創業20周年記念誌「すまいる」

 2.住むを実践する

 
ひとこと


 耐震診断、耐震補強、シロアリ駆除、床下換気
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 弊社のお客様より時々相談されることですが、耐震補強や白蟻駆除、床下換気についてです。
 まず耐震診断ですが各公共団体より診断に補助金が出されています。しかし、実際に利用されているケースは少なく、それは制度や診断に問題があるからです。

一般的に耐震診断は表面上の目視確認で正確性に乏しいと言えます。例えば基礎の鉄筋や使用コンクリート、そして建物構造は、設計図書や仕様書・見積書で確認もせず、床下や天井裏に入らないで診断作業が行われています。これで診断結果が出されても、耐震補強は最大の工事を行わなければならず、その費用は莫大になります。耐震補強に補助金が出ると言われても、莫大な工事費用から殆どの方が尻込みしてしまうのが現状なのです。

弊社では出来る場所から補強する方法を提案します。例えば屋根裏に収納庫があれば、その壁に点検口を設け、小屋裏の金物類や雲筋交いの取付け状況、屋根材の荷重や工法を確認すると共に、野地や垂木の状態を確認します。1・2階の和室では畳を上げ床板を剥がして天井裏や床下の点検、押入等に設けてある天井点検口からも屋根裏や天井裏は確認できます。水廻り周辺では給排水管や給湯管、ガス管等のチェックをします。床下では、白蟻の蟻道確認、腐食材の確認、基礎の亀裂や劣化、金物や火打ち、束や根がらみ等、そして、基礎内換気の有効性の確認です。この様に、人海戦術で費用を抑えてかなりの部分の確実なチェックが短時間で出来ます。その上で、どうしても調べておきたい箇所に対して、別枠で最小の調査費をかけます。こうして出た結果に対し、補強を含む無駄の無い工事を確実に実施をするのです。ところが役所の補助を当てにすれば確認もしていない箇所に対しても完璧な対応を必要とされ、莫大な費用が発生します。又、それを実施しなければ補助金を出してもらえないのです。又、全ての費用が補助される訳ではありません。弊社では、現況で出来る範囲の確実な補強工事をお勧めしていますが、相応の安心・安全に繋がっています。

 

耐震補強と称して、訳の分からない露骨な金物補強。白蟻駆除と称して床下に潜り、あまり効果の見込めないやり方で換気扇や吸気口の取付けをしたり、基本的な施工方法も理解していない施工者が除湿材散布を実施したり、定期的な床下点検や建物点検と称して、書類によりチェックを実施したようにみせて、実際は確認作業が行われていない等の例が後を断ちません。その他、屋根瓦の修理や外壁塗装のやり替え等でも無駄に近い施工を莫大な費用をかけている例が多いのは、見ていて気の毒になります。逆に施主様の方でも、見積額や見た目の仕上りに希望があっても、中身へのこだわりは無く、業者任せとされている事が多いようです。

 

弊社の関わらせていただいたお客様で、お住いに構造上の問題を抱えている事は分かっていたのですが、一階部分の改装を依頼された時にその事を指摘しました。奥様に「この家は台風以外の普通の風でも揺れませんか」と聞いたのですが、「主人は建物は少々揺れながらバランスを保っているので気にしなくてよい。」と言われたそうです。どこかで聞かれたのでしょうが勘違いされています。奥様は、少しの風でも微妙に建物が揺れますが、主人がそう言っているので気にしなかったそうです。唖然としましたが、改装の折に一階部分全体を補強させていただきますと、「全く揺れなくなった」と喜んでおられました。

資金をかけて見た目だけの改装工事をされても、不安を抱えたままでは意味がありません。しかし、この様なお客様が多い事も現実です。

また、屋根改修に関しても、基本的に屋根面からの雨漏れは余程でなければ発生しないと考えて下さい。特に昔の施工と比べ最近の施工方法は瓦のズレや剥離が起きにくくなっています。只、一九九〇年を境として、アスベスト問題から素材改良がおこなわれた時代には、素材が剥離、ひび割れの激しいものが見られました。それらは見た目にも悪く改修の対象となりましたが、雨漏りには至ってないと聞いています。しかし、それを見た業者が、シール材や撥水剤、塗装材で改修しようとしている例を見ますが、これは当面の剥離やひび割れ、雨漏りがしていた場合の修理効果はありますが、瓦材の隙間を全てふさぐ事で内部結露の原因となったり、補修後の劣化により水が廻る事で、水の逃げ道が断たれている為、結果的に下地材を腐食させてしまう事になります。屋根材は、少々のひび割れに対し、下地のルーフィングが規定通りしっかり敷かれていれば、屋根面から室内に漏れる事は考えられない状況なのです。それよりも後先を考えず余計な処置をすることこそ建物を劣化させる原因となります。
 
お住まいを改装や増築される時は、まず建物の診断をされる事をお勧めします。これには、特別なケースを除くと費用は発生しません。目的を達成する為には総合的な構造の変化に合せ、既存の建物の確認が必要で、それらを含めて相談が出来、信頼関係の保てる工務店との付き合いが如何に大切かをご理解いただきたいと思います。


<2014年4月作成、2014年11月現在確認済>

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