青春探偵事務所 20


  



 いつもの日常が戻ってきた。

 そんな中、手塚が事務所の皆を連れて河村寿司へやって来た。

「あ! 手塚待ってたよ。もう皆来てるから」

「皆?」

 不二が奥へと顔をやるとそこには橘兄妹と神尾がいた。

「何で、ここにいるの?」

「先輩の復帰祝いっスよ」

「あとは、おちびの初大事件の解決祝いも兼ねているんだにゃ!」

 菊丸がポンポンとリョーマの頭を叩く。

「痛いっス」

「ほら、早く座って!」

 菊丸に急かされて不二とリョーマが席に着く。それを待っていたかのように、たくさん

の寿司が机に運ばれてきた。

「みんな、お茶はまわったかにゃ? それでは、今回の主役の不二に一言挨拶をしてもら

います〜」

「ちょ、ちょっと、英二!」

「いいから、いいから〜」

「……とりあえず、事件の解決に乾杯」

「「「「かんぱ〜い」」」」

 不二の言葉に皆がコップを互いにぶつけ合い不二の復帰祝い&リョーマの大事件解決祝

いが始まった。

「あー、俺のアナゴ〜。海堂、俺がアナゴ好きなの知ってるだろ!」

 目の前のアナゴを海堂に取られた菊丸が叫んでいる。

「いや、まだあと二つ残っているハズ……!」

「足らねぇな、足らねぇよ」

「そーっスね」

 振り返った菊丸が見たものは、アナゴの寿司を全て食べ尽くしていたリョーマと桃城の

姿だった。

「こ、こいつら……ん?」

 そんな三人を見つめる不二の前には巻き寿司が置いてあった。

「不ー二、なんだあれ?」

「ん?」

「もーらった。へへへのかっぱ!」

「あ」

「う…………ひぃ〜っ。何だこりゃっ、何食ってんの?」

「ワサビ寿司だけど?」

「そういや、不二先輩って辛いもの好きだったっスね」

「……」

「なんスか?」

 不二に手招きされ側に行くと抱きしめられた。

「な、何するんスか! みんな見てるじゃないっスか!」

「いいじゃない」

「……よくないっスよ!」

「リョーマ君」

「……何っスか?」

「好きだよ」

「……俺も」

 皆から死角になる所でキスをしているのを見てしまった人物がいた。しかし、彼には何

も言うことは出来なかった。なぜなら、不二はこの青春探偵事務所の中で一番最強の人間、

いや魔王だからだ。はてさて、不二とリョーマのキスシーンを見てしまった人物の眉間に

は消えないシワが刻み込まれたのは言うまでもない。











 ここは青春探偵事務所。

 手塚率いる有能な探偵たちが日夜難関な事件を解決しています。難関な事件が起これば

すぐさま解決に赴きます。相談事、厄介な事件などがあれば、いつでもご連絡ください。

皆様のお越しお待ちしております。





                            END

















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