大動脈弁閉鎖不全
Aortic insufficiency〈AI〉
Aortic regurgitation〈AR〉



1)所見ポイント
a)逆流程度(補足説明1
b)左室径の拡大の程度は
 左室径の拡張末期径が70o以上でかつ収縮末期径が50o以上になると外科的治療対象となる。
c)左室壁の運動異常はないか
d)大動脈弁の形態異常はないか
e)大動脈弁輪や上行大動脈の拡大はないか
f)腹部大動脈血流パターンの拡張期逆流はないか
 大動脈弁閉鎖不全による逆流量が多くなると腹部大動脈血流パターンに拡張期の逆流が出現してくる。ただし動脈管開存症の短絡血流量が多い場合にも腹部大動脈血流パターンに同様の変化をきたすので注意を要する。

2)症例1
 本例では観察ポイントのc)、d)、f)に異常を認める、すなわち大動脈弁はエコー輝度が増加し、弁尖のズレ(後に示す心尖部アプローチで良く確認できる)、左室の拡大を認める(図18)。

 所見ポイントa)の逆流程度はカラードプラ法でW度である(図19)。
 
b)の左室径は拡張末期径が約80o、収縮末期径が約55oと拡大している(図20)。
f)に関する腹部大動脈血流パターンでは拡張期に逆流血流を認める(図21)。




3)症例2
 本例では観察ポイントのa)に異常を認める、すなわち大動脈径が70oと著明に拡大している(図22)。
 所見ポイントa)の逆流程度はカラードプラ法でW度である(図23)。