小さな冒険

それからというもの、僕たちの興味は山へ向かった。いつも白い鳥たちが棲家にしている急ながけの上の山をめざした。何度か挑戦したが失敗に終わった。危険はたくさんあったし、恐かったけれど、それでもいつかあの鳥たちがいる急な山に登りたいと考えた。やがて、山の裏手にけもの道があることを発見した。山すそを流れる川を飛び越えることから始まって、急な斜面を草や木につかまりながら、登っていった。そこでも、何度か落ちて傷だらけになった。そしてついに、山頂についた。薄暗いその森は不気味で、そこには、あのススキ野原で見たような空はなかった。木々の間からわずかにちらちらと、白い空が見えただけだった。そこを僕たちは暗い山と名づけた。