創業20周年記念誌「すまいる」

 2.住むを実践する

 
ひとこと

 
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世間では、「私の住まいは一級建築士が設計して建てた家です」と言われる方がおられます。一例ですが小さな建物の単純な改装工事に一級建築士を指名し、多額の設計監理費を出してでもというケースも聞きます。只、一級建築士を入れることに何ら問題はありませんが、話を聞いているとどうも誤解されているようです。

 一級、二級、木造建築士の違いは、設計資格やランク、設計する建物の見た目の良さや感性の素晴らしさの問題では無く、一般的には取り扱う建築規模から始まり、その後に中身に関して順次判断されるのが一般的です。

 

ここで、建築士の資格範囲を書いてみます。

 

一級建築士は、国土交通大臣の免許を受け、一級建築士の名称を用いて、設計工事監理等の業務を行うものである(建築士法第2条第2項)。


一級建築士は、次のような複雑・高度な技術を要する建築物を含むすべての施設の設計および工事監理を行うことができる(建築士法第3条)。

 1.学校・病院・劇場・映画館・公会堂・集会場・百貨店の用途に供する建築物で、延面積が500㎡を超えるもの
 2.木造建築物または建築の部分で、高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるもの
 3.鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、レン瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造の建築物または建築の部分で、延べ面積が300㎡、高さが13m、または軒の高さが9mを超えるもの
 
4.延べ面積が1000㎡を超え且つ階数が2階以上

 のもの

 二級建築士は、都道府県知事の免許を受けて、二級建築士の名称を用いて、設計工事監理等の業務を行うものである(建築士法第2条第3項)。具体的には、一定規模以下の木造の建築物、および鉄筋コンクリート造などの主に日常生活に最低限必要な建築物の設計、工事監理に従事する。

二級建築士が設計・工事監理のできる限度範囲は、以下のとおりである(当然ながら一級建築士も行うことができる)。

 1.学校・病院・劇場・映画館・公会堂・集会場・百貨店などの公共建築物は延べ面積が500㎡²未満のもの
 2.木造建築物または建築の部分で高さが13mまたは軒の高さが9mを超えないもの
 3.鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造の建築物または建築の部分で、延べ面積が30㎡~ 300㎡、高さが13mまたは軒の高さが9m以内のもの
 4.延べ面積が100㎡(木造の建築物にあっては、300㎡)を超え、又は階数が3以上の建築物(ただし、第3条の2第3項に都道府県の条例により規模を別に定めることもできるとする規定がある)。

 つまり、木造の住宅や、小規模な鉄筋コンクリート造などの建物(延べ面積300㎡以内のもの)などの設計及び工事監理が可能である。

 木造建築士は、都道府県知事の免許を受け、木造建築士の名称を用いて、木造の建築物に関し、設計、工事監理等の業務を行う者である。木造の建築物で、延べ面積が100㎡を超えるものを新築する場合においては、一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。
 つまり、木造建築士は、木造建築物で延べ面積が300㎡以内、かつ2階以下のものを設計・工事監理ができる。

 建築施工管理技士は、施工管理技士国家資格のうちの1つ。国土交通省管轄。建築施工管理技士の区分は1級、2級であるので表記に注意する必要がある。(建築士は「一級建築士、二級建築士及び木造建築士をいう」と定義されており、数字ではない。)1級、2級共に法令順守及び昨今求められる高い要求品質という観点から建築施工における緻密な要求精度を確保し、施工計画、安全管理、品質管理、工程管理という時に相反する事項を達成しつつ、予定工期内に建築を完成させられる高度な技術的スキルが求められる。また昨今の環境意識の高まりと共に3R(以下の3つの語の頭文字をとった言葉。環境配慮に関するキーワードである。

 . Reduce=リデュース、減らす、(ごみの発生抑制)、
 . Reuse=リユース、繰り返し使う、(再使用)、
 . Recycle=リサイクル、再資源化。(ごみの再生利用)
 の優先順位で廃棄物の削減に努めるのがよいという考え方を示している。)を遵守することも要求されるため建築全般について精通し技術的応用力ととも高い倫理観およびマネージメント力も求められる。

 この様に、建築界ではそれぞれの資格に応じて配置される資格者を必要としており、逆に建築内容や規模においても必要とされる専門的資格が要求されます。確かに1級という資格はそれだけで全ての建築に関ることが出来ますが、全般的に詳しい建築士は殆ど存在しないのが常識的で、例えば、1級建築士でなければ関わる事が出来ない建築においては、一級建築士の他に構造設計一級建築士や設備設計一級建築士が分業化して全体設計をおこなって連携しています。
 木造等の小規模建築においては、図面は書くものの、詳細図を求めると書く事も出来ない1級建築士が多い事も事実です。これは、小さな木造建築の取り扱いが少なく、構造を理解しないまま仕事を受けて、後は建設業者や現場任せにしている場合も多くみられます。又、2級、木造建築士でも同じことが言えますが、これらは規模や内容に制限があり、基本的に施主様の為にならない基本設計は出来ない事になります。何れにしても、設計士は設計から監理が仕事で、施工管理技士は出来上がった設計図書を仕様書と見積り、工程表を熟知した上で、現場に合せて要望通りのものを完成し、引き渡す術の全てを知らないと出来ない関係にあります。これらには、この他にも多くの難しい問題を抱える事があり、当面ではこの状況に対する整備がしっかり出来ている事業者の選択が大切な事となります。


<2014年4月作成、2014年11月現在確認済>

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