ヒラタクワガタ飼育・繁殖マニアル

  ヒラタクワガタは国内・外産共に安価で飼育繁殖も容易で形もカッコいいクワガタ
  特に外産ヒラタは比較的に大きくなり、100mm以上の羽化も可能なクワガタです。
  繁殖のポイントは良く成熟したペアを準備することが最も重要です。

 
                                          資料作成:BEETLE・SCHOOL
                    
                
                     HP:http://www.eonet.ne.jp/~beetle-s/

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   当店飼育のスマトラ:101mm♂(ギネスサイズ)  スマトラヒラタの巨大幼虫
     (当店のスマトラヒラタはこの♂を種親とし、飼育繁殖中)

入手可能なヒラタクワガタ

     
太字はクワガタの学校で繁殖飼育しているヒラタクワガタを示します。
 
国内:        本土ヒラタ大東ヒラタ、奄美ヒラタ 、徳之島ヒラタ、沖永良部ヒラタ
                 サキシマヒラタ,沖縄ヒラタ、スジブトヒラタ、ハチジョウヒラタ
                 対馬ヒラタ、タカラヒラタ


 外産ヒラタパラワン大王、マレー、セレベス、スマトラヒラタ
        ミンダナオヒラタ、ボルネオヒラタ、ベトナムヒラタ、ラオスヒラタ
        ミラビリスヒラタ、アルキデス、ユーリケファルスヒラタ
        ミークヒラタ、ミャンマーヒラタ、ラマヒラタ、ペレーンヒラタ
        トラキクスヒラタ、パプアヒラタ、タウネスヒラタ 、福建省ヒラタ
        朝鮮ヒラタ、帝王ヒラタティティスヒラタetc

1、ペアリング
 野外採集した♀は、ほとんどの場合野外で交尾が済んでいるので、ペアリングは不要であり 
  そのまま産卵セットに移し飼育すれば産卵する。(昆虫ショップのワイルド品も同様である)
 ここでは、ブリード成虫等の未交尾のペアリング方法について記載する。

 @羽化後6ヶ月以上経過し、餌を十分食べて成熟している成虫である事。
 A直径30Cm程度の容器(底が鋭角に立ち上がっている物が良い)
  ボール等底が丸い容器はあまり良くない-----縁を登り転倒し攻撃を受ける場合がある
  産卵セット(中ケース以上)の中でペアリングするのも有効である。
 B容器の底にマットを薄く敷き、クワガタの足が滑らない工夫を施す。
 C♀を容器の中央にソット置く(けして歩きまわらないように静かに置く事) 
 D♂を♀とクロスする様に静かに置く(♂の大歯の下に♀が居る状態)
 E♀は成熟していればジッとしているはず、そのうち♂が♀を認識し♀をアマ噛みし、
   前足で♀の背中をなで始める。(アマ噛みを♂の攻撃と勘違いしあわてて引き離さない事) 
 F♀が動かなければ、♂が向きを変え交尾行動に入る。
 G交尾行動は30分以上に及ぶ場合もあるが、♀が移動し交尾行動は終了である。
 Hその後忘れずに♂は別容器に移す事(忘れてしまえば♀が攻撃を受け死亡する場合がある)
   産卵セットの中での交尾であれば、交尾中に♀がマットにもぐるため攻撃を受けにくい 
    メリットもあるが、交尾しないままもぐる場合もある。

 【注】♀が嫌がり♂から攻撃を受ける場合は、箸等で♂のキバから♀を救出してやり
    時間を置いたり翌日に変更する等、決して交尾を急がない事が肝要である。
    ♂から攻撃を受ける場合は、♀が未成熟であったり、交尾済みの場合がある。
    ♂が興奮している場合は攻撃的になるので、あくまでソット扱い
     静かな環境を提供してやる事。(振動は禁物)

2、その他の方法T(強制ペアリングが苦手な方は、♀の死亡も覚悟の上で実施下さい)

 @出来るだけ大きな容器に、湿った荒めのマット(チップでも良い)と朽木を入れ餌も入れる。
 A♀と♂を入れ、適当に交尾が出来る環境で5〜6日飼育する。
 Bその後、♀のみを産卵セットに移し産卵行動を確認する。1ヶ月経過後に産卵しない様で
   あれば@から繰り返す。
  ♀はシェルターに隠れながら♂からの攻撃をかわし生活するが、欠点としては交尾が
   確認出来ないので不安がある。

3、その他の方法U

 @小さい♂を手に入れ、産卵セットの中でペア飼育する。
   逆に♂が攻撃を受け、足が無い♂に成る場合もありますので産卵行動が確認出来たなら 
   ♂は早めに別容器に移す事。
 A最後の手段(♂の標本価値はなくなります)
   可哀想だが、♂の牙の片側を切断し♀が攻撃を受けない様にし、産卵セットの中でペア飼育する。

 【参考】私は1の方法で通常行いますが、駄目な場合や時間が無い場合は2の方法も
     使います。3は小型のヒラタやノコギリに使用しています。
     ヒラタクワガタは交尾させる事が出来れば、後は簡単に繁殖飼育が楽しめます。
 
4、準備する物(オオクワガタの産卵セットほぼ同じで良い)

 @飼育ケース(中ケース以上の大きな物)
 A産卵材(クヌギ・ナラなどの広葉樹の朽ち木で直径10〜20Cm)×3本以上
   【注】オオクワガタの産卵材より若干やわらかい材が良い。
 B埋め込みマット:広葉樹100%の1次発酵した安いマットで良い。
 Cエサ:昆虫ゼリー・バナナ・リンゴ(スイカやキュ-リ・メロン等は良くない)


5、産卵材のセット
  
(外産ヒラタは温度設定してやれば、季節にあまり関係なく産卵します)

 @産卵材:2時間〜1日程度水に沈め、取り出した産卵材を半日程度陰干しする。
  その後、表面の樹皮のみをナイフ等で剥がして産卵材を準備する。
 Aマット:加水し水分を調整する。(手で握って開いたとき3〜4個に崩れる程度)
 B飼育ケースへのセット
  マットを3〜5Cm程度底に入れて、その上に産卵材を2〜3本セットする。
  その上に産卵材が隠れる程度までマットを入れる。
 C最後に交尾済みの♀のみを入れ、エサ・止まり木(虫の転倒防止)を入れて完成。

6、日常の管理

 @保管場所:直射日光が当たらない涼しい静かな所に置く。
 Aエサやり:時々チェックし劣化したり無くなったらエサを交換する。
 Bその他:表面が乾燥してきたら霧吹きなどで湿気を保ってください。
 C1〜2ヶ月後に材が傷付ていら、親虫とエサを取り出し湿度を切らさない様に産卵材を保管する。
 D取り出した♀は別の産卵飼育セットに再セットする。
  幼虫取り出し後、同じ容器に再セットしても良い。

7、幼虫割り出し

 @幼虫の割り出し:1〜2ヶ月後にケース内の産卵材を錐やドライバー等で慎重に崩し、
  幼虫を傷つけない様に取り出す。
 A卵の場合は、再度そのまま保管するか、水分を若干含んだ良質のマットに埋めふ化を待つ。
  状態の良い♀なら20〜40個を産卵します。

8、幼虫の飼育方法(下記の3種類から選択)

1)材飼育:比較的安価で安全に親虫になるが1.5〜2年を要し、あまり大型にはならない。
 @産卵材のやや固めな物を半日程度水に浸け、内部まで水を含ます。
 A小ケース程度の容器にマットを入れ、その中に材を埋めドリル等で穴を開ける。
 B開けた穴に一匹の幼虫を入れマットで穴を埋める。
 C水分が逃げにくい様に紙や通気穴のあるビニール等でカバーし、その上から蓋をする。
 D乾かさない様にし、3〜6ヶ月毎に状態を見て、材を交換する。

2)マット飼育(比較的安価に親虫になるが80mm以下がほとんどである。
 【添加剤入りマット等、いろんな種類の専用マットが市販されている】
 @水分を含ませたマットを適当なビンなどに入れ、硬く押し固める。
 A幼虫をその中に入れ、通気穴のある蓋をする。
 B2〜3ヶ月でマット交換しながら幼虫飼育し成虫にする。

3)菌糸ビン飼育:比較的大型(80mm以上)の成虫なるが、コスト高と温度管理が必要。
 @菌糸ビンをクワガタショップ等で購入し、ビンの壁面に幼虫が入る程度の穴を開け幼虫を入れる。
 A菌糸の白い部分が80%程度食べつくされたり、劣化したら新しいビンに入れ替える。
  通常大型♂成虫を羽化させるのに、1500ccの菌糸ビンが3〜4本必要となる。
 【室温管理が大切であり15〜28℃で成虫になるまで菌糸と共に管理する】
 (蛹から羽化させる時が一番難しく、当店の特許取得の羽化不全防止菌糸ビンは好結果が得られます)

9、その他注意点
 
@外産ヒラタは基本的に外気温が10℃以下に下がると死亡する恐れがあります。
 
A成虫は♂・♀別容器で飼育、小型ヒラタの場合でも♀が産卵し始めたら♂は別容器に移動する。
  B産卵した材は♀が居る容器内に長く置かない。(♀がふ化幼虫をエサにし幼虫が減少する)
 C幼虫は一匹づつ別々の容器で飼育する。(共食の危険と大きく育ちにくい)

10、成虫の越冬方法(国産ヒラタの場合)
 @基本的には夏のセットで良いが、マットを厚めに入れ、温度変化の少ない場所に置く。
 A温度が下がって来ると、エサを食べなくなり活動を停止しマットの中で冬眠状態になる。
 B湿度管理を忘れないように、春3〜4月頃には活動を始めるので、その前にエサを入れる。
 C成虫寿命:冬眠させると長生きする。
   ♂:2〜3年
   ♀:1〜2年
   (産卵させると短命)

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