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◆慶應の卒論についてのよもやま話 (執筆'06年11/12)
 慶應の卒論についてその虚実いろいろ書いていきます。

1、卒論指導後の卒論完成の平均年数は?

 まず噂として流れていたのは、
「卒論指導段階(いわゆる書きたい卒論のテーマが大体決まって、規定の単位が取れた段階のこと)に入ってから、数年かかるというもの。」
実際、ゼミの先生に指導を受けて、半年後の2回目指導で卒業予定申告書(通称、緑の紙)の印をもらってから、1年後に卒業というのが原則規定だそうです。ですから、どうあがいても卒論指導開始後、
卒業まで最低1年半は掛かるということになります。

 (僕は幸い、今11月現在、正に卒論執筆中ですが、予定申告書の2回目の指導で判を頂けました。後は書き終えるかどうかで、自分の責任です。)
 でも、実際は1年半どころか、2年3年は文学部ではざらだというのが実情らしいです。文学部の中でも特に
2類の文学系統を選ばれたら、凄い能力の高い方でも2年ぐらい引っ張られるみたいです。4年掛かったという人もチラホラおられます。法学部はテーマさえ決まれば比較的短期間一年半で卒業できるらしいですが。
 で、文学部の方へアドバイス。僕のように1類方面(その中で僕は社会学でした。)を選ばれれたらよろしいかと。特に社会学の先生はテーマも割合に自由に書かせてもらえるみたいですよ。

2、卒論テーマの選び方は(文学部向け)('06年11/12)
 後、流れた怖い噂は、
「卒論テーマをゼミの先生が決めて学生側のものを認めてくれない先生が多いというものでした。」
 これは考えてみれば、当たり前で、学問的に学生の能力を超える複雑なテーマや、いくら頑張っても新しい見方で書くのが難しい(つまり、他の方々に書き尽くされたテーマである)と思えるものは、教授としては親心で訂正を命じる訳です。
 でも、学生側としてはそれが書きたくて慶應に入ったという人もいるので、そうそう納得できないですよね。
 僕が選んだ『戦後マンガの発達史』なんてのは、サブカルチャーであるマンガをテーマにしたものでお堅い慶應の先生はどなたも拾って下さらないかと危惧していましたら、社会学の今の先生が拾って下さりました。
しかも、先生はこちらに自由に書かせていただき、適宜必要なアドバイスや発想のヒントを下さって、本当に感謝しております。やはり、社会学の先生は、今の「生きた社会」を相手にされておられるだけに非常に柔軟性に富んだ方が多いのでしょうかね。


◆卒論指導と専門科目 ('07年10/7)

卒論指導を受けるためには、07年現在は、
「1、総合教育科目の3分野科目28単位以上の修得。およびその合計36単位以上の修得。
 2、専門科目7単位以上の修得。
 3、必修外国語の非面接科目6単位以上の修得」
という条件が付与されています。

そして、文学部では、自分の所属類から28単位以上修得しなければ卒業できません。
でも、僕の所属した1類科目って、幅が広いので、自分の興味関心で取って行くと、28科目以上って、意外に取るのが難しい気がします。
僕も夏スクでかなり頑張って1類優先で取りました。

それと、初指導時ですが、出来る限り具体的な研究方法まで計画されていた方が、先生もアドバイスしやすいですし、時間が無駄にならないのではないでしょうか。

僕はこうしたいと言う問題点をいくつも案にして持って行きました。
(先生からはやりたいことを、箇条書きでいいからすべて書いてきて下さいと指示がありました。
結果的にこれが一種のブレーンストーミングになって、アイデアが広がりましたので、とても良かったです。)
その御陰で「予備指導」にならず、どんどん書いて下さいと許可をいただきました。
注意しなければいけないのは、卒論指導は、半年に1回しか機会がありませんから、「予備指導」にまわされると、それだけ卒業が延びちゃうことです。

この「卒論指導」という大学での先生からの指導とは、形式としては多人数のゼミ形式と、個人指導があります。ただそこでもし学生側が考えている卒論テーマに指導の先生が不満や準備不充分という認識を持つと、せっかく受けたその指導日も「予備指導」にカウントされてしまい、半年後の「本指導」と認定されるまで卒業日程がその分ずつ遅れてしまいます。
(先生によると、後で「本指導」にカウントし直してくれる場合もあるそうですが)

また、先生側としても、何を書きたいのか分からない学生が一番指導しにくい訳で、自分の書きたいテーマぐらいは考えて、レジュメ化していくのが最低限の礼儀だと思います。

でも、これが書きたいもののテーマが参考文献が少なすぎたり、そのテーマではもう書き尽くされていて今更、学問的に新しいことを付け加えられないので、先生が親心からテーマ変更を迫っている場合もあるみたいです。
「好き!書きたい!」と「書ける実現性」のバランスが難しいところです。

ただ、1年以上に及ぶ卒論との闘いを続けるには、そのテーマに惚れ抜いてないと難しいと思います。僕の場合、テーマに惚れ抜いてましたが、10万字以上の字数と、膨大な図版・グラフの作成が待ち受けていましたので、途中何度も挫けそうになりました。


◆卒論指導を受ける際のコツ ('07年10/7)

先生によるとは、思いますが、半年に1回の指導ですから、絶対、アウトラインぐらいは持って行くべきだと思います。
上記のように僕の場合、先生から、
自分のしたいなぁと思うことを(実現不可能と思うものも構わないので)箇条書きにしたものを持ってくるように指示されました。

(その各項目を指導当日、ゼミの学生全員でそれぞれ、「大まかな書きたい流れ」ごとにを「章」に分類して、「章」から「節」、「節」から「項」へと細分化して、項目名だけ書き込んで行く作業をしました。
この方式は後で調べると、東大教授の斎藤孝さんの『原稿用紙10枚を書く力』という本でほぼ同種のことを書かれておられました。 頭のいい方は普遍的な共通なベースで考えるのでしょうか。

僕は、真面目にその作業して、10万字越しちゃいましたが、お陰で「原稿用紙10万字書く力」が身に付いてので、非常に嬉しかったです。これは長編小説などすべての創作活動を考える時にも応用できそうでした。
それは【一生の宝】となりました。)

また、上記のように、準備が不充分だとその日が「予備指導」にカウントされてしまい、半年後の「本指導」と認定されるまで卒業が遅れてしまいますが、
その先生を学生側が自分のテーマ構想沿うようにお願い、説得する際にもこのアウトラインが必要不可欠ではないでしょうか。
それをどう改善するかを話し合う場合も、たたき台が要りますから。
何より、文学部の3類の文学系では、文献読み込みの指導あって最低3年は掛かると断言する教授もおられます。無論、それは学問的に真摯な態度から来るもので、お説ごもっともなんですが、大変ですよね。

僕は指導期間1年半、そのうち実際に書き始めが06年7月から終わりが07年4月の1年弱でしたが、テーマ選択の為の文献収集や熟読にその更に1年間はその前に費やしています。

(実は、慶應入学当初から、その前の京都造形大で得た美術的・ビジュアル表現に関するものをやりたいとは思っていたんですが、慶應通信1・2年目にマンガ学会に参加して、その理解不能な内容に絶望して一度は諦めています。
その僕が10万字以上の「マンガ表現論」を書いて、マンガ学会でも発表してしまうのですから、人生って面白いものです。)

とにかく、「卒論を提出してよいという卒業予定申告書(通称、緑の紙)の印をもらってから、1年後に卒業というのが原則規定」ですから、
早めに「本指導」と認定されて、書き始めないといけません。

皆さん、頑張って下さい!!





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