創業20周年記念誌「すまいる」

 2.住むを実践する

 
ご自宅をチェックする 

 観察しておきましょう<外部・建物外観>
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 @  屋根
 古くから建っている建物で瓦葺きの下地に土を敷き、その上に瓦を乗せる工法では、経年により土が風雨に流され、長年の間に少しづつ減ってきます。これは、瓦のズレを助長したり、樋にその土が溜まる等の事態が発生します。又、棟部分のラインが垂れていたり傾いている様な状況も、同じ様な現象が考えられます。
 シングル葺きの場合も、表面に吹かれた石の様な粒粒が長年の間に風雨に流され、樋に溜まる事があります。ひどい場合は竪樋に溜まり雨水が流れなくなる場合もあります。これらは放置しておくと、屋根面を傷めるだけでなく、前面の鼻隠し材を腐食させたり軒天まで水が廻り腐食させる原因となります。
 鼻隠しや破風板に窯業系素材が使用されている場合、隠れた部分で腐食が発生している場合があります。
 鋼板屋根で、錆びている屋根や庇を見かけますが、出来るだけ早く錆びに対する処置をしましょう。錆びに気づいた時、直ぐに正しい処置をしていれば小額の費用で済み、その後5年10年とお金を掛けなくても持ちますが、錆が酷く、穴が開いてしまったり、鋼板厚が部分補修に至れなかったりする場合は、専門業者の手に委ねなければならないことになります。この場合、規模にもよりますが数万円から数十万円の費用が掛かります。
 屋根勾配にも考慮が必要です。改装や増築等で屋根の新調や葺き替えをされた場合にたまに見られますが、屋根材にはその素材により最低限の勾配が必要です。場当たり的に物を考えないでコスト重視で葺く様な事をしてしまうと、野地板を腐食させたり、雨漏れの原因にもなります。コスト面では色々な素材や方法がありますので、必ず信頼の出来る工務店に相談してください。

 A 
 軒樋からの水漏れは、継ぎ手の接合が接がれている、軒樋が前方に傾斜している、竪樋が詰まってあふれている等の原因が考えられます。この場合も屋根と同じで前面の鼻隠し材を腐食させたり軒天まで水が廻り腐食させる原因となります。
 銅樋は長く持ちますが、経年により劣化し穴が開く事があります。この場合も早い段階で補修すれば目立たなくローコストで補修が可能です。放置しておきますと全面やり替えが必要となり、足場を始め、銅という素材からかなりの費用がかかります。逆に費用を惜しまれ、塩ビの樋に切り替えられる等折角の雰囲気を台無しにされるケースもあります。
 経年劣化で樋のやり替えが必要になった場合、状況によりますが足場が必要な事があります隣家との隙間に足場が建てられなければ、それなりの仕事はしてくれますが、間違いのないしっかりした仕事は出来ません。新築段階で十分検討される事が必要です。

 B  軒天
 軒天の漆喰やモルタルや吹付け、軒天化粧板が剥れたり、捲れたりしている場合は、樋等からの水が跳ねたり、屋根葺き材のズレから水が廻っている事が考えられます。この場合も早く処置されることをお勧めします。樋の場合と一緒で殆どの場合足場が必要になります。 

 C  外壁
 モルタル塗りの外壁の場合で、クラック(ヒビ割れ)が大きく、幅5o以上(状況により判断は変わります。)ある場合や、クラックが横に走っている場合等は外壁内に水が廻る可能性を考えたほうが良いと思います。又、サイディング等の場合でも、継ぎ手にはカバー金物やシール等で水の浸入を抑えていますが、例えばシールは数年で痩せて来ます。専用シールでしっかりと打たれていると10年以上経過した段階で、増し打ちや打ち替えが出来ます。どの様な工法に関らず、隠れた下地の処置がしっかりされている事が必要です。
 タイル貼りの外壁は、工法にダンゴ貼と圧着貼等があります。それぞれに特性があり部材やタイルの大きさ等で貼り方を決めます。いずれにしてもいつかは下地とタイルとの間に水が浸入します。これにより接着部や下地が風化し剥離の原因となります。そして、タイルの落下に繋がります。又、経年劣化の心配とンが得られるものは、引っ張り強度試験を実行されるとよいでしょう。
 窓廻りにも構造上や処置上の問題がある場合があります。アルミサッシの取り付けを行った後に防水フェルトを貼るのですが、その前に防水テープがサッシ周りの水切りの周囲にしっかりと貼られているか確認が必要です。
 サイディング貼等では窓廻りに水切りになる様な金物を取り付け2重3重に水が廻ることを防ぎますが、これもシールに頼る事になります。先にも申しましたとおりシールは必ず痩せてきますので打ち替え等の処置が必要となります。又、シール材には色々な種類があり使用に対する徳性があります。見た目は同じでも使用部材を間違えると後が大変ですので、より良い部材の確認をされる事をお勧めします。
 最近の住宅にはサイディング貼のものが増えています。見た目に良く、汚れにくい、施工が簡単という点で使用頻度が増しています。この点に関してはモルタル塗り吹き付け仕上げやタイル貼仕上げも施工が簡単という点を除けば変わりませんが、クラックが起きないという点でも良いとされています。只、工程や下地の処置の違い、壁面に対する実質面での強度の違いがあります。どちらを選ばれる場合でも、下地や工程の確認と素材に対する長所短所を必ず確認される事をお勧めします。

 D  基礎
 布基礎にクラックが入っている場合、様々な状況が考えられ、例えば、敷地地盤が弱く、地震の揺れ等が原因の場合、大雨で雨水による地盤の浸食による地盤沈下、RC基礎が無筋基礎の場合、また、有筋基礎でも鉄筋の配置や量が不足している場合、ブロック基礎の場合も有筋・無筋により同じ事がいえる上、一般的なブロック基礎の構造から雨水浸入がしやすく、目地モルタルやブロックの風化によるクラックが発生する事があります。
 隣家や敷地GL(地盤レベル)の考慮不足やベース又はべた基礎と布基礎との高さ関係も柱や土台の腐食や基礎内部への雨水の侵入に繋がります。
 基礎内換気も大切で、敷地に余裕があり隣家との間に50cm以上の空間がある場合は別ですが、最低でも床下換気扇に頼られる場合は、換気扇を1台取り付けるには反対方向からの吸気口が1〜2箇所必要です。建物が接近している場合に多くの換気扇や吸気口を設けることは不可能で、調湿材散布を併用される事をお勧めします。尚、調湿材散布は基礎内土間に隙間無くビニールシートを敷き、その上に調湿材を5p前後敷き詰めるのが、その施工法です。基礎内の湿度が高い状態を続けますと、白蟻の発生や、柱・土台・束・根がらみ・床材等の材料の腐食にも繋がります。出来れば事前に白蟻駆除を実施されてから上記処置をされるとより良い処置だと思います。 

 E  建物外部の観察に関して
 @〜Dで書かせていただいた事柄は、全体のチェック項目のごく一部です。しかし、これだけでも、処置を怠ったり、引き伸ばしていると建物に多くの損傷を与え、損傷の度合いが酷くなれば、掛かる費用も初期段階での処置と違い数段・数十段大きくなります。
 新築された建物でも、技術者がどれ程の処置をしているかは施主様の知らないところだと考えられますので、外部観察により感じたことは、どの様な細かな事でも信頼される工務店に相談されることをお勧めします。又、マンション等共同住宅には共益費とかメンテナンス用積立金がありますが、戸建の持ち家の方はあまり関心を持っておられないようです。しかし、建物は使い捨て商品ではありません。計画性を持って維持管理される為の予算組みは必要だと思います。これも信頼の於ける工務店に相談されるか、ご予算が許す限り少しづつでも定期的に別枠で貯蓄されることをお勧めします。

 F  外部(外観や主構造の意味)の安全・安心は住まいの安全・安心に繋がります。外部に多少の問題を感じていても住む事に影響がない場合、そのうち影響があれば考えるという方が多いですが、実際はその間に建物は確実に劣化しているのです。そして、法律上では建物の保証期間は瑕疵項目で10年しか有りません。

<建物の害虫駆除、防カビ、防露に関して> 


 G  白蟻
 毎年5〜6月頃に土から外に出てきます。出る時は羽を付けたまま大量に出てきて、羽を落として下に潜ります。発見できる場所は、家の廻りや窓、洗面所・浴室付近です。
 特徴として白蟻は床下の布基礎部分に蟻道と言って黄土色の土の固まりのような道を造り、木材の所に移動します。特に湿気の多い部分や、洗面所・浴室の床下には発見しやすく、出来れば床下点検口を設けておかれる事をお勧めします。白蟻は、木材を食害する害虫で発見が遅れたり、見つけても放置しておきますと建物の土台や柱がぼろぼろにされてしまいます。又、白蟻はあまり高い所まで食害しないと考えられていますが、場合によっては地上3〜5m位の所まで上がっていきます。
 駆除の方法として、白蟻駆除の業者に依頼されることが最良の方法ですが、これも出来れば信頼の出来る工務店より紹介させた方がより確実な対応をしてもらえると思います。因みに、白蟻駆除を行えば5年間の保証書が提出されますが、これは白蟻を完全に絶滅させたと言う意味での保証書ではありません。5年間の間に再度発生した場合にもう一度駆除の処置を実施すると言う意味の保証書です。白蟻を完全に駆除する事は非常に難しく、地域全体で根底から処置しても、また発生する可能性を秘めているのです。白蟻はそれ程日本の気候で生息することが容易い害虫です。 

H  ダニ・衣類害虫・きくい虫
 ダニは梅雨から夏にかけて湿度の高い場所に繁殖し発生します。
 アレルギー性喘息や鼻炎、アトピー性皮膚炎等を起こす原因となります。又、人を刺すダニもいます。
 押入や布団、じゅうたん、畳、ソファー等に生息しますので、室内の換気を毎日心掛け、布団等は直射日光にあて乾燥させます。押入は防湿剤をいれ隅々まで掃除機を掛ける事が必要です。又、畳などには殺虫剤を直接かけ駆除する他に、畳やカーペットの下に防虫シートを引く事も必要です。又、畳屋さんに除菌乾燥機をかけて貰う事も考えられては如何でしょうか。
 衣類の害虫でカツオブシムシ等は防虫剤を切らさない様心掛ける事と、クリーニング店で加熱処理をしてもらうのも良いと思います。
 キクイムシ(体長3o〜5o位)及び類似の害虫(色々な種類の害虫がいますので、出来れば信頼の出来る工務店に持ち込み各大学や研究所に調べてもらった上で対応を探られる事をお勧めします。)は、何れも天井や壁・柱、家具等に1o位の穴を開け、中で生息している害虫です。ぽつぽつと小さな穴が開く事で気づかれますが、キクイムシに関しては、市販で殺虫剤が売られていますので、穴にめがけて大量に噴射する事と、出来れば年2回位は散布される事をお勧めします。只、絶滅に至るかどうかは、専門業者に依頼されても保証される事はないと思います。

 I  蜂の巣
 これに関しては、早期に発見された場合を除き、役所に相談されて、専門業者に依頼されることが良いと思います。尚、早期発見された場合は市販の駆除剤を小さな巣に目がけて噴射されれば、たいていは処理できます。但し、直ぐに逃げられる場所は確保しておかれた方が良いと思います。 

 J  カビの発生
 カビを防ぐには、第一に換気を良くし、湿度を上げず、空気をよどませない事です。そして、毎日の掃除は誇り等を好むカビの発生には有効です。特に風呂のお湯は必ず抜き、出来れば湿気を拭き取っておくと良いです。又、食事の調理中・調理後も窓を開け空気の入れ替えをする事が必要です。
 カビが生えてしまった場合は、塩素系カビ取り剤の使用が効果的です。但し、体や特に目に入ると大変なことになりますので使用法を十分に理解してからお使いください。

 K  防露
 結露は酷い場合、部屋の床に水を撒き散らした様な状況になります。窓だけではなく、壁からの結露は非常に性質が悪く、体調を崩しかねない原因にもなります。
 これも、基本的には第一に換気を良くし、湿度を上げない、湿度を上げる原因を作らない。例えばストーブ(ガス・石油)は水蒸気を異常発生させ結露の原因を作ります。又、暖房機のある部屋が家具やベット、絨毯等で埋もれているような状況も通気が悪く感心できません。
 解消するには、その原因を取り除くことと、通気・換気・清掃・整理整頓の徹底です。その上で居室や押入の内壁や天井にに結露防止の為の断熱性のあるボードを貼る。窓では2重にサッシを入れる。押入の中には除湿剤を置く。等々です。そして、結露によって濡れた窓枠や床はこまめにふき取っておく事は特に大切です。結露防止や腐食による改修費用にも関係してくると同時に、費用軽減にも繋がります。 

 L  害虫やカビ・結露から建物を守る
 一言で言わせていただきますと、整理・整頓・清掃・通気・換気が全てです。整理・整頓とは荷物を部屋内に出さない心掛け、清掃は発生源を絶つだけでなく、異常にいち早く気付く、通気換気は部屋の空気を新鮮にする事と、湿度を下げる効果があります。それでも収まりがつかない場合は、
 詳しくは、信頼の出来る工務店にご相談ください。


<2014年4月作成、2014年11月現在確認済>

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