朱を奪う紫  気炎万丈


   


「…何でいるんですか!」
夜遅くに仕事を終えて帰宅したイルカは、自宅のアパートにカカシの姿を見つけて絶叫した。
「いるに決まってるじゃないですか。アナタの恋人ですもん。」
「そんな立場を許した覚えは全くありません!」
見事に不法侵入を果たした男は、けろりとした表情で居間に居座っていた。例の卑猥な本を手にしている。 イルカの怒りを含んだ言葉は、この男には通じなかったようだ。
「そんなの今更でショ?」
言うなりカカシは、入り口で立ち尽くしていたイルカを抱き寄せた。そのすばやい動きはまさに上忍。 寸分の無駄もない。当たり前のように唇を奪われたイルカは、ただ呆然としているしかなかった。
家にまで押しかけてくるとは…安らぐ暇さえない。
愕然としていたイルカは、カカシの手が不埒な目的を持って肌を這い出したのに気づき、急いでその 腕から逃れようともがいた。しかし、カカシの腕はびくともしない。
「なっ…ちょ、ちょっとやめてくださいっ…!」
「ヤです。さっきの言葉、オレ傷つきました。責任とってくださいね。」
ニッコリと微笑む顔が怖い。瞳は笑っていないのだ。
首筋を舌でなぞられ、歯を立てられたイルカは悲鳴を上げた。
「ちょっと待ってくださいっ。俺、食事もまだなんですけど…!」
こうなれば、食事でも何でもダシにしてこの危機的状況から抜け出したい。だが、カカシは甘くなかった。
「嘘ばっか。かすかにだけどラーメンの臭いがする。どーせナルトと仲良く一楽にでも行ってたんデショ?」
鋭いカカシの嗅覚にイルカは青ざめた。イルカの目論みは脆くも崩れ去った挙句、嘘をついたことにまで気づかれている。
そして、容赦なく寝室に連れ込まれた。ベッドに投げ出されると、男二人の体重にベッドが悲鳴を上げた。
「嘘つきにはお仕置きを。イルカ先生、完徹でもいってみよーか。」
額宛と口布を外したカカシの色違いの瞳に見つめられたイルカは、サラリと告げられた言葉に首が 千切れんばかりに頭を振った。
「いやです、絶対嫌だ。」
しかし、容赦なくカカシの手がイルカの額宛と髪紐を外していく。まっすぐの豊かな黒髪が、ふわりとシーツに広がった。 それに目をやったカカシが、満足そうに毛先をもてあそぶ。
「大丈夫、この前みたいに薬がなくても感じさせてあげますから。安心してください。」
何が安心だ、というイルカのもっともな反論は、カカシに唇を塞がれて途中で消えた。



   のっけからエロスでごめんなさい(笑)新章突入です。
   今回のテーマは強中忍と紅先生(え)
   2005 01 13 陸城水輝



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