ヒペリオンオオクワガタの飼育方法 |
以前はミャンマーに生息する「珍品」とされていたが、最近はインドにも
生息している事が判明し、少ないながら入荷しており入手可能な価格になった。
しかし、ヒペリオンオオクワと言われながらオオクワの様に簡単に
繁殖させれないナゾノあがり、飼育方法が確立出来ていない種とも言える。
特徴は奇妙な大アゴであり、内歯は斧型であり全体スタイル共に
ひきつけられる魅力を持つクワガタと言える。
資料作成:BEETLE・SCHOOL
HP:http://www.eonet.ne.jp/~beetle-s/
Dorcus hyperion idei(ミャンマー産) ♀の上羽隆状(りゅじょう)
産地
国内: 生息セズ
外産: ミャンマー:カチン州・チン州
インド:ナガランド州・マニーブル州・etc
1、準備する物
@飼育ケース(中〜大ケース)
A産卵材
クヌギ・ナラ・霊芝材の軟らかい材(出来れば霊芝材をお勧めします)
B埋め込みマット:広葉樹100%の2次発酵の良質の微粒子マット。
Cエサ:昆虫ゼリー・バナナ・リンゴ
2、ペアリング
@おとなしいので、ハンドペアリングはマズ出来ないとお考え下さい。
A成熟した♂と♀を一緒のケースに入れた場合、数日で交尾は完了している。
(交尾の確認は出来ませんが、安全のために1Wを目途に隔離飼育しましょう)
Bヒペリオンオオクワの♂は見掛によらず、気性が荒いので交尾後は別々に飼育下さい。
野外採集された♀は、ほぼ交尾が完了していますのでペアリングは不要です。
3、産卵材のセット
@産卵材:軟らかめの材を1時間〜2時間程度水に沈め、取り出した産卵材を
半日程度陰干しする。その後、表面の樹皮のみをナイフ等で剥がして準備する。
Aマット:微粒子の醗酵マット
B飼育ケースへのセット
細かいマットを5〜10Cm程度底に入れて、硬く押し固める。
その上に材を置き、60%程度までマットで材を埋める。
C通常は材に産卵しますが、マットに産卵する場合もありますので
容器の底は硬く詰めておきます。
D最後に成虫♀を入れ、エサ・止まり木や産卵材の皮(虫の転倒防止)を入れる。
E蓋の間に乾燥をふせぐ為に、穴を明けたビニールシートや紙をはさんでおく。
4、日常の管理
@保管場所:直射日光が当たらない涼しい静かな所に置く。
Aエサやり:時々チェックし、新しいゼリーに交換する。
Bその他:表面が乾燥してきたら霧吹きなどで湿気を保って下さい。
C2ヶ月もすれば、材に産卵が確認できますが、幼虫は弱いので1令後期までは
取り出さない法が、その後の幼虫飼育がし易くなる。
(別の産卵セットに♀を移し更に産卵させる)
5、幼虫割り出し
@幼虫の割り出し:材を慎重に崩し、幼虫を傷つけない様に回収します。
(産卵材の中心まで幼虫が入っていますので取り出しましょう)
A卵の場合は、再度そのまま保管するか、水分を若干含んだ良質のマットに埋めふ化を待つ。
状態の良い♀なら20〜40個程度は産卵します。
6、幼虫の飼育方法
1)材飼育:
直径10Cm程度の材に十分、水を含ませた後、幼虫を穴を開け入れる。
材を湿った埋め込みマットで埋め、乾かさない様に飼育管理する。
確実に成虫にする方法です。羽化まで時間は掛かるが安全な幼虫飼育方法である。
2)菌糸ビン飼育:
菌糸ビン飼育は出来るが、飼育途中に死亡個体が出ます。
特に初令幼虫の小さい幼虫を、菌糸ビンに入れると死亡する可能性が高い。
3)マット飼育(良質のマットなら、大きく育ちます)
【いろんな種類の添加剤入り発酵マットが市販されていますので、お試し下さい】
発酵マットによっては合わない物があるので、その場合は添加剤無しのマットか
材飼育に切り替えて下さい。マットでも合わなければ幼虫が死亡します。
@水分を含ませた発酵マットを入れ、更に硬く押し固め容器に詰める。
A幼虫をその中に入れ、通気穴のある蓋をする。
B2〜3ヶ月間毎に、マット交換しながら幼虫飼育する。(10ヶ月程度で成虫になる)
(1〜2令は400cc程度の容器で飼育し、3令は400〜1000cc程度で飼育する)
羽化したばかりの♂成虫 63mm
7、その他注意点
@成虫は♀のみで産卵飼育し、♂は別容器で飼育観賞下さい。
(ヒペリオンオオクワの♂は、おとなしそうに見えるが攻撃性が高く
ペアリング時以外は一緒に飼育しない方が賢明です)
A比較的気温の低い所に生息しているクワガタなので、飼育温度は25℃以下が望ましい。
B♀・♂は羽化ズレしますので、♂が羽化しペアリング可能な成熟成虫になるまで
大事に♀成虫を飼育しておく必要がある。
C♀は上羽隆状(りゅじょう)が容易に確認できる特徴があるが、ミャンマーの同産地に
生息するティティウスの♀と同定が出来ないので、ワイルド品購入時には注意が必要。