数日前リョーマの意思を完全に無視した形だったが、めでたく東宮妃入内となった。
アノ、今まで全く他人に執着しなかった東宮・不二を見事に落とした姫ということで
入内の当日内裏は大いに盛り上がった。そして、帝である手塚もこれで少しは不二の行
動が制御できるのではないかと淡い期待を持つとともに、不二の生贄のようになってし
まった東宮妃に感謝の気持ちと申し訳ないという気持ちをたっぷり込めて、それはもう
歴代一、二を争うだろうほど盛大に入内の儀式を執り行ったのだった。
それから数日後……
東宮御所は朝から賑やかだった。
東宮妃が入内する前までは一日中を通して静かな空間だった。偶に東宮の友人たちが
遊びに来訪した場合は騒がしい時もあったが。
けれども無事入内した後、雰囲気はガラリと変化し、現在では毎朝決まった言葉が飛
び交っていた。
「いいかげんにしろよ!! 毎日、毎日、毎日、毎日っ!! アンタは俺を殺したいん
スか!!!」
「僕がリョーマ君を殺す? そんなことあるわけないよ」
寝起きだというのに、いや、寝起きだからこそか不二の表情はとてもスッキリとした
もので、それにニコニコと綺麗な笑顔を足してリョーマの叫びをきっぱりと否定する。
「じゃあなんで俺が嫌だって言ってんのに、アンタは毎日、毎日、しつこく、しつこ〜
くスルんスか!!」
「そんなのリョーマ君を愛してるからに決まってるでしょvv」
とても幸せいっぱいの、けれどリョーマに言わせればだらしのない笑顔を浮かべると
キレかけ寸前だったリョーマの堪忍袋の緒がブチッと切れた。
「アンタのその顔で、そんなコト言われても、全く信用できないって何度言わせりゃ気
がすむんスか!! それに俺はアンタの妃になることも承諾した覚えはこれっぽっちも
ないっス!! それなのにアンタときたら無理矢理……っ。それで信用しろって方がお
かしいでしょ!! それぐらいの常識わきまえろ!!」
ハァハァと肩を大きく上下させながら息巻くも、悲しいかな不二には馬の耳に念仏で
あった。
「酷いなぁ。僕以上にリョーマ君を愛している人なんていないよvv というか、いた
らいたでそれはキレイに跡形もなく抹消しなくちゃね♪ まぁそれは置いといて、常識
をわきまえろってことだけど、僕が帝になったら僕自身が常識みたいなものなんだから
そんな無駄な努力する必要はないんだよ。わかった? ということで、朝からこんなに
体力使ったから僕疲れたよ。リョーマ君もそうだと思うから、もう一度一緒に寝ようね
vv」
言葉が終わる前にリョーマは不二によって寝所に連れていかれていた。
「やめろ!! この馬鹿!! 桜乃――!!」
この男には敵わないと知りながらも、侍女の桜乃を呼ぶと…………
今回は神の手が差し伸べられた。
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◆◆コメント◆◆
お久し振りです。平安です。
突然不二リョが書きたくなってしまい書いてしまいました!
凄く楽しく書いてます。はい。
けれど、一話完結のはずが何故か続いております……
何故だ―――!?
そのうえ、一話はもう少し話が進む予定だったのですが、
見事に力吐きました(*_*)
なるべく早く終わらせるつもりです。暫くお付き合い下さい。
2005.06.02 如月水瀬