勘違い出陣
  39週に入っての検診でまだまだ子宮口が固く、予定日は過ぎそうだと言われた。
  でも初産だし病院遠いし、頸管粘液をそれと知らずに病院へ急いで行ったものの、
  大丈夫そうだからというわけで朝になるのを待って自宅へ帰ったり。
  しかしその話を母にすると、「そういえば母さんもそんなのあった気がするわ〜」と。
  知ってたんなら先に言えっちゅーのっ!もー。
  
  予定日を2日後に控えた10月3日。
  前日の晩は、普段は仕事場近くの寮で寝泊りしている旦那が自宅へ戻ってきていた。
  しかしどうにもおなかが痛い。
  10分前後の間隔でちょっとまばらに痛くなる。
  念には念を、というわけで午前中から病院へ。
  診察してもらうが陣痛はかなり弱い。
  前駆陣痛だろう、まだ子宮口固いし開いてないし、まだまだ産気付かないだろう。
  という先生の言葉で自宅へ帰ることにする。
  「自分、家遠いからなぁ。大丈夫やと思って帰す途中で何かあったらあかんし。
   でも予定日超過してたらともかく、予定日前やし、誘発しなくても…」
  とも言っていたので、先生なりに熟慮した選択だったのだと思う。
  午後から仕事へ行った旦那を見送り、さーて今のうちと私は家の大掃除を始め、
  ご飯もあんまり作らなくていいように晩御飯はカレーを用意したりしていた。

 入院
  10月4日。9時起床。トイレに行くとおしるし発見。これがそうかと感動。
  でもって普通ゴミの収集日なのでゴミ出し。
  なんかおなかが痛いけどまぁいいや。多分気のせい。
  なんかおなかすかないけどまぁいいや。これもきっと気のせい。
  とりあえず攻略途中のゲームの続きを始めとこう。
  ……1時間後、失敗したのでリセットして終了(笑)
  10時まわったなぁ、まだなんかおなか痛いけどワイドショーでも見ておこう。
  陣痛かなぁ。でも昨日まだまだ〜って言ってたしなぁ。
  12時前。時々うずくまるような腹痛。おっかしいなぁ。昨日より痛い。
  でもまた帰されたらかなんしなぁ。
  とりあえず布団に横になっったらおさまるかも。
  12時半。旦那が昼休みだ。電話しとこう。
  …だめだ、おなか痛い。「ごめん、またかける」とてもじゃあないが電話してられへん。
  両家の母にも電話をする。また何かあったら連絡します、と伝えておく。
  13時。…これ、陣痛ちゃうん?
  「すみません、陣痛っぽいんですけど…」と義母に電話。
  13時半。義母が急いで来てくれてタクシー調達。時計で見ると9分間隔の陣痛が来ていた。
  14時。タクシーで病院へ向かう。
  義母は道の説明に不慣れなので陣痛に耐えつつ道案内。
  タクシーで1時間の道のり。7〜8回ほど陣痛が来ていたので多分8分間隔くらい。
  15時。病院到着。担当医が診察すると子宮口2cm。
  「入院やな」という言葉によかったー、本陣痛だーと喜ぶ私(笑)
  きっとここからが長いんだわ。本でよく言うもんね、初産は半日って。
  10時頃から陣痛開始として夜には生まれてそうだなぁ。
  旦那に連絡してもらわなきゃ。立会いしたいって言ってたし。
  陣痛室で分娩監視装置をおばーちゃん助産婦さんにつけてもらうが、
  「先に浣腸済ませておく?」との言葉で装置をはずして浣腸をする。
  しばらくしてトイレに行く。おー出る出る。浣腸初体験だけどおもろいなぁ(笑)
  うーん、まだ出そうな気がするけどあんまり粘ってトイレで産んでもいけないし出なきゃ。
  …だめだ、陣痛で出られない〜〜〜!!!(涙)
  陣痛の合間に必死でトイレを脱出しようとする私。
  よし、何とか出られた〜。廊下に這い蹲りつつ陣痛室へ帰って装置を付け直してもらう。
  けど陣痛で痛くて痛くて仰向けになれない。
  痛みで苦しむ私に前述の助産婦さんが内診をしてくれる。
  「大袈裟やね〜(笑)。…あかん、生まれそうやわー!」
  え、今なんて?生まれそう?
  ちょっと、まだ病院ついて30分くらいしか経ってないよー!?

 出産
  必死で分娩着に着替える間もよく見れば陣痛は1〜2分間隔に。
  持参のパジャマを脱ぎ、分娩着を羽織った状態で両脇を支えられて
  引きずられるように分娩室へ。
  汎用分娩台に必死になって這い上がって陣痛に耐える間、
  助産婦さんたちは足台の固定や分娩の準備に忙しい。
  グリップは握りたいのに見つからなくて手を振り回していたら、
  気付いた誰かが握らせてくれたけど、左手のほうは見つからずじまいだった。
  ちなみに左腕には腕を動かしまくったために血管確保し損ねた青あざがいっぱい。
  …気付かなんだ(笑)
  
  大騒ぎをしながらも何とか無事に、長女みじゅ姫が誕生した。

 出産直後
  陣痛で意識はかなり朦朧としていたけれど、自分のおしもの痞えが取れたような感じがした。
  …産声、産声は?
  そう思っていると、すぐに聞こえてきて一安心。
  生まれた直後から産声を聞くまでは1分もなかったはずだけど、とっても長く感じた。
  意識がハッキリしないせいか、ずいぶんと遠くから聞こえた気がした。
  義母いわく、「あーーーん!!!」としっかりした泣き声がしたので、
  最初は新生児室の赤ちゃんが泣いたのだと思ったのだそう。
  が、泣き声のすぐ後に「生まれましたよ」と声がかかったので産声だと知ったのだとか。
  生まれた直後のわが子は、メガネをはずしていたために良く見えなかった。
  でも看護婦さんが見せてくれた時に、思わず手を伸ばして頭を撫でた。
  羊水でぺたぺたした頭は、髪の毛の濃さのせいか真っ黒だった。
  短い対面の後、生まれたばかりのみじゅ姫はすぐに沐浴に連れて行かれた。
  そして私を待っていたのは…会陰縫合。
  「痛いー!!!」思わず大声で叫んだ私。
  先生はだいぶお疲れだったらしく、ちょっと怒られた。
  だって痛かったんだもん〜。
  暴れたのでちょっと縫い直したりしながら四苦八苦してようやく縫合終了。
  
  やっと一息ついて時計を見ていると、看護婦さんが来てくれた。
  「赤ちゃん、抱っこしました?」と言うので、まだだと告げるとすぐ連れて来てくれた。
  沐浴も終わり、肌着に着替えたみじゅ姫は、すやすやと眠っていた。
  赤ちゃんって、サルみたいとかよく言うけど…可愛いじゃん…v<親ばか
  物心ついて以来、初めて抱っこする赤ちゃん。
  どう接していいものか悩みつつ、じーっと眺めていた。
  しばらくして腕が疲れてきた頃、看護婦さんが来て「そろそろ連れて行きましょうか」と
  言われたので、惜しみつつもお願いした。
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