令和 4年 2月第357回定例会
(第10日 3月30日)
公明党・県民会議、天野文夫です。
公明党・県民会議議員団を代表いたしまして、知事から提出されました第1号議案ないし第26号議案、第28号議案ないし第58号議案に対し、賛成の立場から討論を行います。
昨年8月に誕生した齋藤県政にとって最初の本格的な令和4年度当初予算案は、新たに策定された県政改革方針案に基づき、持続可能な行財政基盤の確立を目指すとともに、躍動する県政の実現に向け、新たな価値を生む経済の構築、安全安心社会の先導、未来を創る人づくり、個性を磨く地域づくり、県政運営の改革の五つを柱として、施策を推進するものとなっております。
そして、オープンな県政の推進、誰も取り残さない県政の推進、県民ボトムアップ型県政の推進の三つの基本姿勢が掲げられており、県民とともに県政を進めていこうとする姿勢がうかがえるものとなっております。
令和4年度当初予算は、歳入面で見ると、企業業績や消費の回復により、県税等収入は、昨年度比14.2%のプラスとなりましたが、令和5年度以降令和10年度まで収支不足が生じる見込みであり、引き続き財源確保の努力が求められます。
同時に、歳出削減努力が求められるため、今回の県政改革方針の令和4年度実施計画では、43項目の事務事業の見直しが示されましたが、その内容については厳しい財政状況に鑑みると、一定やむを得ないものと考えます。
県政改革の推進に当たっては、財政の縮減だけを目的にして進めるのではなく、守るべきものを守りながら、行政のスリム化や業務の改善等を行うことによって、財政が健全化されていくことが重要であります。デジタル技術を活用した事務改善など、行政の効率化も積極的に推し進めていただくことを期待いたします。
これまで我が党は、大衆の小さな声に耳を傾け、大きな改革へと結び付けてきました。本県の令和4年度当初予算案は、令和10年度までの収支不足額が440億円と見込まれる極めて厳しい財政状況のもとで編成されましたが、我が会派が機会あるたびに訴えてきた空家等活用促進特別区域に関する条例の制定のほか、ヤングケアラー相談窓口の設置、無年金外国籍障害者福祉給付金の拡充など、医療、福祉の充実に努められました。特に今回、都道府県レベルで全国初となる難聴高齢者の補聴器購入費用への助成の創設については、我が会派が、今年度、粘り強く要望した結果、予算化されたもので評価するところであります。
一方で、コロナを克服し、県民の皆さんが将来への希望を持つことができるように、新しい兵庫の未来をつくるという観点に沿って、以下4点申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症への対応についてであります。
第6波で爆発的に増加した新規感染者数は、減少傾向にありますが、病床や看護師などの医療人材の確保、保健所体制の強化や検査体制の充実等、引き続き次なる波へ備えていく必要があります。また、コロナ禍が長期化していることの影響により、困窮している事業者への支援とともに、ポストコロナにおいて飛躍できるような経済支援を求めます。
次に、ポストコロナ時代の自立分散型社会を目指す地域創生戦略の見直しについてであります。
コロナ禍により、国民の意識、行動に大きな変化を生じています。東京一極集中を是正し、地方分散型社会の実現に向け、この変化を的確に捉え、デジタル環境整備を早急に進めるとともに、教育、医療、商業等がつながり合うスマートシティ構築を推進するなど、ポストコロナ時代の自立分散型の多極的な社会を目指し、従来の地域創生戦略にいて適切かつ大胆に見直しを図ることを求めます。
次に、SDGsを県政の機軸に据えた取組の推進についてであります。
齋藤知事は、当初予算編成に当たり、SDGsを十分に意識され、4月より全庁的なSDGsの推進体制を構築されるとともに、SDGs未来都市認定を目指した3年間の取組計画の策定やSDGs債、グリーンボンドの発行等に取り組むとされており、高く評価するところです。そこから一歩進んで、SDGsを県政の機軸に据えることを宣言し、さらには条例化するなどして、本格的な取組を推進することを内外に発信するよう求めます。
最後に、今後の県政改革の進め方についてであります。
まだ残る140億円もの収支不足額の解消のためには、今後、更なる事務事業の見直しが必要となりますが、それは県民や市町に痛みを強いるものとなってはいけません。県民の支持があってこそ持続可能な行財政運営が可能となるということを忘れることなく、事務事業の見直しの内容については、県民や市町、関係団体に適切な時期に丁寧に説明し、真摯に耳を傾けた上で議論を進め、理解を得ることを強く求めます。
我々公明党・県民会議議員団は、これからも生活者の視点に立った現場第一主義に徹し、県民が未来への希望を持ち続けられる躍動する兵庫を実現できるよう、全力で取り組む決意を改めて表明し、知事から提出された議案に対する賛成討論といたします。
ご静聴ありがとうございました。
令和3年12月第356回定例会
(第5日12月13日)
姫路市選出、公明党・県民会議の天野文夫でございます。会派を代表して、以下2項目について質疑を行います。
最初の質問は、中小企業への一時支援金についてです。
昨年からのコロナ禍に加え、原油価格や原材料の高騰等が中小企業等の経営に影響を与えることが懸念されており、今回の補正予算に盛り込まれた資金繰り支援の強化や一時支援金の支給は、経営を下支えするものとして重要です。
とりわけ、一時支援金の支給は、全業種を対象とした上で、国の事業復活支援金に先んじて迅速な支給を実現しようとするもので、一定評価できます。しかしながら、支給対象が国の月次支援金の受給者、飲食店等と飲食店等以外を区別したこと、売上げの50%以上減少となっています。
月次支援金については、何度も書類の不備を指摘され続け、申請が認められないまま申請期限が過ぎる不備ループが問題となりました。迅速な支給を図るため、支援対象を月次支援金の受給者としたのは理解できますが、売上げ減少率が要件を満たしているにもかかわらず不備ループにより月次支援金を受給できなかった方たちが、今回の県の一時支援金の対象から漏れるのは不公平があり、こうした方も運用面の改善等により救済していく必要があると考えます。
また、国の事業復活支援金の対象者が売上げ減少率30%へと要件が緩和されたにもかかわらず、それに先んじて実施しようとしている県の一時支援金の要件が50%以上のままというのは厳しいのではないでしょうか。要件の緩和が必要であることを強く要望させていただきます。
そこで、お伺いします。
今回の一時支援金の支給対象を飲食店等とそれ以外に区別し、飲食店以外は売上げ減少率50%とした考え方と、不備ループに陥った方のような国側の対応の問題から月次支援金を受給できなかった人も救済していくなど、支給対象となるべき人全員に行き渡るような制度とすることについて、当局のご所見をお伺いします。
次に、ふるさと応援ひょうごを旅しようキャンペーンの拡充についてお聞きします。
新型コロナウイルス感染拡大によって、観光業は大きな打撃を受けることになりました。本年3月には、会派で旅館業を含む関係団体の方との意見交換もさせていただき、現場の悲痛な声もお聞きしました。そのような声を受け、我が会派は知事への緊急申入れや定例会への質問等で観光業界への支援を繰り返して求めてきたところです。
県では、6月補正予算で、ふるさと応援ひょうごを旅しようキャンペーン、9月補正予算で、そのプレ実施を計上していただきました。プレ実施から本格実施のこの2ヵ月間、県内の観光地の宿泊予約が大幅に増えるなど効果が出ており、観光業に関わる方々からは喜びの声をお聞きしています。
そして、今回の補正予算では、実施期間を2月末まで延長するとともに、対象者に新たに隣接・近隣府県民も加え、GoToトラベル事業再開までの切れ目ない支援を行うこととされ、9億円が計上されました。
しかしながら、県民の中にはまだこのキャンペーン自体を知らない方も多くおり、更なる周知が必要と考えます。周知が進めば利用者が更に増え、対象者に隣接・近隣府県民が加わることも考えれば、今回の9億円の追加だけでは、すぐに予算が枯渇してしまうのではないでしょうか。
また、今回の対象者の拡大によって、県内観光地の来訪者の増加が期待されるところですが、一方で、兵庫県民が隣接・近隣府県に観光に行く際にも、当該府県の同様の旅行代金割引キャンペーンを利用できるように調整を進めるべきだと思います。
そこで、ふるさと応援ひょうごを旅しようキャンペーンの更なる周知、予算の更なる増額の必要性、近隣府県との旅行代金割引キャンペーンの相互利用の導入について、当局のご所見をお伺いします。
令和 3年 6月第354回定例会
(第2日 6月 4日)
公明党・県民会議の天野文夫でございます。
質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方へのお悔やみと感染された方へのお見舞いを申し上げます。
また、医療従事者はもとより、営業時間の短縮にご協力をいただいております飲食店をはじめ全ての事業者の皆様、また外出、移動の自粛などにご協力いただいております全ての県民の皆様に心より感謝を申し上げます。
新型コロナウイルス対策のワクチン接種をはじめ、大きな山場を迎えた大切な時期であります。兵庫県はワンチームになって、必ずコロナ禍を乗り越えていける県民力があると私は信じております。
その決意を込めて、公明党・県民会議を代表いたしまして、一括方式にて、以下の質問をさせていただきます。
最初の質問は、井戸県政最終年の総括についてお伺いします。
井戸知事は県政史上最長となる5期20年間、真摯に取り組んでこられました。阪神・淡路大震災からの復旧・復興や防災・減災対策、コロナ感染症対策といった安全・安心な社会の構築や県民の参画と協働の推進、行財政構造改革推進による行財政基盤の確立や地方分権の推進といった重要な問題に取り組まれました。特に震災からの復旧・復興、そして財政再建には大きな力を発揮され、そのことは5月20日付の神戸新聞の県内市町長アンケートの結果を見ても、高く評価されているところだと考えます。
また、井戸県政5期20年は、阪神・淡路大震災からの復興から始まって、新型コロナという、言わば新たな災害への対応で終わることになりました。災害から始まり、言わば新たな災害に終わるという、まさに災害対応の20年間でしたが、特に井戸知事任期の最後の1年は、まさにコロナ対策に終始しました。その中では、逼迫する医療や保健所の体制、人流の抑制、国や市町との関係など多くの課題が残っていますが、まずは現下の新型コロナウイルスワクチン接種体制の整備と県内経済の回復に全力を注ぐことが重要であると思います。
その一方で、社会も大きな転換期を迎えました。まずはデジタル化です。官民挙げたデジタル改革が進み、県庁でもデジタル化が本格的に推進されました。また、サプライチェーンの国内化、分散化によって変化に強い産業構造への転換も進み、新たな活力が生まれています。加えて、地方回帰も進みました。デジタル技術の進展により、大都市で働かなくてもよい土壌が生まれ、地方のよさを求めて新たな動きが芽生えてきました。
昨年12月定例会の知事の答弁にも、コロナ禍がもたらした社会変革の兆しを的確に捉え、情報ネットワークの強化や地方回帰の定着など、地域創生の取組を加速化させ、人や企業の流れを兵庫へ呼び込む。だからこそ新しい長期ビジョンを策定し、県民の夢を実現する新たな兵庫づくりに取り組んでまいります。ポストコロナ社会を先導し、活力を保ち続ける兵庫を次世代につないでいけるように、誠心誠意、全力で取り組んでまいりますとの答弁もありました。
県政はコロナ対策を中心に新たな試練を迎えています。しかし、未曽有の大災害など多くの苦難を乗り越えるたびに力強く立ち上がってきた経験を再認識し、自信を持って未来に目を向けていくときではないでしょうか。
そこで、この5期20年の最終年のコロナ禍の1年を振り返って、どのように総括し、その経験から、今後の県政に何を継承していきたいか、率直なご意見をお伺いいたします。
次の質問は、新型コロナウイルス感染症の第5波に備えた医療・療養体制の構築についてお伺いします。
第4波において、県では急増する新規陽性患者の受入のために、国の支援も受けながら様々なご尽力をいただきました。病床の確保のために、空床補償経費の独自の上乗せや人工呼吸器や個人防護服等の整備の支援、重症対応病院等への看護師の応援派遣の受入、県立加古川医療センターにおける臨時の重症専用病棟の設置等を実施し、重症対応136床、中等症789床、軽症226床の計1,151床を確保し、さらに、宿泊療養施設については、現在約1,500室の運用が行われています。
このようにご尽力いただきましたが、新規陽性者の急増によって病床数は不足し、入院・宿泊療養調整の患者はピーク時には2,000人近くに達しました。病床の確保については、現状では十分に対応できておらず、第5波を想定すると更なる拡充が必要です。また、確保が進むものの使用率が2割にとどまる宿泊療養施設の有効活用、自宅待機者、療養者への支援の充実も必要です。
今回の6月補正予算では、重点医療機関等の入院病床の確保について拡充されて入院医療体制が強化されるほか、新たに、重症患者に対応する医療従事者養成研修の実施、転院受入の体制整備の促進、自宅療養者、待機者に対する往診への支援等の予算が確保されましたが、第4波の経験を踏まえながら、第5波に備えて、これらを活用してどの程度の病床の確保を進めるとともに、宿泊療養施設の有効活用、自宅待機者・療養者への支援の充実を図っていくのでしょうか。
今後、ワクチン接種も順調に進み、事態が好転していくことを期待するところですが、県内ではインド変異株も見つかっており、第4波以上の新規陽性患者が急増する第5波も考えられないわけではありません。
気を緩めずに第5波への対応の準備を進めていく必要がありますが、今回の補正予算でどのように医療・療養体制の拡充を進めていくのか。今回の補正予算だけでは対応できない場合、国へ財源措置を求めていく必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。
次の質問は、総力を挙げたワクチン接種体制の推進についてお伺いします。
新型コロナ対策の切り札とされる新型コロナワクチンをいかに県民にスムーズかつスピーディーに、そして効果的に接種できるか。いまだかつて経験したことのない全国民を対象とするワクチン接種という国家的プロジェクトを何としても成功させ、新型コロナウイルスを克服し、県民の皆様が安心と希望を持って暮らしていける日常を取り戻したい、これが県民の願いです。
医療従事者等に対する優先接種に続き、市町が実施主体となる住民接種について65歳以上の高齢者から開始され、5月末で県内高齢者人口約160万人に対して、1回目接種の実績入力が約15万回となっており、接種率は約1割という現状です。
政府は7月末までに高齢者接種の完了を目指す方針を示し、兵庫県では41市町全て完了見込みと報告されていますが、この中には政府目標を踏まえ、苦心しながら接種計画を前倒しした自治体もあると聞きます。また、終了見込み自治体においても、医療従事者を確保できた場合は、終了可能といった前提条件を設定している場合もあると聞きます。東京都では、都独自でワクチン接種が進まない自治体に接種チームを派遣することも検討していると聞いていますが、県においても7月末までの全高齢者接種完了を実現するためには、兵庫県においても県下各市町の状況をよく把握し、他の都道府県の取組を参考にしながら、きめ細やかな支援を行う必要があります。
7月末の高齢者の接種完了のためには、同時に県自ら接種を進めることも必要です。県は県独自の大規模接種会場を播磨と阪神の2ヵ所に設置し、6月中から実施を目指しています。現在、市町は高齢者の7月末接種完了を目指し、必死に医療人材確保などの体制整備をされているところです。そうした自治体に負担をかけず、県独自の医療人材確保をしなければなりません。また、接種しやすいように会場までのバスやタクシーなどの移送手段の確保や、市町実施のワクチン接種との二重予約に対する対応や、それに伴う予約キャンセルへの対応など、課題が多くあると考えられます。さらに、そうした医療人材に対するワクチン優先接種を早期に完了する必要もあります。
高齢者以外の多くの県民もワクチン接種を待ち望んでいます。そのためには、まずは7月末の高齢者接種完了を目指し、県、市町、医療機関、関係団体による総力を挙げたワクチン接種体制を推進する必要があります。また、今後、高齢者の優先接種と基礎疾患を有する方々への優先接種が並行して行われることも想定されます。国からは既に高齢者への接種完了前から基礎疾患を有する方等への先行予約期間の設定について示されていますが、この先行予約期間の予約の在り方については、障害者の方々等へのきめ細かな配慮がなされ、速やかに予約できるようにすることが必要です。
県としては、まずは医療従事者のワクチン接種の早期完了を目指すとともに、市町のワクチン接種の状況把握ときめ細かな支援を行い、大規模接種を迅速、効果的に進めるための医療人材確保と課題解決をしていかなければならないと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
次の質問は、コロナ禍における中小企業支援の拡充についてお伺いします。
今年に入り、1月から県による時短要請が行われた後、2度目の緊急事態宣言が発出され、4月からはまん延防止等重点措置が取られ、そして4月25日から3度目の緊急事態宣言が発出され、このたび6月20日まで延長されることになりました。コロナ禍において、飲食店等をはじめとした多くの中小企業が日々を生き抜くため、また家族、従業員等を守るため、頭を悩ませ苦しんでおられます。
県では臨時交付金等を活用して、この1年間、中小企業に対する様々な支援を行ってきたところです。しかし、3度目の緊急事態宣言が追い打ちとなり、いよいよ経営的な厳しさが増しており、よりきめ細かい支援が求められるようになっています。今回の緊急事態宣言下では、飲食店以外にも苦しんでいる中小企業者は少なくなく、我が会派には多くの業界の声が寄せられています。
3月の旅館・ホテル事業者との情報交換会では、感染予防対策と事業継続に必死に取り組まれながら、ゴールの見えない状況への悲痛な叫びをお聞きしました。4月に入り緊急事態宣言が発出され、更に苦しい状況に追い込まれています。緊急事態宣言が解除された後には、国や市町と連携し、県外客は無理でも、県内客向けのマイクロツーリズムを推進するための支援を迅速かつ効果的に実施する必要があると考えます。
また、タクシー事業者からも窮状をお聞きしています。タクシーは公共交通機関としての重要な役割を果たしていますが、狭い空間がリスクだと感じられて、高齢者等から利用が避けられる傾向があり、厳しい経営状況にあります。そのリスクを軽減するためには、タクシーへの高性能フィルタを備えた空気清浄機、モニター機器の導入を支援すべきです。また、今後進む高齢者のワクチン接種の推進に当たって、交通弱者である高齢者のワクチン接種会場までの交通手段としてタクシーを活用することも検討すべきだと考えます。
また、国が行う中小企業月次支援金については、その支給の条件が前年もしくは前々年の対象月比の事業収入が50%以上の減少となっており、非常に厳しいものとなっています。たとえ事業収入が30%の減少でも経営の継続は厳しいということを理解し、県独自の救済措置が必要だと考えます。
さらに、中小企業の資金繰り支援も重要であり、国のセーフティネット保証4号と危機関連保証の指定期間は延長されると聞いていますが、セーフティネット保証5号の全業種に対する指定期間は6月末で終了します。その延長を国に求めるとともに、引き続き中小企業の資金繰り支援が必要だと考えます。
県としても厳しい財政状況の中で様々な支援策を講じていますが、以上述べたような業界へのきめ細かい支援や、国の基準では支援することができない売上げ減少を来している事業者への県独自の支援が必要だと考えますが、今後どのように取り組むのか、当局のご所見をお伺いします。
次の質問は、コロナ禍の小中学校における教育活動の充実と児童生徒の心のケアについてお伺いします。
昨年は、新型コロナウイルス感染症により全国一斉に休校の措置が取られました。学校は6月から再開されましたが、様々な学校行事は中止や縮小となり、児童生徒にとっては、失われた1年になったと言っても過言ではないと思います。
今年度も3度目の緊急事態宣言が発令され、予断を許さない状況が続いています。本県の小中学校等においても児童生徒の感染が見られ、臨時休校や学級閉鎖等、教育活動を一時止めなければならない状況が生じているところです。
この1年を振り返ってみると、小中学校の教育について多くの変化と気付きのある1年でした。小中学校においては、GIGAスクール構想の前倒しによる1人1台端末の整備等、国の補助により緊急時における家庭でのオンライン教育にも活用可能なICT環境整備が進みました。オンライン教育には様々な可能性があると考えますが、その一方で、限界があることも私たちは改めて認識することになりました。
また、学校は塾と違って単なる勉強の場ではなく、学習や部活動等を通じて友人やクラスメートと同じ時間を共有し、充実した生活を送れる貴重な場であることも改めて認識しました。今年度、修学旅行や遠足、運動会や文化祭などの学校活動の延期や中止により、学校生活の楽しみがどうなるのか不安に感じている児童生徒や保護者も多数おられると推察されます。
一方で、学校や行事での感染に非常に不安を感じている児童生徒や保護者も多くおられるのも事実です。この不安定な状態やテレビやネットで大量に流れるコロナの情報は、児童生徒の心に大きなストレスを与え、ひいては自殺や不登校の増加につながるのではないかと心配するところです。
我が会派の竹尾議員が昨年の決算特別委員会で、兵庫県立大学の冨永教授が提案されているコロナの正しい知識の定着と誹謗中傷防止のためのストレス対処法を学ぶ授業の実施について質問し、前向きな答弁をいただきましたが、そのほかに児童生徒一人ひとりに寄り添った心のケアが必要になっています。心のケアのための特別授業の拡充や自身で心の健康をチェックするシステム、学校内外での悩みを相談できる機会やスクールカウンセラーの積極的な活用、そして相談手段の工夫など誰一人取り残さない社会づくりが大切です。
大人にとっての1年と児童生徒にとっての1年では重みが違います。私たち大人は、児童生徒の貴重なこの1年が、コロナ禍でも少しでもよりよいものになるように、それぞれの立場で努力する責務があると考えます。そのために、教育現場では精いっぱいの努力を行われていると思いますが、その教育現場を支え、ひいては教育活動の充実と児童生徒の心のケアのために、県教育委員会は何ができるのか問いかけた1年でもあったと思います。
コロナ禍の1年を振り返って、県教育委員会として教育活動の充実と児童生徒の心のケアのための取組をどのように行い、その経験を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
次の質問は、コロナ禍で浮き彫りとなった女性の孤独・孤立への支援についてお伺いします。
今年3月、生理用品の負担軽減を目指す任意団体みんなの生理が高校生や大学生らを対象に行った調査によると、金銭的な理由だけでも5人に1人の割合で生理用品の入手に苦労されていることが浮き彫りになりました。この調査結果を踏まえ、国会では3月4日に公明党の佐々木さやか参議院議員が質疑を行い、15日には公明党女性委員会が菅総理に対して、追加の生活支援・雇用対策についての緊急提言書の中で、経済的な理由で生理用品を購入できない女性や子供がいるという状況を踏まえ、必要な対策を検討するように要望しました。
さらに、県では、我が会派が3月19日に教育長に対し、県立学校における女性用品の無償配布とともに、市町教育委員会と課題を共有し、コロナ禍で困窮する児童生徒に対する負担軽減に取り組むように要望したところ、直ちに県立学校と各市町教育長あてに適切な配慮を行うよう事務連絡で通知していただき、県立学校では経済的困窮に配慮し、必要とする生徒に対し、女性用品の配布が実施されることとなったところです。
このような一連の取組によって生理と貧困という言葉が広がりましたが、そこから見えてきたのは、コロナ禍によって女性就労を取り巻く環境が特に厳しくなり、職やアルバイトを失っているほか、独り親、ネグレクト、DV、虐待、自殺など、女性を孤独・孤立に追い込む社会的な問題が浮き彫りとなりました。そのことは、今年4月の内閣府のコロナ禍の女性への影響と課題に関する研究会の報告書の中でも、女性に対する暴力、DV相談件数の増加が前年同期比で1.5倍、女性の自殺者数の増加が前年比で935人増というように、数字として明確に表れています。
このような境遇に置かれた女性に対して、社会との絆、つながりを回復することができるようきめ細かい支援が必要です。支援にたどり着けない女性も多いと思われます。そのためにも、NPO等民間団体の知見などを活用し、アウトリーチ支援の強化、相談体制の充実では、専門相談、24時間電話相談、特に今は若者の利用が多いSNSを活用した相談体制が必要だと思います。
国では、つながりサポート型として地域女性活躍推進交付金に13.5億円を追加措置することを決定しました。この国の予算化も踏まえ、4月12日の知事への我が会派の緊急要望の際に、コロナ禍で不安を抱える女性への支援について申入れをしたところ、今定例会の事業化に向けた補正予算案が計上されたことについて、厚くお礼申し上げます。重要なのは具体的な支援の内容です。
この補正予算成立後、コロナ禍で浮き彫りとなった女性の孤独・孤立への支援をどのように進めようとされているのでしょうか。また、今年度だけの支援にとどめずに、来年度以降の恒久的な予算化も必要です。ご所見をお伺いします。
次の質問は、本県における新しい体制によるデジタル化推進についてお伺いします。
先日、国会で行政のデジタル化を推進するため、デジタル庁の新設を柱とするデジタル改革関連6法が成立しました。関連6法では政府が目指す基本理念や方針を示し、本年9月1日にデジタル庁を設置して、他省庁への勧告権などの強い総合調整機能を付与することや、税や社会保障システムの仕様統一の基準を定めること、また給付金の支給迅速化などのためのマイナンバーと預貯金口座の任意のひも付け、押印や書面が必要な行政手続の見直しや個人情報の保護と活用に向けたルールの統一などについて定められています。菅総理が誰もがデジタル化の恩恵を受けられる社会をつくりたいと述べているとおり、デジタル化の推進によって国民の利便性が向上し、豊かな生活に結び付けていくために社会変革のスタートにしていく必要があります。
我が会派は、これまでも本県におけるデジタル化推進体制として、外部の専門人材を核とした専門組織をつくり、部局横断的に取り組む必要性を訴えてきましたが、本年度より情報戦略監を設置して、NTT西日本から専門人材を招聘するとともに、情報企画課を全県のデジタル化施策推進を担当する情報政策課と、県庁業務のデジタル化推進を担うデジタル改革課の2課に再編・拡充し、それぞれの課に外部の専門官を今後採用することとなっており、本県のデジタル化推進体制を強化して取り組むこととなっています。
行政のデジタル化は昨今始まった話ではなく、2000年頃からIT基本戦略やe-Japan戦略が打ち出され、各時代のITを活用し、その1丁目1番地として行政事務のデジタル化に取り組んできたにもかかわらず、コロナ禍によって日本がデジタル後進国であることが浮き彫りになりました。行政のデジタル化がうまくいかない理由として、組織の縦割りや事なかれ主義、利用者目線の欠如、デジタル化しにくい行政制度設計などが指摘されています。これらの課題はITの分野で短期的に解決することができる課題ではなく、組織文化や業務プロセス自体が制度設計そのものの改革が必要になります。
本県における新しい体制でのデジタル化の推進において、このような部局横断的な取組をどう進め、行政手続に係る県民の利便性向上と行政の業務効率化の両立をどのように実現させようと考えているのでしょうか。
また、全県のデジタル施策推進において、民間企業や団体、また産業労働部の産業振興政策などとの連携が重要となります。本県においてデジタル人材の獲得やデジタル産業の集積を図っていく上でも、世間の注目を集められるような先進的な取組をスピード感を持って打ち出していくことが重要と考えますが、実効性ある施策展開をどのように図っていこうとされるのか、当局のご所見をお伺いします。
最後の質問は、新型コロナウイルス感染症によって治安機能を低下させないための県警察の今後の対策についてお伺いします。
県警察では、警察職員の新型コロナウイルス感染症への感染防止の観点から、全職員に対し、手洗い、アルコール消毒液による手指消毒のほか、せきエチケットの励行を努めるなど、警察業務に支障が生じないよう勤務環境の改善に取り組んで来られましたが、警察職員の感染者は後を絶たず、警察学校でクラスターが発生したことも記憶に新しいところです。
しかし、そもそも警察業務は交番勤務をはじめ、生活安全や交通など不特定の県民と直接接する機会が多く、テレワークや在宅勤務がなじまない職種であるだけに、このような感染予防対策には万全な体制で挑んでも感染を完全になくすことは困難であると思うところです。また、感染力が強い変異株の感染拡大下では、誰が感染してもおかしくないという状況になっています。
感染者を出さないために、感染予防対策に引き続いて取り組んでいただく必要がありますが、それ以上に重要なのは、感染者が出たりクラスターが生じても、治安機能を低下させない体制構築だと考えます。警察署や交番は県民を直接かつ最前線で守る現場であり、県警本部にはその現場を支える体制の構築に尽力していただきたいと期待しています。そのためには、昨年以来の感染者やクラスターの発生の体験や教訓を今後の体制構築に生かしていくことが求められていると思います。
また、先ほど述べた業務の特性を考えて、警察官のPCR検査、抗原検査を適切に実施するとともに、治安機能の維持に不可欠という観点から、早期のワクチン接種についても必要であると考えます。
そこで、県警察のこの1年の感染予防対策や警察業務の継続に向けた対策をどのように総括するとともに、今後の感染予防対策と、たとえクラスターが生じたとしても、治安維持を低下させないための体制の構築にどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。
令和 3年 2月第353回定例会
(第4日 2月25日)
姫路市選出、公明党・県民会議の天野文夫です。コロナ禍にあり、医療従事者をはじめ、命を守り支える方々の尊き献身に心から感謝し、6項目7点について一括で質問させていただきます。
最初の質問は、障害者雇用の促進のための民間企業への支援についてです。
事業主に対し、従業員の一定割合以上の障害者の雇用が義務付けられており、法定雇用率は民間企業で2.2%、国・地方公共団体で2.5%、都道府県等の教育委員会で2.4%となっています。
障害者雇用には様々な課題があります。高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者の就業状況等に関する調査研究によると、約4割が就職後1年時点で退職してしまうという現状です。さらに、障害のある求職者の実態等に関する調査研究のデータを見ると、退職理由は、障害、病気のため以外に、業務遂行上の課題あり、人間関係の悪化などが上位3位の中に多く見られます。離職を防ぐためには、職場でのコミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置、能力が発揮できる仕事への配置、業務遂行の支援や本人、周囲に助言する者等の配置といった措置や配慮が考えられるとされております。
障害者雇用の環境整備は、障害者と相談し、お互い認識をすり合わせながら進めていきますが、障害者にとって必要な配慮は、場合によっては企業側に様々な準備が必要となり、必ずしも全てについて対応できるわけではありません。企業として、障害者雇用率を達成する義務を果たすため、積極的に採用に取り組んでも、配属先の部署からは受入が難しい、即戦力になりづらいという理由で断られることもあるようです。また、障害者を雇用するに当たっては、本人の適正や希望を十分に考慮しなければなりませんが、障害特性を見極めた業務の割り振り方や関わり方など、障害者雇用に関する知識が不十分なため、雇用に踏み切れない企業もあると聞いています。
この1月に令和2年度の兵庫県内の民間企業の障害者雇用率が公表されました。令和元年度の雇用率は2.16%で、法定雇用率未達成だったのに対し、令和2年度は雇用障害者数が440人増加して雇用率は2.21%となり、法定雇用率を達成しました。昨年9月に副知事が兵庫労働局、県教育委員会とともに県経営者協会に障害者雇用の拡大を申し入れ、同協会を含む県内17団体に協力を要請したところですが、障害者雇用を増やすための民間企業のご努力に心から敬意を表します。しかしながら、障害者の法定雇用率は本年3月より2.3%に引き上げられることになっています。
民間企業の更なるご努力が必要となりますが、同時に県には民間企業における障害者の働きやすい職場環境づくりなどへの支援の一層の充実が求められると考えますが、今後どのように取り組むのかご所見をお伺いいたします。
次の質問は、就労外国人及び家族との地域での共生に向けた支援についてです。
日本はこれから、外国人が隣で働くのが当たり前の時代に突入すると言われています。その背景には、労働力人口の減少やグローバル競争の激化のほか、外国人観光客の増加によるインバウンド需要、ITの発達によるエンジニア需要が高まっていることが考えられます。また、2019年4月の改正入管法による外国人労働者の受入拡大により、これまで認められてこなかった外国人の単純労働が認められるようになりました。これを受けて、人材不足に苦しむ中小企業では、外国人の雇用がますます増加すると言われています。
兵庫県の在留外国人は令和元年12月末時点で約11万6,000人で、人数が多い順に、神戸市約5万人、尼崎市約1万2,000人、姫路市約1万1,600人となっていますが、注目されるのは増加率です。5年前と比較すると増加率が50%を超えるのは全県で18市町あり、高い順に言うと、加東市199%、神河町133%、淡路市102%の増加となっています。播磨、但馬、丹波、淡路といった大都市以外の地域でも急増しているのが特徴であり、出身国を見るとベトナムの方が大幅に増加しています。
そのような中で、労働問題や生活支援問題が出てきています。外国人の方からは就労環境、待遇、意思疎通などの職場での課題が寄せられます。また、日本語がしゃべれない親の通院のために子供が学校を欠席し、通訳しなければならないといった生活上の課題もあります。
一方で、地域の側から見ると、自治会の方からは、生活習慣の違いでのトラブルや粗大ごみ収集当番ができない、ごみ分別が日本では多いので分からない、曜日を守らない、自治会費未払いの人がいる、日頃の交流がないなどの相談があり、外国人住民が増える中で負担が増えている現状の地域があります。これらは、コミュニケーション不足が原因のトラブルが多く、意思の疎通ができる多言語の翻訳機の要望も寄せられています。外国人と地域住民の相互の不安を解消し、共生するためには支援体制構築は急務です。
これらについて市町が取り組むことになりますが、外国人の急増の状況を見ると、市町のみでは対応が困難なことから、県が市町を支援して、より充実した施策を整備する必要があると考えます。県では、兵庫県外国人県民インフォメーションセンターを拡充し、ひょうご多文化共生総合相談センターを一昨年の4月1日から開設していただいております。また、今年度については、加東市をモデル地域として、市や地域が行う双方向コミュニケーション円滑化の取組を支援する在住外国人生活支援モデル事業に取り組んでおられますが、このような取組は県が主導し、全県展開する必要があると考えます。
そこで、これまでの外国人との共生社会実現のための取組の成果をお聞きするとともに、モデル事業のような取組を今後どのように全県に展開していくのか、当局のご所見をお伺いします。
3点目の質問は、森林環境譲与税を活用した市町の森林整備の促進についてです。
まず、新たな森林管理システムの市町の取組への支援についてお伺いします。
平成30年6月に森林経営管理法が公布され、令和元年度より森林環境譲与税を財源とした森林経営管理制度が本格実施となっており、新たな森林管理システムが始まりました。
新たな森林管理システムでは、森林所有者に適切な森林管理を促すため、森林管理の責務を明確化するとともに、森林所有者自らが森林管理を実行できない場合に、市町が森林管理の委託を受け、意欲と能力のある林業経営者に再委託し、再委託できない森林及び再委託に至るまでの間の森林においては、市町が管理を行うとされています。市町では、森林管理譲与税を財源に条件不利地で行う森林整備や所有者の意向調査、境界確定、人材育成、担い手の確保などを実施し、譲与税額は、令和元年度の約6億円から令和6年度には約19億円になる見込みと聞いています。
このシステムがうまくいくためには、森林経営管理事業を担う市町の組織体制の強化が何よりも必要ですが、県内の多くの市町には林業の専門部署が設置されておらず、専門知識や技術を持った職員が十分でないことから、事業の円滑な実施に向け、不安を抱えておられる市町があるようです。
県は、市町支援として、ひょうご森づくりサポートセンターの設置や市町職員向け森林林業基礎研修などの支援は展開されていますが、市町の実施体制の状況を勘案すると、より踏み込んだ支援を進めるべきではないでしょうか、当局のご所見を伺います。
続いて、県産木材の利用促進についてお伺いします。
森林経営管理制度等に沿って、森林管理が適切に行われることは、林業収益が確保されるよう、県産木材の利用促進を図ることが重要です。
県では、住宅分野の県産木材利用促進施策として、ひょうご木の家設計支援事業により、ひょうご木の匠登録工務店による住宅設計を支援しています。この事業では、県産木材を50%以上利用し、かつ県産木材を構造材や内装材として見せる住宅設計に対して、1件当たり30万円を助成していますが、もっと踏み込んだ助成も必要ではないでしょうか。
また、森林組合にお話を伺うと、民間への木材利用の働きかけも必要ですが、何よりも公共建築物での木材利用の促進が重要との意見をいただいています。
ひょうご森づくりサポートセンターでは、木材利用について市町へアドバイザー派遣等を実施していますが、市町の新たな施設の木造・木質化によって、より強力な要請を行う必要があるのではないでしょうか。
住宅や市町施設において、県産木材の更なる利用促進が図られるよう、今後の取組について当局のご所見をお伺いします。
4点目の質問は、日本玩具博物館等の民間博物館への支援についてです。
全国各地に民間が設立した博物館が数多くあり、兵庫県内には、兵庫県博物館協会に加入する民間博物館だけでも60施設あると聞いています。
それら民間博物館の所蔵品は文化財としての価値は低くても、地域・生活の記憶と結びついて、高い社会教育的機能を有する施設が少なくありません。しかし、そのような有意義な施設も、館長や職員の高齢化が進み、存続が危ぶまれる施設も少なくないと思われます。閉館してしまうと、苦労して集めた所蔵品は散逸してしまいます。
そのような有意義な民間博物館の一例として、姫路市香寺町にある日本玩具博物館があります。私は先日、この玩具博物館を訪れ、井上重義館長のお話をお聞きする機会がありました。玩具博物館は、会社員だった井上館長が1963年、1冊の本との出会いをきっかけに、子供に関わる文化遺産が失われていく状況を知り、全国各地の郷土玩具の収集を始めたことから始まります。1974年、井上館長が自宅の一部を展示室として公開したのが大きく発展し、多くの方々のご協力によって、我が国を代表する玩具博物館へと成長しました。
日本と世界の玩具や人形についての調査、収集、研究活動に努め、玩具に関わる文化への理解を深めるため、国内外から9万点を超す資料を収集し、常設展と季節ごとに学芸員が企画する特別展とを合わせ、常時5,000点を超える展示を行っています。また、玩具づくりの講座やイベントなどを開催されています。全国に30数館しかないミシュラン・グリーンガイド二つ星の博物館施設に認定されており、海外からの観光客も訪れると聞いています。
このように、極めて魅力的な博物館ですが、館長、職員の高齢化が進む中で、施設の維持や後継者育成といった大きな課題を抱えています。また、近年、日本玩具博物館の子供や女性の文化遺産を守る真摯な活動が評価され、貴重な資料の寄贈が相次いでいます。最大の課題は、この膨大で貴重な資料の伝承であります。国や自治体からの公的な財政・人的支援が全くない中、博物館を懸命に支えてきた井上館長は次のように言われています。当館が所蔵する資料は、私有財産だとは思っておらず、本来社会が守るべき文化遺産であると考えています。当館の所蔵資料は、社会が守るべき文化遺産だと認知され、後世に残ることを切に願っていますと熱く語ってくださいました。
地域の社会教育観点及び地域の貴重な文化遺産を守るという観点から、日本玩具博物館のような有意義な民間博物館への支援に取り組むべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
5点目の質問は、小学校高学年への教科担任制導入を契機とした小中一貫教育の推進についてです。
このたびの中央教育審議会の答申では、小学5から6年生で専門の教員が教える教科担任制を2022年度をめどに本格導入すると明記されました。対象教科としては、実験や観察に取り組む理科、つまずく児童の多い算数、2020年度から教科となった英語が例示されています。
この教科担任制では、教員が得意分野を担当することにより、授業の質が高まることや、教員1人が全ての授業を受け持つ学級担任制に比べて負担が減り、働き方改革につながるといったメリットがあるとされていますが、私が期待するのは、小中一貫教育の推進に資するという点です。
私は、小中一貫教育を現代の複雑な教育問題を解決する究極の連携教育と考えています。県教育委員会では、小中一貫教育について、平成27から29年度に調査研究が進められ、私も平成29年12月定例会の一般質問で小中一貫教育の全県展開について質問させていただきました。
しかしながら、その設置は令和3年度の予定も含めて、義務教育学校が7校、併設型小中学校が25中学校区にとどまっています。設置済の小中一貫校についても、少子化に伴う学校統廃合を背景として実施されたという側面もあり、設置している自治体を見ますと偏りがあります。とても全県展開できているという状況ではありません。
そのような中、小中一貫教育を一歩でも二歩でも前に進めるためには、小学校と中学校の教員の人的交流を深めて、教科の連続性を高めることが重要です。そうすれば、教員、児童、そして保護者に小中一貫教育の必要性が体感できることになります。小学校での主要教科への教科担任制導入は、そのよい契機だと考えます。
中教審の答申でも、教科担任制を小学5、6年生から始めるとされているのは、中学校とのスムーズな接続を見通していることによります。教科担任制で先行している自治体では、小学校と中学校が連携し、既に中学教師が小学校で教えているところもありますが、答申では、小中両方で教えられるよう、教員免許の取得要件を弾力化し、養成課程を共通にすることも提案されており、それが実現すれば人的交流が一層進めやすくなります。そのことによって、小中一貫教育の理念の実体化と推進が進められるのではないかと私は期待しています。
兵庫県は、少人数学習と組み合わせてきめ細かく指導する兵庫型教科担任制を2012年度から全県で導入した先進県です。
その経験を踏まえ、2022年度の小学校高学年への教科担任制導入を契機として、小中一貫教育においても先進県となるべく全県展開すべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
最後の質問は、Live110の成果と課題についてです。
今年1月6日の神戸新聞で、警察庁は来年度中に、事件や事故現場から110番した人にスマートフォンでライブ映像を送ってもらうシステムを、全国の警察で導入する方針をこのほど固めたということが報じられました。説明が難しい多重事故などでも、現場の状況を視覚的に素早く把握し、初動対応に活用する狙いとのことです。
これと同様のシステムは、兵庫県警が昨年9月に導入し、Live110として運用しており、その取組が評価され、全国に導入されるということで、問合せも多く来ていると伺っております。
当て逃げの被害者の方から相談をお聞きすることがありました。その方は交差点で事故に遭い、加害者は一度止まったものの、当て逃げをして去ってしまいました。当て逃げの犯人が逮捕されるまでの間、被害者の方は犯人が逮捕されるのか大変不安な思いをされていました。警察のご尽力で、結局犯人は逮捕されましたが、Live110のようなシステムがあれば、加害者の車の情報を迅速かつ正確に届けることができ、警察の素早い初動捜査、そしてもっと早い犯人逮捕につながったのではないかと思いました。
Live110は、1日1,200件も寄せられる110番通報への対応に当たって、正確な情報の把握と迅速な初動対応、限られた警察人員の効果的な投入を可能とするものであり、事件の解決を願う県民の期待に応えるものだと思います。全国に先駆けて導入に取り組まれた兵庫県警の意欲的な姿勢に敬意を表します。
このLive110は運用が始まってまだ約6ヵ月しか経過しておらず、その評価を下すのは時期尚早と思いますが、この間にどのような成果が見られたのでしょうか。また、運用していく中で、運用上の課題も見えてきたと思います。
Live110の成果、そして運用上の今後の課題について、当局のご所見をお伺いします。
質問は以上です。答弁をよろしくお願いいたします。
令和元年 6月第344回定例会
(第4日 6月20日)
姫路市選出、公明党・県民会議の天野文夫です。早速、6項目7問を一括方式で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
最初の質問は、播磨圏域連携中枢都市圏の取組と県の役割です。
我が国では、今後、歴史上、未曽有の人口急減が予測されているところですが、播磨圏域においても同様に人口急減が見込まれています。こうした状況に対応するためには、播磨圏域において相当の規模と中核性を備え、東京の出生率を大きく上回っている姫路市と近隣の市町が連携して、圏域全体の経済を活性化し、魅力を高めるとともに、住民が安心して暮らすことのできる圏域づくりを進めることが必要ではないかと私は考えています。
そのための取組として、私は姫路が中枢都市となり8市8町で構成された播磨圏域連携中枢都市圏構想の推進が重要だと考えています。これは播磨広域連携協議会を構成する13市9町に参加を呼び掛けたことから始まり、総務省の新たな広域連携モデル構築事業のモデル都市に選定され、平成27年4月には連携する7市8町と連携協約の締結及び播磨圏域連携中枢都市圏ビジョンの策定を行い、その後、赤穂市が加わっています。
私はこの構想には播磨国風土記をはじめ、長い歴史の中で培われた歴史文化、人々のたくましいなりわい、山海の自然に育まれた多彩な食文化など、さまざまな地域資源に恵まれた豊穣の地・播磨に新たな種をまき、豊かな地域資源に磨きをかけ、人口減少社会でも光り輝く播磨圏域を創造することにより、地域創生の先駆けの役割を果たしてほしいと願っています。取組は平成27年度から始まっており、更なる発展が期待されるところですが、私が心配するのは、この都市圏は姫路市が中心となりながらも、近隣市町が対等な関係のもと独立・主体的に連携し、それぞれがその個性を発揮してこそ成果を発揮をするのに、ともすれば、近隣市町が姫路市に飲み込まれてしまうのではないかと懸念したり、各市町間の利害が対立したりして、取組が停滞するのではないかということです。したがって、潤滑油としての県の役割は非常に大きいと考えています。
そこで、県として兵庫五国の一国である播磨圏域連携中枢都市圏構想のこれまでの取組に対する評価、そして、今後県が果たすべき役割と、そのための取組についてどう考えるか、ご所見をお伺いします。
次の質問は、多彩な地域資源を有する五国のふるさと意識醸成の取組についてです。
ご存じのとおり、外国人観光客は、大阪府1,100万人、京都府800万人、それに対して兵庫県は190万人と、大きく水を開けられています。大阪、京都にない兵庫の魅力は何かということを考えたときに、私は五国から成る多様性にあると考えています。ところが、五国といっても兵庫県以外の人にはなかなか理解されていないのではないか、甚だ心もとないというのが私の認識です。
兵庫県には実に多彩な魅力あふれる地域資源が多くありますが、地域の活性化のためにこれらの資源を有効に活用しない手はありません。県では昨年、県政150年記念事業の一環として、動画ふるさと兵庫五国物語を制作しており、県民がふるさと五国の持つ魅力を再発見し、我が地域を意識するきっかけとなったのではないでしょうか。
このような取組を積極的に進めていく中で、私が五国の走る広告塔として期待するのが、ひょうご五国のご当地ナンバープレートです。ご当地ナンバープレートは、地域振興や観光振興等の観点から、平成16年度に始まり、現在、29ナンバーが採択され、令和2年度には知床、飛鳥、出雲など17ナンバーが交付開始予定と聞いています。
兵庫県の自動車ナンバーは神戸と姫路の2種類です。もう半世紀以上も変わっていません。自動車の保有台数で兵庫県300万台より少ない静岡県290万台でも5種類のナンバー、静岡、浜松、沼津、伊豆、富士山があります。私の提案は、ご当地ナンバーを五国の国ごとに設け、今の2種類から5種類に分ける案です。旧国名どおりでも良いのですが、遊び心で考えれば、神戸市を平仮名でこうべ、西宮、尼崎等々で甲子園、明石を中心に子午線、姫路市を中心に姫路城、但馬丹波で北兵庫、日本最大の島淡路島でも良いかと思います。大事なことは、県民の皆さんが意見交換をして、兵庫県が五国に象徴される多彩な地域資源を有していることを認識し、その五国をどのようにして全国の人にPRしていくのか、そのようなことを考えることにあると思います。ユニークで親しまれるご当地ナンバーができれば、五国のPRだけでなく、県民の皆さんが自分の所属する国に誇りを持ち、地域の活性化にもつながると思います。
しかしながら、ご当地ナンバーについては、構成する全ての市区町村の合意を得た上で、都道府県が申請するということですので、発案は各市町で行われるべきものですが、市町域を超えた議論になりますから、いきなりご当地ナンバープレートというのは無理だと思います。聞くところによると、直近の平成29年度の募集に当たっても、兵庫県内の市町からは全く手が挙がらなかったそうです。県民の皆さんが、五国に関する理解、誇りを持ち、自主的に申請する機運を醸成するのでなければ応募もできません。ご当地ナンバープレートもその結果であると私は考えています。
そこで、質問をさせていただきます。県ではひょうご五国の有する多彩な地域資源を地域活性化の起爆剤とするために、さまざまな取組をされていると思いますが、これらの取組が県内外の方々にどの程度浸透していると認識されているのでしょうか。そして、今後、県内外で五国の認知度を上げるとともに、県民のふるさと意識醸成のためにどのような取組をしていかなければならないと考えているか、ご所見をお伺いいたします。
3点目の質問は、外国人観光客の災害発生時の支援体制についてです。
観光庁の調査では、2018年に来日した外国人観光客は約3,119万人で、初めて3,000万人の大台を超えました。兵庫県を訪れた外国人旅行者は2012年以降、前年比約2割の伸び率で増え続けていますが、京都、大阪には及ばない結果です。政府は、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年までに、年間の外国人観光客を4,000万人まで増やすことを目標としており、兵庫県においても今後更なる外国人観光客の増加が見込まれます。
こうした中にあって、昨年9月には台風21号の上陸や、北海道胆振東部地震で大きな被害が発生し、関西空港や新千歳空港の一時閉鎖、ブラックアウトによる停電等で観光客に大きな影響が出ましたが、とりわけ外国人観光客にとっては多言語での災害、交通、避難情報の提供が十分でないなど、災害時の対応に大きな課題を残しました。今後の外国人観光客の大幅な増加を見込むと、これからは外国人観光客に安心して旅行をしていただく環境を構築し、発信することが重要であり、そのことが兵庫県に外国人観光客を呼び込むことにもつながると考えます。
そこでお聞きしたいのが、兵庫県における外国人観光客に対する災害発生時の支援体制についてです。地域防災計画等に外国人観光客のための情報伝達や避難に関する事項、災害時のホテル協会や旅館組合との連携などについては定められているのでしょうか。外国人観光客の安全・安心の確保のために、災害時の支援体制を整え、その情報を発信することが大切です。災害時の支援体制の構築は、県と市町が役割分担して進める必要がありますが、ひょうごゴールデンルートのような広域的な取組を推進するに当たっては、各市町の支援体制構築を先導するためにも、県が果たすべき役割は大きいものと考えますので、外国人観光客の災害発生時の支援体制の現状と、今後の取組について当局のご所見をお伺いいたします。
4点目の質問は、播磨地域の滞在型観光への転換のための取組についてです。
姫路にはインバウンドも含め、観光客は大勢訪れていますが、通過型になっています。2018年度の姫路城の外国人入場者数は、約38万7,000人と最多を更新しましたが、市が実施した2017年度の観光動向調査では、姫路を訪れた外国人客のうち、市内に宿泊した割合は15%未満、日本人客でも約10%しか市内に泊まっていません。滞在型観光への転換は、姫路の長年の課題でしたが、近年、姫路駅周辺では、ホテルの新規開業が相次ぎ、大きなチャンスになりつつあります。
滞在型観光の転換のためには、姫路市及び周辺市町でのここでしか体験できない魅力的な観光資源の提供が重要となります。県では、滞在型観光等を推進する地域の主体的な取組を支援する観光地魅力アップ支援事業や、外国人観光客向け体験型プログラム、創出型の取組を支援する外国人観光客体験観光促進支援事業を実施し、平成30年度に中・西播磨地域では、家島ならではの体験プログラム、家島ほたるシップ事業、神河町のサイクリングイベント、神河ヒルクライム、姫路城にまつわる体験ウォーキング、峰山高原リゾートスキー場での雪遊びやそば打ち体験等、計7件が採択されました。
非常に有意義な事業を展開されていると思いますが、両事業合わせて全県で事業費約1,500万円では、本当に限界があります。もっともっと中・西播磨地域ならではの観光資源を数多く魅力アップしていかなければ、滞在型観光には転換できません。私は当選後、姫路市周辺の赤穂市、相生市、神河町、福崎町を訪問し、各首長とお話をする機会がありました。どの首長も姫路の観光客増を絶好の機会と捉え、地元観光地の魅力アップのために、懸命に頑張っていらっしゃいます。県においては、地元市町の動きを力強く後押しする、より一層の取組が必要と思います。
観光地魅力アップ支援事業等の拡充を含め、滞在型観光への転換のために、県として姫路市や周辺市町の観光地の魅力アップの取組をどのように支援し、また県自身として情報発信等、どのように取り組んでいくのか伺います。
5点目の質問は、防災・減災対策についてです。
まず、急傾斜地崩壊対策事業の計画的な推進についてお聞きします。
県では、平成21年の台風9号災害を教訓に、山地防災土砂災害対策を進めており、砂防堰堤や急傾斜地崩壊対策によるハード対策に加え、土砂災害特別警戒区域等の指定や、土砂災害警戒情報の提供などの減災のためのソフト対策にも取り組み、ハード・ソフトを両輪とする総合的な土砂災害対策を推進しているところです。
県は危険箇所の周知と、警戒避難体制の整備を最優先と考え、土砂災害が発生した場合に、住民等の生命または身体に危害が生じる恐れのある土砂災害警戒区域、イエロー区域を約2万1,000ヵ所指定されているところです。続いて、土砂災害警戒区域のうち、特に危険度の高い土砂災害特別警戒区域、レッド区域の指定に取り組んでおり、最終的に総数は1万ヵ所となる見込みと聞いています。この指定は、区域に住んでいる住民の方々の警戒避難活動の支援につながるものであり、評価されるところです。
そして、肝心な土砂災害対策事業として、県では砂防事業、地滑り対策事業、急傾斜地崩壊対策事業を実施しており、平成30年度から始まった第3次山地防災・土砂災害対策計画では、土砂災害特別警戒区域に指定された谷出口周辺や、がけ直下に人家があるなど、緊急性の高い箇所で重点的に整備を進められています。
地域を回っていると、急傾斜地に近接した住宅地域にお住まいの県民の方々から、土砂災害特別警戒区域に指定されたが、崩壊防止工事はいつなされるのかとよく聞かれます。指定によって警戒避難行動に役立っているところですが、その区域に住んでおられる方の気持ちを考えると、いつ対策工事がなされるのかということを示し、不安を解消することが重要と考えます。
第3次山地防災・土砂災害対策計画について、どの工事箇所から順番に進めていくのか、明確な優先順位は示されていないとのことですが、県民の不安を解消する意味でも、工事実施までに県民、土地所有者、自治体の協力体制の構築を促す意味でも、できるだけ早い段階で工事箇所を示すことが必要ではないでしょうか。
ついては、急傾斜地崩壊対策事業の実施箇所を選定する上での優先順位の設定について、どのような視点で行っているのか、また早期に事業実施箇所を明示することに対する当局のご所見を伺います。
次に、参画と協働による砂防堰堤の点検、維持管理の推進についてお伺いいたします。
梅雨や台風の時期になると山沿いにお住まいの方から、土石流が起きないか心配だ、砂防堰堤が昔からあるが強度は大丈夫か、いっぱい土砂がたまっているので心配だ、土砂撤去してほしいなどの防災に対する心配のお声を聞きます。
砂防事業とは、降雨や地震などに伴って発生する土石流に対し、砂防堰堤等を設置することによって、県民の生命や財産を守る重要な公共事業です。現在、兵庫県下の土石流危険渓流のうち、土石流により被害を受ける可能性のある人家が5戸以上、または官公署、学校、病院、旅館等のある箇所は4,310にも上ります。これらのうち平成31年3月の調査では、砂防施設の整備に1,511ヵ所に着手、整備率は約35%となっており、今後も土砂災害対策を強力に推進していかなければなりません。
一方で、整備済みの堰堤は、県内に約2,900基と多数あり、険しい山中にあることも多く、既設堰堤の点検や維持管理について、行政のみで実施していくのは限界があります。そのため、地域住民の自助、共助による地域防災力を高めていく必要があります。平成27年9月定例議会一般質問で私は、地域住民による砂防堰堤見守り隊の推進を提案させていただきました。この見守り隊には、砂防堰堤の見守り以外に、見守り隊の調査した情報に基づいた土木事務所による適切な維持管理、見守り隊メンバーがリーダーとなって地元県民に対して防災意識の啓発と不安を取り除くための活動をしてくださり、地域防災力の向上にもつながるといった効果も期待できます。そして、実際に姫路土木事務所と連携して、私の地元自治会で試験的に先行実施していただいているところです。
近年、局地的豪雨が増加傾向にあり、土砂・流木災害が激甚化、頻発化していることを考えると、このような地域防災力の向上にもつながる住民主体の参画と協働による点検活動の重要性はますます高まっており、県下に広く推進していく必要があると考えます。
そこで、砂防堰堤見守り隊を含めた参画と協働による砂防堰堤の点検、維持管理の現状と今後の推進方策についてご所見をお伺いします。
最後の質問は、教員の採用と人材確保についてです。
私は児童生徒にとっての最大の教育環境は、教師自身であると思います。学生時代の友達と会っても、あの先生が好きで苦手な教科が好きになった、あの先生と出会ったから今の自分がある、よく怒られたな、おもしろい先生だったなど、大きな影響力があります。子供が好きで教育に情熱を持って取り組まれる姿に、子供も魅力を感じ、充実した学校生活を送り、生きる力を身につけていきます。それだけにすばらしい教師との出会いが大切であり、教員の採用と人材確保が重要になります。
その教員において臨時講師と非常勤講師が増えています。少し古いデータになりますが、文科省の調査によれば、全国で臨時講師等は2005年の8.4万人から2011年の11.2万人まで増加し、教員総数に占める割合は12.3%から16%まで高まっています。臨時講師等は学校現場を支える重要な存在となっています。
2017年にNHKで、全国の公立小中学校で先生が足りないという異常事態が起きていますというショッキングなニュースが放映されました。NHKによれば、都道府県と政令指定都市の32の教育委員会において、4月の始業式時点で定数に対して少なくとも717人もの教員が不足し、中には授業ができなくなるところも出ており、その教員不足の大きな要因は、臨時講師等が確保できなくなっていることだというのです。この臨時講師等の確保が難しいという話は、県内でもお伺いしているところであり、学校運営において重要な課題だと思います。
兵庫県の公立学校教員の昨年度の選考試験実施状況を見ると、受験者5,726名に対し、合格者853名で、倍率は6.7倍になっており、高い競争率であります。そのため臨時講師等の中には、正規採用されずに何度も挑戦されている方が多くいらっしゃいます。臨時講師等をしながら、次の受験機会に備えている方も多くいらっしゃいますが、その方たちは現場の激務によって採用試験対策に費やす時間の確保に苦労していると聞いています。せっかく教育現場で実務経験を積んでいるのに、採用されないのは本当にもったいないと思います。
冒頭申し上げたようなすばらしい教師とは、私は知識等も重要ですが、何より本当に子供が好きで、教育に情熱を持って教育者を目指している方だと思います。そのような方を採用するためには、実務経験を有する臨時講師等の採用が有益であり、そのためには実務経験を有していることを積極的に評価し、教員を目指す人に対して臨時講師等になる利点を分かりやすく示す必要があると考えます。そのことは学校運営の重要な課題である臨時講師等の確保にもつながると思います。
そこで、実務経験を有する優秀な人材確保のために、どのような取組がなされ、今後PRしていきたいと考えていらっしゃるか、ご所見をお伺いします。
以上、質問を終了いたします。
平成29年 12月第338回定例会 (第3日12月 8日)
公明党・県民会議の天野文夫です。5項目、6問について一括で質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
最初の質問は、障害者や高齢者が投票しやすい環境づくりについてであります。
私たちの暮らしは、さまざまな形で政治と関わり合っています。申すまでもありませんが、暮らしを守り、よりよい社会にしていくためには、良い代表者を選ぶことが必要です。有権者の皆様には、常日頃から政治への関心と主権者としての自覚を持っていただきたいと思います。そして、誰もが公明正大に実施される選挙で投票できることが重要であります。そのためには、障害者や高齢者など、誰もが投票しやすい環境を整備することが必要であります。
2013年には、公職選挙法改正により、成年被後見人にも選挙権が認められ、自閉症や知的障害のある人の投票参加が増えていますが、自閉症や知的障害のある青年が成人して、初めて選挙の期日前投票に行ったが、投票できないという事態が生じており、知的障害者に対する配慮の多様性が必要になってきています。
なお、投票時に自署できない人には、2名の投票補助者がついて、代理投票してもらえますが、それには本人が口頭で候補者名を言うか、指さす方法が一般的でありますが、それでもできない人が少なくないようであります。
公職選挙法第175条の規定によると、市町の選挙管理委員会は、その選挙の当日、投票所内の投票の記載をする場所、その他適当な箇所に公職の候補者の氏名及び党派別の掲示をしなければならないとされ、総務省は、本人の意思確認方法は、投票管理者の判断に委ねるとしているものの、知的障害者介護施設の職員から、「投票所において口頭で言っても聞き取ってもらえない、わかってもらえない方がいる。候補者を文字だけでは理解できないため、顔写真も掲示してもらいたい」という要望が寄せられています。
そこで、投票所において、文字表示だけでなく、顔写真といった視覚で判断できる方法はないでしょうか。公職選挙法に則った上で、障害者や高齢者が投票しやすい方法で環境づくりをしていただきたいと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
併せて、代理投票時の意思確認方法について、市町によって対応が違うことのないよう、県選挙管理委員会において具体的事例を示し、統一をしていただきたいと考えますが、ご所見をお伺いします。
次に、ヘルプマークの導入推進について伺います。
兵庫県では、誰もが安心して暮らし、元気に活動できるユニバーサル社会の実現を目指し、県民の参画と協働のもと、現在も条例の作成等、さまざまな取組を行っています。
ヘルプマークの推進については、昨年9月議会にも要望させていただきました。このたびは、ヘルプマークと譲りあい感謝マークの使い分けについてお伺いします。
県では、内部障害者や難病患者など、配慮の必要なことが外見からわかりにくい方に対し、バスや電車での座席の譲り合いをはじめ、そうした方々が社会参加を応援し、みんなに優しい環境づくりを進めていこうと、譲りあい感謝マークを平成23年に制定しました。対象者は、身体障害者手帳所持者や難病患者の場合、医療受給者証所持者等で、実費により配布されています。また、障害のある方などのための駐車スペースを適正に利用していただくため、その感謝マークを使った兵庫ゆずりあい駐車場制度も実施しています。
一方、ヘルプマークは東京都が制作し、近年は、都内だけでなく、複数の府県にも普及が広がっています。対象者は、義足や人工関節を使用している方、内部障害者や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要として配布を希望する方々です。特に書類等の提示は必要なく、申し出に対し、無料で配付されています。
ここで、先日、地元の方からいただいたお手紙の要約を紹介します。
「私は、18歳の女子大生です。結節性硬化症という進行性の希少難病を持っています。生後11ヵ月で診断を受け、物心がついた頃から入院、治療、検査等のため病院で過ごす生活を送りました。現在、私は外見上は健常者の方と変わりなく見られますが、腫瘍は破裂寸前の大きなものもあり、抗がん剤を内服しないといけない状態です。でも、私は現在、夢と希望を持って大学に通っています。片道2時間、乗り継ぎをしながら神戸まで通学をしています。でも、交通機関を利用中に気分が悪くなったり、倦怠感がすごい時に席を譲っていただけませんとか助けてとは現実に言えなくて困っています。また、優先座席に座っていると、若いのに、なぜその席に座るのという視線を感じることがあります。勇気を出して自分から発信しないと理解してもらえないことは痛感しています。しかし、言えない自分に悩み、身体を酷使し、しんどくて途中下車せざるを得なくなってしまいます。私は、兵庫県の譲りあい感謝マークが6年ほど前から発足した経緯もお伺いし、有料で購入したキーホルダーを毎日付けて通学利用していますが、かわいいマスコットキャラクターを付けているだけと思われており、認知度が全くない状態です。そして現状は少しも変わっていません。小さな個人の声ですが、私の余命と生命力を信じて訴えていきます。」という切実なお手紙です。
そのほか、県内の関係団体からもヘルプマーク導入の実現に向けて強い要望が我が会派に寄せられています。
12月1日から島根県で無償配布がスタートしました。現在、東京都を含む14都道府県で配布されていると聞きます。県内でも市でヘルプカードを導入しているところもあります。
そこで、県におかれては、公共施設や交通機関で活用できるバッジやタグ・キーホルダーなどについては、ヘルプマークを導入し、駐車場では、譲りあい感謝マークを使用するといった使い分けをしてはどうかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
項目の三つ目は、地域資源の連携によるひょうごゴールデンルートの魅力アップについてお伺いします。
観光庁の調査では、2016年に来日した外国人旅行者は約2,404万人で、うち、約149万人が兵庫を訪問しました。中国、台湾、韓国など東アジアからの観光客が多数を占めています。本県を訪れた外国人旅行者は、2012年以降、高い伸び率で増え続け、16年には、前年比16.2%増を記録しましたが、京都の37.3%、大阪の31.2%には及ばない結果であります。
そこで、日本観光のゴールデンルートと命名されている東京、箱根、京都、大阪をつなぐコースの延長にある兵庫にも客足の流れを更に呼び込む狙いで、外国人旅行者が多く訪れる県内観光地神戸、姫路城、城崎温泉をつなぐ周遊ルートをひょうごゴールデンルートとして、兵庫観光のインバウンドブランド化を図る取組を推進していただいているところであります。
私は、兵庫観光周遊コースをつなぐ足となる交通機関、交通網の整備が欠かせないことから、道路、鉄道、港、空港の思い切った利用者目線での活性化が必要と考えます。併せて、利便性を高め、安全に快適なひょうごゴールデンルートにするための施策を今こそ積極的に打ち出すべきではないでしょうか。特に宿泊を考えたとき、姫路城と城崎温泉を結ぶ南北のルートであるJR播但線並びに播但連絡道路の整備の充実は言うまでもありません。
6月の本会議での代表質問で、我が会派の越田議員から、五国からなる兵庫らしさを生かして、アグリツーリズムやスポーツツーリズム、さらには、各地域の伝統文化の体験といった滞在に重点を置く体験型、着地型観光によって、外国人旅行者拡大に向けた取組を進めるべきと提案させていただき、知事からは、ひょうごゴールデンルートを打ち出したことにより、県内各地の取組に弾みがついていますとの答弁がありました。確かに知事のおっしゃるとおり、地域での取組に弾みがついているようです。
一例を挙げますと、姫路では、姫路城の三の丸広場や大手門付近をイルミネーションで装飾するナイト観光や書写山圓教寺などでの体験型プログラムの充実が進んでいます。また豊岡では、城崎温泉を中心に神鍋高原のスキーや出石の城下町などの積極的なPRを行い、幅広い誘客を加速する取組も出てきています。
しかし、これらの取組は、一つの地域で完結してしまっており、これらの点を線に、線を面に広げ、国内外の観光客の誘客を図るには、より有機的な連携が重要であります。
そこで、ゴールデンルート及びその周囲の地域資源を連携させ、一層の魅力アップを図るために地域資源を活用したさまざまな取組や各地域から出た意見を県がまとめコーディネートしていくべきと考えますが、県当局のご所見をお伺いします。
項目の4点目は、公共工事の情報発信等による建設人材の育成についてお伺いをします。
兵庫県では、安全・安心で豊かさが実感できる県土づくりを推進するため、自然災害に備える防災・減災対策の強化、日常生活や地域を支える社会基盤の充実や次世代につなぐ社会基盤の形成に取り組んでいます。
一方で、建設企業が抱える課題として、経営基盤の弱体化・小規模化や今後増加する老朽化施設や災害時の対応力の低下、そして高齢化、若年入職者の減少、将来の担い手不足、現場技術力・施工力の低下、品質確保の懸念があり、そこで官民一体となった情報共有、協議調整の場・官民連携による建設業の魅力発信が必要であります。
県では、社会基盤に関する広報活動として、出前講座と現地見学会を実施しています。出前講座は、平成28年度に45回開催されました。将来を担う児童・生徒を中心に、災害の恐ろしさや自分たちの町にある河川など社会基盤の役割を学ぶことを目的に、河川環境や防災等の出前講座を開催されました。
また、現地見学会では、同じく平成28年度には142回開催され、ダムや下水処理場等について日常生活では見ることのできない施設内部の見学等を通じ、各施設の役割や必要性等を広報するために、各県民局において施設見学会や現地見学会を実施されています。
例えば、私の地元であります姫路市におきましても、船場川での姫路競馬場を利用した洪水調節施設が来年6月に増水期から供用開始予定となりました。当初より、大野前県会議員とともに推進して、地域住民の切実な要望もお聞きしながら、10年間での完成です。その間、出前講座や現地見学も開催していただきました。そのほかに、現在行っている市川砥堀工区河道計画検討委員会を着実に進め、検討結果を踏まえた河道改修を推進するなど、安全・安心を確保する大切な公共工事はこれからも推進していく必要があります。
そこで、公共工事の情報発信と工事完成後の記録展示を行うことにより、建設業のイメージアップや若年者の入職促進を推進するのではないでしょうか。また、取組の目的や過程を児童・生徒に体験学習や見学させ、次代に受け継いでいくことによって、建築・土木を志す人材育成につながるのではないかと考えます。さらには、企業にとっても仕事をする励みとなると思いますが、これらについて当局のご所見をお伺いします。
最後の質問は、小中一貫教育の推進であります。
まず、1点目は、小中一貫教育の全県展開についてであります。
私たち大人が経験したことのない現代の複雑な教育問題に対し、究極の連携教育として小中一貫教育が生まれてきたと私は考えます。
その目的としては、一つは、小中一貫教育を通して児童生徒が多様な教職員、児童生徒と関わる機会を増やすことで小学生の中学校進学に対する不安感を軽減すること、二つに、中学生が小学生とふれあいを通じ、自尊感情を高め、生徒の暴力行為や不登校、いじめの解消につなげていくこと、三つに、小・中学校教職員間の違いを教職員同士が認めた上で、互いに学び合い、義務教育9年間で児童生徒を育てる発想を持つよう、教職員に対し促すことにより、教職員として自分の果たすべき教育に対する使命を認識してもらうことにあります。
また、この小中一貫教育の実施に当たっては、県では、小中一貫教育調査研究事業予算520万円によって、小中一貫教育の取組の成果や課題の分析を行うとともに、周知を図ることで市町における取組を支援しています。
モデル地域として、姫路市、豊岡市、養父市の県内3市が選定され、取組内容は小中一貫推進ポリシー、導入計画等の策定、小中一貫カリキュラムの作成、教育課程の編成、モデル校による調査研究等で、指定期間は平成27年度から3年間となっています。つまり本年度が最終年度になります。
本年10月24日には、姫路市立白鷺小学校・白鷺中学校で実践研究発表会が、小中一貫教育を通じて確かな学力と人間関係力を身につけた児童生徒を育成するという研究課題で実施されました。これから最終まとめに入ってくる段階かと思います。私個人の強い思いですが、この取組を全県下に広く推進できたら、さまざまな教育問題を解決する基礎のシステムになると考えます。
県教育委員会が本年3月に県下各市町を対象として行った調査では、小中一貫教育を実施中、実施予定、実施検討中というふうに回答した市町は、県全体の約3割、12市町であり、また、小中一貫教育を市町で推進する自治体数については、平成27年度は、全域では姫路市1市でありましたが、平成29年度の導入は、一部実施も含めると7市となっており、小中一貫教育が全県的な広がりを見せようとしています。
そこで、県における小中一貫教育の全県展開に係るこれからの展望と取組について、当局のご所見を伺います。
続いて、異校種間連携の推進についてお伺いします。
小中一貫教育モデル校の成果を本格的に全県下に広めていくとともに、もう一歩取組を進め、校種間連携の強化を図っていくことも効果的であると考えます。
保・幼、小・中・高等学校などの学校段階ごとの取組の一環として、異なる校種の学校園との交流学習を推進し、異年齢の子供が共に活動する機会を整備していくことは、互いを思いやる感受性や社会性を伸ばすことにもつながり、互いの人権尊重の精神を育てる上で意義深いことであります。小中一貫教育をしっかりと位置づけた上で、保幼小連携や、中高連携、小高連携などの異校種間連携に関する施策の充実を図って、幼児から児童生徒までのさまざまな交流を行うことによって、よりよい成長の場を促せるのではないでしょうか。
異なる校種の学校間で、子供の育ちと学びをつなぐために、園・所、学校で何をどこまでするのか、どのような学習を積み上げていくのか等について、教育委員会の指導のもと、十分な確認と役割分担を行う必要があります。
また、園・所、学校が連携して、授業研究や各教育の全体計画・年間指導計画等の検討を行うことにより、指導内容の重複の調整、系統的・継続的な教育の実践に努めることができ、指導方法の改善が進むとともに、教職員の指導技術の向上が図られると思います。
一方で、子供がいるから教師が存在するという観点に立てば、教職員の資質向上のための異校種研修を実施することも大切です。例えば幼稚園教諭の研修に高校の教諭を参加させる、逆に、高校教諭の研修に幼稚園の教諭を参加させるなど、校種間の壁を低くし、成長する子供たちの姿や特色を見ることで、子供の発達段階に応じたそれぞれの役割を理解し、自分の果たすべき使命を明確にできるのではないでしょうか。
そこで、県として、異校種間連携の推進について、当局のご所見をお伺いします。
質問は以上であります。
再質問を一点させていただきたいと思います。
ゴールデンルートのところでありますが、いろんなハード面・ソフト面を整えていく上において、県民がおもてなしの心で、観光について興味を持つことが大切だなと思います。いろんな方が兵庫へ来てくださった時に、その迎え入れる県民の心というもの、態度というものが大切じゃないかなと思います。観光客に自分たちのすばらしいところを見てもらう、見せてあげる、そしてもうけさせていただくというような気持ちとか、さまざまにあると思うんですが、その県民がおもてなしの心で、観光について興味を持つことについて、その取組等ございましたら、ちょっとお願いしたいなと思います。
ありがとうございました。ひょうごゴールデンルートの魅力を磨き上げて、兵庫へ行きたい、輝いてるなというものにして、京都、大阪まで来た人が、姫路や城崎、西播の方まで行っていただけるような、そしてその地域の観光資源を私たち地元の者も磨き上げながら、よりよいものにしていけたらなと思います。
そして、そのほかのところでも答えていただきましたところ、少しコメントさせていただきますが、教育委員会でも、小中一貫教育の推進については、学校現場は、やはり変化することがなかなか難しい、不得意なところがございますので、教職員とのそれぞれの話し合いができ、そして、今の教育問題を本当に真剣に解決していこうという視点は皆一緒だと思います。新しいものを取り組むためには労力が要りますので、初めの段階は大変かもしれませんけども、モデル校がそれぞれの分野で実施し、分析もされてまいりますので、そのことを丁寧に広報していただいて、より理解が広がるように、よろしくお願いしたいと思います。
そのほかにも、ヘルプマーク、使いやすいものにしていただいて、誰もが理解を増やしていく取組に兵庫もできたらなと思いますので、よろしくお願いをいたします。
以上で終わります。
平成28年度決算特別委員会 (第9日10月17日)
おはようございます。公明党県民会議の天野文夫である。4項目について早速質問させていただくので、どうぞよろしくお願いする。
1項目目は、自然学校推進事業の充実についてである。
自立して未来に挑戦する態度を育成する取組の一つとして、兵庫型体験教育が推進されている。小学校段階では、小学3年生の環境体験事業、小学5年生の自然学校推進事業、中学校段階では中学1年生の青少年芸術体験事業である、わくわくオーケストラ教室、中学2年生では地域に学ぶトライやる・ウィーク推進事業が実施されている。これらの事業の発達段階に応じた体験は、児童生徒にとって大人の何十倍もの貴重な経験となるものであり、社会人に向けて成長していく上でも大変有意義なものである。私は、歴史ある兵庫県の学校教育への取組の中でも特に評価するものである。
このような体験活動の事業の中でも、私が着目しているのは、小学5年生の自然学校推進事業である。自然学校推進事業は、今年度、事業開始から30年を迎える。私も、この事業開始当初に、教員として5泊6日の自然学校に参加した。自分がいない間に、妹にお母さんをとられてしまうとホームシックになって泣いたりした児童もいたが、自然学校は児童にとって自立に向けた体験となり、さまざまな活動を通して大きな成長を感じた。また、親離れ子離れの絶好の機会にもなっていた。これまでの自然学校推進事業の長い歴史を踏まえ、新しい試みも加えていく中で、事業の更なる充実を求めたいと思う。
今後は、キャリア教育の視点を盛り込んだ兵庫型体験教育のあり方を検討されているようであるが、自然学校推進事業のこれまでの取組の現状と課題、事業の充実を図るための今後の展開について、当局の所見をお伺いする。
答弁にあった工夫、そして、今回の調査を生かして、今まで積み上げてきたことをもとに、目的や目標の再確認をしっかりしていただきたい。各学校での取組をこれからも伸ばしていただき、地域の特性、または内容、実施場所や期間などもよく考慮して、よりよいものに充実させてほしいと思うので、引き続いてよろしくお願いする。
次に、2項目である。
教職員の特別支援教育に関する専門性の向上に向けた研修の充実についてである。
近年、不登校やいじめ問題など複雑な教育問題の対応が進む中で、発達障害などの支援が必要な児童生徒は増加しており、特別支援教育の重要性が今までより一層高まっている。また、共生社会の実現に向けて、支援が必要な児童生徒一人ひとりに応じた指導や支援に加え、障害のある者とない者が可能な限り共に学ぶ仕組みであるインクルーシブ教育システムの構築が課題となっている。
インクルーシブ教育システムを構築するためには、全ての教職員について、特別支援教育に関する一定の知識、技能を有していることが求められる。特に、発達障害に関する知識、技能は、発達障害の可能性のある児童生徒の多くが通常の学級に在籍していることから必須である。さらに、平成28年4月から合理的配慮の提供義務化により、専門性の向上が必要になっている。そのため、校長等の管理職や教育委員会のリーダーシップを発揮し、率先して特別支援教育に関する専門性を高めなければならない。
そこで、特別支援教育に関する専門性を向上するための研修の充実について、これまでの取組の成果と課題、今後の展開について、当局の所見をお伺いする。
これまで以上により充実させて、進めていただきたいと思う。その中で、インクルーシブ教育のシステムの理念が児童生徒に反映され、そこからまた家庭の中でも話し合えるような、家庭や地域の啓発の推進も大切なことであるので、よろしくお願いしたい。また、社会教育なども推進するという、あらゆる方面からインクルーシブ教育のシステムが推進していくよう、引き続きよろしくお願いする。
次に3項目の教職員の勤務時間適正化の推進についてである。
近年、学校においては、求められる教育課題が複雑化・困難化し、業務は増加している。学校現場を取り巻く状況が大きく変化する中で、教職員の職務は多岐にわたり、その時間的・精神的負担が増大している。このような課題を解決するため、県では教職員の勤務時間適正化に向けた取組を推進してきた。例えば、県内の公立学校では、定時退勤日やノー部活デーなどさまざまな取組が進められているが、まだまだ十分とは言えない。特に中学校や高等学校では部活動指導の負担が重いと聞くが、外部の専門家を活用した部活動指導などを推進することにより、勤務時間の適正化が一層図られるのではないか。昨年度、県ではこれまでの教職員の勤務時間適正化新対策プランに基づいた取組について、取組評価検討委員会を設置し、1.教職員の勤務実態調査、2.勤務実態に係る意識調査、3.学校訪問等での聞き取り調査の結果を踏まえた結果や課題の分析及び検証を行うとともに、より一層の勤務時間の適正化を図る方策の検討を行った。そして本年4月に、検討委員会における議論、意見をもとに、今後取り組むべき方策として、これまでの取組の中で効果のあった事例の活用を中心とした教職員の勤務時間適正化推進プランを策定している。この新しい推進プランに基づいて、さまざまな取組を行っていると思うが、その成果が一層の教職員の勤務時間適正化につながることに期待している。
そこで、教職員の勤務時間適正化について、これまでの取組の成果と課題、今後の展開について、当局の所見をお伺いする。
職場全体の周知徹底や研修が本当に大事だと思う。個々の教師が人としての生き方、また、資質の向上を図り、魅力ある教師になることが大切であると思うし、元気ではつらつとした教師、そして、成長し続ける大人というものを児童生徒に接する中で与えていただきたいと思う。自身を磨くためにも勤務時間の適正化は大切なことであるので、引き続いて推進していただくよう、お願いする。
次に、4項目、教職員のメンタルヘルスについてお伺いする。
先ほどの教職員の勤務時間適正化の推進のところでも申し上げたが、教職員に係る肉体的、精神的負担は近年増大しており、精神疾患になられる方も少なくない。昨年度の本県における精神疾患による病気休暇等取得者数は、平成27年度と同水準の212人となっている。その内訳は、継続が61人、新規が103人、再発が48人となっている。まだまだ少なくない人数の方が精神疾患になられたり、あるいは再発に苦しんでおられる。精神疾患の主な要因としては、自身の健康状態、家庭問題等が50%、児童生徒や同僚等との人間関係が45.3%、業務の量、業務全般への不安が28.8%などとなっており、必ずしも学校の問題だけではない一面もあるにせよ、人間関係への対応や業務量の増大は、確実に教職員に影響していると思う。
私も学校に勤務していたころ、60名ほどの教職員のうち、毎年2、3人が病気休暇に入っていた。やはり現場で働いていてそのような光景を見るのは大変つらいものがあった。このように精神的に追い詰められそうになっている教職員が、病気休暇に入られる前に、気軽に専門医等に相談できる機会の充実であるとか、周りからのバックアップが受けやすいような体制が整っていれば、もう少し病気休暇に入られる方を減らすことができたのではないかという思いがある。また、病気休暇から復帰された後も、さまざまなフォローの仕組みがあると思うが、一生懸命頑張ろうとしている方に対する支援を一層充実させる必要があると考えている。例えば、本年4月に県教育委員会が作成した「ワーク・ライフ・バランス実現に向けて~教職員のための休暇制度等~」という冊子の中に、メンタルヘルスに関する相談をしたいときから精神性疾患等による病気休暇・休職からの復帰への支援などの内容がまとめられているが、このような情報をきちんと知っているだけでも、教職員にとって、自分は一人ではない、さまざまな支援を受けることができるという安心感を得ることにもつながるのではないか。教職員のメンタルヘルスについて、これまでの県の取組の成果と課題、今後の展開について、当局の所見をお伺いする。
今回は特に教職員の資質の向上や、勤務時間の適正化、そして、メンタルヘルスを取り上げて質問させていただいた。あくまでも主人公は児童生徒である。その児童生徒に関わる教職員の健康や、資質の向上、そして働き方も含めて考えていかなければならない問題だと思っている。私もいつも心がけているのは、児童生徒にとっての最大の教育環境は教師自身であるという言葉をいつも思っている。そのためにもしっかりとした取組、また、教育委員会のアドバイスや指導もよろしくお願いしたいと思う。どうぞよろしくお願いする。
以上で私の質問を終わる。
平成28年度決算特別委員会(第8日10月16日)
公明党・県民会議の天野文夫である。どうぞよろしくお願いする。
先ほど大豊議員から発表があった内容で、一部また共通するところも私もあるが、どうぞ最後までよろしくお願いする。
1項目目は、播但連絡道路の利用促進策についてである。
本県では、産業労働部を中心として、平成26年度から28年度に、ひょうごツーリズム戦略のもと、五つ星ひょうごを目指したツーリズム振興に全庁を挙げて取り組んできた。
そして、平成29年3月には新たなひょうごツーリズム戦略を策定し、諸施策を展開していく中で、重点テーマとして、外国人旅行客が多く訪れる県内観光地、神戸、姫路城、城崎温泉をつなぐ県内周遊ルートをひょうごゴールデンルートとして設定・提案し、兵庫のインバウンド観光ブランド力の向上を図り、誘客を促進することを目指している。
私は、このひょうごゴールデンルートの成功は、外国人旅行客が多く訪れる神戸、姫路城、城崎温泉をつなぐ県内周遊ルートをどう磨き上げていくかにかかっていると思う。そういう点からも、本年度、日本遺産に銀の馬車道・鉱石の道が認定されたことは、大きな好機到来であると考える。
そこで重要になるのが、高速道路の利便性向上である。道路公社では、播但連絡道路における但馬地域と播磨地域の交流促進や観光振興を図るため、沿線の市町、観光協会と連携して、平成28年度には1日乗り放題観光パス、2日連続乗り放題観光パスを8月1日から10月31日まで発行した。
また、利用者の利便性を一層高めるため、ETCが未整備の6料金所において、平成28年度末で全て整備を完了した。観光バスやトラックや一般に利用している方からも大変便利になったと喜ばれている。
そこで、道路建設費に係る借入金の償還が依然として残る中ではあるが、播但連絡道路の利便性を高め、利用しやすい料金に設定するなどにより、兵庫ゴールデンルートを磨き上げていくべきと考えるが、乗り放題パスやETC整備等の取組の成果と課題、そして、今後どのような方針で利用を促進していくのか、県当局の考えを聞きたい。
さまざまな取組を試験的に行っているが、一つ例として話したETCの整備についてであるが、多くの方が利用している中で、実際に利用している方からの要望も聞いている。
それは、姫路バイパスから和田山方面北行きの花田本線入り口の料金所は、1日に平均1万台以上が通行し、うちETCレーンに87%、8,500台以上が利用されていると伺っている。ETCレーン1本と現金で支払う一般レーンが2本あり、ETCゲートが定期点検とかトラブルで使用できなかった場合に、料金所のほうを通って行った車が今度、降り口で間違ってETCゲートに入ってしまってトラブルになって、そこで混雑するということが起きている。花田本線入り口料金所は一般レーンをETCも通行できるゲートに変更してもらいたいという声も聞いている。
このことは要望にとどめておくが、私はこういった細かな配慮がひょうごゴールデンルートを磨き上げていくことだと感じるので、今後とも利用者の視点に立った道路整備をお願いしたいと思う。
続いて、2項目目、民間住宅耐震化の促進についてである。建築物耐震化、とりわけ民間住宅の耐震化の促進について伺う。
近い将来に発生が予想されている南海トラフ地震が発生した場合、本県では、平成26年6月に策定した兵庫県南海トラフ巨大地震・津波被害想定において、建物被害として、大きな横揺れにより耐震基準を満たしていない家屋を中心に多数の建物が倒壊する、揺れによる全半壊は約14万1,000棟に上るが、住宅や事業所の耐震化が推進されれば大幅に被害が軽減する、また、人的被害としては、強い揺れで倒壊した建物や屋内で落下・転倒してきた家具等の下敷きとなり死傷者が発生する、建物等の下敷きになり自力脱出が困難で、火災に巻き込まれる人もいるとされており、民間住宅をはじめとする住宅の耐震化が急務である。
現在、地震による住宅の倒壊から命を守る施策として県と市町が連携して実施しているのが、住宅の安全性に対する県民の意識を高め、耐震化への動機付けを行う簡易耐震診断推進事業と、耐震性のない住宅の耐震改修工事等を行うひょうご住まいの耐震化促進事業である。
簡易耐震診断推進事業については申請者負担の平均が姫路市では3,000円程度であることや、ひょうご住まいの耐震化促進事業にしても、住宅の状況によって計画の策定から改修まで、また、改修の内容に応じてシェルター型や屋根の軽量化などの部分型や住宅の建替などさまざまなメニューも充実しており、使いやすいと思う。
しかし、これら事業の利用率が上がらないのが課題である。改定前の兵庫県耐震改修促進計画では、住宅の耐震化率は平成27年度に97%とする目標とされていたが、平成25年度時点で85.4%となっており、全国値よりも高い水準で推移しているものの、目標達成は困難な状況にあることから、平成27年度に同計画を改定し、目標は平成37年度に97%とすることとされている。
そこで、県として民間住宅の耐震化が進んでいない理由をどう分析しているのか。また、それを踏まえて、住宅の安全性に対する県民の意識を高めるために、今後どのように事業を推進していくのか伺う。
対策を取っているところではあるが、再質問をする。
対応が短期でできること、中長期で対応しなければできないこと、また、県や市や町が連携しなければ取り合い的にうまくいかないことがあるのではないかと思うが、途中で対策が不明確にならないように、最終的にしっかりとでき上がるように、また、途中で進んでいるものが新たに加わってくる場合等あると思うが、そういう不明確にならないためにどのようにしているのか、教えていただきたい。
それでは、その市や町の教育委員会が中心になって掌握して、そして進めていく、不明確にならないようにするということと明確に発言があったので、また各市等の教育委員会との連携をしっかり取っていただきたいと思う。どうぞよろしくお願いする。
次に、4点目である。老朽化した歩道橋の対応について伺う。
近年、老朽化した歩道橋が増加し、ペンキが剥げ、さびも出て、階段ステップのゴムが外れるなど危険性が高く、殺伐とした環境は通学路として適さないと考える。
県においても、平成26年から平成35年の維持管理・更新計画となるひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画を策定しているが、県が管理する歩道橋で早急に補修が必要な危険な歩道橋が県内にどの程度存在し、それらについて今後どのように対応していくのか、考えを聞きたい。
再質問するが、私も、昨日お祭りがあり、そこで近所の役員から、横断歩道橋を見に来てと言われ、見たが、さびて穴が空いていたり、先ほど言われた朽ちている、タイルが割れて粉々になっている、苔や草が生えている、排水溝にごみがたまって流れない、そして、昨日は、雨が降っていたので、水がたまること等が見受けられた。地域で見守り、また自治会等の方々はそういう点がいつどうなるのかいつも不安に思っている。
そういう点で、道路は清掃車などで掃除なりしているが、歩道橋は定期的な清掃、メンテナンスはこれまで実施しているのか、聞く。
歩道橋は通学路として子供たちが使うことが一番多いと思う。大人はついついその下を行ってしまったりするが、歩道橋は通学路として子供や幼児が利用しているので、安全できれいな環境を作ることが大切だと感じている。
これまでも、例えば歩道橋の広告やネーミングライツを利用している箇所もあるが、例えばその経費などを維持管理のため、また清掃活動のために充てるようにして、みんながそこを見る、世話をする、安全を守るという方向で何かそういうことを考えていただけたらと思うので、よろしくお願いする。
以上で私の質問を終わる。ありがとうございました。
平成28年度決算特別委員会 (第6日10月12日)公明党・県民会議の天野文夫である。
早速質問に入る。
まず、交通安全施設の老朽化対策等についてである。
兵庫県内における交通安全施設の老朽化は著しく、平成28年度末で見ると信号制御機では、7,239基のうち約37.4%の2,707基が更新基準を過ぎており、その割合は全国ワースト1であり、信号柱では、3万5,670本のうち約15.6%の5,549本が更新基準を超過している。
県警察では、交通安全施設の維持管理・更新等を着実に推進するための長中期的な取組を明らかにする10ヵ年にわたる「交通安全施設管理計画」を策定し、約5億円の公共施設等適正管理事業費を活用して老朽化対策に取り組んでいる。
一方で、先月17日に兵庫県に上陸した台風18号は、強風による通行人の転倒や土砂崩れによる通行止めなど、県内各地に被害をもたらし、明石市内では、台風の強風の影響により信号機が倒壊する事案があり、新聞に掲載されたことは記憶に新しい。
この信号機の倒壊により、県民が巻き込まれ、けがをするという結果は、幸いにもなかったが、老朽化により、腐敗が進行した信号柱が強風により倒壊するおそれは、今後どの信号機でも起こり得る可能性があることから、現在、県内の更新基準を超過している5,549本の信号柱の更新は、当然、早急な対応が望まれる。
加えて、信号柱のみならず、既に約37.4%が更新基準を超過している信号制御機についても、経年により部品調達に支障を来すことも懸念されることから、早急に更新等を実施する必要がある。
また、信号機は、交通の安全と円滑を図る上で、極めて高い効果と、特に幼児や高齢者等の横断歩行者である交通弱者の安全を守るものであり、平成29年度の信号機設置要望は約500ヵ所に及ぶなど、県民から多くの設置要望が寄せられている。
しかしながら、県の厳しい財政状況により、平成28年度の交通安全施設整備費は約20億円であり、5年前の平成23年度と比較しても4億円近く減少しており、さらに10年前の平成18年度と比較すると約半分に減少している。新設の信号機の整備数についても、平成28年度は17基と、5年前と比べても約半数以下の整備数となっている。
そこで、老朽化対策に指向した整備が必要である一方で、新設信号機についても必要な箇所に整備を図る必要があると考えるが、当局に二点伺う。
まず、交通安全施設の整備についてである。
老朽化を含めた交通安全施設の整備の取組と、今後の課題や整備について、当局の所見を伺う。
引き続いて、信号機の整備方針等について、当局の所見を伺う。
10年前には、全県下で約80基の新設をしていたが、平成28年度では17基に減少している。県民から正式な要望は年間に約500件に上ると聞いた。要望として上がってこないものも加えると、大変な数になると思う。
先日も通学路で活動しておられる見守り隊の方から信号機の設置要望があり、県の財政状況により、設置が厳しい状況を話すと、誰かが犠牲にならないと設置してくれないのかとの厳しい声があった。交通安全を願う全ての県民のジレンマがあると思う。
新設と老朽化対策のバランスを考えながら、県内の警察署数49という数字を踏まえて、年間に50基、せめて最低25基の新設を要望する。県民にとって、目に見える安全対策を政策として頑張ってもらいたいと思うので、どうぞよろしくお願いする。
次に、高齢運転者に対する交通事故防止対策について伺う。
平成28年中の全国の交通死亡事故者数は、前年と比較すると、213人減少の3,904人となり、兵庫県内においても152人と、一昨年と比較して19人減少している。これは統計を取り始めた昭和22年以降、最も少ない死者数となり、3年連続で減少傾向にある。
しかしながら、いまだ交通事故によって多くの尊い命が失われている現状に変わりなく、近年では、少子高齢化に伴う高齢者人口の増加等を背景として、75歳以上の高齢運転者が第一当事者となった人身交通事故件数は、10年前と比較すると、約1.4倍と増加している。
加えて、今後、75歳以上の運転免許保有者数は、更に増加していくことが見込まれ、また、民間保険会社グループが本年2月に行った調査では、20歳から69歳で「運転に自信がある」と答えたのは4~5割であるが、70歳以上では6~7割が自信を持っているとした新聞記事を目にし、高齢運転者ほど、自らの運転技能に自信を持っていることに私は驚いた。
高齢運転者による交通事故は、加齢に伴う身体機能の衰えによる操作ミスが原因となって発生している可能性が考えられるが、高齢運転者自身が、自覚せずに交通事故を発生させているのではないかと懸念しており、高齢運転者に対する交通事故防止対策は、今後の高齢社会において重要な課題となると考える。
本年3月12日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の高齢運転者は運転免許の更新時に認知機能検査のほか、認知機能が低下した時に起こしやすい信号無視などの一定の違反行為をした場合は、臨時認知機能検査を受けなければならず、検査の結果、認知症のおそれがあると判定された者については、医師の診断が義務づけられるなど、高齢運転者に対する制度が大きく変わり、認知機能検査体制の強化等が図られた。
一方で、高齢運転者人口の増加により、高齢者講習の受講待ちが約3ヵ月を超える教習所もあるとの新聞報道もある。これらの問題は、教習所の受入体制などが複合的に絡んでいるのではないかと考えている。そこで、次の二点について質問する。
まず一つ目に、高齢運転者の交通事故防止対策について、県警としてどのように取り組まれてきたか、所見を伺う。 高齢者のプライドや人権に配慮した対応、公共交通の利用促進、環境整備などにも取り組まれなければならないと考えているので、引き続いて対策をよろしくお願いする。
続いて、二つ目に、高齢者講習の受講待ちの状況と認知機能検査等の実施状況について、今後の取組と併せて、当局の所見を伺う。 今後、高齢化の進展に伴い、高齢者講習の受講者は、更に増加する見込みであることから、引き続き委託先の自動車教習所に負担が集中しないよう、県公安委員会が警察施設をより充実させ、高齢者講習を円滑に進めてもらいたい。受講待ち期間の短縮をはじめとする高齢者講習の受講等に係る負担の軽減に向けた取組等も推進してもらいたいので、どうぞよろしくお願いをする。
最後は、暴力団対策についてである。
平成27年8月末、国内最大の指定暴力団であった六代目山口組から神戸山口組が分裂した。さらに、本年4月末には、神戸山口組を離脱した組長らが任侠団体山口組を結成し、まさしく三つどもえの様相と考える。
そして、先月12日、恐れていたことが起きた。白昼、神戸市長田区において、拳銃により任侠山口組の関係者が射殺される殺人事件が発生した。
現在、県警察では、犯人を指名手配して、事件の全容解明に向けて全力で取り組んでいるが、今回の事件は、33年前の山一抗争事件のような県民が巻き添えになり、負傷した悪夢を蘇らせる事件でもあった。
新聞報道によると、2年前の山口組分裂から銃器を使用した事件は、本年8月までの2年間に全国で11件確認されており、県内でも6月20日未明、稲美町において神戸山口組の関連施設に対する発砲事件があり、対立勢力が関与した可能性がある。
六代目山口組と神戸山口組は分裂、任侠山口組と神戸山口組の関係は内部対立であるが、県内には、これらの三つの勢力の事務所があり、水面下では双方が切り崩しを仕掛け合ったり、抗争準備をしている可能性は否定できないと思う。
県警察では、今回の射殺事件を神戸山口組が仕掛けた事件と見て捜査しており、まさしく相手方のトップの命を狙った計画的、組織的な犯行で、今後、報復が報復を呼ぶ可能性が否定できない現状で、県民にとって大きな不安となっている。
そこで、これまでに実施してきた暴力団対策を踏まえ、県警察では、今後どのような対策を講じていくのか、所見を伺う。
このたびの事件においては、県民も報復が報復を呼ぶのではないかと不安を感じている。24時間体制で各組事務所周辺の警戒に、長期にわたって当たる姿は、住民にとっても安心で、立ち向かっていこうという気になる。引き続きの取組をよろしくお願いする。
本日の質問は終わる。
平成28年度決算特別委員会 (第3日10月 6日)
公明党・県民会議の天野文夫である。
早速だが、通告に基づき質問をさせていただく。
1項目は、平成28年度予算執行の視点と施策展開について、伺う。
平成28年度当初予算は、限られた財源を有効に活用するため、第3次行革プランにおける改革の取組を着実に推進し、施策の重点化を図る選択と集中を進め、県民ニーズに的確に応える予算を編成された。
また、補正予算においては、本県経済の活性化や、兵庫らしい地域創生の取組を加速するための緊急経済対策などの予算編成がなされた。
我が会派は、昨年度の当初予算編成に対する申し入れにおいて、予算の削減ばかりでなく実態に配慮した上で、兵庫県地域創生戦略アクション・プランを中心とした各種事業に着実に反映されるよう強く求めたところであるが、それを一定お酌み取りいただき、持続可能な安定した県政を力強く推進していただいたのではないだろうか。
また、厳しい財政運営の中で、安全な社会の形成、安心できる生活の実現、多彩な人材の活躍促進、競争力ある産業の育成、ふるさとの元気づくり、兵庫の自立の六つの体系に基づき、さまざまな施策に取り組まれ、着実に実績を上げられてきたことについては、大いに評価するところである。
そこで、平成28年度予算の執行において、どこに重点を置いて取り組まれたのか、またその代表的な施策の展開について、当局のご所見をお伺いする。
これからも続く厳しい財政運営の中で、施策の重点化を図る選択と集中を今まで以上に進めていただいて、県民ニーズに的確に応えて兵庫の地域創生が県民に着実に前進しているということを実感していただけるよう、今後ともよろしくお願いしたいと思う。
2項目は、行革目標達成に向けた今後の財政運営の見込みについて、伺う。
最近、県にさまざまな要望をしても、財政が厳しいから無理だと言われたという県民からの声をよくお聞きする。そんなとき私は、阪神・淡路大震災からの復興に伴う財政負担として、震災関連県債の発行額が1兆3,000億円に上り、返済に充てる毎年の公債費が約600億円で、平成28年度末で残高が約4,400億円ある。そして、人口減少・少子高齢化の進展、地震・津波・風水害のリスク、県有施設の老朽化など、さまざまな課題への対策のため、行革が必要となっていると話すことがある。
このように、私も行革の必要性は感じている一方で、行革の目標達成に向けての進捗状況が気になっているところである。
平成28年度の収支不足額は242億円の不足であり、平成27年度実績に比べると80億円改善している。これを平成19年度の収支不足額の1,280億円と比較すると、1,O38億円の改善であり、平成19年度の5分の1水準となっている。このことは、行財政構造改革の成果が着実に上がっていることの証左であると考える。
最終2カ年行革プランにおける財政フレームでは、今年度末に収支不足額は170億円の不足に圧縮され、平成30年度には収支不足額を解消して、収支均衡を達成する計画になっている。
しかしながら、平成29年度地方財政計画における地方の一般財源総額は、国の経済・財政計画に基づき、平成28年度と実質的に同水準に据え置かれている一方、社会保障関係費が引き続き増嵩するなど、地方公共団体を取り巻く財政環境は依然として厳しい状況にある。
このような厳しい財政環境の中、収支不足額を解消して収支均衡を達成し、最終2カ年行革プランにおける平成30年度の財政運営の目標を達成できると考えているのか、当局のご所見をお伺いする。
収支均衡を達成し、そして平成30年度の財政運営を確かにすることが、次への大きな希望となると思うので、これからも引き続いてよろしくお願いする。
次に、投資事業について伺う。
1点目は、社会基盤整備プログラムについてである。
平成28年度の投資的経費の決算額は、2,293億円であった。緊急経済対策の実施などにより、前年度を上回る規模となったが、新行革プランが策定された平成20年度以降、概ね同水準で推移している。行革による投資事業費の抑制が続く中、社会基盤整備プログラムに位置付けられている新規着手予定箇所は、計画どおり着手できているのか。また、社会基盤整備プログラムには、事業調整箇所も記載されている。例えば、姫路市の姫路上郡線の田井台地域では、事業化までに長期間を要することを危惧され、生きているうちに改善されるのかと漏らされるなど、早期の事業化に不安を感じている方もおられると聞いている。
そこで、社会基盤整備プログラムの新規着手の状況と併せて、事業調整箇所の着手に向けた考え方について、当局のご所見をお伺いする。
長年、生活に不安や不便を感じている方に安心を届けるため、これからも社会基盤整備が各分野で地域住民や関係者と十分協議されて、この事業が着実に進むよう、よろしくお願いする。
また、事業調整箇所に該当している方は、先ほども申したように、早く事業化してもらいたいという強いご要望があるので、適時、調査や見直しをしていただいて、県民ニーズに応えていただきたいと思うので、どうぞよろしくお願いする。
2点目は、県単独投資事業等の一層の推進について伺う。
社会基盤インフラ整備の推進として、我が会派の今年度の当初予算編成に対する重要政策提言でも、最重点要望事項の一つに挙げさせていただいているが、生活の基盤を支えている道路や橋梁、河川、港湾等の老朽化している社会基盤インフラの整備充実を図るため、必要な予算を一層確保することが重要である。
我が会派では毎年、各市町に訪問して地域政策要望会を開催し、地域からの要望をお聞きする機会を設けているが、今年度も西播磨や但馬地域などを訪れた際に、国道・県道の整備、土砂災害対策、河川の整備などの要望についてお聞きした。
これらの要望は毎年のように出ており、地域の生活を守るインフラの整備をぜひお願いしたい。そうでなければ地域創生に安心して取り組んでいくことが困難になるといったような切迫した声を聞いている。
国に要望して投資事業額を確保していくことも、もちろん大切であるが、県も単独事業をはじめ、より一層の投資事業を推進し、地域の声に応えていくべきではないかと考えるが、当局のご所見をお伺いする。
これからも緊急性を要する事業や国の補助対象に入らない事業などの地域の要望に応えていただき、さすが兵庫県だと県民から評価されるよう、より一層の努力をしていただきたいと思うので、どうぞ今後ともよろしくお願いする。
次に、県税収入について、お伺いをする。
1点目は、平成28年度の県税決算についてである。
平成28年度の我が国経済について、政府は、デフレから完全に脱却し、しっかりと成長していく道筋を付けるため、未来への投資を実現する経済対策を取りまとめ、一億総活躍社会の実現の加速に向けた施策に取り組んだ。こうした経済対策等の効果もあって、雇用・所得環境が大きく改善したが、年度前半には海外経済に弱さが見られたこと、また国内経済についても、年度前半の円高の影響が響き、個人消費や民間設備投資の回復に力強さが欠けるなど、景気回復は緩やかなものにとどまっている。
このような我が国の経済情勢のもと、本県の平成28年度の県税収入は7,077億円で、最終予算額7,021億円からは56億円の増となり、予算額は確保されたものの、当初予算額7,346億円からは269億円の減、また、前年度決算額7,155億円に比べると78億円の減となり、5年ぶりに前年度から減収となっている。
そこで、平成28年度の県税収入が前年度に比べ減収となった要因について、当局のご所見をお伺いする。
続いて次の2点目に行く。
平成29年度の県税収入について、伺う。
平成29年度の我が国経済は、平成29年1月に閣議決定された平成29年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度によると、経済対策などにより、雇用・所得環境が引き続き改善し、経済の好循環が進展する中で、民需を中心とした景気回復が見込まれるとされている。
その後の最近の我が国経済の状況について見てみると、日本銀行が7月に発表した経済・物価情勢の展望によれば、我が国経済は海外経済の成長率が緩やかに高まるもとで、景気の拡大が続き、潜在成長率を上回る成長を維持すると見られるとしている。
また、9月に内閣府が発表した月例経済報告においても、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、穏やかな回復に向かうことが期待されている。
しかし、中国をはじめとするアジア新興国等の景気の不確実性、英国のEU離脱交渉の先行きなどの問題も懸念されているところでもある。
平成29年度の県税収入は、当初予算で7,205億円を計上されているが、当初予算額の確保の見通しはどのような状況か、当局のご所見をお伺いする。
県税収入については、消費が進まない中、消費税がなかなか上がってこない。また、先ほどあったように、法人税も予断を許さない状況だと思う。しっかりと適時、補正予算などを組んでいただき、下支えが必要かと思うので、どうぞよろしくお願いする。
続いて5項目は、個人住民税の税収確保に向けた取組について、伺う。
1点目は、個人住民税の徴収支援に係る取組状況と結果について、伺う。
県税の徴収歩合は毎年向上し、収入未済額も着実に減少しているところであるが、そのような中、個人県民税の収入未済額は収入未済額全体の82.6%にまで増加している。
県税収入の確保を果たすためには、この個人県民税をいかに徴収していくかが大きな課題となっている。しかし、個人住民税は市町が個人市町民税と併せて賦課徴収することになっているため、県だけの徴収対策で収入確保が図れるものではない。
税務課に個人住民税特別対策官を設置し、市町の徴収能力を向上させ、ひいては個人県民税の徴収を確保するための支援を行っていると聞いているが、平成28年度はどのような取組を行い、どのような成果があったのか、当局のご所見をお伺いする。また、平成29年度の取組はどうするのか、併せて当局のご所見をお伺いする。
続いて、2点目の個人住民税の特別徴収一斉指定について、伺う。
個人住民税の特別徴収一斉指定が、いよいよ来年度に迫ってきた。これまで、県と県内市町は、事業者などに対して、所得税の源泉徴収をする全ての事業者は、法令で特別徴収を行う義務があることや、平成30年度から特別徴収の一斉指定が行われることなどについて、周知徹底を図ってきており、県庁内や地元市町役場でも特別徴収一斉指定のポスターを目にするところである。
そこで、これまでの取組によって特別徴収の徹底はどの程度進んでいるのか、当局のご所見をお伺いする。
また、今年度は一斉指定の前年度ということで、事業者等への十分な周知徹底が必要であると考えるが、どのような取組を進めているのか。
加えて個人住民税の課税・徴収を行う県内市町に対して、県としてどのような支援・助言を行っているのか、併せて当局のご所見をお伺いする。
個人住民税の徴収確保については、1点目2点目等も併せて市町との連携を密にとることが大きなポイントだと思うので、県と市町が協力し合って、引き続いてしっかりと取り組んでいただきたいと思うので、よろしくお願いする。
6項目、収入の確保対策についてである。
1点目は、中小企業高度化資金について伺う。
平成28年度における特定債権の収入未済額は約108億円であり、前年度から約3億7,000万円減少する一方、中小企業高度化資金の収入未済額は約72億円と6,000万円以上増加しており、特定債権全体の67%を占めている。
中小企業高度化資金は、商店街組合等が、アーケード、カラー舗装、駐車場などの施設整備などを行い、商店街を古いまち並みから新しいまちに生まれ変わらせることにより、商店街の魅力向上を図ることにも活用でき、県下で広く利用されてきた。
しかし、今後、県の収入未済額を更に縮減していくためには、中小高度化資金の債権回収及び整理を進めることが不可欠であると考える。
そこで、多額の収入未済額が生じている要因及び債権回収に向けた取組状況についてお伺いするとともに、将来的な債権回収の見込みについて、当局のご所見をお伺いする。
この資金を利用して、環境整備をすることなどによって活性化して、もうけてもらうということが大切である。この資金の貸し付けのときや、また返済の途中で定期的な相談、先ほども答弁で言われていたが、指導のもとで関わっていただくこと、またその経営の目標が達成できるかどうかというチェックなども必要かと思う。これからもより充実した事業として進めていただき、また回収にも力を入れていただけたらと思うので、よろしくお願いする。
2点目は、県営住宅使用料について伺う。
県営住宅使用料の平成28年度現年度収入未済額は1億3,106万7,000円で、収納率は99%となっており、平成27年度現年度の1億5,493万5,000円、収納率98.8%と比較して改善しているが、収入未済額は依然として多い状況である。
県営住宅使用料の徴収については、指定管理者へのインセンティブ制度や生活保護受給者の代理納付の拡大等による収納率の向上などに取り組まれ、着実に成果が上がっているものと考えるが、入居者が低所得であるなどの理由により、その回収が困難になるケースも多いと思われる。このような状況を打開し、債権管理を推進するためには、更なる回収努力が求められると考える。
県営住宅使用料の収入未済額を減らすためには、地元市町等と連携し、経済・雇用状況や健康状態、世帯構成、被介護者の有無等に応じたきめ細かな収納努力を講じる必要があるのではないか。
県営住宅の使用料に係る収入未済額の状況をどう捉え、今後どのような対策を講じていかれるのか、当局のご所見をお伺いする。
回収困難なところでは、指定管理者と、また住民、また自治会の方が大変苦労されている。自治会運営、県営住宅の中でのさまざまな環境の中で大変ご苦労されて何回も自治会で集まられたりして対応を練られたり、そして指定管理者に入ってもらったりして前進しているところは多々あるが、ぜひまた県からもバックアップをしていただき、回収と併せて自治会運営もしっかりとできるように取り組んでいきたいと思う。
費用対効果の面からも、先ほどのお話だと、やはり回収と、それから一定程度、遅れた場合の後の処理というものも考えられているようなので、そのあたりのバランスもよく考えていただいて、回収を簡単に放棄することのないように努力をしていただけたらと思うので、どうぞよろしくお願いする。
最後に、宿泊税の導入について、お伺いする。
宿泊税は、ホテルまたは旅館に宿泊する方に課税される法定外目的税であり、東京都で先駆的に始まった。宿泊税の税収は、自治体の観光の振興を図る施策に要する費用に充てられている。その宿泊税について、東京都、大阪府に引き続き、増大する観光客の受け入れ整備などを行うことを理由として、京都市においても平成30年秋からの導入を目指すとの報道がされている。
関西においては、百貨店の売上高に占める免税売上高が全国平均を上回り、インバウンド消費が依然として好調であるなど、多くの外国人観光客が関西を訪れているものと思われる。本県としても、外国人観光客を呼び込むためのさまざまな観光振興施策を展開していることから、これらの施策の財源として、宿泊税の導入を検討してもよいのではないかと考えるが、当局のご所見をお伺いする。
宿泊税に関しては、適時、様子を見ていただき、また先ほど答弁していただいた内容等をよく精査していただいて、検討していただけたらと思うので、よろしくお願いする。
収入の確保については、1番、2番、3番と申し上げたように、住宅公社の賃貸住宅管理事業や中小企業高度化資金や、また先ほどの宿泊税導入についてなど、挙げさせていただいたが、事業の運営にはいろいろなリスクがこれからも懸念されるが、引き続き安定した運営ができるようよろしくお願いしたいと思う。
私の質問は以上で終わらせていただく。ありがとうございました。
平成28年 9月第333回定例会 (第3日 9月29日)
公明党県民会議の天野文夫です。5項目6問について、一括で質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
最初の質問は、「自助・共助・公助」から見た防災・減災対策の共有についてです。
私たちの住む日本の国土は、他の国に比べて、地震、津波、台風、洪水、火山噴火、土砂災害など災害が起こりやすく、これまでも大きな災害に見舞われています。特に南海トラフ地震は、来るか来ないか分からない地震ではなく、早いか遅いかはともかく、必ずやってきます。また、それまでの間、熊本地震のような内陸型地震が発生します。
地球温暖化に伴う気候変動による自然災害も含めて、災害の多い国土に暮らす私たちにとって、防災は常日頃から考えておかなければならない大きな問題です。
1997年に、当時の河田京都大学教授が行った推計によると、阪神・淡路大震災では、地震直後に16万4,000人もの人々ががれきの下敷きになり、そのうち約8割の方々は自力で脱出しましたが、約3万5,000人の方々は生き埋めになってしまいました。この要救助者のうち、近隣住民が救出したのは約2万7,000人で、その8割の方々が生存していた一方で、主に救出が困難で、警察、消防、自衛隊が救出した約8,000人のおよそ半数の方々が亡くなっています。災害発生から24時間以内の救出は特に生存率が高く、家族や近隣の方々が力を合わせて迅速に対応することで、多くの命を救うことが可能となります。
さらに、大きな災害であればあるほど、国や行政の救助・救援が行き渡るのには時間を要することからも、地元の消防団や住民の方々など、地域の総合的な力で災害に対応することが必要であることを教えられました。まさに、地域の防災力の向上が大切であります。
一般に、災害被害の軽減は、自助・共助・公助の効率的な組み合わせで実現され、その割合は、自助7、共助2、公助1と言われています。命を守るために、今、私たちができることを具体的に実行しなければならない時であります。
災害対策の基本は自助です。自分の命は自分で守るという姿勢が必要です。東日本大震災でも、家具の固定や備蓄などを行っていた人や津波からの避難を日頃から徹底してきた人など、自ら備えをしてきた結果、被害を免れた事例が報告されています。
また、個々人の力には限界があります。共助として行動することが効果的であることが多くあります。現在の社会では、各種ボランティア、企業、自治体、公的防災機関が日頃から協働することにより、社会のあらゆる人的・物的資源を動員して防災・減災対策に取り組んでいます。
公助では、発災時には、自衛隊、消防、警察などによる救助活動、避難所の開設、救援物資の支給、仮設住宅の建設などが行われます。また、事前の対策として、避難路の確保や延焼を防ぐための幅の広い街路の整備、避難場所となる公園の整備、建築物への耐震化への助成、学校などの耐震補強、災害関連情報の周知・徹底、災害時要援護者支援システムの整備などに取り組むことが重要です。
先日、公明党・県民会議で熊本県益城町の視察をしました。現地の職員の方から、「これまで台風対策はしていたが、地震対策をしていなかった。」「近隣の市町との災害対策協定を結んでおくべきだった。」また、「兵庫県からの長期にわたる職員の派遣が大変助かった。」という言葉が印象的でした。
近年、全国で地震被害や台風などによる集中豪雨被害が頻発しており、そのたびに県民は大きな不安を募らせています。そのためにも、社会全体で積極的に防災・減災対策をとり、ハード・ソフト両面にわたる施策のこれまでの取組成果と、現在の課題や今後の計画を県民としっかりと共有することが大切であると考えます。その上で、県民一人ひとりが、今、災害が起きたらどうするのかという意識に立って、命や財産を守るために何をするべきなのかを常に考え、災害に備えてもらうことが重要です。
そこで、県民に対し、自助・共助・公助から見た防災・減災の取組を、県として積極的かつ具体的に示していくことで県民の不安を取り除き、県民自らが災害発生時に適切な行動をとるようになると考えますが、当局のご所見をお伺いします。
次に、ヘルプマークの導入推進について伺います。
兵庫県では、誰もが安心して暮らし、元気に活動できるユニバーサル社会の実現を目指し、県民の参画と協働のもと、さまざまな取組を行っています。
その一環として、内部障害者や難病患者など、配慮の必要なことが外見から分かりにくい方に対し、バスや電車での座席の譲り合いをはじめ、そうした方々の社会参加を応援し、みんなに優しい環境づくりを進めていこうと「譲りあい感謝マーク」を平成23年に制定しました。対象者は身体障害者手帳所持者や難病患者の場合、医療受給者証所持者及び難病団体連絡協議会加盟団体の会員で、実費により配布されています。
また、障害のある方などのための駐車スペースを適正に利用していただくため、兵庫ゆずりあい駐車場制度を実施しています。交付対象者は、身体障害者・知的障害者・精神障害者・難病患者・高齢者・妊産婦など、歩行が困難な方に利用証を交付しています。
一方、ヘルプマークは東京都が制作し、近年は、都内だけでなく、複数の府県にも普及が広がっています。ヘルプマークの対象者は、義足や人工関節を使用している方、内部障害者や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていて配布を希望する方々です。
しかしながら、身体機能等に特に基準を設けているわけではありません。ヘルプマークの配布に当たっては、必要な方々が円滑にマークを活用することができるように配慮し、特に書類等の提示は必要なく、申し出に対し無料でお渡しすることとしています。マタニティマークと同様、ご家族等が代理でいらっしゃる場合もお渡ししています。シンプルでよく目立ち、分かりやすいデザインマークになっており、ヘルプマークの配布や優先席へのステッカー標示等を、平成25年7月から、全ての都営地下鉄、都営バス、都電荒川線などで開始し、さらに、平成26年7月からは、ゆりかもめ、多摩モノレールへと拡大して実施しています。また、平成26年7月から民間企業への働きかけも実施しています。
本年3月に開催された関西広域連合委員会でも、構成府県が取り組んできた事業と併用していくこと及びPRに取り組んでいくことが決定されたことから、我が県においても、譲りあい感謝マークと同様、普及率及び認知度が課題です。先日も、県内の関係団体からも、実現に向けて強い要望が我が会派に寄せられました。
そこで、障害があることが分かりにくい方々が日頃から周囲の援助を受けやすくするために、障害児者等のマークであるヘルプマークを、国や他の自治体、民間との連携のもと、導入・啓発を推進すべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
項目の三つ目は、18歳選挙権開始の総括についてお伺いします。
まず、1点目は選挙管理委員会としての総括についてであります。
自民、公明、旧民主など、与野党6党が共同提出した選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が、昨年6月17日の参院本会議において全会一致で可決、成立しました。施行日は、公布から1年後の今年6月19日となり、そして、本県では今夏の参院選から実施されました。18歳選挙権の実現で新たに有権者となった18、19歳の未成年者は約240万人であり、これは全有権者の2%に当たります。
日本で選挙権年齢が変更されるのは、1945年に25歳以上の男子から20歳以上の男女となって以来、70年ぶりのことであり、未来を担う若者の声を、より政治に反映させることが可能となり、期待されています。
7月の参議院選挙では、県選挙管理委員会によると、県内の18、19歳の当日有権者数は10万9,829人で、投票率は44.74%、19歳は40.13%で、18歳の49.32%を下回った。また、県内の中山間地域と都市部での格差があったと発表されました。
こうした現状や意見も踏まえ、これからの課題としては、初めて選挙を経験する若者への政治的教養を高める教育が必要であります。18歳、19歳を迎えた現在の高校3年生や大学生などの未成年者が投票を初体験し、同時に選挙運動や政治活動も認められるようになりました。
今回は、各政党も努力したと思いますが、課題の一つは、学校外で政治活動が解禁された高校生の受け皿として、生の政治を体験できる運動体が必要でした。もう一つは、学校現場をバックアップする体制であります。例えば、法教育では弁護士会、検察庁、裁判所等が、学校に弁護士、検察官、裁判官を派遣し、一定の成果を上げています。主権者教育にも、選挙管理委員会がバックアップしていくことが必要であると考えています。
そこで、県選挙管理委員会では、昨年度から選挙出前授業を実施されていますが、今回の18歳まで年齢を引き下げて行った参議院選挙の結果を踏まえて、選挙管理委員会として高校生や大学生の学校現場への関わりに対する評価と今後の取組方針について、当局のご所見をお伺いします。
続いて、教育委員会としての総括等についてお伺いします。
昨年6月定例会において、教育長は、公職選挙法改正を受け、国が作成する政治や選挙等に関する副教材の活用等により、選挙権の行使が社会の形成につながる重要な行為であることを指導していくと答弁されています。
具体的に、県立高校で政治的教養を高める教育の実施については、公民などの教科として行う場合、教科以外の時間を活用して行う場合など、学校によってさまざまなやり方が出てくると思われます。
そこで、県教育委員会として、政治的教養を高める教育における政治的中立性や指導上の質を確保するため、どのようにガイドラインやルールを作られたのか、また、当面は選挙権の付与が目前の高校生への教育が急がれるとしても、義務教育で行われる内容との体系化も必要と考えますが、当局のご所見をお伺いします。
項目の4点目は、小中一貫教育の推進についてお伺いします。
小中一貫教育では、教職員に対して、小・中学校教職員間の違いを教職員同士が認めた上で、互いに学び合い、義務教育9年間で児童生徒を育てる発想を持つことを目的としています。そして、児童生徒には、多様な教職員、児童生徒と関わる機会を増やすことで、小学生の中学校進学に対する不安感を軽減することを目的とする中1ギャップの解消や、中学生が小学生との触れ合いを通じ自尊感情を高め、生徒の暴力行為や不登校、いじめの解消につなげていくことを目的としているなど、現在のさまざまな教育問題に対し、永年続けてきた基礎的教育システムの変革に真正面から取り組むものであると考えます。
小・中学校教職員が、義務教育9年間の教育活動を理解した上で、児童生徒の発達段階に応じて自分の果たすべき役割をしっかりと認識すること、9年間の系統性を確保し、平成18年の教育基本法の改正、平成19年の学校教育法の改正において新たに規定された義務教育の目的、目標に掲げる資質、能力、態度等を、よりよく養えるようにしていくことは、全ての小中連携、一貫教育に共通する基本的な目的であります。
小中一貫教育の制度化につきましても、昨年6月に関係の法改正が行われ、本年の4月から義務教育学校の設置が可能となりました。
県教育委員会では、国の事業を活用して、姫路市、豊岡市、養父市をモデル地域とした小中一貫教育調査研究事業を昨年度から3ヵ年計画で実施して、小中一貫教育の成果、課題の分析、課題への対応策などの検討を行うこととされています。そこで、まずモデル地域の進捗状況についてお伺いします。
また、小中一貫教育を推進するためには、校種間の調整や計画実施をする人的支援が必要であります。現在、本県では小学校高学年の学力向上、あるいは小学校と中学校の間の円滑な接続を目的として、小学校高学年において兵庫型教科担任制を全県的に展開しており、今の小学校専科指導加配も含めた指導方法工夫改善加配の全てを、この兵庫型教科担任制等新学習システム実施のために活用されておりますので、現在のままでは新たに小中一貫教育の推進には加配を使えないのが現状です。更なる国への定数改善要求が必要であると考えます。
さらには、さまざまな問題に対応するための副校長制を含めた管理職体制の設置や、小中一貫教育推進のための施設整備に対する市町教育委員会への支援が欠かせないと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
最後の質問は、特別支援教育の充実についてであります。
特別支援教育の一層の充実を図るため、加配教員による特別支援教育コーディネーターの専任化が求められています。
障害のある児童・生徒を支援するため、文部科学省は平成19年の通知で特別支援教育コーディネーターの各学校への配置を求めました。
特別支援教育コーディネーターは校長が指名し、保護者に対する相談窓口や関係機関との連絡調整、校内での支援体制づくりのまとめ役などを務めておられます。平成26年度時点で、全国の国公私立の小学校の約99%、中学校約95%、高校約84%で配置されていますが、学級担任や教務主任などと兼務しているケースが大半です。
現在、多くの自治体でコーディネーターの養成研修が実施されています。しかし、現実は研修などで専門性を身に付ける時間的余裕がない、コーディネーター業務まで手が回らないといった課題が指摘されています。本県においても専任の特別支援教育コーディネーターの全校配置及び特別支援学校においては、複数配置が求められています。
また、併せて、文部科学省によると、平成26年度調査で学習障害――LDや注意欠陥多動性障害――ADHDなど、比較的軽度の障害を抱えながら公立小中学校の通常学級に通い、一部授業だけを別に行う通級による指導を受けている児童・生徒は約8万4,000人で、10年前の2.3倍にまで増えています。特別支援学級で学ぶ児童・生徒も、約18万7,000人で、2.1倍に達しております。
本県においては、通級による指導を受けている児童・生徒は約1,927人で、平成16年度の3.1倍にまで増えています。特別支援学級で学ぶ児童・生徒も約6,963人で、平成16年度の1.7倍に達しております。通級による指導を担当する指導力のある学校生活支援教員の増員が不可欠であると考えます。
また、政府の教育再生実行会議では、特別支援教育コーディネーターの専任化のほか、日常生活や学習面で子供をサポートする特別支援教育支援員や看護師の配置促進も求めています。さらに、発達障害の早期発見のため、就学時や就学中の健診について、就学前健診の結果が引き継がれるよう促すことや、発達障害の特性を踏まえた視点を問診票に明確に記載することなども提言しています。
そこで、加配教員による特別支援教育コーディネーターの専任化、通級による指導を担当する指導力のある学校生活支援教員の増員など、特別支援教育の充実のため人的配置が必要だと考えますが、現状と今後の方針について、当局のご所見をお伺いします。
以上、5項目6問について質問いたしました。
ご答弁、よろしくお願いいたします。
それぞれありがとうございました。
質問の4番、5番の教育関係で再質問をさせていただきたいと思います。
先ほど申しました小中一貫教育の推進にしましても特別支援教育の充実にいたしましても、やっぱり大事な取組でありまして、人的な配置というのが、やはり大きなウェートを占めるのかなと思っております。
先ほど言っていただきましたように、国への要望というのを続けてしていただくのはもちろんでありますが、刻々と進んでいく状況の中にあって、県として人的支援を県単で、そういう政策が前進するような配置というのはできないのかということを思うんですが、お考えをお示しください。
平成27年 9月第328回定例会 (第3日10月 2日)
公明党・県民会議の天野文夫です。5項目7問について、初質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
最初の質問は、小規模保育をはじめとする多様な保育の推進についてです。
全世代型の社会保障制度の構築に向け、待機児童の解消などを目指す子ども・子育て支援新制度が今年4月から始まりました。小規模保育は、0から2歳児を少人数単位で預かる仕組みとして新たに市町の認可事業として児童福祉法に位置付けられた地域型保育の一つです。定員は6から19人、厚生労働省によれば、その4月1日現在の認可件数は1,655ヵ所に上ります。都道府県別に見ると、埼玉県が最多の231ヵ所。次いで東京都が219ヵ所、大阪府163ヵ所、神奈川県143ヵ所と続き、兵庫県は111ヵ所設置されています。このことから、全国で活用が進んでいることがうかがえますが、注目される理由は、少人数によるきめ細かな保育が望めることに加え、認可保育所と比べて少ない敷地面積で整備できるため、マンションや空き店舗などでも設置しやすいこととされています。
大規模な保育所の開設が難しい都市部での待機児童の解消に大きな効果が期待されており、積極的に活用する自治体も増えている現状です。
例えば、熊本市は待機児童数が397人と政令市で3番目に多かったことから危機感を抱き、8月10日に保育環境緊急対策をまとめています。その対策には、小規模保育を中心に地域型保育事業を600人程度拡充させることを盛り込んでいます。
政府も待機児童解消に向け、平成25年度から平成29年度末までの5年間で約40万人の保育の受け皿の整備を目指しており、選択肢の一つとして、小規模保育の整備を加速させていく方針であります。
我が公明党でも、保育所と幼稚園の機能を併せ持つ認定こども園の拡充とともに、小規模保育の整備を強力に促しています。今年3月末には、公明党が推進役を果たし、児童生徒が学校で事故などに遭った場合に保障する公的保険である災害共済給付制度の対象に小規模保育などを加える法改正が実現し、普及への環境づくりが進んでいます。
また、子ども・子育て支援新制度では、小規模保育のほか、5人以下の家庭的保育、いわゆる保育ママなどの地域型保育を推進し、多様な保育を整備していくこととしています。
新制度開始から半年が過ぎ、本県においても成果や課題が少しずつ見えてきたのではないかと思いますが、小規模保育をはじめとする多様な保育の推進について、当局の所見を伺います。
次に、国際義肢装具協会(ISPO)世界大会2019の兵庫・神戸開催について伺います。
義手や義足は、けがや病気などで手足を失った場合にその形態や機能を復元するために装着、使用する人工の手足であり、障害者の社会復帰、あるいは社会参加に大きな役割を果たす非常に重要なものです。こうした義手や義足といった義肢装具には、近年、細かな動作を可能とするためのコンピュータ制御技術など先進的な技術が次々に導入されています。パラリンピックをはじめとする障害者のスポーツ大会では、競技用に特化した義手や義足をつけて活躍する選手をごらんになった方も多いのではないでしょうか。民間企業では、既に義足のアスリートがオリンピックを上回る記録で優勝することを目標とした義足の研究なども進められているようです。
先端技術を活用したリハビリテーションの実践は、本県でも、県立リハビリテーション中央病院に設置されているロボットリハビリテーションセンターにおいて取り組まれています。特に、腕を欠損した子供に対し、筋肉が収縮するときに生じる微量の電圧を利用して、本人の意思で指を動かすことのできる電動のロボットハンド、小児筋電義手についての訓練や研究・開発は、我が国でもトップクラスと聞いています。
こうした中、県では神戸市とも連携を図り、今年6月のフランス・リヨン大会において、2019年10月に開催される国際義肢装具協会世界大会の兵庫・神戸への誘致に成功したと聞いています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの前年に、こうした兵庫の地で、義肢装具の世界大会が開催されることは、誠に意義深いものです。この世界大会を契機として、先端技術を利用したリハビリテーションの分野で兵庫が世界のトップランナーとなるよう、更に努力を重ねていく必要があるのではないでしょうか。
そこで、2019年の国際義肢装具協会世界大会の概要について、改めてご説明いただくとともに、この大会への支援も含め、新時代を開くリハビリテーションへの県の今後の取組について、知事の所見を伺います。
次の質問は、二地域就労による地域活性化についてです。
兵庫県は日本の縮図であると言われます。地方の豊かな地域資源を生かし切れず、仕事、雇用に結びついていない。一方、都市部ではビジネスやデザイン、マーケティングなどのノウハウやアイデアはあるが資源がないという全国的な傾向が本県にも当てはまると思われます。双方のニーズをマッチングさせることで新たな付加価値を生み出すことが可能となります。そのための二地域就労の推進は、一つの鍵になると思われます。二地域就労はまだ聞き慣れない言葉ですが、都市部等の企業が地方の自治体とつながり、関わり合いを持ちながら社員を就労させ、また就労を支援し、地域で一緒に新たな仕事や生業を生み出していくことを言います。
その例として、熊本県天草市の取組を紹介します。
天草市内には大学などの高等教育機関がなく、多くの若者が進学や就職で市外に出たまま戻らず、人口減少と高齢化に拍車をかけていました。主産業の農業や漁業の従事者は1980年の約1万9,000人から、2010年には6,000人を下回り、30年で約7割も減少、高齢化と後継者不足が深刻となっています。
この現状を打破するため、従来の企業誘致施策とは異なり、地域の企業・団体等が持つ課題を解決するため、市外企業の社員が持つ知恵やノウハウ等を結び付けることにより、地域企業等の事業の高度化や販路拡大等にもつなげるものであり、プロジェクトを支援するために必要な人を誘致するものであります。
大手航空会社のANAのグループ会社であるANA総合研究所が天草市に社員を派遣し、農水産加工品等の販路拡大など、天草市の観光振興や産業振興を図るプロジェクトを行うなど、地域外の企業や人材にとっては地域との結び付きができ、事業の拡大、新たな社会貢献などの効果があり、地域側にとっては、経営の安定化や販路開拓、スキルやノウハウの習得といった、双方にとってのメリットがあります。
雇用の創出と交流人口の拡大を狙った新戦略として人口減少社会における持続可能な地域づくりにも資するものであると思いますが、地域再生の一つの手法として、この二地域就労を県としても後押ししてはどうでしょうか。
地域創生戦略においても、将来の兵庫の姿として二地域居住などの県内の交流が進み、国内外からの来訪者があふれる兵庫を展望しています。また、多様性と連携を基本姿勢として国内外との人、物、情報のダイナミックな交流を目指す上でも有効ではないかと考えます。
地域内にとどまらず、地域内外の企業間、あるいは企業と大学間の新たな関係構築を目指した二地域就労による地域活性化について当局の所見を伺います。
次に、防災・減災のための地域防災力の強化について伺います。
阪神・淡路大震災から20年が過ぎました。当時、美術教師だった私は、防災教育の副読本「明日に生きる」の挿絵を担当し、取材や調査をして、県教育委員会を通ったことが昨日のように思い返されます。その後、防災の担当者として防災教育にも取り組んできました。
この20年間、行政における防災の位置付け・環境は大きく変化したと感じるのは私だけではないと思います。
災害は忘れた頃にやってくると言われますが、この20年間に発生した災害は、主なものでも新潟の中越大震災、東日本大震災、広島の土砂災害、御嶽山の噴火等、県内におきましても豊岡、佐用、昨年の丹波など大きな水害があり枚挙にいとまがありません。このような災害が発生するたびに、国では災害対策基本法をはじめとする関係法令等が改正され、気象庁による特別警報の運用開始など対策が講じられております。
しかしながら、南海トラフ巨大地震や県下の断層帯が全域でずれるなどの、被害が全県的に及ぶような大規模災害が発生した場合には、行政だけでは対応が困難で、自助や共助といった、いわゆる地域防災力による災害対応が不可欠であると考えます。
本県の自主防災組織の組織率は95.4%と高く、数字だけを捉えれば共助は充実しているように思います。しかし、その数字ほどには県民の災害に対する備えが整っているようには感じられません。自主防災組織の組織率に見合った共助による防災力を担保するためには、住民自らが防災意識を高めていくことが肝要ですが、行政としても適切な情報提供など、一層の住民への啓発と自主防災組織への支援を強力に進めていただきたいと考えます。
そのための方策として、まず、砂防堰堤の見守り活動の促進を提案いたします。私が住んでいる地域の市川、船場川、増井川、大野川などでは、さまざまなボランティアグループが活動しています。私も関係のある清掃ボランティア5グループとともに、川や周辺道路を定期的に清掃活動しています。
川の清掃をしている中で、何年間かごとに河床の土砂撤去を県に依頼しなくてはなりませんでした。その地域にお住まいの水害に関心を持っていらっしゃる方と話をしておりましたら、川下の土砂をさらうだけではなく、川上を整備しなくてはだめだと言われ、山の谷間から流れ出る川の様子を見せてくれました。
また、そのほかにも山沿いに住まれている方や、川やため池付近に住んでいる方からの災害に対する不安をよく聞きます。
県では、川の上流に多くの砂防堰堤を整備しており、今年4月現在、その数は2,534基あると聞いております。この多くの施設について、行政だけで目を行き届かせることは事実上困難であると思います。日々の生活の中で、自然災害の危険を感じている住民によって、一種の見守り隊のような、防災施設を監視するボランティア活動を促進できないでしょうか。砂防堰堤は、険しい山中にあることが多く、設置から長い年月を経て、道もなくなり、容易に近づけないものもあると聞いているところです。そのような大変な任務をボランティアの方にお願いすることには課題もあると思いますが、県から重要な役割を期待されるということであれば、地域を守りたいという熱意ある方には誇りを持って取り組んでいただけるのではないかと考えます。
例えば、一般的な砂防堰堤については、土砂がたまった状態でも繰り返し、その機能を発揮することができるようですが、一般の人にはそういった知識自体が浸透していません。見守りボランティアの方には事前にそのような専門知識を学んでいただき、目的を明確にした上で見守りを実施すれば、その調査情報を生かした、より適切な維持管理にもつながるのではないでしょうか。また、その方々自身が、住民に正しい知識を伝えていただくことによって、地域の防災力向上が図られると思います。まずは、そのような活動が可能か、試行的に取り組んではどうかと考えますが、当局の所見を伺います。
2点目は、住宅の耐震改修の更なる促進についてです。
地震が起きた際、住民の命を守る施策として現在あるのが簡易耐震診断推進事業とひょうご住まいの耐震化促進事業で、市町と兵庫県の事業として実施されています。県内の対象戸数は平成25年時点で約34.6万戸、耐震化率は平成25年時点で85.4%と聞いておりますが、耐震改修がなかなか進まないことが課題となっています。同様に、命を守る事業として神戸市が行っている耐震診断は無料、診断から耐震改修の見積もりまでの耐震おまかせパックは有料で2万円となっています。
また、共同住宅耐震精密診断補助、耐震改修補助には一般型、屋根軽量化等の部分改修型、小規模型の3種類があり、解体撤去補助、家具固定補助、家具固定専門員派遣とメニューも充実し、使いやすくなっているようです。県におきましても、行政、民間業者、専門家が力を合わせ、県民に、中でも家計のやりくりを担う主婦に分かりやすい施策としていただきたいと思います。
必ず発生すると予測される大規模地震に備え、耐震改修促進事業を利用したおかげで命が助かったという方が1人でも増えるような事業とすることは行政に課せられた責務とも言えます。住宅の耐震改修の更なる促進について、当局の所見を伺います。
次の質問は、小中一貫教育の推進についてです。
全国で進められている小中連携、一貫教育については、その取組ごとに、学校、市町、地域住民等のさまざまな思いが込められており、極めて多様な目的、実施形態となっています。児童生徒がさまざまな教職員、児童生徒と関わる機会を増やすことで、小学生の中学校進学に対する中1ギャップを軽減することを目的とする。また、中学生が小学生とのふれあいを通じ自尊感情を高め、生徒の暴力行為や不登校、いじめの解消につなげていくことを目的としている例もあります。
小中一貫教育では、小中学校教職員間の違いを教職員同士が認めた上で互いに学び合い、義務教育9年間を通して児童生徒を育てる発想や認識が欠かせません。そのためには、各学校長等の管理職がリーダーシップを発揮し、小中学校教職員が一体となって取り組んでいくことが必要です。
教職員が義務教育9年間の教育活動を理解した上で、自らの果たすべき役割をしっかりと認識することで、9年間の系統性が確保されます。
また、平成18年の教育基本法の改正、平成19年の学校教育法の改正において、新たに規定された義務教育の目的・目標に掲げる資質、能力、態度等をよりよく養うことは、全ての小中連携・一貫教育に共通する基本的な目的であります。
県下では姫路市が全市域を対象に平成20年から魅力ある姫路の教育創造プログラムを策定し、その中の校種間連携強化プログラムに、小中一貫教育を位置付け、保幼小連携・小高連携などの異校種間連携に関する施策の充実を図ってこられました。姫路市が小中一貫教育を全市域でスタートしてから5年目となり、白鷺小学校及び白鷺中学校が一体型モデル校としてスタートし、次に1中学校・1小学校の隣接型、そして、一番多い分離型で1中学校に対し2から3小学校のモデル校として広嶺中学校区を推進し、昨年は小中一貫教育全国サミットin姫路が開催されたところです。
昨年末のまとめでは、小学校と中学校の垣根を越え、学校運営に参画しようとする教職員の意識変化が見てとれるようになり、そのことが日常の情報交換や協働実践につながり、児童生徒の不登校出現率が国・県と比べて低くなっているということが報告されています。
姫路市をはじめとする県下でのこれまでの成果と課題を踏まえて、小中一貫教育を全県下に展開することが大切であると考えます。そういう点から、県教育委員会の関与は欠かせないものと思っております。しかし、小中一貫教育を学校統廃合のために安易に利用することは慎重であるべきと考えます。実際に全国でも複数の小学校を統廃合するに当たり、保護者や地域住民の説得をするために小中一貫教育の導入を掲げるケースは少なくないようです。
このため、小中一貫教育の制度化は、学校統廃合に拍車をかけるおそれがあるとも言えます。
市町教育委員会による義務教育学校設置に際しては、きちんとした小中一貫教育のカリキュラムを用意しているか、保護者や地域住民の理解が得られているかなどがポイントになると思われます。また、ほかの小中学校との間で、学校間格差が生じない配慮のため、県教育委員会の支援は必要と考えます。
そこで、県として小中一貫教育の推進についてどう捉えておられるのか、所見を伺います。
最後に、小中一貫教育の推進に当たっての教職員の弾力的な配置について伺います。
小中の学校間で、乗り入れ指導を行う場合などに兼務先の学校において適切な児童生徒理解を図り、きめ細かい指導を行う観点から、県教育委員会からの教職員への兼務命令は有効であり、ぜひ活用していただきたいと思います。
また、例えば校長を兼務させた場合に、校長定数を減じた分の定数を教諭の定数に振り替え、小中一貫教育加配として該当校に配置するといった工夫も考えられないでしょうか。小中連携推進のため、国の制度を利用して加配措置を行っている都道府県は全体の約19%となっています。国においては、小学校における専門的な知識または技能に係る教科等に関する専門的な指導に対する教職員定数の加配措置を平成23年4月に制度化したところであります。
例えば、この加配を活用し、小学校における理科教育等の充実のため、兼務命令された中学校の教員が小学校で授業を行うなど、県教育委員会において、独自の取組に加え、この専門的指導に対する加配措置を十分に活用していくことも考えられます。
小中一貫教育を推進するための教職員の弾力的な配置について、当局の所見を伺います。
以上、5項目7問について質問いたしました。ご答弁、よろしくお願いいたします。(拍手)
それぞれご答弁いただきましてありがとうございました。
自分自身もしっかりと勉強して、これからも県民のために尽くしていくよう、勉強してまいりますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
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