Review No.A-013

コードギアス

反逆のルルーシュ

(C)SUNRISE/PROJECT GEASS・MBS
Character Design (C)2006,2007 CLAMP
毎日放送 木曜日深夜 放映終了(2006/10〜2007/3 , 2007/8)




「全力でレビューしろ」 とルルーシュに命令されたような気が・・・

  これは相当舞台設定の手が込んでいますねー。
いろんなところで少々無理のある「対比」を描写しようとしているので、ある意味必須でしょうが。



 何か、久しぶりに 「絶対悪」 の存在がアニメに登場した感があります。
  「力こそすべて」「戦いの中に進歩あり」「弱いものはひれ伏すべし」 ・・・こんな絶対悪に近い存在として描かれる主人公ルルーシュの父とブリタニア帝国、それに対して 「弱いものには救いの手を差し伸べ」るが「強いものには武力も辞さない」 という必要悪のルルーシュ。 一見 「正義の味方」「悪の根源」 の戦いに見える のですが、ルルーシュの心の奥底にあるのは、母を見殺しにした父への憎悪。実は、 根底は同じところにある のでは?と思わずにはいられません。
  人は誰もみんな、悪の心も合わせ持っている んだなあと思ってしまいました。



 さて、 主人公 ルルーシュ は「ゼロ」というコードネームで、ブリタニア帝国と父を倒そうと活動を起こすのですが、 表の顔は病床に伏せる妹を気遣う優しき兄目標を達成するためには、手段を選ばない冷酷な「ゼロ」 との 二重人格者 として描かれていますが、考えてみれば、主人公がこれほどひねくれた人格を持つ者として登場するアニメは珍しいのではないでしょうか?
 その二重人格者「ゼロ」ことルルーシュの持つ 必殺技が 「ギアス」 と呼ばれる絶対遵守の力。こんな奴が必殺技なんか持ったら、メチャクチャなことになりそうですが、そんなことにはなりません。「ゼロ」は冷酷ではありますが、状況を冷静に見極める力が格段に優れており、むやみに乱発したりしません。 必殺技をたまにしか目にしないところが、かえって新鮮 でいいと思います。



 ストーリーとしては、目を引く派手なシーンを多用することなく、戦局の推移を客観的に描くなど、 戦略性を重視した展開 になっています。「ギアス」はその過程での補助的な必殺技にすぎず、派手さはあまりありません。しかし、 誰に対しても一度だけ、決して逆らうことを許されない「絶対遵守」の命令を下せる「ギアス」が静かに、隠れたところで使用される様子は、逃げ場を失ったような感覚を覚え、恐ろしいシーン です。



 本当に対比の多い設定を、うまくつじつま合わせできていると思います。 「互いに敵の懐に飛び込んで世界を変えようとする2人の主人公」 のルルーシュとスザクが、互いに相手の正体を知らないまま戦う運命にあるというのはまだ納得できるのですが、その上幼馴染なんていう設定はかなり出来過ぎてますよね。
 しかし、
もしも現実にこのような悲劇の設定があったとしたら・・・ と考えさせられてしまうほど、アニメの作品としての完成度は高いと思います。
今はまだ見えてこない結末に期待が高まります。

P.S オープニングですが、個人的には最初の曲のほうがよかったかなぁ・・・と思います。本編の主題がうまく表現されていたし。

(2007/02/25)


STAGE 24 & 25

 ルルーシュの 卓越した頭脳非の打ち所のない戦略比類なき冷酷さ をもってしても、強大な権力の前には及ばないというところでしょうか?1点弱点があるとすれば、 冷酷さが完璧なものではなかった 点でしょうかね。いかに、目的のためには手段を選ばないルルーシュといえども、今までかかわってきた友人、仲間を何のためらいもなく裏切り、捨て去ることはできなかった。それが結果的に帝国の付け入る隙となった。 人間が人間である所以である「感情」が、目的達成の障害となるとは皮肉なもの ですね。
 最後はナナリー救出のために、想定外の単独行動をとってしまい、勝利目前だった「黒の騎士団」すらも半ば放棄せざるをえなくなってしまいましたからね・・・。
 ルルーシュに人間性のかけらが残っていたことを嬉しく思うと同時に、絶望的な状況になった世界の行く末を案じるといった複雑な気持ちになりました。

 さて、際限ない破壊と殺戮の泥沼にはまってしまった「プリタニア帝国」とルルーシュ率いる「黒の騎士団」、そしてゼロの正体をあらためて確認したスザク。 互いに理解しあえる親友であることを望んだ二人が、共にすべてを失い世界の終わりを見る前に、どちらか一方が勝利の日の出を迎えることはあるのだろうか?

(2007/08/26)



『コードギアス 反逆のルルーシュ R2

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