補足説明1:カラードプラ法による逆流程度評価



 カラードプラ法は血流の速度、方向、速度分散を断層図上にカラー表示するもので、通常探触子に向かってくる血流を赤系統に、遠ざかる血流を青系統の色で表示される。従って僧帽弁閉鎖不全等により逆流血流が存在する場合はこの逆流血流の方向と広がりがリアルタイムに評価できる(本誌ではカラー写真の掲載ができないため白黒写真として示す)。
この逆流血流の広がりは例えば僧帽弁閉鎖不全症では逆流の最大到達距離を1.5p単位に区切ると左室造影でのSeller分類のT〜W度とよく対応しカラードプラ法で逆流程度の4段階評価が可能である(図)。
同様にして三尖弁閉鎖不全症では逆流血流の最大到達距離が

 

とし、大動脈弁閉鎖不全症では

 

としてそれぞれ4段階評価が可能である。
ただしここに示した4段階評価は初期の超音波装置によるもで現在新基準の検討を行っているものなので参考基準と考えてもらいたい。




補足説明2:圧較差の推定



 狭窄弁口や逆流弁口においてその前後における圧較差は
簡易ベルヌーイ式により
  ΔP=4V2
   (ΔP:圧較差、V:血流速度)
として求められる。
ここでVで示される狭窄弁口通過血流速度や逆流血流速度は最高流速が得られるよう連続波ドプラ法を用い、ドプラ用ビームは血流方向と平行になるように投入する必要がある。




補足説明3:弁口面積の測定



 弁口面積は僧帽弁M−モードのE点に時相を設定しこの時相での僧帽弁先端レベルの短軸断面を描出し、この断面で弁口面積をトレースする(図)。




補足説明4:僧帽弁逸脱の程度評価



 僧帽弁逸脱症の程度評価の方法は幾つか報告されているが著者の施設では前後尖接合面のズレの距離から
   1から5o未満をT度
   5から11o未満をU度
   11o以上をV度
として3段階分類している(図)。