
昨日のビデオテープを見るようです。

「この分だと、今日は下るのみだな」

朝食を済ませても、なかなか動きがありません。
いじましく晴れるのを待つのですが、風も轟々と吹き荒れ、
雨音も激しいままです。所々で、雷の音も!

「雨風は良くても、雷はやばいぜ」

結局降り出したのは、10時前になっていました。
風も弱くなり、雨も大分ましになりました。
霧の中、急な尾根筋のお花畑の中をひたすら下ります。

漸く六本檜のコルに到達です。
「ほっ!」と、一息つきます。

漸く六本檜まで下る。
幸いにも、お花畑の下りでは雷はなりを潜めていました。
ここから樹林帯ですので、雷の心配は少ないようです。
しかし、九十九折の登山道は、所々で川の中を下るかのようで、
道の真ん中を雨水が流れてゆきます。

艱難辛苦の末、漸く登山口まで戻りましたが、時間にまだ余裕があるようです。折角ですから、刈込池まで足を伸ばします。

下りで些か疲れていますが、川に沿って吊橋まで登ります。
林道は結構急で、川の流れは激しい濁流です。

「まさしく9つの龍が流れ下っているようですね」。

なるほど!ここは九頭竜川の支流の源流です。
刈込池に向かう吊橋。
つり橋を渡りますと、被さる様な急な堤状の地形です。
この上が、地形の隆起、堆積で出来た平地のようです。
周囲がかなり高い壁になっています。

ゴウロ状の急な沢を喘ぎ喘ぎ登ると、

「熊に注意!」
の看板が!

「本当に今にも、熊が出そうな雰囲気ですね!」

登りきると、鬱蒼とした広大な平地に出ます。
見事としか言いようの無い、ブナの原生林です。
刈込池に登る急な谷
雨の中を熊に注意しながら進みます。
やがて一面のブナの原生林の中に、神秘的な池が見えて来ました。

魚は住んでおらず、池の住人はイモリとモリアオガエルのみのようです。
漸く到達した、池の端の遊歩道のベンチで、ビールで乾杯します。

「かんぱーい!」
「漸く、無事下山の目鼻が付きました!」

しかし、ここから池を回りこんで駐車場に降りる迄の、下りの石段の激しかったこと!

「何と!650段ありました!」
OMさんの膝も、かなり酷使されたのでした。
刈込池の伝説
漸く、駐車場に着きますと、

「大雨なので至急下山するよう!」

とのビラが車に貼られてました。濁流の川を見ながら必至の脱出行!
所々で林道には巨石の崩落あり。側面の沢からは濁流の流れ込みあり。

必死の運転で漸く、秘湯「鳩ガ湯温泉」に到着。
林道入り口には通行止めのバーが道路半分まで置かれていました。
小雨の中、帰路を急ぐ
「ここまで来れば安心!」

とばかり、悠々と入浴。

ここは本当に良い温泉で、傾斜地に立っているので2階が温泉で、なかなか風情があります

雨による沈殿の疲れで複雑な気持ちでしたが、ともかくも有意義な週末でした。

帰りは大野で「山葡萄ワイン」のセラーなどを見学して、福井I手前の
「とんかつ屋」で食事をしました。

「まあ-、何はともあれ、無事に帰れたのを祝福!」

その後、一路大阪に向かいました。
幸いにも、連休の最後と言っても、天候に恵まれなかったためか?
激しい渋滞とは無縁でした。

「まあ、戦略の誤りと言え無いが、戦術は誤り無かった?
お山は晴ればかりでありませんが、今年の梅雨はおかしい!」

鳩が湯温泉で