シロカブトの飼育繁殖マニアル


 アメリカには白いカブト虫が3種類生息しており、日本のカブト虫より
 一回り小さいが、ニスを塗った様にツヤのある藍らしく美しいカブトを
 飼育しお楽しみ下さい。
 ブリードも真冬の低温だけ気おつければ、特に問題なく成虫が得られます。

                            資料作成:クワガタの学校
                            
                               02.6.28作成

入手可能なシロカブト
 
@グラントシロカブト(アリゾナ州):卵が孵化するまで1〜6ヶ月を要する。
 Aティティスシロカブト(アメリカ南東部):羽化から後食する間で3〜5ヶ月休眠する。
 Bヒルスシロカブト(メキシコ):現在飼育観察中。

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     グラント白カブト             ティティス白カブト

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ヒルス白カブト

1、準備する物

 @飼育ケース(中ケース以上の大き目の物)
 A使用マット:広葉樹100%の2次発酵した、黒い微粒子マット[卵・卵マット]。
 (クワガタ用の1次発酵マットでは産卵しにくいので、良く発酵した細かいマットを準備する)
 Bエサ:昆虫ゼリー・バナナ・リンゴ(スイカやキュ-リ・メロン等は良くない)
 C親虫:エサをよく食べていることが重要である。(健全な♂♀ペア)

2、ペアリング(未交尾生体は産卵セットで飼育する前に行う)
 
【ワイルド固体の場合は、ほほ不要です】
 
 @小ケース程度の容器に薄くマットを入れ、小さな止まり木(転倒防止用)を入れる。
 Aエサをセットしたら、ペアリングセットの完成。
 Bカブトのハンドペアリングを行う。
  ♀を止まり木にソット乗せ、その後♀の背中に♂をソット乗せてやる。
  成熟しているペアなら、即交尾行動に入る場合が多い。
 C交尾時間は20〜60分程度も要するので、容器にソット蓋をする。
 Dペアリングセットのまま1週間程度そのままにして飼育する。
 E交尾行動が見られない場合もあるが、1週間程度そのままにして飼育する。
  【成熟ペアなら1週間程度で交尾は完了しているので、産卵セットに移行する】

3、産卵セット【外産は温度が20℃以上なら、いつでも産卵可能】

 @カブト用マット:加水し水分を調整する。(手で握って開いたとき3〜4個に崩れる程度)
 (当店の卵・卵マットはそのまま使用できる様、水分調整してあります)
 Aセット方法:マットを容器に入れ手で強く押しつけ、20〜30Cmの厚さに敷き詰める。
   【容器の底の方は、特に硬く詰めるのがコツ】
  【注】マットを上から入れただけでは良くない、圧縮しながら出来るだけ厚く入れる事
     成虫の体高の5〜10倍位をマット厚さの目安にしてください。
 B最後に親虫とエサ、止まり木(転倒防止用)を多めに入れて完成です。
 Cペアリングセット取り出しペアを入れる。(ペアで入れておく方が産卵数が増加する様です)
 D♀だけで産卵させる場合でも、15日に1回程度♂を投入し交尾させた方が
   産卵数が増し、無精卵の低減に効果があります。

4、日常の管理

 @保管場所:直射日光が当たらない、静かな所に置く事。【温度15〜30℃】
 Aエサやり:2〜3日に一度チェックし、無くなったらエサ交換する。
 Bその他:表面が乾燥してきたら霧吹きなどで湿気を与えて下さい。
 C1〜2ヶ月後、産卵を確認する.。(容器の下や横に白い卵や幼虫が見える場合もがある。)
 D親虫とエサを取り出し湿度を切らさない様に容器まま保管する。
  (マット内に線虫が発生している場合は、卵が食べられますので清潔なマットに卵を取り出す
 E♀がまだ元気ならそのまま飼育を続けるか、別の産卵飼育セットに再セットする。

5、幼虫の飼育 グラントシロカブトは約2年、その他は約1年で成虫になります)

 @1〜2ヶ月保管した容器内では幼虫がふ化しているはずである、慎重にマットを崩し確認する。
 A幼虫がふ化している事が確認出来たら、もう少し大きく成る間で保管するか、
  幾つかの容器に分けて飼育する。マットはカブト専用マットが良いが、粗悪マット
 (腐葉土のみの物や針葉樹発酵の牛糞や雑菌が混入したマットは幼虫の死亡事故につながる)
 B水分が蒸発しくい様に紙や通気穴のあるビニール等でカバーし、その上から蓋をする。
 C大きく成るに連れ、エサ切れしない様に出来るだけ大きな飼育容器に栄養化の高いマットを
  入れて飼育する方が管理しやすい。(成虫までに一匹当たり約3Lのエサが必要)
 【クワガタの学校BUNBUNマットでグラント75mmオーバーが羽化します】
 D3令後期には幼虫が黄色ぽくなり、蛹室を作り出すので、それまでに一匹づつに分けて
  飼育するか、幼虫の大きさや色別に分け過密飼育を避け、蛹室作りの準備をしておく事。
  (飼育容器の底に5〜10Cm土を入れた上にマットを入れ蛹室を作らす方法もあるが
   通常容器の底に蛹室を作り羽化しますが、羽化不全等の問題はない様です)
  【幼虫の過密飼育は病気が発生しやすく、場合によっては全滅するので避ける事】
 E蛹室を作る前はマット交換はせず、乾燥気味にしてやる方が羽化不全しにくい。
 F蛹になって、約1〜2ヶ月後に羽化しています。
 (変態時は容器の移動や振動を絶対に与えない事、羽化不全になる可能性が高い)
 G蛹室から自然に出た成虫は、すぐにエサを食べるので事前に与えておくと良い。
   【ティティウスシロカブトは羽化後、3〜5ヶ月休眠し、後食しません】

6、その他注意点

 
@成虫は1♂1♀〜1♂2♀程度で飼育、♀が産卵し始めたら♂を別容器に移動してもよい。
  【クワガタと違い、♂を一緒に飼育した方が産卵数が増える様です。】
 A飼育容器を密閉すると、エサと水分で産卵マットが加湿状態になるので、場合によっては
  風通しを良くし清潔な状態で管理する。(過湿は線虫が発生しやすくなるので気を付けよう)
 B幼虫をクワガタ用のマットで飼育すると、餌が合わず大きく成りにくいので、腐葉土等の入った
  栄養価の高い餌を多く与える。(卵・卵マットは栄養分が少ないので、1令幼虫に
  なったら、栄養価の高いマット[BUN.BUNマット等]に交換した方が大型成虫になる)
  【成虫寿命】
   シロカブト:3〜6ヶ月(休眠期間を入れると、更に長くなるが1年以内)
         ♀は産卵させると長生しない。 

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