always 1


  


 今日は十二月二十三日。

 早いところでは既に、遅いところでは明日から、大学までの学生は冬休みと呼

ばれる連休に入る。そのうえ本日は祝日である。会社勤めの者たちにとっても休

みなので街は人で溢れかえり、行き交う人がすれ違うたびに肩や腕などの身体の

一部が触れるほど混雑していた。

 その大半はカップルである。皆幸せそうな笑顔を浮かべ手を組んで歩いている。

 そんな中に男の二人連れが混じっていたが、誰も違和感を感じることはなかっ

た。むしろ自然に周りの空気というか雰囲気に同調していた。

 二人のうち一人は、誰もが一度は振り返るだろうと思われるほど綺麗な顔をし

ていて、ソレに常に完璧な笑顔を貼り付けている少年で、もう片方は、一点の曇

りもない大きなアーモンド型の瞳、艶やかなサクランボのような唇のこれまた魅

力的で中世的な雰囲気を持つ少年だった。

 周りの者たちの目は自然と二人に向けられた。しかし、視線の先は男女で異な

っていた。女は笑顔を絶やさない少年に、男は人を惹きつける大きな瞳を持つ背

の低い少年にそれぞれ熱い視線を注いでいた。







「……」

 リョーマは機嫌が悪かった。それも物凄く。

 途中までは連れである不二と普通に会話していたのだが、少し前から一言も話

さず、ずっと黙ったまま歩いている。

 では何故機嫌が悪いのが分かるかというと、リョーマの大きな瞳がソレを雄弁

に語っていた。

(あ〜ムカツク! 何でこの人たち人のことジロジロ見てるわけ? 動物園の動

物じゃないんだから見られて嬉しいわけないじゃん!!)

 言葉に表すとこんな感じであろうか……。

 リョーマは自分の魅力に全くと言っていいほど気付いていなかった。

 そんなリョーマに対して不二はクスッと小さな笑みを零す。

「何笑ってんスか?」

 不二の笑う声を耳聡く聞き取り、先ほどよりも更に一層機嫌を悪くしたようで、

いつもより低音の声で隣を歩く不二に問い掛ける。

「別に。ただ……」

「ただ何スか?」

 言葉尻を濁した不二に遠慮なく不審な眼差しを向ける。

「リョーマ君は可愛いなぁと思ってねvv」

「っな!?」

 瞬間リョーマの顔は真っ赤に染まる。不二はというと、そんなリョーマを見て

声には出さなかったけれど、内心では今すぐ押し倒したいなぁと不届きなことを

考えていた。

「周助のバカ! もう知らない!! 俺今日はもう帰るっ」

 不二に罵声の言葉を吐き捨てると、リョーマは家とは全く違う方向に全速力で

走り出した。このリョーマの行動には不二でさえも驚いた。というよりもあんな

一言でここまでリョーマが反応を返すとは、予想もしなかったのである。



 不二様一生の不覚であった。



 しかし、すぐに我に返ると、リョーマが走り去った方向に不二もまた走り出し

た。その顔にはいつもの笑顔はなく真剣であった。もしここにデータマンの乾が

いれば、「良いデータが取れた」と言うことまず間違いなかっただろう。


















next  room top

   ◆◆コメント◆◆       苦肉の策無事発動♪       長くもないけれど、短くもなかったこのお話。       活動を始めたのが12月からなので、設定は冬。       リョーマの誕生日前日です。       もうすぐ夏だというのに、なんでしょうこの季節感のなさは……       こんな時期にスランプに陥った管理人が馬鹿なんですけどね(-_-;       しばらくはこの不二リョが連続でUPされます。       どうか宜しくお願いしますm(__)m       けれど初っ端からけんかしているお二人。       けれどCPは不二リョです。これが覆ることはありません。はい。       これからリョーマはいろんな人に遭遇します♪       まずは誰でしょうか?         2005.07.16 如月水瀬