哲ちゃんのハチロク日記

第十四号

99/6/19発行

十ハチロク十エンジン

 5月28日の会社帰り、車検証入れを取りにまたまたリボルバーへ行きました。
すると、「おっ。」久々に1000万ハチロクの人がいました。1000万ハチロク?と思われるかもしれませんが、その名の通りなんとチューニングに1000万以上かかっているハチロクです。元々違うショップへ行っていたらしいのですが、最近はもっぱらリボルバーを愛用?されています。
チューニング内容はエンジン本体は5AGで、264度のハイリフトカムというかなりマニアックなカムが入っています。ボディ補強はもちろん足は熟成に熟成を重ね、駆動系もバッチリ!ありとあらゆる純正部品も新品に変わっていて羨ましい限りです。しかしパキパキのレース仕様とは異なり、内装も付いていて、いわば「街乗りを考えた究極のハチロク」と呼べると思います(一度このハチロクの仕様を文字にして並べてみたいものです)。

 その人に今日はなにをしに来たかを尋ねてみると、「発泡ウレタンとスターターボタン」という答えが返ってきました。おお、どっちも今はやりのやつじゃないですか(スターターボタンは最近発売になったHONDAのS2000についていますね)。発泡ウレタンは私も興味津々の代物です。最近リボルバーでも結構やっているようで、聞いてみるとお値段も「えっ、そのくらいでできるんですか!」というくらいでした(7Pロールバーなんかより安いです)。しかも、入れた人はみんな格段に違うと言うそうです(ふむふむ、やっぱりこれはチェックですね)。

 その人とコンピューターがどうだこうだ4連スロットルがどうだこうだと話をしていると、おなじみリボルバーのおにいちゃんが「一回俺のハチロク乗っとくか」と声をかけてきました。「おおおぉ、その言葉を今か今かと待ち続けていたんですぅ。」どうやら今日は結構調子がいいようです。

 早速キーを預かり試乗に行くことにしました。後ろから「暖気したらかぶるからあかんでぇ。それと低回転でガバッとアクセル開けてもかぶるからあかんでぇ。9000回転までは回してもええからなぁ」とのお言葉。実は私、恥ずかしながらソレックスとかのキャブレターが付いた車初めてなんです。昔の低グレードカーのワンキャブとかならあるんですけど。それにしても9000回転ですか!

 半分ワクワク半分ドキドキしながら車に乗りこみました。キーをひねるとギシュシュシュシュ。あれ、うまくエンジンに火が入りません。それでもなんとかウォン!!とかなり迫力のあるキャブ特有の音をたててエンジンが目覚めました。と同時に、ビンヨヨヨーンっと11000回転フルスケールのタコメーターが振り切れて戻らなくなってしまいました。ありゃりゃ、これじゃシフトアップポイント分からんじゃん。まあいいや。走っとりゃなんとかなるやろ。
それにしても、なんじゃこのアイドリング付近でのレスポンスは!ちょっとアクセルを入れるとウォッ!と回転が上がり、離すとスッとアイドリングに戻ります。これがキャブのレスポンスなのか!!!

 恐る恐るクラッチを繋ぐと、拍子抜けするくらいスルスルと普通にスタート。とても304/288度のカムが入っているようには思えません。とりあえず、タコメーターの針が張り付いたまま、いつもの全開道路へ入りました。しかし、まだ日が暮れたばかりで車が多くなかなか踏むことが出来ません。それでも少し車がばらけたタイミングを見計らってアクセルを「おりゃ!」と踏み込みました。
その瞬間、張り付いていたタコメーターの針がビシッ!と戻ってきてカアアァ〜ン!と指定された9000回転をめがけて一気に跳ね上がりました。「うおおぉぉ、速いぃぃ!」シフトタイミングライトが8000回転で光るようにしてあるのですが、光ってからのんびりしていると9000回転を越えていきそうな勢いです。こりゃ、高回転域は私のハチロクの比じゃないでしょう。それにしても、久しぶりに少し怖く面白い車です。やっぱりNAはこうでなくっちゃ!

 ある程度のところまで行き、Uターンをかまし2速へ入れると、またおかまいなしに「おりゃ!」とアクセルを開けました。しかし、回転が低すぎた。ウッとエンジンがむせました。「やってもた」とアクセルを少し戻したとたん、空燃比が適正値に戻ったのでしょう。狂暴なトルクが立ち上がり、リアタイヤが一瞬でグリップを失いました。ギャアァ!っと軽くリアを左右に振りながら、それでも妙にトラクションのかかる足回りのせいか前へ前へと車を押し進めます(タイヤは98Jですよ!)。
「な、なんや?!2速でこれかよ」私の車ではこんなことは絶対ないので、一瞬何が起こったか分かりませんでした。面白すぎます。それにしてもかなりのパワー感です。
一旦店の近くまで戻ったのですが走り足らず、またその辺をグルグル走りまわってから戻りました。

 車を降りると私は少し興奮気味に「めっちゃ面白いですよぉ。速いですわぁ。絶対俺のより速いですよぉ。少なくとも上は全然違いますわ。8000越えても俺のと違って全然衰えませんからねぇ」と思いついたことをまくしたてました。おにいちゃんは「遅い言われたらどうしよか思たわ。でもまだ不満やねん。」と少し嬉しそうでした。こういう2ストのバイクみたいなエンジン、私は個人的に好きです。

 速いといえば話は変わりますが、今年リボルバーで目玉としてスーパーチャージャーキットを売り出しているのですが(ちょっと前に私が試乗したやつです。カメラード製)、これは先ほどのキャブ仕様とは全く方向性の違う速さがあります。AE92のスーパーチャージャーに載せかえるのとは異なり、NAの4AGにスーパーチャージャーキットをボルトオンするため、NAと同様のレスポンスが狙えます(圧縮比が高いため)。しかも約170PSものパワーが手に入るそうです。そのレスポンスと低中回転時のトルクによりドリフト仕様には特にマッチングがいいようです。
現に、先日名阪スポーツランドで行われたドリフト大会で、このスーパーチャージャーキットを積んだAE86が、120台参加の中、見事個人、ツインドリの両方で”優勝”をおさめたということでした。すげえ!!
 前に書いた通り、私も一度スーパーチャージャーキットを積んだハチロクを運転したことがあるのですが、完全ノーマル10万キロオーバーの4AGにポン付けのため、高回転はそれなりでしたが(念の為7000rpmまで)、下は何処から踏んでも前に出て行くような感覚で、排気量が上がったようなフィーリングでした。いつの間にか車速がのっているという感じでしょうか。スーパーチャージャーが付いているという感覚はほとんどありません。
 私にとっては、乗りやすく速い車だったのですが、私と一緒に試乗した子に運転を代わると、「怖くて踏めません。」とびびっていました。その子は現在ノーマルエンジンで乗っているため、あまりの違いに驚いたようです。私は何気なく全開できたんですけど・・・私は高回転で突き抜けていくようなエンジンのほうが怖さを感じます。
  このスーパーチャージャーキットの欠点を挙げるとすれば、少し高いことでしょうか。しかし、これはどのようなコンセプトの元車を作るか何にお金を掛けるかの考え方によって感じ方が違うと思います。へたったエンジンに付けて壊れるリスクが多少増えようとも気にしないのであれば、スーパーチャージャーキット+補機類等交換(インジェクター、燃料ポンプ、コンピューター等。これは別途になります)をやるのは、オーバーホールがてらエンジンチューン(ハイカム、ソレックス等)を施すのと金額的には変わりません。
 私は昔、足さえ良ければエンジンはどんなのでもいいと思っていたのですが、ヘッドチューンをした時からNAのフィーリングにどっぷりで、いいNAエンジンさえ載っていればあとはどうでもいい(どうでも良くはないですがそんな気分になります)ような、いわばフェラーリ信者みたいになってしまったので、スーパーチャージャーは選択肢から外れてしまいます(といっても、4.5AGにスーパーチャージャーを付けたら、どんな風になるんだろう?と少し気になったりもしますが)。しかし逆にボアアップなんかの方が抵抗がある人も多いでしょう。
 スーパーチャージャーはずぼら運転にも十分応えるため街乗りメインで手軽に今よりパワーが欲しい人や、トルクを生かして峠の上りで他の車に食らいつきたい人、最新の車に負けない迫力あるドリフトをしたい!という人には持ってこいなのではないでしょうか。私ももし今ノーマルエンジンで乗っていたなら、魅力的に映ったことでしょう。もちろんハチロク用に作ってあるため、エンジンルームも非常にスマートに仕上がります。

 スーチャーとキャブのこの2台、エンジンもそれぞれ特徴があるのですが、私が気に入っているのはその足回り。硬いスプリングを使っているにもかかわらず、オリジナルのショックが入っていることによって、92ショックと比べて非常にしなやかで、それでいてロール感も少ないのです。特にキャブ仕様の方はフロントにステージVジュニアモデルっていうのが入っていて(あれ?スーチャーにも入ってたかな?)、カートリッジタイプではないため、その人それぞれの好みに合うように特性の変更が出来るようになっています。それを少し街乗りに振って仕様変更しているため、特にしなやかに感じるようです。私のように街乗りメインで使うため、92ショックがどうしても気に入らない人は、ちょっと高いですがカートリッジタイプのオリジナルショックを、更に長い目で見て自分に合うショックが欲しいならば、もっと高いですがステージVジュニアモデルをお薦めします(車高調整ストラットなので割高感は少ないと思います)。別に私はリボルバーの営業マンではありませんが(笑)、レースで煮詰められたショックであり、いいものはいいと思うので、足回りで悩んでいる人の選択肢が広がればいいなと思います。私も次はこの辺を狙っています。

 話は戻ってエンジンですが、様々な仕様に乗ると、それぞれ特徴があって面白いです。この時改めて思ったのが、私のエンジンもかなり中間域でのトルク感があり、フィーリングも私好みということです。口では説明しにくいのですが、4000rpm前後回っているハーフアクセルの状態から、ジワッと踏み込んでいった時のフィーリングがなんともいえずいいのです。シュンシュン回るというのでもなく、とてもいい音と4AGにしては非常に少ない軽い振動を伴いながら、いい感じで回転が上がっていきそれに車速がついてくるのです。今後さらにチューニングしていっても、この辺のフィーリングは無くならないようにしたいです。実際の速さとはまた違うのかもしれませんが、長い間付き合っていくうえで、このように体で感じる部分は大切だと思います。この中間域は私の車の最も気持ちいいと思える美点、ちょっと恥ずかしい言い方をすれば官能的な部分です。

 さて日にちは変わって5月31日、また会社帰りにリボルバーに寄ると、ミラージュのおにいちゃんがいました。
またまたいつものようにうだうだとしゃべってから「そろそろ帰りますわ」と言うと、ミラージュのおにいちゃんも「帰るわ」ということになりました。それを見たリボルバーのおにいちゃんが帰る私達に向かって「結果教えてな」と言いました。もちろんバトルの結果です。「せえへんわ。」と私達は帰路につきました(実はやる気マンマン?)。私はエンジンが温まるまでの間ゆっくりとミラージュについて行き、交差点を曲がると同時に2速でアクセルを踏み込みました。しかしミラージュは行きそうな感じがありません。「やっぱりせえへんのかな?」と思って3速に入れた瞬間、ミラージュが猛然とダッシュしました。
「おーい、こっちは3速入れちゃったよぉ」と思いながらアクセルを全開しましたが、案の定回転が低すぎます。フルクロスを4速まで入れているであろうミラージュはあっという間に遥か彼方へ行ってしまいました。バトル失敗。
とりあえず、次の信号で追いつきましたが、その後かなり交通量が多くなかなか踏むことができません。それでも中環に入るとミラージュはスラロームを繰り返しながら猛然とダッシュし出しました。私も必死で追いかけます。「こえ〜よ〜」足がヘロヘロのため、かなり怖いです。それでもなんとかついて行けているようです。
 一度だけ前が少し開いたため、純粋な加速勝負になりました。勝負にならないかと思ったのですが、なかなかどうして、追いつけないまでもなんとかついて行っています。中間加速は互角で高回転で微妙に離されるようです。その後また車の集団につかまりバトルは終了となりました。

 完全な結果はでていませんが、大負けでもなかったようです。後で聞いてみると、向こうもきちんと全開していたということでした。うーん、ハチロク恐るべし。こっちはちょっと排気量いんちきですが、V−TEC、MIVECとテンロククラス最強を相手にしてまだまだ十分張り合えました。足回りは古臭さを感じますが、きちんと仕上げれば十分現役です。またまたハチロクに惚れ直したのでした。
これからもこの調子でガンガン!・・・といいたいところですが、6月9日に無事?入籍しました。これからは奥さんの顔色をうかがいながら、時にはうまく丸め込んで理解を得ながらやっていかないといけませんね。「安定して、乗り心地が良くなるねんで。」と今、ショックと発泡ウレタンについて洗脳中です(笑)。エアコンが先か足回りが先か・・・・

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