Libro della Cocina

           

 

 

1300年後半から1400年初頭にスペインの影響を受けた、イタリア語で書かれた料理書である。著者は不明である。レシピの中にヴェネティア方言があり、フィレンツェ、ロンバルドの地名があることから北イタリアで書かれた可能性がある。

テキストの省略記号(3つ並んだピリオド)は原典の欠文又は判読不能を示す。

〔 〕内はVittoria Aureliが註をつけたものであり、( )は私が補足した。

                                                             2005/5 Vittoria Aureli氏  翻訳。

                                           http://www.staff.uni-giessen.de/gloning/tx/an-tosc.htmから閲覧できます。

                                                                        Copyright©2011佐藤義範

 

 

 

 

                  目次

 

 

.野菜

 

キャベツ

1.よく料理したホワイトキャベツ料理

2.肉の入ったグリーンキャベツ料理

3.上の料理について

4.上の料理について

 

野菜

5.フェンネルと新鮮な野菜

6.ルリヂサを使った同じ料理

7.前の料理と同じ

8.前の料理と同じ

9.前と同じ

10.前と同じ

11.フェンネルのソース

12.ノボロギク

13.前に述べた料理に関して

14.同じく、月経中に食べる料理

15.マスタード

16.アスパラガス

17.レタス

18.グールド(ヒョウタン、かぼちゃの類)

19.別の料理

20.別の料理

21.洋梨

22.タマネギ

23.リーク  

24.ファストデイの別の料理

25.別の料理

26.肉を使った別の料理

27.別の料理

28.別の料理

29.蕪(napori 又は navoni

30.ランプ(Ramps: 別名、野生のタマネギ又は野生のリーク)

31.別の料理

32.

33.別の料理

34.別の料理

35.別の料理

36.ヒヨコマメ

37.土曜日のための別の料理

38.別の料理

39.別の料理

40.別の料理

41.別の料理

42.レント中の別の料理

 

豆(エンドウ豆)

43.エンドウマメ

44.別の料理

45.別の料理

46.エンドウ豆と肉

47.別の料理

 

生のソラマメ、Whole (fresh )Fava Beans

48生の若いソラマメ

49別の料理

50別の料理

51別の料理

52.別の料理

 

乾して二つに割ったソラマメ、Split (dried)favas

53.乾して二つに割ったソラマメ

54.別の料理  

 

レンティル

55.よく洗ったレンティル

56.別の料理

 

ビーンズ(fasoli

57.ビーンズはよく洗って

58.トレヴィーゾ(Treviso)スタイルで作る別の料理

59.別の料理

  

マシュルーム

60.マウンテンマシュルーム

61.別の料理

62.別の料理

 

コンポスト

63.コンポスト

64.別の料理

  

2.ブロス

 

65.粒状のブロス

66.別の料理

67.別の料理

 

魚のギャランティン

 

68.魚のギャランティン

69.魚のブロス

70.別の料理

  

3.家禽

 

71.ゴスリング

72.別の料理

73.ツル

74.サラセンブロス

75.シャポンブロス

76.プロヴィンシャルスタイルの別の料理

77.別のスペイン風グリーンブロス料理

78.ボイルしたヤマウズラ

 

4.詰め物をしたパスタと内臓肉

 

79.グラトニア(Gratonia

80.クリスペラー

81.別の料理  

82.別の料理

83.グローヴ(Gloves)つまりラヴィオリ

84.別の料理  

85.ソーセージ又は魚の法が良ければダンプリング(tortelli

86.ミートクロケット(Meat croquettes)詳しく言うとダンプリングとラヴィオリ

87.別の料理  

88.胃袋のGualdaffeと熱い肉料理(caldume)

89.腸を使った別の料理

90.別の料理 

91.上で述べたgualdaffe

92.豚の腸と胃袋

 

5.ソース

 

93.シナモンソース(cenamata

94.ペッパーソース

 

6.野兎とその他の肉の煮込み料理(Civero ,フランス語ではcivet

 

95.野兎のcivero と他の肉

96.別の料理

  

7.ニワトリ

 

97.ニワトリ又は家禽に添えるスマックソース(Sommacchia)

98.ニワトリに添えるレモンソース(Limonia

99.ニワトリ、家禽、魚のグラトミア(Gratomea

100.ザクロを使ったニワトリ料理(Romania

101.シャポンに添えるホワイトガーリックソース

102.ブラマンジェ

103.レント中の別の料理

104.米で作った別の料理

105.Festiggia

 

8.スタッフトミート

 

106.クジャクに詰める

107.メンドリに詰める

108別の料理

109.仔牛

110.マトンに詰める

111.肩肉に

112.胃袋に詰める

113.腸に詰める

 

9.ペイストリィ

 

114.ソップ

115.別の料理

116.ローマンペイストリィ

117.仔山羊のペイストリィ

118.別の料理

119.生きている鳥のペイストリィ

120.うまいペイストリィのための別の料理

121.別の料理

122.パルマスタイルのタルト(パルマタルト)

123.シャポン、キジ、家禽のもつ、魚のタルト

124.チーズ料理(casciata

125.カップの中に入れたニワトリ又は他のトリの料理

126.毎日の、その他のものをカップの中に入れた料理

 

10.シーフード

 

127.ウナギのペイストリィ

128.ヤツメウナギのカップ料理

129.マスとその他の魚のペイストリィ

130.タコ

131.イカ(seppica

132.イカのインク

133.コウイカ(calamaro

134.魚の内臓と腸

 

11.様々な料理

 

135.ニワトリのグラトナタ

136.ニンジンと一緒にフライしたマトン(Sardamome

137.ニワトリのフルーメンティ

138.スペルト(farro)

139.ヒナ鳥のZeunia、ニワトリとその他の家禽の料理

140.スタッフトエッグ

141.トマセリtomacelli

142.レバー

143.山羊又は羊のミルクのカップ料理

144.オイルを入れない魚のギャランティン

145.

146.Dulcamineつまりレント用ではないフリッター

147.ハーブで香りを付けた料理

148.ラザニア

149.クルミと一緒にボイルした蜂蜜、nucatoという料理

150.ダンプリング(tortelli

151.ジャンケット(Junket

152. Pannicia with milk

 

12.ソース

 

153.ローストのソース

154.ハトのソース

155.ツルのソース

156.ゴスリングと乳のみ豚のソース

157.マラードとダックのソース

 

13.その他の料理

 

158.パストリンガ(Pastringa)

159.トリの脚と豚の脚のSolicio(料理)

160.上で述べた料理と同じ材料で作る料理

161.ローストチーズ

 

14.病人食

 

162.病人のキャベツ料理

163.細かく刻んだハーブ料理

164.便秘又は尿の出ない病人用の料理

165.グールド

166.ヒヨコマメの病人食

167.レタス

168.新しい豆の病人食

169.アーモンドミルクとスペルトの病人食

170.ジェノバスタイルのtria(マス)の病人食

171.米の病人食

172.風邪(infreddati)をひいた病人の穀物粉の料理

173.ヤマウズラ

174.ムレットの病人食

175.ボイルしたリンゴの病人食

176.ローストアップル

177.上で述べた別の料理

 

15.その他

 

178.ローストした肉はボイルした肉よりも香り高い

179上手に早くローストするには

180.タマネギを入れたソース

181.ポットの中から塩を取り除く

182.料理から煙を抜く

183.新しいフリッター

184.イーストがない時

185.Agrestoを作る

 

 

 

 

 

 

1. 野菜

 

 

キャベツ

1.よく料理したホワイトキャベツ料理

葉のほかに何も残らないようにキャベツの葉柄を準備してしっかりときれいにする。頭の一番柔らかいところを切る。釜の中の水と油がボイルしたら上の葉柄、もっと適切な言い方をすればキャベツの白い部分、そしてフェンネルの球茎を入れて、濃くなるまでボイルする。好みでオイル、又は肉、又はシャポンのブロス、ペッパー、グランドスパイス、溶き卵、色付けのサフランを入れてボイルしてもよい。御主人様にサーヴする。

 

2.肉の入ったグリーンキャベツ料理

きれいにしたキャベツの頭を用意して、それをボイルしている釜の中に加え、肉を入れてボイルする。釜から出して冷水に浸ける。別の釜によりたくさんのブロスを入れ、フェンネルの球茎を入れる。食事の時間になったら上のキャベツとそのブロスを上の釜に入れ、少しボイルしてからシャポンブロス又は、オイルを加える。

 

3.上の料理について

キャベツを用意してマトン、豚又は、塩漬け肉、フェンネルの球茎とパセリを入れてよく混ぜてクックする。肉を取り出し、非常に細かくミンスできるようにキャベツをすり潰す。溶き卵、ペッパー、サフラン、挽いたスパイスを加える。この料理はファストデイにはオイルと塩漬魚で作る事が出来る。

 

4.上の料理について

キャベツの頭を用意し、ボイルする。これを取り出し、スライスしたタマネギ、フェンネルの球茎、スライスしたリンゴと一緒にブロスを少量入れて、オイルでフライする。皿に入れて上にスパイスを振る。ラードの代わりにチーズと落とし卵で作り、上にスパイスを振って作る事ができる。御主人様にお出しする。

 

野菜

5.フェンネル※と新鮮な野菜

ホウレンソウ、ビートの葉を用意する。よく選り分けてボイルする。湯から取り出してナイフでしっかりと刻む。パセリ、フェンネル、アニス※、タマネギを用意してナイフで細かく刻む。オイルでよくフライする。他のきれいなハーブを用意して一緒にフライする。水を少し入れてボイルし、ペッパー、スパイスを入れてサーヴする。

この料理に溶き卵、骨を取った魚の切り身、マトン又は豚又は、塩漬け肉などを入れて、立派な料理人の裁量で貴方は変化を付けることが出来る。マジョラム、ローズマリー、パセリ、新鮮な魚又はミンスした肉を用意すると、mortadelli※※、comandelli(ソーセージのタイプ)などその他色々な料理を作ることが出来る。この料理には自家製のハーブ、むしろ野生のものを使うが、仮に何もなければ庭から取ってくる。

 

※ フェンネル: 若い葉および種子は、甘い香りとにがみが特徴で消化促進・消臭に効果があり、古くから用いられている。地中海沿岸が原産とされ、古代エジプトや古代ローマでも栽培されていた、歴史上もっとも古い作物のひとつとされる。(wikipedia より)

※ アニスはここでは、その葉を利用しているようである。地中海原産。古代ギリシア代に薬草として扱われ、母乳の分泌を促進する、あるいは分泌期間を延ばすと信じられてきた。また、魔よけの効能も持つと信じられてきた。ローマ人は胃のもたれを解消するため、アニスケーキを食し、又健胃剤、駆虫剤、去痰剤として使われてきた。(wikipedia より)

 

※ Folrio: 非常に固くて塩の効いたソーセージ。又は仔牛の肉を固めたもの。

 

6.ルリヂサを使った同じ料理

ルリヂサ※、ホウレンソウ、ビートの葉、それに似たものを用意する。それを冷水に入れてボイルする。水を捨て、しっかりとナイフでミンスする。再びアーモンドミルク、ミンスしたテンチを入れて再びクックする。そしてレント期間中、御主人様にお出しすることが出来る。スパイス、サフラン、砂糖を添える。

 

※ルリヂサ(ボリジ)はヨーロッパではよく利用されている野菜です。スペインのアラゴン、ナヴァル、ギリシアのクレタ島、イタリアのリグリアではラヴィオリやpansoti のフィリングとして、ドイツのフランクフルトではグリーンソースに、葉と花はpimmsに、ミントやキュウリの皮が使われる前によく使われた。ポーランドではgherkins ピクルスの香り付けに使われた。(wikipedia より)

   

7.前の料理と同じ

ホールのフェンネルを用意して、ボイルする。シナモン、ペッパー、サフランと一緒にクックする。ポーチトエッグとニワトリ又は他の肉又は自分の好みの肉を加える。

 

8.前の料理と同じ

香りのよいハーブをボイルして、ミンスし、ニワトリの胸肉と一緒にクックする。モルタルの中ですり潰す。、葉もの野菜を加える。ご主人様にサーヴする事が出来る。又、病人にサーヴすると胃の負担を軽くする。

  

9.前と同じ

細かくミンスした白いフェンネルを用意して、少量のリークの白い部分を細かくきざんだものと一緒にフライする。卵、又はラードそれに水を少量、サフラン、塩を入れてボイルする。好みで溶き卵を入れる。

 

10.前と同じ

 よく洗ったフェンネルを用意してボイルする。その水を捨ててオイル又はラードと塩でフライしてサーヴする。

 

11.フェンネルのソース

フェンネルの花を用意してモルタルの中で潰す。サフラン、ナツメグ、クローヴ、カルダモン、卵黄を加え、サフランで色を付ける。これは九月の間のよいソースで卵と一緒に(供する)

 

ノボロギク(Senacioni)これにはいくつかの料理がある

 

      ヨ-ロッパでは月経痛、疝痛などに煎じて用いるが、肝障害、胎児期に服用すると致命的なveno-occlusive diseaseを引き起こす。

 

12.ノボロギクと極薄くスライスしたを用意して、湯の中でよく洗って絞る。きれいな水の中に豚と塩を適量又は他の種類の肉を一緒に入れてクックする。

 

13.前に述べた料理に関して

  ボイルしたノボロギクを用意する。細かくナイフで刻み、タマネギと一緒にフライする。たくさんのタマネギではない。きれいな水とオイルと塩を入れる。この料理は石が原因で尿の出ない者に効果がある。

 

14.同じく、月経中に食べる料理

  rapazoliというキャベツの葉又は代わりに蕪の若い葉を用意してクックする。クックしたらこれを、オイル、リーク又はタマネギあるいはどちらか一方と一緒にフライする。この料理は単独で料理してもよいし、混ぜて一緒に料理してもよい。

 

15.マスタード

  マスタードの葉を用意して水の中でボイルする。その湯を捨ててパンの中にオイルと塩を入れてフライする。いや、むしろ肉と一緒にクックした方がよい。

 

16.アスパラガス

  アスパラガスを用意してボイルする。ボイルしたらオイル、タマネギ、塩、サフラン、挽いたスパイス又はスパイスを入れずにクックする。

 

17.レタス

  4月に新鮮な山羊の乳、レタス、スパイス、卵黄、新鮮なラード、豚肉を用意する。この料理はレタスの芯〔逐語訳をすれば、“髄“〕を使うのでレタスの料理と呼ばれている。

 

グールド(ヒョウタン、かぼちゃの類)

18.若いグールドを用意してスライスし、湯で洗い布の中でしっかりと絞る。新鮮な豚肉、ペッパー、サフランと一緒にクックする。

 

19.別の料理

  又、若いヒョウタンを用意して洗い、しっかりと押し潰して、クックした卵、タマネギ、よく刻んだチーズと一緒にペッパー、サフラン、オイル、塩を入れたボイルしている湯の中に入れる。これにミンスした肉を混ぜるとラヴィオリやパイを作ることが出来る。

 

20.別の料理

  干したヒョウタンを用意して、柔らかくするために夕方に湯の中に入れる。柔らかくなったらボードの上でタマネギと一緒に細かくスライスする。オイル、ペッパー、サフランをいれる。ヴィネガーとパンの柔らかい部分で作ったcivero〔料理の基本になるもの、レシピ95. 参照〕の中に入れてクックする。この方法(を使うと)アーモンドミルク、ペッパー、サフラン、塩、オイル、クルミのミルクで作る事が出来る。

 

21.洋梨

  生の洋梨を用意して、水の中に入れて柔らかくする。この水は捨て、塩とオイルを入れて、新鮮な水の中でボイルする。スパイスと少量の水の中に入れたサフラン、タマネギを少し入れてクックする。クックしたらプレートの上で少量のスパイスをかき混ぜる。同様の方法(を使うと)オイルとタマネギを入れずに少量の砂糖、少量の塩、少量のアーモンドミルクを加えて作ることが出来る。

 

22.タマネギ

  タマネギを用意して、スライスし、湯の中でよく洗い、肉、チーズ、ペッパー、サフランと一緒にクックする。次いで好みで溶き卵、ペッパー、サフランを加える。スパイスを料理の上に振る。

 

23.リーク 

  ホワイトリークを用意する。トスカナ州の料理方法に従って、ミンス又は、細かくスライスする。湯の中で洗って生肉のピースと一緒にクックする。上の肉を上で述べたリークと一緒にミンスする。ペッパー、サフラン、溶き卵を加え、豚又は別の種類の肉を添えてサーヴする。スパイスを料理の上にのせる。

 

24.ファストデイの別の料理

スライスしたリークを用意して洗い。しっかりと押す。オイルとミンスした又は卸したパンといしょにクックして、卵、ペッパー、サフランで色を付ける。ポーチした卵とスライスしたチーズを添えてサーヴする。

 

25.別の料理

又、リークを用意して、4つのピースに切る。よくボイルして水から取り出す。オイル、塩、ペッパーと一緒にフライする。レント期間中の料理である。

 

26. 肉を使った別の料理

ホワイトリークを用意して細かくスライスする。そしてよく洗う。

マトンと一緒にクックする。クックしたらスパイスと一緒にサーヴする。

 

27.別の料理

リークを用意して掃除をしてよくボイルする。取り出してナイフで細かくミンスする。平鍋又は別の容器に入れてオイルと塩又はその代わりにラードでフライする。水の中に入れて、挽いたシナモン、溶き卵、サフランといっしょにクックする。ご希望であれば豚又はマトン又は貴方の好みの肉を加えてもよい。

 

 

28.別の料理

ホールのリークを用意して良く洗い4つのピースに切る。少しボイルする。取り出してボード上で水分を切る。小麦粉を用意して少量の湯で溶いて、ボールの中でミキシングスプーンでしっかりと混ぜる。その中に塩を入れる。リークをピースで用意して、このバターで被う。たくさんのオイルの中でフライする。

 

29.蕪(napori 又は navoni

蕪の根を用意して、少しボイルする。少し水分を切ってニワトリの脂と一緒にクックする。

色をつけるのであれば上のブロスで溶いたサフラン又はその代わりに溶き卵を加える。

お望みであれば卵,サイコロ状に切った又はミンスした肉、山羊の乳を用意する。

 

〔訳者註。この料理書はこの野菜に2つの異なった表記を用いている。navoni/naponirapeを交互に使っている。語彙としては、2つは異なったものではあるが同じ近縁の野菜である。蕪とカブカンランは区別できたであろうが、この3つの語彙の差異を判断する事は難しいので、“蕪”と翻訳しておいた。〕

 

30.ランプ(Ramps: 別名、野生のタマネギ又は野生のリーク)

  ランプを用意して、水でよくボイルする。オイル、タマネギ、塩と一緒にフライする。クックして準備が整ったら料理の上にスパイスをのせる。

 

   ランプ;春の初めに出てくる、多年生の野生のタマネギ。ガーリックあるいはタマネギのような臭いがある。スキャリオンのような茎と根がある。

 

31.別の料理

ランプ又は代わりにパッパルデッレ(pappardelle)※とオイル、塩、卸チーズ、溶き卵を用意する。上にポーチトエッグとチーズをのせる。土曜日に(食べる)。

 

※ パッパルデッレ (Pappardelle) は、イタリアのトスカナ州でよく用いられるパスタの一種。

 

32.蕪(rape

  蕪を用意してその葉と一緒にボイルする。牛肉、ペッパー、サフランと一緒にクックする。クックしたら平皿に入れる。一般家庭の料理である。

 

33.別の料理

葉を取り除いた蕪の根を用意する。スライスしてボイルする。その湯を捨てて、シャポン又は他の肉とクックする。サフランとペッパーで色を付ける。溶き卵、ドライのスライスチーズ、ゆで卵を加えて、山羊の乳を上にのせてサーヴする。

 

34.別の料理

葉を取った蕪を用意して、皮を剥きボイルして水分を取る。塩、クルミのミルクといっしょにクックしてペッパー、サフランを加える。

 

35.別の料理

葉を取った蕪を用意して、ボイルする。湯を捨てる。ミートブロスに浸けたパンを用意して、上の蕪、卸しチーズ、肉の脂でスープを作る。これは歩兵のスープと呼ばれている

 

ヒヨコマメ

36.赤または白のヒヨコマメを用意する。柔らかくなったら、ペッパー、サフラン、香草と一緒にクックする。クックしたら、一部分をモルタルに入れて挽いて濃くする。香りのよいブロスを入れる。更にローストした栗、パセリの根※、ミートブロスを入れる。又はこの代わりにお望みであれば肉といっしょにクックしても良い。

 

37.土曜日の別の料理

ボイルして潰したヒヨコマメを用意し、ペッパー、サフラン、スライスチーズ、ポーチトエッグ、溶き卵と一緒にクックする。

 

38.別の料理

ボイルして潰したヒヨコマメを用意して、そのクックした水を捨てる。フライしたタマネギを上に入れ、オイル又は、天候又は季節に従って、オイル又はラードといっしょに保存する。

 

39.別の料理

ボイルして潰したヒヨコマメを用意して、その水を捨てる。アーモンドミルク、スパイス、サフランと一緒にクックする。白いヒヨコマメはスパイスを入れずにジンジャーを入れて料理する。

 

40.別の料理

生のヒヨコマメを用意し、塩漬け肉、その種類は問わない、洗ってよく塩を取ったもの、お望みであれば、ペッパー、サフランを入れてクックする。潰したヒヨコマメ、又はポーチトエッグ又は溶き卵を、又はその代わりにラードの小さいピースを加えてもよい。

 

41.別の料理

生の若いヒヨコマメを用意して、ボイルする。その湯を捨てて、スパイス、サフラン、塩、オイル、溶き卵、お望みであればチーズと肉を入れてクックできる。

 

42.レント期間中の別の料理

潰したヒヨコマメ又は生のヒヨコマメを用意する。オイル、塩、2つに割ったピー又はモルタルの中で延ばしてかき混ぜた(ヒヨコマメ)をクックする。スパイスとサフランを添えてサーヴする。

 

ピー(エンドウ豆、普通は干したものを示す)

〔訳者註。この時代、レシピ43.44.に見られるようにピーは一般に干したもので、生のピーはレシピ45.に見られるが特殊なケースである。従ってここでの使い方は極めて珍しい。〕

 

43.エンドウマメを用意し、たくさんの水でボイルする。フランス式のスープを作るには茹で汁を取っておく。平鍋にタマネギとオイルを入れフライする。フライしたら上の水を上の平鍋に入れて、大きめのスライスを用意する。上の水の中にスパイスといっしょに入れて漬す。上の豆を用意して、新しい水の中でオイル、塩、タマネギと一緒にクックする。サーヴする。

 

44.別の料理

よくボイルしたエンドウ豆を用意し、その湯は捨てる。チーズ(cascio de briga)、オイル、ポーチトエッグと一緒にクックする。パセリを添える。

 

45.別の料理

生のエンドウ豆をオイル、塩、スパイス、サフラン、溶き卵と一緒にクックする。サーヴする。

 

エンドウ豆と肉

46.エンドウ豆を塩を洗ってよく落とした肉と一緒にクックする。上の肉を細かくスライスする。クックしたら平皿に入れる。

 

47.別の料理

エンドウ豆をボイルし、湯を捨てる。新しい水に入れて、塩漬けの豚と少量のサフランといっしょにクックする。お望みであれば生のマトン又は他の肉を入れる。

 

生のソラマメ、Whole (fresh )Fava Beans

48.生の若いソラマメをボイルして、その茹でた水を捨てて、山羊又は羊の乳或いはアーモンドミルクといっしょに塩を洗い落とした肉をボイルする。好みで溶き卵とラードの小さなピースを入れる。

 

49.別の料理

最初の時期に取ったソラマメをボイルしてその水を捨て、新しい水を入れて豚肉又はチーズと一緒にボイルする。サーヴする。

 

50.別の料理

生の若いソラマメをボイルし、その水を捨て、オイルでフライしたタマネギ、挽いた香草といっしょにクックする。ペッパー、サフランを加える。

 

51.別の料理

ソラマメの花を用意し、生の豚肉と一緒にクックする。ある程度クックしたら溶き卵、ミルク、スパイス、サフラン、塩を加える。肉がよくミンスしているか確認をして一緒に混ぜる。モルタデッラmortadello※)のように濃くする。

 

※ イタリアのポークソーセージ

 

52.別の料理

シャポンを一羽そのままと、ソラマメの花を一緒にクックし、クックの終わりにアーモンドミルク、溶き卵、ペッパー、サフラン、塩を入れて良質のポットの中でクックする。

 

乾して二つに割ったソラマメ、Split (dried)favas

 

53.よく乾燥したソラマメを用意して、うまく二つに割り、きれいにして取り出し、水で洗い、ポットでボイルする。その水を捨てる。別のポットに少量の水と塩を豆がひたひたになるくらいに入れて、ミキシングスプーンで時々かき混ぜる。クックしたら、ミキシングスプーンでよく潰して濃くする。水を少量加えて延ばす。皿に入れて潰した豆の上にmele※をのせる。又はオイルでフライしたタマネギ或いはフライしたラードを代りにのせる。

 

meleはリンゴ又は蜂蜜のいずれかで断定は今のところ出来ない。

 

54.別の料理

  乾して二つに割ったソラマメを湯で洗う。ボイルする。ボイルしたら2回よく洗う。水が被って煙が入らないようにマメに水が浸るまで入れてボイルする。よくクックしたら棒でかき混ぜる。きれいに仕上がるようにその後冷水に入れるか又はホワイトワインの中に入れる。この後ポタージュにして、オイル、フライしたタマネギを加えてサーヴする。お望みであれば湯で延ばして、お望みであればペッパー、サフラン、蜂蜜、砂糖を加える。このソラマメはテンチ又は他の魚と一緒にサーヴする。お判りのように、上述のものと一緒にmortadelloを作る事が出来る。

 

レンティル

55.レンティルを用意して、よく洗い、石を取り除き、香草、オイル、塩、サフランと一緒にクックする。クックしたらよく刻んで上に溶き卵、スライスしたドライチーズをのせてサーヴする。

 

56.別の料理

 生の又は塩漬けの豚肉と一緒にレンティルをクックする。この場合上に卵とチーズはのせないでサーヴする。

 

ビーンズ(fasoli

〔訳註:phaseolus属のビーンズは全て新大陸の物である。この写本ではFasoliがどの豆類を示すのかは定かではない。旧世界の物であればブラックアイピー(クリームピーのようなもの)でありヤードロングビーンズの種であろう。〕

 

57.ビーンズはよく洗ってボイルしオイルとタマネギ、それに上で述べたスパイス、卸チーズ、溶き卵と一緒にクックする。

 

58. トレヴィーゾ(Treviso※)スタイルで作る別の料理

  ボイルしたビーンズの皮を取り、塩漬け肉、ペッパー、サフランと一緒にクックする。少量のヴィネガー、スターチ、塩を付けてオイルの中でフライしてサーヴする。

 

   Treviso北イタリア、ヴェネト州の都市。

 

59.別の料理

  ボイルしたビーンズを用意してその水を捨てる。マトン、豚肉、又は牛肉又は好みの肉といっしょにクックする。よく挽いて、少量のサフランと塩を(添えて)サーヴする。

 

マシュルーム

60.マウンテンマシュルームを用意してボイルし、ラードでフライしたタマネギをスパイス、その他の香草、溶き卵と一緒にボイルする。サーヴする。

 

61.別の料理

  マウンテンマシュルームを用意してボイルしその水を捨てる。細かく刻んだタマネギ又はリークの白い部分、スパイス、塩と一緒にフライする。サーヴする。

 

62.別の料理

  乾燥マシュルームを用意して、夕方から朝までかけて柔らかくする。その水を捨ててナイフで薄くスライスする。リークの白い部分を少量又はタマネギをオイル、又はラードの中でスパイス、栗、ヴィネガー、少量の水、塩を入れてフライする。その後好みでマスタード、クックしたマスト、豚肉を加える。

 

コンポスト

63.よく洗ったニンジンを用意してボイルする。冷ます。ニンジンをボイルした湯の中で4つにカットした蕪を入れてクックする。クックしすぎないようにして、同じ様に冷ます。パセリの根、ラディシュ、、リークの白い部分、フェンネル、ペアー、ケイパー※、キャベツの頭を用意してそれぞれ別々にボイルする。上と同様に冷ます。ロンバルド風にするにはgarobbi※を入れる。強いヴィネガー又はフェンネルシード、アニスで作った良質のマスタードを用意する。一工程分ずつ別々に並べる、

  薄くスライスしたラディシュを上で述べた一工程分の各野菜の中に入れる。マスタードと特定の野菜を入れる。これを並べてジャーに入れ、大きな板上にのせ、8日間そのままにしておく。

 

   古代ギリシアでは駆風剤として用いられた、地中海原産の常緑小低木。

※ フィッシュソース。Roman garumに由来する。Forio: Garo とはdivers fishesのハララゴや油から作った美食家のための味のよい食べ物のこと。また、カワカマスのような長い魚又は魚の内臓、臓物の汁、又は魚の塩漬け又はその塩水のこと。(ガルムは古代ローマ帝国で調味料として使われていた魚醤の一種である。)

 

64.別の料理

  細かく刻んだラディシュ、アニス、フェンネルシードを用意してマストの中でマストの量が半分になるまでクックする。このマストを使ってマスタードを延ばす。

  小さな蕪(rape)と蕪(napori)、4つに切ったマルメロとリンゴ、半分に切ったペアー、ニンジンはそのままの大きさで、パセリの根、フェンネルのバルブを用意してクックする。クックしたらきれいなジャーの中に順に並べる。溶いたマスタードを上で述べた一工程分の上に振り掛ける。好みで蜂蜜を入れてもよい。これは砂糖、シナモンを上で述べたもの(マスト)、ヴィネガーで作ることが出来る。サーヴする時にはこれを取っておいてサーヴする。

 

 

2.ブロス

 

先ず、粒状のブロス

65.ピースに切ったニワトリを用意してタマネギ、ラード、十分な量の水を入れてフライする。少しクックしたら、よく刻んだ香草、サフラン、ペッパー、クローヴ、シナモン、ジンジャーを用意して上で述べたブロスで薄める。すべての材料をよく混ぜる。溶き卵を用意して、冷水を少量加え、このブロスを少し加える。混ぜて火にかける。ボイルしてきたら火から外して食べる。

 

66.別の料理

  シャポン又はメンドリを用意してボイルする。この中にスパイス、ハーブを入れて卵黄とブロスをボールの中でかき混ぜる。全てを一緒に入れて、このブロスが粒状になるまでボイルする。この料理はあらゆる種類の家禽、ラードを入れて、又はラードを入れずに作ることができる。

 

67.別の料理

  肥えたニワトリを用意してピースに切る。又はそのままの大きさのものをラードの中で香草、スパイス、青い葡萄と一緒にフライする。上で述べたように料理する。しかし、ブロスはほんの少しだけ作る。このブロスはミートブロス、大小の家禽と一緒に作る。潰したハーブで緑色にしてこのブロスに色を付ける事が出来る。

 

魚のギャランティン

68.良質のワインと少量のヴィネガーを用意してボイルした後それを濾す。魚を入れてクックしたら取り出す。ワインの量が1/3になるまでボイルする。サフラン、別のスパイス、ベイリーフを入れてワインを濾す。甘松を入れて冷ます。これをボールに入れた魚の上にかける。

 

フィッシュブロス

69.魚をよく洗う。出来ればたくさんのオイルの中でフライして冷ます。横に輪切りにしたタマネギを準備して、魚から出た脂の中でフライする。皮を剥いたアーモンド、レーズン、干したienula(不明)、プルーンを用意して、上で述べたタマネギと一緒にフライする。余分の脂を取り除き、ペッパー、サフラン、その他のより抜いたスパイス、ワイン、ヴィネガーを用意して溶かす。ボイルするまで火にかける。火からおろして別のポットの中に入れる。上の魚と一緒に工程ごとにとっておく。甘くするのであればクックしたワイン又は手短に砂糖を入れる。

 

70.別の料理

  十分な量のワインと少量のヴィネガーを用意して一緒にボイルする。これを濾して魚を入れてクックする。クックしたら取り出し、ワインの量が1/3になるまでボイルする。この中にベイリーフ、サフラン、ファインスパイスを入れて魚を暖めなおす。ワインを用意して甘松を入れ、魚を冷す。

 

 

3.家禽

 

ゴスリング

71.ゴスリング又はガチョウの喉を切り、羽毛をしっかりと取って、熱湯をかける。脚を切って内臓を取り除き、よく洗う。ヴェルジュ、ガーリックを用意する。これらがない時には香草を用意してヴィネガーに漬す。お尻を縫って金串を刺してローストする。肥っていないものは中にラードを入れる。平鍋に水を少量入れてそこから出てくる脂を取る。十分にクックしたら火から下ろし、オレンジ又はレモン又はビターオレンジの汁と一緒にサーヴする。お望みであれば、クラストのないパンをトーストしたものとローストしたレバーを一緒に挽いてヴィネガーで延ばし、ボイルしてペッパー、サフラン、クローヴ、その他のスパイスを加えた、ペッパーソースを作る事が出来る。頭、脚、内臓、レバーで、溶き卵、サフラン、スパイスを加えてヴェルジュソースを作ることが出来る。サーヴする。

 

72.別の料理

  少量の水を平鍋に入れてゴスリング、ガチョウから出た脂を用意する。甘酸っぱくなるようにシトロンジュースと砂糖を加える。サフランを加えて平鍋の中でフライする。白いパンをトーストして溶いた卵黄に漬して上のソースの中に入れる。それをトレンチャーの中に次々と重ねる。

 

ツル

73.ツルはよく洗って大きな釜の中で少しボイルする。金串を刺してローストする。スタッフはしない。タマネギをダイスのように切って十分な量のラード中でよくフライする。サフランで色を付ける。少しトーストしたパンをスライスしたものと良質のワインを適量、上のタマネギと一緒に混ぜてクックする。ボイルしているワインの中に上で述べた材料と上のピースに切ったツルをボイルする。

脂分のない上のソースの中に上で述べたパンを入れて柔らかくする。大きなトレンチャーの上にソース、スパイス、肉を順に並べる。料理の最後に上のソースから出た脂を加える。同様にこの料理はマトンや仔牛の頭で作ることも出来る。ボイルしている湯の中で皮をよく取る。ボイルしすぎないようにする。上のように順次仕上がったらその上にチーズをのせて食べる。

 

サラセンブロス

74.ローストしたシャポンを用意する。シャポンのレバーとスパイス、トーストしたパンをモルタルの中で挽く。モルタルの中にホワイトワイン、ヴェルジュを入れて延ばす。シャポンをピースに切って、上のものと一緒にポットの中でボイルする。デイツ、カラント、プルーン、皮を剥いたホールのアーモンド、十分な量のラードを入れる。サーヴする。同様に、この料理は海水魚で作る事も出来る。その場合にはリンゴと梨を上のブロスの中に入れる。

 

75.シャポンを用意してボイルする。好みのスパイスと一緒にクックしたら、切り分けてボールの中に卵とブロスといっしょに入れる。上の切り分けたシャポンの上にスロッテドスプーンで小麦粉を加える。全てをブロスの中に入れて少しボイルする。これをチキンブロスと呼ぶ。

 

76.プロヴィンシャルスタイルの別の料理

  シャポンのレバー、胃、内臓を用意してよく洗う。スライスしてポットの中に入れて、少量の水と一緒に入れて、スパイス、溶き卵、お望みであれば色をつけてクックする。上のものをフライして酸っぱくて甘いジュースを入れる。シャポンの頭や脚、又は良く似たトリを使って同様の料理ができる。

 

77.別のスペイン風グリーンブロス料理

  トリ、フライしたレバーの小さなピース、又は肉を好きな量だけ用意する。良質のスパイス、潰したグリーンハーブと一緒にボイルする。溶き卵を上の肉の、上のブロスの中に入れてボイルする。ブロスは濃くしない。

 

ヤマウズラ

78.ボイルしたヤマウズラ、切り分けたニワトリ、香草、塩、モルタルの中で挽いた良質のスパイスを用意する。この肉をラードでフライしてポットの中に少し水を入れてクックする。アーモンドミルクをこの中に入れる。料理の最後にコリアンダーを入れてブロスで延ばす。お望みであれば、粒ブロスを作る事も出来る。同様の方法でクジャク,キジ、ニワトリのヒナ、小鳥で作る事が出来る。

 

 

4.詰め物をしたパスタと内臓肉

 

グラトニア(Gratonia

79.羊のミルクを用意してそれを卵で溶く。平鍋にラードを入れて非常に熱く熱せられるように火に近づける。スロッテッドスプーンを用意して、平鍋の内側にスプーンの上からミルクをひたたらせてしっかりとクックする。火から下ろしたら砂糖を加えて食べる。又、上のブロスの中に、ダイスのように切った固い卵白をくわえるとこれをスパニッシュグラトニアと呼ぶ。好みでこれに色をつけることが出来る。

 

クリスペラー(Crispellers)正しくいうとウバルダイン(Ubaldine)フリッター

80.きれいな白い小麦粉を用意して卵で溶く。少し休ませてサフランを加え、溶かしたラードの中でクックする。上に砂糖又は蜂蜜をかけて食べる。

 

81.別の料理

  少量のイーストと白い小麦粉を用意して湯で溶いて膨らませる、これは発酵である。カワカマスの卵又はマス、又はcabot※又は他の魚の卵を用意して上のドウと混ぜる。その中にサフランを入れて上で述べたようにクックする。

 

   corvaloと言う名の魚の卵である。Florio; Corvo,raven又はCrowの種類である。又、Cabot 又はsearavenと呼ばれる魚である。

 

82.別の料理

 同様にタマネギのみじん切り、calamint (nepitella,現代のイタリア語辞書ではSatureia calaminthaであると説明している)、ハーブで作る事が出来る。これをオイル(aglio(ガーリック)はミスプリントでoglioであろうと思われる。)又はラードでフライする。ついで小麦粉を用意して全て一緒に卵白で溶く。ニワトコの花(エルダーフラワー)、その他の花を貴方の好みで選んでその中に入れて色に変化を付けて、これをスプーンと一緒にボイルしているラードの中に一度に入れる。

 

グローヴ(Gloves※)つまりラヴィオリ

83.白いチックピーを用意して水の中で柔らかくする。よくボイルして湯から取り出す。細かく刻んで上の湯と混ぜて濾す。お望みであれば、この濾した水で小麦粉を溶いて弱い火の上でラードとオイルでフライする。上に蜂蜜をかける。

 

   Florio; Guanti、あらゆる種類のグローヴ、又は手の形に作ったペーストミート。

 

84.別の料理

  小麦粉を卵で溶いてグローヴ又は好みの別の形に作る。平鍋の中に入れて熱いラード又はオイルの中でしっかりとクックする。

 

ソーセージ又は魚のダンプリング(tortelli)好みの方で

85.魚を、骨が簡単に取れるまでボイルしている湯の中に入れる。香草を用意して上の魚の肉、スパイスと一緒によくミンスする。全てを非常に大きな透過性のよい麻の布の中に入れてしっかりと圧迫する。それらを長い又は幅の広い、好みの形にして、平鍋の中の熱いオイルの中に入れる。

 

ミートクロケット(Meat croquettes)、正しく言うとダンプリングとラヴィオリ

86.ポークベリーを用意してボイルする。ナイフで細かくしっかりとミンスする。質のよい香草を用意してモルタルの中でしっかりと潰す。新しいチーズと少量の小麦粉をこの上に置いて卵白が固くなるまで混ぜる。良質の新鮮な豚脂を用意してボイルするまで平鍋に入れる。これでクロケットを作る。クックしたら取り出して砂糖を振る。

 

87.別の料理

  新鮮なチーズを用意して細かくミンスする。少し小麦粉を加えて濃くなるように卵白で溶く。上で述べたようにラードでクックする。上で述べたその他のものといっしょに砂糖を振る。

 

胃袋のGualdaffeと熱い肉料理(caldume)

88.仔牛の胃袋を用意して冷水又は湯でよく洗う。擦って、できるだけきれいにする。この胃袋を水が入っていないパンの中に入れて火にかける。擦ってきれいになるように何度も返す。もう一度上でしたように水で洗う。水の中で少しボイルして塩とホールのミントの葉を入れてクックする。好みでラードを平鍋の中に入れてその中でフライする。gualdaffaというこのブロスは取っておく。

 

89.腸を使った別の料理

  仔牛の腸を用意してきれいにする。その中に上で述べたクックして小さくスライスした(gualdaffa)、を詰める。溶き卵、卸チーズ、スパイス、塩を混ぜてボイルする。ローストしてサーヴする。このgualdaffa をブロスやペイストリの中に入れることが出来る。他の動物を使ってgualdaffaを作ることもできる。

 

90.別の料理

 冷水と湯の中で擦って洗い、きれいにした腸を用意する。塩をする。もう一度水で洗う。溶き卵、卸チーズ、サフラン、スパイス、香草を用意してミンスし、モルタルの中で挽く。これを平皿又はボールに入れて全て一緒にかき混ぜる。これを腸に詰めてよくクックするまでボイルする。出来たら金串を刺す、又はグリルにのせる。サーヴする。

 

上で述べたgualdaffaとホットミート料理

91.上で述べた牛のgraldaffeと生の牛の腸からブロスを作る事が出来る。腸をきれいにしたらスライスし、薄くスライスしたタマネギと一緒にラードの中でフライする。それを卵黄、クラストのないパン、スパイス、ハーブと一緒にボイルする。こうしてgranulted ブロスを作る。お望みであれば好きなように色を付けることが出来る。このブロスはホットミート料理と呼ばれている。

 

ホットミート料理の中に豚の腸と胃袋を入れた料理

92.豚の腸と胃袋を同様に準備する。よく洗って薄くスライスし、タマネギ等と一緒にラードの中でフライする。後は上述したとおりである。

 

 

5.ソース

 

シナモンソース(cenamata

93.シナモン、ジンジャー、トーストしたパン(クラスト)、塩を用意してモルタルの中でよく潰す。それを良質のワインで延ばして少し濾す。少しボイルする。このようなソースをシナモンソース(cenamata)と呼ぶ。ローストした山羊や野兎によく合う。

 

註。山羊は骨を取ってもよいし、つけたままでローストしても良い。同様に野兎と他の肉はつまり、メス鹿、雄鹿の肉やその他の同じような肉にはこのソースが合う。好みでシトロンジュースとスパイスを入れてもよい。

 

94.ペッパーソース(peverada)

  トーストしたパン、色が変化しない程度の少量のサフラン、スパイス、チョップしたレバーを用意してモルタルの中で潰す。ヴィネガー又はワインと上のブロスで薄めて甘い又は好みで酸っぱい味にする。このようなペッパーソースは家禽、狩猟鳥、魚と一緒に作ることが出来る。

 

 

6.野兎とその他の肉の煮込み料理(Civero ,フランス語ではcivet

 

95.野兎を少し洗ったら、切り分けて水でクックする。クックしたレバーと心臓を用意してモルタルの中で挽く。野兎がクックしたらスパイス、ペッパー、タマネギを用意して上の心臓とトーストしたパンと一緒にラードでフライする。全てのものをボイルしたらそれをテーブルの上にのせる。

註。クックした心臓とレバーはミンスして、スパイスとトーストしたパンと一緒にモルタルの中に入れて挽き、良質のワインと少量のヴィネガーを入れて延ばす。クックしたら野兎をタマネギと一緒にフライして前述したソースを野兎にかける。室温に冷ましてサーヴする。Pernici、つまりヤマウズラでも同様に料理する事が出来る。

 

96.別の料理

  シナモン、クローヴ、ナツメグ、インディアンナッツ(noci d’India)家禽のレバー、卵黄、小鳥をそのままあるいはピースにしたものを用意してラードでフライする。これらを上のブロスの中でクックする。あとは上と同じ様にクックする。

 

〔訳者註。この時代Indiannut が何を示すのか定かではない。16世紀に置いてIndiananutとはココナッツのことであるが、14世紀後半においては考えられない事である〕

 

 

7.ニワトリ

 

sumac(スマック※)ソース(Sommacchia)

97.ニワトリを用意してピースに切り、ラードでフライする。アーモンド、スマックと水を用意してニワトリをクックする。濃くしてサーヴする。同様に魚のピースを使って料理する事が出来る。又、ニワトリ、シャポン、ヤマウズラ、小鳥、シャポンの内臓でも出来る。この料理はスターチを入れることが出来る。これは胃の動きを非常に助けてくれる。同様にチップした魚でもラードの代わりにオイルを使って作る事が出来る。

 

  スマック:南ヨーロッパ中近東一帯に原生している、ウルシ科の灌木で、果実をスパイスとして利用する。果実を乾燥させて、ホールもしくは粉末の状態のものを用いる。赤い果実は酸っぱいのでレモン汁やヴィネガーのように利用している。

 

レモンソース(Limonia)の中に入れたニワトリ

98.ニワトリをラードとタマネギと一緒にフライする。細かくなっていないスターチ(amido non mond)を挽く。豚のブロスで延ばして濾す。そして上のニワトリとスパイスと一緒にクックする。スターチ(amido)がないときには卵黄でブロスを濃くする。サーヴする時間が近づいたらレモンジュース、ビターオレンジ又はシトロンジュースを入れる。

 

〔訳者註。Amido non mond(at)oとは(皮の剥いていない、あるいはきれいにしていないという)意味であり、この料理書七課に2-3箇所ある。少し説明を加えるならば、このスターチはまだ塊りの状態で(最後の段階で)きれいな細かい粉に引く必要があるのではと私は理解している〕

 

ニワトリ、家禽、魚のグラトミア(Gratomea

99.ニワトリをボイルする、レバー、スターチ、スパイス、卵黄を用意して上のブロスで延ばす。濃くする。十分クックしたら細かく挽いた砂糖を上にのせる。それをテーブルにのせる。上で述べたようにシャポン、ヤマウズラで同じように作る事が出来るし、上で述べたように色と味を付けることが出来る。ラードの代わりにオイルを使えば魚でも同じように作れる。

 

ザクロを使ったニワトリ料理(Romania

100.ラードとタマネギでニワトリをフライして細かくなっていないスターチ(amido non mondato)をモルタルの中で挽く。強い又は甘いざくろのジュースで、薄めてよく濾す。ニワトリを入れて一緒に少しボイルする。スプーンで混ぜる。又はかきまわし、スパイスを加える。ザクロがないときはハーブブロスを使って作ることが出来る。

 

シャポンに添えるホワイトガーリックソース

101.シャポンを用意してよくボイルする。スパイス、ガーリック、アーモンドをブロスで延ばす。濃くなるまでボイルする。これをホワイトガーリックソースと呼ぶ。これに色をつけると、この名前では呼ばない。ローストしてラードしたシャポンでこれを作る事が出来る。

 

ブラマンジェ

102.ニワトリの胸肉を用意してクックする。ボードの上にのせてできるだけ細かく裂く。その間米を洗い、乾かして粉にする。シーヴ又はストレイナーで篩う。この米の粉を山羊の乳又はアーモンドミルクで延ばす。きれいに洗ったポットの中でボイルする。ボイルし始めたら裂いた上のニワトリの胸肉、白い砂糖、フライした白いラードを加える。煙から遠ざけて米が濃くなるまでゆっくりと火を絶やさないようにボイルする。サーヴする時になったら挽いた砂糖とフライしたラードを上にのせる。お望みであれば、アルプスの向こう側の(フランス式で)、ホールの米粒のままで山羊の乳を使ってこの料理を作る事が出来る。

サーヴするときにはラードでフライしたアーモンドとスライスしたホワイトジンジャーを加える。

 

103.レント中の別の料理

   きれいにしたアーモンドを用意してタオルで水気を取る。水を加えずに出来るだけ細かく挽く。次いで麻の布を使ってできる限り力を加えて押す。出てきたオイルをジャーの中に入れる。殻を取る、即ち残ったナッツのピースを取って冷水と混ぜる。ストレイナー又はシーヴで濾す。上で述べたように、このミルクで米から作った粉を延ばす。上で述べたようにボイルする。砂糖、魚、パイクの肉,カエル又は他の白身の魚を加える。ニワトリの胸肉のように裂く。サーヴする時がきたら、砂糖とアーモンドを上にのせて食べる。水でボイルしたリークの白い部分を使って作ることが出来る。リークを裂いて、上で述べた粉と混ぜて、同様に作る事が出来る。

 

104.米で作った別の料理

米を用意してよく洗う。一度洗ったら、ボイルする。米を取り出してトレンチャーの上にのせて冷す。羊の乳を入れて完全にボイルする。ボイルしている間にニワトリ肉のピースを入れ、砂糖と生のフライしたラードを上にのせる。サーヴするときには上に十分な量のスパイスと砂糖、フライしたラードをのせる。

 

Festiggia

105.フライしたホールのニワトリを用意してラードでフライする。砂糖、ジンジャーと一緒に水の中でクックする。濃く作る。

 

 

8.スタッフトミート

 

クジャクに詰める

106.クジャックの皮を剥ぐ。頭に羽を付けておく。脂の多くない豚脂を用意する。次いで上のクジャクの挽いた肉又は他の肉をミンスして一緒に挽く。シナモン、ナツメグ、好みのスパイスを挽く。よく挽いたら溶いた卵白と一緒に混ぜる。上のスパイスと肉をしっかりと混ぜる。卵黄は取っておく。上のクジャクにミンスにして挽いた肉、上で述べたスパイスを詰める。上のクジャクを豚の大網膜の脂で包み木の串で塞ぐ。これを温かい湯が入った大釜の中でゆっくりとボイルする。固く湯上がったら(つまり、ミンスミートのスタッフがすっかりクックしたら)金串を刺してローストする。又はグリルで焼く。取っておいた卵黄を塗って色を付ける。 全て使うのではなく、残しておいたスタッフィングを使って次のようにリンゴを作る。生の豚のロインを用意して非常に細かくナイフでミンスする。よくチョップして上の肉と取っておいた卵黄と上述のスパイスを混ぜて手の平で小さなリンゴが作れるくらいの固さにする。卵黄の中で転がして色を付け、ボイルしている湯の中でボイルする。一旦少しボイルしたら羽を使って卵黄を少し塗って色を付けてローストする。この内何個かのリンゴをクジャクの中に入れる。又外側に置いたり、大網膜の下に置く。ここまで出来たらクジャクに、取っておいた皮と羽のコートを被せる。テーブルの上に運ぶ。コート(皮と羽)を取ってサーヴする。

 

メンドリに詰める

107.ニワトリの羽を取ったら生の皮を剥ぐ。このニワトリの肉と骨のない豚肉を良くチョップして、スパイス、卵、澄ませたきれいなラードをいっしょに混ぜる。メンドリの皮に詰める。これをボイルしている大釜の中に入れる。金串を刺してローストする。裂けないように気を付ける。この方法で他の鳥も料理する事が出来る。

 

108.別の料理

上で述べたメンドリの皮を剥ぐ。このメンドリの肉をスパイスと一緒にクックする。陶器のポットを用意してcardafisiaの形に作った、つまりフラスコ又はinguastaraを用意して、上の皮を、上のポットの水の中に入れる。上の皮の首(の部分)はポットから出しておく。その皮に上のスタッフィングを詰める。首は塞いで、少量の水の中に浸ける。クックする。クックしたらポットを割ってサーヴする。

 

仔牛に詰める

109.若い仔牛を用意して皮を剥ぐか皮を剥く。ローストして好みの方法で詰める。ガチョウのヒナ、メンドリ、シャポン、その他の肉で上のようなスタッフィングを用意する。ただし、腹の中にたくさんのチョップしたラードを詰める。ローストしている間に溶け出した脂の中にペッパーソース、トーストしたパン、サフランを入れる。少しボイルしたら、そのペッパーソースを別に取っておく。サーヴする。

 

マトンに詰める

110.マトンを一匹用意して毛を刈る。最初に述べたメンドリの方法で料理する事が出来る。スタッフィングにはメンドリ、ヤマウズラをホールで、又はピースにして使う。好みの良質な材料を使うことが出来る。破裂しないようにする。この方法で皮を剥いた仔山羊を料理する事が出来る。

 

肩又は他の肢に詰める

111.マトンの肩を用意して骨から肉を外す。ポークベリーを用意して一緒にナイフで、ボードの上でチョップしてミンスする。良質の香草を用意してスパイス、サフランと一緒に潰す。これを上の肉とポークベリーと混ぜる。新しいチーズと溶き卵を適量加えて固くも柔らかくもないように延ばす。豚又はマトンの大網膜の脂を用意してボードの上に広げる。上の肉の半分を取り、上の大網膜の上に広げる。肩の骨を取って上の肉をのせる。残りの半分の肉を取り、上の骨が丁度中央になるように、上の骨の反対側にのせる。全体を大網膜の脂で被う。鉄のグリルの上にのせ、しっかりとローストする。サーヴする。この同じ方法で他の肢も料理する事が出来る。

 

胃袋に詰める

112.豚又はマトンの胃袋を用意してきれいにしてよく洗う。それぞれの脂と肉を用意して少しクックする。これにスパイス、卵を混ぜて上の胃の中に既に述べた混ぜ物を詰めて、穴を塞いで水の中でクックする。クックしている間に針を刺す。又はグリルの上でクックして好みの方法で味と色を付けることも出来る。又、良質のポークベリーをラビオリに詰めることも出来るお望みであれば、同様にトリに詰めることも出来る。

 

腸に詰める

113.豚又は仔牛の腸に豚脂と他の肉、スパイスと香草を詰める事が出来る。それ(胃袋)を縛って(針を)突き刺して上で述べたように料理する事が出来る。食べる。

 

 

9.ペイストリィ

 

ソップ

114.トレンチャーのように丸くスライスしたパンを用意して、新しいラードを入れた平鍋の中でフライする。上に良質のスパイスを振る。トーストしたパンを用意してクジャク又は他のトリから溶け出した脂で溶かし、平鍋の中でフライしたパンの上にかける。砂糖又は酸っぱいジュースを上にかける。食べる。

 

115.別の料理

上で述べたようにパンの丸いスライスを用意して溶き卵の中に浸し、平鍋の中でフライする。これを次々にトレンチャーの上に置く。お望みであれば、その上にスパイス又は砂糖を置く事が出来る。クジャク又は他のトリと一緒に御主人様にお出しする。

 

ローマンペイストリィ

116.ニワトリを用意してピースに切り、スパイス、サフラン、香草を一緒に混ぜて少しフライする。溶き卵を加え、十分な量のヴェルジュを加える。その間クラストを作る。ペイストリィを調整して2つ又は3つsolessolare:底のクラスト)を作る。各ペイストリィにスパイスをのせる。この上にラードをのせてペイストリィに蓋をする。真ん中に穴を開ける(クラストの上に)この上にドウでトリ又は貴方の好きな他の動物の形を作る。上にラードをのせてオーヴンの中でクックする。サーヴする。ミンスした肉と新鮮なチーズで同様に作る事が出来る。

 

仔山羊のペイストリィ

117.山羊の肉を用意して切る。Sepis(おそらくミスプリント?であろう)をスライスしてラードの中でフライする。良質の香草、サフランを用意してよく混ぜる。よく刻んだ新しいチーズと上の肉を混ぜる。濃くなるように石炭の上の平鍋に入れる。タルトパンの中に非常に薄いドウを作る。フライしたラードを平鍋とドウの間に入れる。十分にペッパーと肉を用意して、それを上に述べた卵を平鍋に入れて別のドウを作る。それを上に置いて石炭を上と下に置く。

 

118.別の料理

山羊のミンスした肉又は小さなニワトリをピースに切る。それを新鮮なラードとミンスしたタマネギ、ミンスした香草、サフラン、卵黄と一緒にフライする。卵と混ぜてよく延ばす。石炭にかけた平鍋の中にすべてを入れて火が通るまで何回も返す。スパイスを十分に加える。卵黄で色を付け、ドウを作って全てをその中に包む。クックして食べる。

 

生きている鳥のペイストリィ

119.ペイストリィを作り、その中に籾殻(semola)を入れる。オーヴンでクックする。クックしたら底又は横の穴から籾殻を取り出す。色々な種類の、貴方が好みの生きたトリを入れる。鳥篭の窓のようにペイストリィに小さな窓を作る、それらが出来たら木に吊ってそれらしく置く。

 

120.うまいペイストリィの別の料理

狩猟鳥のペイストリィを作るには、好みの肉をラードしてローストする。それを多すぎるほどのスパイスとワインに浸す。

 

121.別の料理

ビーフ、マトン、豚、非常に細かくスライスしたガーリック、タマネギ、スキャリオン、きれいな青い葡萄又はハーブを使って貴方の好きな方法でパイにする事が出来る。

 

パルマスタイルのタルト(パルマタルト)

122.ニワトリを用意してピースにする。細かくスライスしたタマネギ、たくさんのラードと一緒にフライする。ニワトリが十分にクックしたらその上にスパイスとたくさんの塩をのせる。香草を用意して十分な量のサフランをその上にのせたくさんのをよくミンスする。

脂の上に骨髄をのせてナイフでよくチョップする。上のハーブの量と同量の卸しチーズを混ぜて濃くする。このチーズと同じ量を用意してこれでラヴィオリを作る。又、フレッシュチーズを用意して白いラヴィオリを作る。又、パセリとその他の香草とフレッシュチーズで緑色のラヴィオリを作る。上のものを全て卵で溶く。皮を剥いたアーモンドを用意してしっかりと挽いて半分に分ける。一つには良質のスパイスを入れて片方には砂糖を入れる。それぞれのラヴィオリを作る。卵を用意してこれを詰める。又、よく肥った豚の腸を用意して洗い、良質のハーブとチーズを詰める。そしてよくボイルする。又生の燻製肉(presciutto)を用意して、薄くスライスする。これでソーセージを作る。溶き卵を用意してポットの中で上のニワトリと混ぜる。これを石炭の上にかけてミキシングスプーンで濃くなるまでこれ(sic)を混ぜる。火から外し塩で味を付ける。

よく選別した小麦粉を用意して固いドウを作り、フライイングパン又はパイパンの形にする。上のニワトリのブロスをスプーンで取って上のドウを湿らせる。そのドウの中に上のニワトリの肉の区切りを一つ作る。第二の区切りの中にはソースを上にのせたホワイトラビオリを、三番目の区切りには保存肉とソーセージを上で述べたようにスライスしたものを入れる。第四の区切りには上の肉を、五番目の区切りにはcervellati※を、これは上でスタッフした腸である。アーモンドのラヴィオリを六番目に。各区切りにはデイツを入れてもよい。上の各肉の上にはソースをのせる。各区切りにはたくさんのスパイスを入れる。そして、上には十分なスパイスをのせる。暖炉を開けてベイキングパンをその上に置く。石炭を上と下に置く。上のタルトにはカバーをせずに時々ラードを塗る。もし割れたら柔らかいドウを用意してそれを取り、水でぬらして割れ目の上にのせる。熱したベイキングパンを上にのせる。

 

Florio:CervellatoとはRe dei’ cibiと呼ばれているドライソーセージ、又は良質の肉(Re de’i civi)のこと。

 

シャポン、キジ、家禽の砂肝、魚のタルト

123.ファストデイのためにシャポンの砂肝、キジ、ヤマウズラ、野鳥、家禽、小さい鳥大きい鳥、海や淡水魚、リンゴ、それに類似した材料で、魚はスパイスと一緒にチョップして、アーモンドミルクと卵、好きなように色と味を付けてタルトを作る事が出来る。

 

チーズ料理(casciata

124.新しいチーズを用意して洗い、強く圧迫する。ボールの中で手で細かく砕く。卵を用意して上のチーズとよく混ぜる。チョップして挽いたラードとお好みであれば少量のペッパーを入れる。それをクラストの中に入れて塩で味を付け、クックする。上で述べたものの中に潰したミント又はキャラミント(nepitella)を入れることが出来るこの料理は“ハーブした料理”と呼ぶ。スキャリオン、グールドを使って作る事が出来る。このようなチーズ料理は上にクラストを置かずに作ることが出来る。

 

カップの中に入れたニワトリ又は他の家禽の料理

125.ニワトリ又は家禽をピースに切る。湯で小麦粉を溶いて非常に固く作る。このドウをカップの形にしてその中に上に述べたニワトリとホールのグリーングレイプ、サフラン、スパイス、少量の冷水を入れてドウで上を塞ぐ。オーヴンの中に入れる又は、平鍋の上に置く。カップの上に大きなラードのピースを置く。

 

平日のための、その他のものをカップに入れた料理

126.よく似たカップの料理を上で述べた方法で牛又は豚を使って作る事が出来る。グリーン(熟れていない)グレイプ、又はヴェルジュがない時にはシトロンジュース、オレンジジュースとローズウォーターを入れる。又山羊や他の動物の肉を使って又仔山羊の内臓に香草、スパイス、サフランなど変化を付けてお好みの色を付けてカップを作る事が出来る。又、チックピー、ビーンズ、グールドとほかの混ぜものをペイストリィの中に入れることが出来る。

 

 

10.シーフード

 

ウナギのペイストリィ

127.ウナギの皮を剥き、きれいにしてよく洗い、スライスする。固いクラストを作り、ウナギを中に入れる。良質のスパイスを上に振り、少量のオイル、オレンジ、シトロン、又はレモンジュースを中に入れる。ベイキングパンの内側でクックする。クックしたら熱いうちに食べる。そのほうが味がよい。

 

ヤツメウナギのカップ料理

128.ヤツメウナギを用意してきれいしてよく洗う。塩を振る。皮を剥かず、スライスもしない。ヤツメウナギの頭の各穴にクローヴを詰める。固いドウでカップを作り、上のヤツメウナギをそのまま,円を描くように、スパイスとサフランと一緒に入れる。ローズウォーターを入れてお好きなように上に色を付けカバーをする。同様の方法でクローヴを詰めずに小さなヤツメウナギを使ってローズウォーターとシトロン、オレンジジュース又はビターオレンジジュースで作る事が出来る。又、ヤツメウナギをローストとしてソースで食べることも出来る。

 

129.マスと他の種類の魚のペイストリィ

固いドウをマスの長さに、又はお望みであれば、丸型に形づくる。マスを用意する。ウロコがよく取れているか確認をして、きれいにして塩をする。内臓を取る。上のドウの中に入れる。マスの形に従って両側に船のような角を作り、このドウに二つ穴を開ける。1つは端に、片方は反対側に、又はその代わりに真ん中に穴を開ける。オーヴンの中でクックする又は、ベイキングパンの中でクックする。よくクックしたらその穴からローズウオーター又はオレンジ又はシトロンジュースを入れる。ミートデイにはオイルではなく溶かしたラードを入れる。このように他の魚、イワシ、スプラート(ニシンに似た魚)、ムレットやその他の魚でカップ又はペイストリィを同じ方法で作る事が出来る。

 

タコ

130.肥えたタコをボイルして、塩とクミンで食べることが出来る。又はタコに似た魚、小さなフライ(moscatelli)と呼ばれる魚で(作る事が出来る)

 

イカ(seppia

131.イカを用意して開き、そのインクを取る。これは取っておく。イカをスライスして、スパイスと一緒にオイルの中でフライする。フライしたら少量の水を入れてボイルする。取っておいたインクで色を付ける。これはイカの塩と呼ばれ、良質のワイン、スパイス、香草を一緒にブロスの中に入れてサーヴする。

 

イカのインク

132.註。イカのインクは漏れないように頭のところで縛る。ドレッシング、ソース、ブロス又は他の食べ物を黒くするときにはこれをスモークする。

註。上で述べたように、各ドレッシング、ソース又はブロスの中に貴重な品物、つまり金,宝石、選びぬいたスパイス、詳しく言うと貴方の好みに合わせて、又健康であるか病気であるのかに応じて、カルダモン、香草そして、一般のハーブ、タマネギ、リークを入れることが出来る。

 

コウイカ(calamaro

133.コウイカをローストするには、その耳から内臓を出す。そこから、詳しく述べると、この動物が出てくる口から塩を入れる。剣(sia spazio in modo di spada)の長さのスペースを作って、火の近くで少しクックする。キジを扱うように軽く、注意深くラードする。再びクックするまでローストする。オレンジジュース、シトロン、ローズウォーター又はレモンで食べる。

 

魚の内臓と腸

134.魚の内臓を洗って、小さすぎない程度にスライスする。オイルと薄くスライスしたタマネギと一緒にフライする。良質のスパイス、サフラン、ミンスしたマジョラムを入れる。少量のボイルした湯で延ばす。クラストのないパンを用意して、クラムにして少量の水で延ばす。少しボイルする。マジョラムの代わりにクミンを使う事が出来る。上のブロスを濃くするには、皮を剥いていないアーモンドをしっかりと挽き、ワインで延ばして濾す。サフランは加えない。コリアンダーシードを上に、そしてミンスした肉に砂糖を振る。

 

 

11.様々な料理

 

ニワトリのグラトナタ

135.ニワトリをピースに切る。これをラードとタマネギでフライする。フライしている間、ポットの中で十分にクックするように水を少量加え、ミキシングスプーンで何度もひっくり返す。スパイス、サフラン、ヴェルジュを加えてボイルする。各ニワトリに付き卵黄4つとヴェルジュで溶いてボイルし、半熟の状態にする。ボールの中で一緒に混ぜて各ニワトリの切り身と一緒に全てボイルする。ボイルしたら火から下ろし、食べる。

 

ニンジンと一緒にフライしたマトン(Sardamome

136.マトンの胸肉を用意して小さくスライスしてよくボイルする。ボイルしたら、acciU’che non sappia di beccume, 湯から取り出してラードで肉をフライする。ブロスが残るようにその湯を十分に入れる。クックしたらコリアンダー、細かくミンスしたニンジンを上に、スパイスと十分な量のサフランをのせる。コリアンダーがないときにはクミンを使う。食べる。

 

※〔訳者註。このフレーズはおそらくミスプリント又は筆記ミスであろう。それというのは、訳(鳥の種とは意味が判然としない。)が意味不明であるからだ。そのブロスは後でこのレシピの中で使うので、肉を取り出す前に、平鍋の中のブロスの泡を取るという意味かも知れない〕

 

ニワトリのフルーメンティ

137.良質のcalvellinoグレインを用意する。又は、別の良質のものをきれいにしてよく洗ってモルタルの中で挽く。夕方にボイルして、割れ始めたら肥ったメンドリ又は良質のマトンの胸肉をポットに入れて、熱くして、よく蓋をして朝までそのままにしておく。朝にニワトリ又は肉を取り出し、トレンチャ-の上に置いてサーヴする。グレインを山羊又は羊の乳、フライしたラード又は脂を加えて上の肉を用意して骨から取り、裂いてスープを作る。上にフライしたラードを置く。これは上質の料理であり、ミルクがない時には卵とチーズで作る。

 

スペルト(farro)

138.砕いたスペルトを選り抜いて少しボイルする。湯を捨ててスペルトをよく洗う。山羊又は羊の乳の中に入れて、又はアーモンドミルクを代わりに入れて再びクックするまでクックする。フレシュチーズをミンスして卵白と混ぜ、ボイルしているスペルトの中に入れる。少しボイルする。次いでブラマンジェのようにメンドリ又はニワトリの肉を入れる。その上に豚脂を入れる。黄色くしたい時にはサフランと卵黄で色を付ける。砂糖を加える。

 

ヒナ鳥、ニワトリとその他の家禽のZeunia

139.ニワトリ、ヒナ鳥またはその他の家禽を殺した時にその血とレバーを取っておく。それらを切り離す。タマネギとラード、よく挽いた乾燥オレガノをワインで延ばしたものを加えてトリをフライする。上の血、レバー、少量のトーストしたパンを挽いてヴィネガーとワインで延ばす。少し色を付けてペッパーをたくさん加えて上のトリと一緒にボイルする。ヒナ鳥には特にガーリックの頭状花を加えて食べる。

 

スタッフトエッグ

140.卵を用意してボイルし皮を剥く。半分に切って卵黄を取り出す。マジョラム、サフラン、クローヴを用意して上の卵黄と混ぜる。よく潰して、卸したチーズを加える。卵8個に対して生卵1つで延ばす。延ばしたらこのソースを卵の穴に詰めて良質のラードでフライする。食べる。これにフレンチヴェルジュという名のソースを添える。

フライした、ローストした、かき混ぜた(scrambled?)卵には上で述べたソースは必要ではない。

 

トマセリtomacelliについて、正確に言うとモルタデリmortadelli

141.豚のレバーを用意してボイルする。外に取り出してよくミンスする。ボードの上でナイフで(刻む)又は、乾いたチーズのようにグレーターで卸す。マジョラムその他の香草を用意してペッパー、上のレバーと一緒に潰す。濃くなるまでモルタルの中に卵を入れて延ばす。次いで、豚に大網膜の脂を用意して小さな盛り土を伸ばすように延ばして包み、1つずつ平鍋に入れてラードでフライする。クックしたら取り出して新しいポットに入れる。スパイス、サフラン、ペッパーを用意して良質のワインで延ばす。ポットの中のトマセリの上にこれを注ぎ、よくボイルする。食べる。

 

Forio:TomacellaとはHagasse又はHoggesプディングの一種である。又は内臓、胃袋、purtenances又獣の内臓で作った料理の類である。又は私達が呼んでいる“ローストした仔牛の煮込み料理”に使う肉を指す。

 

レバー

142.レバーを用意してピースに切る。金串を刺してローストする。十分にクックしていない時には周りを豚肉の大網膜の脂で包んでクックする。クックしたら新しいポットに入れて、上で述べたように、このソースを作る。一口大のレバーを1つずつ大網膜の脂で包むと更に味がよくなる。

 

山羊又は羊のミルクのカップ料理

143.白い小麦粉を用意して、溶いてカップのドウを作る。カップの形を作る。固いのでベイキングパンの中に入れる。ミルクと溶き卵、それにサフランを一緒に用意して型の中に入れる。よくクックする。次いで全卵を割ってミルクの中でクックする。

 

オイルを入れない魚のギャランティン

144.ヴィネガーとワインをボイルする用意をする。よく洗った魚を入れ、一旦クックする。別のポットの中に取り出す。上のワインとヴィネガーの中に輪切りにスライスしたタマネギ入れて1/3になるまでボイルする。次いでサフラン、クミン、ペッパーを入れる。クックした魚の上に全部かける。冷ます。これが酒場で出るschibeziaである。

 

145.盛大なイースターの期間内に、木又は蔓又は庭をドウで作る。木にはリンゴ、梨、又は鳥又は葡萄又は貴方の好みのいろいろな物をドウdistmoeratraと(文脈からは“ドウの中に卵を入れて全卵又は卵黄で洗い色を付けた”又は“調整した”、“延ばした”又は“混ぜた”と言う意味であろう。)卵で作ってぶら下げる。これには上で述べたスタッフィングを詰めて黄色、ミドリ、白や黒に色を付ける。聖なる木の中央にはペイストリィ、つまり鳥を一杯に入れた篭を置く。そのような木には異なる季節に、目にするあらゆる果物を付ける。中庭に運び込んだらその木又は(蔓又は庭)の下に背の高い焚き火を作り、香りのよい木の枝を入れて華やかに飾る。

 

Dulcamineつまりレント用ではないフリッター

146.卵と水で延ばした小麦粉を用意して、薄く延ばす。木の葉又はイチヂクの葉の形に、又は好みの形に切ってたくさんのラード又はオイルの中でフライする。一旦クックしたらボイルした蜂蜜を上にかけて食べる。

 

ハーブで香りを付けた料理

147.上述した全ての花とその他のハーブと好みのものでスパイスと卵とチーズを使ってハーブで香りを付けた料理を作る事が出来る。オーヴンの中で又はベイキングパンの間でクックする。このクラストをハーブで香りを付けた料理と呼ぶ。

 

ラザニア

148.良質の白い小麦粉を用意する。温かい水で溶いて濃く作る。薄く延ばして乾かす。シャポン又は他の脂の多い肉ブロスの中でクックする。平皿の上に脂の多い卸チーズと一緒に置いて、好きなだけ層にする。

 

クルミと一緒にボイルした蜂蜜、nucatoという料理

149.ボイルしてアクを取った蜂蜜、薄くチョップしたクルミ、スパイスを用意して、一緒にクックする。水の中に手を入れてそれを延ばす。冷してサーヴする。アーモンドとへーゼルナッツをクルミの代わりに使う事が出来る。

 

ダンプリング(tortelli

150.ドウから好みのものを何でも作る事が出来る。例えば、馬蹄、ピン、リング、手紙それに好みの動物を、お望みであれば何でも詰めることができる。ラードとオイル、魚を平鍋に入れて一緒にクックする。好きなように色を付ける。

 

ジャンケット(Junket)

151.純粋なきれいな濾したミルクを用意する。仔山羊又はラムのレンネットを加える。固まったらよく洗う。葦の茎の間に入れて御主人様にお出しする。又は食べるまで冷水の中に入れる。

 

Pannicia with milk

152.豆のサヤを摘んで岩と砂の上に取る。よく洗って挽き、少量の水でボイルする。ミルクを十分に入れて、その上にラードをのせる。又はフライした豚脂をのせて好みの色を付ける。ローストした仔山羊と一緒にこの料理を食べる。

 

 

12.ソース

 

最初に、ローストのソース

153.モルタルの中でバジルを潰してペッパーを入れてヴェルジュで延ばす。このソースは全てのローストした肉と卵、ボイルした卵に合う。これ(ヴェルジュなど)がない時はオレンジ、シトロン又はレモンを使う。

 

ハトのソース

154.ハトのレバーをローストして、石炭の下でクックする。モルタルの中でペッパーと一緒に挽く。ワイン又はオイルに浸したトーストしたパンを入れて延ばす。ボイルしたいのであれば、ボイルできるし、ボイルしないのであれば生でサーヴする。

 

ツルのソース

155.ツルのレバーを用意して石炭の上でローストする。良質のスパイス、マジョラム、サフランと上のレバーを用意して全て一緒によく挽く。卵黄を入れて少量のヴィネガーと良質のワインで延ばす。それにクックしたマストを少し入れると、このソースは苦甘い味になる。

 

ゴスリングと乳のみ豚のソース

156.クックしたワイン以外は上と同様に作る。ゴスリングから出た脂をソースの中に入れる。ローストした乳のみ豚も同様に扱う。このようなソースを作りたくなければ、グリーンソースを作る。

 

マラードとダックのソース

157.ツルのソースと同様に作るが、川鳥は全てサフランを使わない。こういったことは全て様々な規則に則って教育を受けた個々の料理人によって言われてきたことである。これらの料理を用意する彼に従い、彼が料理に色を付けたり、修正を行うことが出来る。

 

 

13.その他の料理

 

パストリンガ(Pastringa)

158.脂の多いチーズを用意して小さくスライスする。豚の大網膜の脂を用意して小麦粉と卵を混ぜて延ばす。サフランを入れて、それをクラストに入れてクックする。貴方の好きなように白く作るか又は色を付ける。

 

トリの脚と豚の脚のSolicio

159.脚と頭をよくボイルする。たくさんのヴィネガーとセージの葉を加える。食べる。冬であれば15日間もつ。

 

Florio:Solcio. Solciは食べてうまい料理。

 

160.又、上で述べた方法で同じ材料を使って作る。肉が少しクックしたら水の中にヴィネガーをたくさん入れる。そうすると味は弱くも強くもならない。夏であれば1/3量になるまでボイルする。その肉を別のジャーに入れる。その上にベイリーフをのせる。スパイスとサフランを用意して上のブロスで混ぜる。よくミンスした甘松※をその上に加える。塩で味を付ける。食べる。甘松がない時にはクミンを使う。同じようにして乳のみ豚、ニワトリ又は貴方が好きなほかのトリを使ってゼラチンを作る事が出来る。

 

※イスラムでは甘松の根の粉末は古くから口承されており、楽園で神がアダムに食べる事を許した果物として記されている。又中世ヨーロッパではヒポクラスに香りを付けたり、ワインの中に入れて甘味を補った。

ローストチーズ

161.脂分の多いブリーチーズ又は野牛のチーズ又は他の種類の、柔らかくて脂分の多いチーズを用意する。皮を取る。非常に新しいものは洗ってロッドの上にのせて又は石の上にのせて溶け始めるまで火の中で、詳しく言うと火で焦げて溶けるまで火の中で回転する。非常に薄くスライスしてパンの上に、つまりトレンチャーの上のクラウド(nebula,正確な意味は不明である)の上にのせて御主人様にお出しする。

 

 

14.病人食

 

病人のキャベツ料理

162.何も入っていない水の中で上のキャベツを少しボイルする。1つずつ別のポットの水の中でマトンと一緒にクックする。キャベツと上の肉を取り出す。全てを平鍋に入れてよくクックする。病人にはパセリを入れて貴方の方法でクックする。

 

細かく刻んだハーブ料理

163.ホウレンソウ、ルリヂサ、パセリ、ビート、ディルそれにこれと似たハーブをボイルする。水を捨てボードの上で非常に細かくチョップする。煙から遠ざけてアーモンドミルクと一緒にクックする。

 

便秘又は尿の出ない病人用の料理

164.ホウレンソウ、少量のフェンネル、パセリ、ルリヂサ、マロウ※を用意してよく洗う。ボイルしてミンスしマトンと一緒にクックする。キャベツは又体が弱い人のための下剤でもある。Pastino※からキャベツを取ってきて、マトンをクックしたブロスの中に入れる。塩を少し入れてよくクックする。ファストディには、畑からキャベツ、フェンネルを取ってきてオイル、ミルク、サフランと一緒にクックする。

 

※ マロウ:モロヘイヤのこと。

※ Floriopastinoとは新しい葡萄畑、又はPastinationeとは植物のために土を掘る、掘り返す、つまり葡萄の畝を意味する。

 

グールド

165.若いグールドを用意して熱い水の中でよく洗う。しっかりと押し潰してアーモンドミルクと一緒にクックする。註。この病人のためのハーブ料理と若い野菜は病人に与える肉のブロスの中でクックする。

 

ヒヨコマメの病人食

166.赤い又は白いヒヨコマメを用意して、オイル、塩、ペッパー、サフランそれに少量のヘンルーダ※と一緒にクックする。モルタルの中で挽いて食べる。又は潰したヒヨコマメを用意してボイルする。水を捨てる。新しい水の中に入れてオイル、チョップしたラード、塩、サフラン、スパイス、溶き卵、少量のチーズと一緒にクックする。全てを混ぜてサーヴする。

 

※地中海沿岸地方の原産で、山椒少し甘くしたような香りがある。精油成分が通経剤・鎮痙剤・駆虫剤などに利用され、料理の香りづけにも使われていたが、毒性があるとされ、今はほとんど使われていない。(wikipedia より)

 

レタス

167.レタスを用意して半分に切る。塩を入れずにクックする。トレンチャーの上にのせ、グリーンドレッシング又はグリーンソースと一緒にサーヴする。

 

生のピーの病人食

168.若いピー、濃いミルク(クリーム、多分?)、アーモンドを用意して少量の塩を加える。ドウで上手にカップを作り、好みで砂糖を上にのせて、クックする。食べる。

 

アーモンドミルクとスペルトの病人食

169.アーモンドを用意して皮を剥く。挽いてボイルしている水で溶く。ミルク、クラストのないパン、又はスペルトを代わりに入れてクックする。新鮮な卵の卵黄を入れてかき混ぜる。正確に言うと、延ばして、サフラン、砂糖、少量の塩を加える。

 

ジェノバスタイルのtria(マス)の病人食

170.マスをボイルしているアーモンドミルクと少量の塩の中に入れる。サーヴする。

 

〔訳者註。現代語辞典ではtriaとはVeneto(ヴェネチィア)の方言でtriglia(マス)であると説明している〕

 

米の病人食

171.仔山羊の脚をクックした水の中で米をクックする。アーモンドミルクと砂糖を加える。

 

風邪(infreddati)をひいた病人の穀物粉の料理

172.砂糖を2オンス、ガム(?)を4オンスを入れた水をボイルする。ボイルしている間に少しずつ白い小麦粉を加えスプーンでよくかき混ぜる。よくクックして風邪を引いた者に与える。

 

173. 病人の健康状態に応じてヤマウズラ、ニワトリ、魚をクックする。単にボイルするのか、又はブロスの中でボイルするのか、言われたままにボイルする。ポーチした卵とたくさんのほかのものと一緒にサーヴする。

 

ムレットの病人食

174.ムレットをパセリとサフランと一緒にボイルする。サーヴする。

 

ボイルしたリンゴの病人食

175.リンゴをボイルする。スライスする。冷して病人にサーヴする。

 

176.ローストしたリンゴ

リンゴを葉(scope※)で包む。石炭の下に置く。クックしてスライスする。それをワインの中に入れて病人に与える。

 

Florio:Scopa ,箒又はブラシのこと。又、葉をつけた木の枝。果物はおそらく箒では包まないので、木の枝の葉であろう。それとも箒で作った串?

 

177.上で述べた別の料理

りんごを半分に切って、中の種を取り出す。その穴に挽いた砂糖を入れて、元に戻す。リンゴが1つのリンゴに見えるように金串を刺して、ローストする。よくローストしたら病人に与える。

 

15.その他

 

178.ローストした肉はボイルした肉よりも香りがよい。それはその肉の汁の中でクックされ、他方は別の汁の中でクックするからである。

 

上手に早くローストするには

179.石炭を用意して、これと一緒にクックする。石炭がよく燃えたら、その上にワインを注ぐと益々激しく燃える。又、オイルとよく挽いてチョップしたラードを用意して一緒に混ぜてこれを肉に塗る。

 

タマネギを入れたソース

180.タマネギを用意して石炭の下でクックする。皮を剥いて非常に薄く非常に長く横にスライスする。たっぷりのヴィネガー、塩、オイル、スパイスを加える。サーヴする。 

 

ポットの中から塩を取り除く

181.クラストのないパンのピースを白い麻布に包んでそのポットの中に入れる。小麦粉を使う者もいる。又は、ブロスの近くに吊るすと塩が抜ける。

 

料理から煙を抜く

182.穴を開けたクルミ(殻)をポットの中に入れる。そうするとクルミの方に煙が入っていく。

 

新しいフリッター

183.クラストのないパンを用意して良質のハーブのジュース、ミント、パセリ(と一緒に)よく挽く。卵を用意して一緒に混ぜる。新しいラードを溶かした平鍋の中でそれをフライする。トレンシャーの上にのせて上に粉にした砂糖をふる。

 

イーストがない時

184.パンを一塊用意して、卸し、小麦粉と一緒に挽く。これはおいしいパンにはならないが良質のサワードウが出来る。

 

Agrestoを作る

185.酒石を用意する。これはホワイトワインの澱である。これをよく挽いてワイン又は水と一緒にクックする。これがagrestoである。〔アグレストはヴェルジュ又はalegar(ヴィネガーのような、しかしワインや、例えばモルヴィネガーやワイン等ではなく、サワービール)から作る〕

 

  

 

 

 

 

索引

 

 

 

                                (数字は料理番号を示す)

 

 

アーモンド  69.97.101.103.134.149.168.169

アーモンドミルク  6.20.21.39.48.52.78.102.123.138.163.165.169.170.171

アスパラガス  16

アニス  5.63.64

イースト  81.184.

イカ  131.132.133

ウナギのペイストリィ  127.

ウオールナッツミルク  20.34

牛  59.91.121.126

ウナギ  127

エルダーフラワー  82

乾燥オレガノ 139.

オレンジ  71.72.126.127.129.133.153

 

ガーリック  71.101.121.139

カエル  103.

蕪  29.32.33.34.35.163

カラント  74

カルダモン  11.132

甘松  68.70.160

キジ  78.123

キャベツ  1.2.3.4.14.162.164

ギャランティン  68.144.

グース  71.72

グールド  18.19.20.165.

クインス  64

クジャク  106

クミン  130.134.136.144.160

グラトミア  79.

グラトナタ  135.

栗  36.62

グリーンキャベツ  2.

グリーングレイプ  67.121.125.126

グリーンブロス  77.

クリスペラー  80.

グレイン  137

クルミ  20.34.148.149.182.

クローヴ  11.65.71.84.96.128.140

クロケット  80.

ケイパー  63

コウイカ  133.

仔牛  109

仔牛の頭  73

仔牛の胃袋  88

仔牛の腸  89.90.113

香草  6.8.36.50.55.59.60.65.67.71.78.86.90.111.113.116.117.118.122.131.132.141

ゴスリング  71.72.109.156.

小鳥  96

米  102.104.171.

仔山羊のペイストリィ  117.118.

コリアンダー  78.134.136.

コンポート  63.

 

魚  68.69.7074.8594.97.123.134.144.

ザクロのジュース  100.

砂糖  21.64.69.79.80.86.99.103.104.105.134.168.169.171.172.177.183.

サフラン  1.3.6.9.11.16.18.19.20.21.22.23.24.27.29.32.33.34.36.37.39.40.41.42.45.47.50.51.52.54.55.58.59.65.68.69.70.71.72.73.80.81.90.94.11.

サラセンブロス  74.

サルダモメ  136.

塩を抜く  182.

塩漬け豚  47.56

シトロンジュース  72.93.98.126.127.129.133.153.

シナモン  6.7.27.64.65.93.106

シナモンソース  93.

シャポン  33.52.66.74.75.76.99.101.109.123.

シャポンブロス  75.

ジャンケット  151.

ジェノバスタイル  170.

狩猟鳥  94

ジンジャー  39.65.93.102.105

スキャリオン  121.124.

スタッフトエッグ  140.

スタッフトシート  106.107.108.109.110.111.112.113.

スパイス                         1.3.4.5.6.16.17.2126.30.39.41.42.43.45.51.57.59.60.61.62.66.67.68.69.70.71.73.75.76.77.78.85.89.90.91.93.94.95.100.101.106.107.108.111.112.114.115.

116.118.120.122.125.126.127.128.131.134.141.147.160

スペルト  138.169.

スマック  97.

セージ  159

ソース  153.154.155.156.157.

ソーセージ  85.

ソップ  114.115.

ソラマメ  48.48.50.51.52.53.54.

 

タコ  130.

ダック  157.

タマネギ  5.13.22.50.53.62.65.69.82.91.92.98.180

タルト  117.121.122.123.

ダンプリング  150.

チーズ  24.31.37.41.44.55.56.57.86.87.89.90.111.122.124.137.147.148.158.166.

チックピー  36.37.38.39.40.41.42.83.

乳のみ豚  156.160.

デイツ  74.

ディル  163.

ツル  73.155.

ツルのレバー  155.

トマセリ  141.

鳥のペイストリィ  119.

 

洋梨  21.64.74.

ニワトリ  7.65.78.97.99.100.102.103.105.107.116.122.125.139.160.

ニンジン  63.64.

ノボロギク  12.13.

 

パイ  19.121.

パイク  103.

バジル  153.

パセリ  3.5.36.44.63.64.162.163.164.174.183.

蜂蜜  54.64.80.83.146.

バッファローのミルク  161.

ハトのレバー  154.

パルマタルト  122.

パン  35.43.71.72.73.74.95.114.115.161.184.

ピー  43.44.45.46.47.

ビート  5.163.

ビートの葉  5.6.

ビーンズ  57.58.59.

ビターオレンジ  98.128.

羊の乳  48.79.104.137.138.

ヒヨコマメ  36.37.38.39.40.41.42.166.

病人食  162.163.164.165.166.167.168.169.170.171.172.173.174.175.176.177.

ファインスパイス  70.

フェンネル  5.10.63.64.164.

フェンネルのソース  11.

フェンネルの花  11.

フェンネルのバルブ  1.2.3.4.64.

フェンネルのホール  6.9.

豚  59.86.92.121.126.

豚の頭  159.

豚の胃  112.

豚の腸  113.

豚のレバー  141.142.

ブラマンジェ  102.

ブリーチーズ  161.

フリッター  146.183.

フルーメンティ  137.

プルーン  69.74.

ヴィネガー  7174.94116.126.135.152.185.

ヴェルジュ  7174.94116.126.135.185.

へーゼルナッツ  149.

ペア  21.

ペイストリィ  114.115.116.117.118.119.120.121.127.129.

ベイリーフ  70.160.

ペッパー1.3.5.7.18.19.20.22.23.24.25.32.33.36.37.40.52.54.58.65.69.7195.117.124.139.141.144.154.166.

ペッパーソース  94.

ヘンルーダ  166.

ホウレンソウ  5.6.16.163.164.

ホワイトガーリックソース  101.

ホワイトキャベツ  1.

ホワイトリーク  23.26.103.

 

マシュルーム  60.61.62.

マジョラム  5134.140.141.155.

マス  129.

マスタード  15.62.63.64.

マトン  59.73.110.111.121.

マトンの胃  112.

マトンの胸肉  134.

マラード  157.

ミルク  151.152.

ミント  88.183.

メンドリ  66.108.109.

 

山羊  93.

山羊の乳  17.29.33.102.137.138.

山羊の肉  117.118.

ヤツメウナギ  128.

野兎  93.95.

ヤマウズラ  78.95.99.123.173.

 

ラザニア  148.

ラディシュ  64.

ラヴィオリ  82.83.85.112.122.

ランプ  30.

リーク  9.14.23.24.25.26.27.28.30.61.62.63.103.132.

リンゴ  4.74.106.123.164.175.176.177.

ルリヂサ  6.163.164.

レーズン  69.

レタス  17.166.167.

レバー  71.74.76.77.94.95.96.99.139.141.142.154.155.

レモン  71.72.98.127.133.153.

レモンソース  98.

レンティル  55.56.

レント  6.25.42.103.104.146.

ローズウォーター  126.128.129.133.

ロースト  178.179.

ローストアップル  176.

ローストチーズ  161.

ローズマリー  5.

ローマンペイストリィ  116.

 

ワイン  69.70.73.74.95.120.131.139.141.143.155.179.185.

ワインガーリックソース  101.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Italian  Index

 

 

 

Agresto   185.

Amido non mond  98.100

 

Cabot  81.

Calamaro   133.

Calamint  82.

Caldume  88.

Calvellino  137.

Cardafisia  108.

Casciata  124.

Casio de briga   44.

Cenamata  93.

Civero  20.

Comandelli  5.

Crispellers  80.

 

Distmoeratra  145.

Dulcamine  146.

 

Farro  138.

Fasoli  56.

Festiggia  105.

 

Garbbi  63.

Gloves  83.

Gratomea  99.

Gratonia  79.

Gualdaffe  88.89.91.

 

Ienula  69.

Inguastara  108.

 

Mele  53.

Mortadello  54.140.

Moscatelli  130.

 

Nape  29.32.

Naponi  29.64.

Navoni  29.

Nepitela  124.

Noci d’ India  96.

Nubula  161.

Nucato  149.

 

Pannicia   152.

Pappardelle  31.

Pastino  164.

Pernici  95.

Peverada  94.

Presciutto  122.

 

Ramps  30.

Rapazoli  14.

Rape  64.

 

Sardamome  136.

Schibezia  139.144.

Scope   176.

Senacioni  12.13.

Sic  122.

Soles  116.

Solicio  159.

Sommacchia  97.

Somola  119.

 

Tomacelli  140.

Tortelli  85.150.

Treviso  58.

Tria  170.




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