葉を裏返す白い風


もう、暗い山に登ろうとはしなかった。小さな川の橋の上で僕たちは、沈黙した。何か虚しさがこみ上げてきたのだ。僕たちが虚しさを感じた最も古い記憶だと思う。幼い虚しさは、涙までも誘発した。傷だらけの腕で涙をぬぐった。そして、僕たちは解散した。別れた。お互い嫌いになることなく、いとしさと虚しさをたたえたまま。車輪の小さな自転車を何度も回転させながら、それぞれの家へと向かった。暗い山の木々がざわざわと揺れている。風が強くなってきた。小さな嵐が幼い過去を作ろうとしていた。