オルトさんの Has His Say

サステイナビリティというのがわかりにくいという読者からの指摘に答えて、
このコーナーでは日々のニュースをサステイナビリティの視点からコメントしていきたいと思います。


第6回 教育改革
基礎学力がついていないとの理由から教育改革が声高に叫ばれています。この問題を議論することはもちろん
重要ですが、もっと重要で根本にかかわる問題(国家安全保障問題)を日本では若い時、また大人になっても議論する
機会がほとんどないという状況が戦後ずっと続いています。

この異常な状態を改めて認識する機会を持ったのは、最近、パースのローカルラジオ局(たまに聞いているのですが)を
聞いていたときのことです。この番組は平日の朝から昼まで社会、政治の話題を取り上げ、リスナーと議論しています。
最近、取り上げられた議論は、「元教育委員委員長が親の承諾があれば、学童が自分で考えて学校を休んで
反戦マーチに参加することはいいことだと言っていますが、あなたはどう思いますか」という質問で始まりました。

英語圏で暮らした経験をもつ人なら気づく事なのですが、英語圏にやってくるほとんでの日本の若者は学力では
それほど遜色はないのですが、社会問題(特に、国家安全保障問題)に対する自分自身の考えを持っていません。
そのことが顕著にみられるのが、最近の反戦マーチです。
欧米での反戦マーチに、若者や年寄りが多数参加していますが、我が日本では、若者の参加は少数にとどまっています。

ではなぜこのような大人になりきれない国になったのでしょう?
原因は、徴兵制度が無い上に、戦後一貫して政治関係者やマスコミが神学論争(集団的自衛権か個別自衛権のどちらに
当たるかという論争)に明け暮れ、核心に触れる議論をしてこなかったからです。
その結果、有事の際の法律がいまだ完備されていないという、国としてのていをなしていないというのが今の日本の現状です。 
この間にテロという全く新しい戦争形態が出現しているにもかかわらず、これといった対策をなにも打たず、
ただ、日米安全保障条約を堅持すればよいのだという思考停止状態が続いています。

このような最重要課題は、平和時に熱い議論をすることが重要です。
なぜなら、もしノドン・ミサイルが飛んできて日本のどこかに着弾して多数の死傷者が出た場合、
普段は平和主義を唱えている人さえ、冷静さを失い偏狭な愛国主義者に変貌するからです。

ではどうすればよいのでしょう? 
フランスが2001年から移行した志願兵制度(徴兵制度ではない)のような制度を作り、
国家安全保障教育プログラム(因みに、1991年に制定された米国での国家安全保障教育法の目的は
アメリカ市民を教育することで、国の能力を開発し高める事であるとなっています。その為には外国文化
理解能力を磨き、経済的国際競争力を強化し、そして国際協調及び国際安全保障の質を更に高める事
が必要となっています。)を作り、これらを早急に実施に移すことです。
(3/8/2003)

オルトさん