創業20周年記念誌「すまいる」


 2.住むを実践する

 
ひとこと


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現在の経済活動の中で、不動産業の及ぼす影響は絶大です。どの様な時代でも住まいを求める人達は陰りを見せず、多くの住宅が販売されています。


そんな状況の下、建築業界の一部には不動産業界に包み込まれ身動き出来ない環境があります。

不動産業者はその販売網を生かし、建築工事に参入し、驚くべき成果を見せています。       

多くのリフォームチラシ広告にも見られる様に、スーパーマーケットでの安売りの様に工事価格を一式提示し集客しています。そして、チェーン化されたリフォーム会社の業績はウナギ登りに増加しています。


他方、町家大工や工務店は不動産業界と系列のリフォーム会社の仕事に関わる事で安定した仕事量の確保をしています。形式通りに建てるだけの仕事から賃金は安く、作業効率を高める上で若い職人達は仕事に走る事は覚えても、その中身は非常に粗く、年中建売住宅ばかりを流れ作業のように建てているのが現状です。多少のミスは適当な処置はしても後は見た目を隠す為に補修屋に任せる。重大なミスに関してはその場しのぎの対処で済ませ、知らぬ振りを決め込む有様です。
 例えば、和室等の造作は真似事でも出来ません。そして、後先を考えない仕事には、簡単な改装工事にも使える技量はありません。この様な人達が今の建築業界の職人や工務店の多くを占めています。

多くの皆さんはその様な人達が造った建物を人生をかけて購入されているのです。


これらの事柄を前提に、これからの住宅購入に少しだけ参考になるのではと思える、弊社の考えを書きたいと思います。

 

現代は不動産は購入すれば値上がりして儲けを出し、それを繰り返す事で、大きな財産が確保できる時代ではありません。極端な土地インフレは無くなり、税法上でも規制され、安易な土地ころがしは出来ない仕組みになっています。

 

では、どうすれば終の棲家に到達できるのでしょうか。


ヒントは、中古住宅で敷地の大きいもの(最低30坪以上が望ましい。)を建物付きでも購入される事をお勧めします。


建築年代が古く、建物がゼロ評価され、土地価格で売買をされている中古住宅です。


時価価格の土地・建物は不動産業者が手を出す事は出来ず仲介として手数料収入を考えます。安価で加工がしやすく利益ベースに乗る物は不動産業者が何らかの手を入れて自社物件にするなり、販売代理で対応するなり、色々と利益のより上がる方法を考えだします。そういった上質の土地は一般には廻って来ません。もし、あるとすれば、その土地に問題を抱えているか、余程の素人業者なのでしょう。


不動産業者が資金捻出し、加工して販売しているものは、莫大な経費が必要となります。そして、莫大な利益が含まれています。

 

例えば建売などで考えてみますと、

事業化出来る土地を仕入れたとします。
 @  その地域の地価はおよそ50万円と仮定し、30坪。それを、坪単価40万円で仕入れたとします。
 A  その時の仕入れに対する仲介手数料は業者間取引で2%となります。24万円+消費税。
 B  それに事業経費が加わり、事業資金全体を銀行借り入れします。(事業経費には設定費や登記費、保証料も発生します。そして、借入額には、期間金利や販売経費、建築費、販売時登記費等々も含まれます。)

 土地30坪、新築建物延べ30坪で、周辺地域の販売事例から、販売価格を3250万円で設定。販売期間1年。として事業計画を設定する。(但し、左記数字の根拠はありません。)

土地購入費             12,260,000
購入時諸経費(移転登記、滅失登記)    600,000
販売経費(広告費、手数料)      1,200,000
抵当権設定、               500,000
表示登記費用                         300,000
期間金利                            500,000
既存建物解体費              700,000
建築確認申請費              350,000
中間検査、完了検査費、          200,000
建築費(建物30坪、坪単価42万円)   12,600,000
外構工事費、引き込み関連費、       500,000
経費小計              29,710,000
粗利益                            5,000,000
販売価格              34,710,000

 

事業地域で4LDK、土地30坪としての販売価格の平均値3250万円から、221万円を経費節減しなければなりません。この為に、常に犠牲にされるのが、建築関連費を削るやり方です。

この場合、全てを建築費で経費節減した場合、建物本体にかけられた費用は、坪単価に換算すると34.7万円(税込)となります。


 建設会社で従業員を抱え、負債を抱えている会社は、目先の仕事欲しさに赤字覚悟で請ける業者がいるようです。又、もっと酷いのは、この請け負いから利益を上げられるという業者もいます。どうすればそれが出来るのか、考えてみてください。


しかし、不動産販売では、土地30坪で、土地価格の単価50万円で1500万円〜1600万円と表示されるでしょう。建物は税込みで、1650万円〜1750万円と表示されるでしょう。実に坪単価34.7万円の建物が55万円〜58.3万円で販売されているのです。


この例は、税法上に見た場合、常識的な価格設定なのです。酷い場合には、同じ建物でも坪単価75万円以上にも達しているものがあります。

 

建売住宅で、全ての事業者では無いと思いますが、建築に関わる費用は、販売価格から全ての経費と利益を差し引いた残りで対応されているのが現状です。これは、改装後販売でもやり方はそれ程変わりません。


話を元に戻しますが、住宅購入者は、多少高い建物付き中古住宅を購入されても、その中に、これ程の利益や経費がかけられる事はありません。弊社ならば、その費用を建築費に充てます。


例えば先程の例に合せて考えてみますと、

その地域の地価はおよそ坪単価50万円と仮定し、敷地面積30坪。それを、坪単価50万円で購入したとします。

その時の購入に対する仲介手数料は3%+6万円となり、510,000.です。

その購入費を住宅ローンで借り入れ、予算総額は建売住宅購入と同じ3250万円と設定します。

(抵当権設定費や所有権移転登記費、保証料、保険料も発生します。)

土地購入費          15,000,000

購入時諸経費          1,000,000

建物解体費・整地費         700,000

(本来建物が付いていて、建物査定0円の場合、解体費は値引き交渉の対象になります。但し、下がるかどうかは交渉次第です。)

外構工事費、設計関連費等    1,500,000

建築費            14,300,000

(坪単価47.7万円となります。)

 

これらは根拠を求められると説明しずらい一例ですが、考え方としては一考の価値はあります。

又、本来注文建築で建物を建てられる場合、最低でも実質坪単価50万円程度の費用が必要です。

結果論として施主様の要望により坪単価70万円、100万円と費用が必要な建物を要求される場合もあります。


この様に、注文建築の場合、プラスの費用が必要になる場合もありますが、、少しでも建築費に余裕を持って、納得のいく終の棲家を求められる事をお勧めします。

 

ここで、注文建築の定義を述べさせていただきます。

注文建築とは、巷でよく言われている様な、間取りや色柄、設備や内外装部材の選択の自由性だけではありません。


皆さんが、指定される土地でどの様な生活を送り目指しているか、そこに住まう個人や家族の住まい方や、各個人の家族・地域との係わり方にも考慮されなければなりません。そして、人が生まれ、全うするまでの長い時間も考慮の対象となります。その上で、その長期スパンから構造や間取り、その後に発生する改装工事等々の展開にも充分な配慮が必要なのです。


人生の中で自分に合った最良の建物を得るには、数回の建て替え経験が必要だという方がおられます。しかし、弊社はそうは考えていません。お金が有り余って使い道に困っておられる方は別として、全てにしっかりとした話し合いの交流があれば、その様な考えは必要のない事です。事前にあらゆる観点から調査し、施主様の考えを充分に把握し、専門家としての意見を理解して頂き、両者が納得するまで時間と手間暇を惜しまずかけ話し合う事で、完璧とはいかなくとも、よりベターなものに到達する事は、両者の思いが一致し熱意が維持されれば確実です。その上で周辺の環境を含めた地盤状況や建物の基礎、構造材、造作材等をその特性を踏まえて選別・選択し双方が確信の域に達する事が必要とされます。

 

 注文建築とは、それ程に手間暇がかかるものなのです。ですから、老朽化の為に建て替える場合は別として、その建物が長期スパンで考慮されたものであればこそ、改装工事や増築工事に対する構造補強や改修工事等も、費用・内容共々最小限で済ます事が可能となります。


建物工事において、充分な打ち合わせと双方の納得から生まれた建物は、結果として施主様の満足度が大きい事から大切に住まわれ、何時までも愛着の感じられる愛しいものとなります。


この様な思いは、誰が建てたか分からない中古住宅や、販売価格が地域の土地建物の販売相場から逆算されたような建売住宅、自由性の少ないプレハブ住宅では求める事が出来ないものです。

又、全てではありませんが、弊社の言う注文建築に出会われた事が無い方は、間取りと見た目、しつらえが重要項目として、厳密に選択され全てが叶えられた建物のように考えておられる様ですが、実はあてがわれている建物に他ならないのです。その証拠に、建築営業の社員は殆ど素人で構成されています。又、中身を理解していない営業マンは、本来言える筈のない坪単価で概略計算し予算額を提示します。


この様に終の住まいを提供するもの・されるもの双方の間違った考え方は、十数年前の偽装建築による事件を始め、最近の地盤が沈み倒壊の危機に至る建物に繋がるのです。


衝撃的な話となりますが、弊社では、現存する建築業者・設計業者の90%以上が余りお勧めできない事業者だと考えています。企業の利益追求に終始し、後先を考えない技術提供と気持ちが伴わない仕事ぶりで簡単にそうなる事が出来ます。これらは仕事を見れば直ぐに分かります。だからと言って弊社が最良の事業社と言っているのではありません。しかし、そうなりたくないから常に知識や技術、感性を磨く事で、専門家としてのプライドを保ち、最良の提案が出来るこだわりある住まいづくりを目指しています。


<2014年4月作成、2014年11月現在確認済>

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