b)僧帽弁の逸脱はないか
僧帽弁逸脱が存在する場合は、どの弁尖(前尖か後尖)のどの部位(中央部か後交連側か前交連側か)でどの程度の逸脱かも評価すると外科的治療時の方針決定のための良い情報となる(
補足説明4)。
c)腱索の断裂はないか
腱索断裂を有する場合は僧帽弁置換術の可能性が高くなる。
d)弁尖や弁下組織の器質的変化はないか
弁尖の肥厚、石灰化による不整や弁下組織の癒合、石灰化の高度のものは僧帽弁置換術の可能性が高くなる。
e)左房、左室の拡大の程度
2)症例1
検査の流れの中では観察ポイントのd)に異常を認める、すなわち
僧帽弁前尖が逸脱している(図8)。

所見ポイントのd)にあたる逸脱弁尖は前尖で
逸脱の程度はU〜V度、逸脱部位は短軸断面から中央部と観察される(図9)。
3)症例2
本例では観察ポイントではd)に異常を認める、すなわち僧帽弁の前尖と後尖間に間隙を認める(図10)。
所見ポイントのa)の
逆流の程度はカラードプラ法によりW度であり、逆流部位は弁口の中央部からである(図11)。
またe)の左房、左室の拡大も認める。